クサギ 臭木

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae クサギ属

中国名 海州常山 hai zhou chang shan
英 名 harlequin glorybower, Japanese clerodendrum
学 名 Clerodendrum trichotomum Thunb.
クサギの花
クサギの花横
クサギの果実
クサギの托葉
クサギの葉裏
クサギ核
クサギ
クサギ花序
クサギ葉
クサギ球形に集まった核
花 期 7~9月
高 さ 1.5~10m
生活型 落葉低木または小高木
生育場所 日当たりの良い山野
分 布 在来種 日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾、フィリピン原産
撮 影 蒲郡市  11.7.25
クサギの和名の由来は枝や葉を傷をつけると悪臭がすることから。若葉は山菜として食べられる。名前とは違い、花は良い香りがする。
 落葉低木または小高木、高さ1.5~10m。樹皮は灰色~暗灰色、多数、皮目がつく。小枝には皮目が目立つ。葉は対生し、葉柄は長さ2~8㎝、葉身は下面が帯緑色、上面は暗緑色、広卵形~卵状楕円形~三角状卵形または卵形、長さ5~16㎝×幅2~13㎝、紙質、基部は広楔形~切形まれに心形、縁は全縁~まれに波打ち、先は尖鋭形、葉脈は3~5対、下面には腺点がある。花序は腋生または頂生、緩い散房花序、二股になり(dichotomous)、長さ8~18㎝、花が多数つく。花序柄は長さ3~6㎝、苞は楕円形、脱落性。花は芳香がある。萼は帯緑色、果時に濃紅色~紫色になり、5深裂~5浅裂する。萼片は三角状披針形~卵形、先が鋭形。花冠は白色または帯ピンク色、長さ2~2.5㎝、花冠筒部は細く、花冠裂片は長円形、長さ5~10㎜×幅3~5㎜。花柱は雄しべより短く、両方とも突き出る。核果は4個入り、青紫色(藍色)、ほぼ球形、直径約6~8㎜。花期は7~9月。果期は10~11月。
品種)  'Carnival' , 'Hopleys' (v) , 'Purple Blaze' , 'Purple Haze' , 'Shiro' , 'White Ibis'
 果実の色が次第に濃くなると、ゴンズイに似てくる。

クサギ属

 familiy Lamiaceae - genus Clerodendrum

 低木又は小高木、まれに亜低木又は草本、直立又はまれによじ登り、落葉又は常緑。小枝は若いときに普通、4角(かど)がある。葉は単葉、対生又はまれに輪生。花序は疎な集散花序又は頭状花序、頂生又はまれに腋生の円錐花序状の密穂花序。萼は鐘形又は杯形、約5歯又は深く5裂する。花冠は細い筒部をもち、先は5裂し、裂片は広がる。雄しべは4個、突き出す。子房は4室、胚珠は下垂又は側着。花柱は先が2裂して尖り、柱頭の裂片になる。萼は果時に膨らむ。果実は核果、それぞれに1種子が入る4個の核をもつ。ときに2室の2個の分果又は1室の4個の分果に分かれることもある。
 世界に約400種がある。
 1895年に John Isaac Briquetが Clerodendrum属を広く定義するようになって以来、100年以上もRotheca属、Volkameria属、Ovieda属がClerodendrum属に含められていた。現在では最近のDNA系統解析により、4属に分けられ、科もクマツヅラ科(Verbenaceae)からシソ科(Lamiaceae)に変更されている。

クサギ属の主な種と品種

1 Clerodendrum bungei Steud. ボタンクサギ 牡丹臭木
 中国、台湾、ベトナム原産。中国名は臭牡丹 xiu mu dan。英名はglory-flower , Mexican hydrangea , rose glorybower。別名はベニバナクサギ、ヒマラヤクサギ。熱帯、亜熱帯で広く栽培されている。日本の暖地でも野生化したものが見られる。葉はクサギと同じような臭いがする。
 高さ1~2mの落葉低木。小枝は類円柱形、皮目がある。葉は対生し、単葉、葉柄は長さ4~17㎝、若いときは密に褐色~黄褐色の軟毛があり、無毛になる。葉身は卵形~広卵形、長さ8~20㎝、幅5~15㎝、紙質。葉裏はわずかに腺軟毛があるかほぼ無毛、基部近くに数個の盾状腺がある。葉表はわずかに軟毛があり、基部は楔形~心形、鋸歯縁、先は尖鋭形~鋭形、側脈は4~6対。花序は頂生し、頂平の直径約10㎝の頭状集散花序に密に花をつける。苞は披針形~卵状被針形、長さ約3㎝、早落生。萼は緑色、鐘形、萼筒は長さ2~6㎜、有毛、数個の盾状腺がある。萼歯は長さ1~3㎜三角形。花冠はピンク色、赤色、紫色。花冠筒部は長さ2~3㎝。花冠裂片は5個、卵形、長さ5~8㎜。雄しべと花柱は花冠から突き出る。核果は青黒色、類球形、直径6~12㎜。開花は5~11月、日本では7~8月。
 中国にはvar. megacalyxという変種があり、花序に花が疎につき、萼歯が長さ約10㎜。
品種) 'Diamond' , 'Herfstleu' , 'Pink Diamond' (v)

2 Clerodendrum canescens Wall. ex Walp. シラゲクサギ 白毛臭木

 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖南省、江西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、ベトナム原産。中国名は灰毛大青 hui mao da qing。標高200~800mの山の斜面の開けた森林に生える。
 低木、高さ1~3.5m。葉柄と花序柄は黄色~帯褐色の綿毛が密生し、ほぼ絨毛状になる。小枝は4角(かど)がある。葉柄は長さ1.5~12㎝、葉身は広卵形または心形、まれに卵形、長さ6~18㎝×幅4~15㎝、絨毛があり、特に葉脈上にあり、基部は心形~ほぼ切形、縁は全縁またはまばらに微突状の歯があり、先は尖鋭形。花序は頂生でほぼ円錐形。花序柄は丈夫、長さ1.5~11㎝。苞は葉状で楕円形~卵形、長さ0.5~2.4㎝。萼は若いときに緑色で長さ約1.3㎝、膜質で深く5裂し、萼片は卵形~広卵形。花冠は白色またはピンク色、外側に微軟毛がある。花冠筒部は細く、長さ約2㎝。花冠裂片は倒卵状長円形、長さ5~6㎜、反り返る。雄しべと花柱は突き出る。果時の萼片は赤色。核果は若いときは緑色で、成熟すると濃青色~黒色になり、ほぼ球形で直径約7㎜。花期は4~10月。

3 Clerodendrum chinense (Osbeck) Mabb. ヤエザキクサギ 八重咲臭木
  synonym Clerodendrum fragrans Vent
  synonym Clerodendrum philippinum Schauer
  synonym Clerodendrum chinense var. simplex (Moldenke) S.L.Chen
 中国(広西チワン族自治区、貴州省、雲南省)、インド(アッサム、アンダマン諸島、ニコバル諸島)、ネパール、ブータン、カンボジア、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア(ボルネオ島、ジャワ、スマトラ島、マルク、スラウェシ島)原産。中国名は重瓣臭茉莉 chong ban xiu mo li。熱帯および亜熱帯アジアで栽培される。Flora of Chinaでは花が一重と八重の2変種に分けているが、POWOでは認めていない。一重花は標高700-1500mの川沿いの森林に自生し、八重花は栽培種。
 低木、高さ0.5~1.2m。小枝はほぼ4角(かど)~円柱形、若いときは毛があり、無毛になる。葉柄は長さ3~17㎝、毛~綿毛がある。葉身は広卵形~ほぼ心形、長さ9~22㎝×8~21㎝、下面は毛があり、特に葉脈上にあり、基部近くに数個の大きな腺があり、上面は伏剛毛があり、基部は切形~広切形、またはほぼ心形で、縁はまばらに不規則な歯があり、先は尖鋭形。花序は頂生で、密な散房花序。花序柄は綿毛がある。苞は披針形で長さ1.5~3㎝、毛があり、いくつかの大きな腺がある。花は一重または八重で、芳香がある。萼片は長さ1.5~2.5㎝、深く5裂し、毛があり、数個の大きな腺がある。花冠裂片は線状披針形または披針形で、長さ0.7~1.6㎝。花冠は白色、帯ピンク色、または赤色で、裂片は楕円形または卵形。
品種)  'Pleniflorum'
3-1 Clerodendrum chinense var. chinense
 福建省、広東省、広西チワン族自治区、雲南省、台湾で栽培され、熱帯および亜熱帯アジアで広く観賞用に栽培されている。中国名は重瓣臭茉莉 chong ban xiu mo li。
 花は八重咲き。萼は長さ1.5~1.7㎝、裂片は線状披針形、長さ7~10㎜。花冠は赤色、帯ピンク色、または白色で、花冠裂片は卵形。

3-2 Clerodendrum chinense var. simplex (Moldenke) S. L. Chen

 中国(広西チワン族自治区、貴州省、雲南省)原産。中国名は臭茉莉 xiu mo li。標高700~1500mの河川沿いの森林に生える。
 植物に密に毛がある。花は一重花。萼は長さ1.5~2.5㎝、萼片は披針形、長さ1~1.6㎝。花冠は白色またはピンク色、花冠筒部は長さ2~3㎝、花冠裂片は楕円形、長さ約1㎝。核果は宿存性の膨らんだ萼片に囲まれ、青黒色で直径8~10㎜。

4 Clerodendrum cyrtophyllum Turcz. マキバクサギ 
 朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、ベトナム原産。中国名は大青 da qing。標高500~1700mの山地などに生える。
 低木または小高木、高さ1~10m。小枝は黄褐色で、軟毛がある。葉柄は長さ1~8㎝。葉身は長円形、長円状披針形、楕円形、または卵状楕円形で、長さ6~20㎝×幅3~9㎝、紙質、無毛または葉脈に沿ってまばらに軟毛がある。下面は腺毛があり、基部は円形~楔形、縁は全縁または円鋸歯状、先は尖鋭形~鋭形、葉脈は6~10対。花序は散房花序で、頂生およびほぼ頂生の集散花序から形成され、長さ7~16㎝×幅8~25㎝。苞は線形で長さ3~7㎜。花は小さく、芳香がある。萼は黄褐色で、杯形、長さ3~4㎜、外側は微細な綿毛と腺があり、内側は無毛。萼片は長さ約1㎜。花冠は白色、長さ約1㎝、筒部は細く、まばらに軟毛があり、腺毛がある。花冠裂片は卵形、長さ約5㎜。雄しべと花柱は突出している。子は無毛。果時の萼は赤色。核果は青紫色、倒卵形~球形、直径5~10㎜。花期は6~2月。
4-1 Clerodendrum cyrtophyllum var. cyrtophyllum
 朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、河南省、湖北省、湖南省、江西省、四川省、雲南省、浙江省)、台湾、ベトナム原産。中国名は大青 da qing。標高1700m以下の山の斜面または小川沿いの森林に生える。
 葉身は長円形、長円状披針形、卵状楕円形、または楕円形で、縁は全縁、先は尖鋭形~鋭形。花序は長さ10~16㎝x幅20~25㎝。花期は6~2月。
4-2 Clerodendrum cyrtophyllum var. kwangsiense S.L.Chen & T.D.Zhuang
 中国(広西チワン族自治区)原産。中国名は广西大青 guang xi da qing。標高500~1000mの山の斜面の茂みに生える。
 葉身は長円形、縁は丸みを帯びた鋸歯状、先は鈍形。花序は長さ7~12㎝x幅8~15㎝。

5 Clerodendrum indicum (L.) Kuntze クルマバジョウザン 車葉常山

 中国(広東省、雲南省)、インド、アッサム、スリランカ、ネパール、ブータン、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、マレーシア、インドネシア(スマトラ)、タイ、ベトナム原産。中国名は长管大青 chang guan da qing。標高500~1000mの山腹の道端に生える。薬用、観賞用に栽培される。
 亜低木から低木、高さ1~2m。小枝は紫色~帯紫色、溝があり、平滑。葉は1節につき3~5枚または対生し、無柄またはほぼ無柄で、葉柄の基部に節毛がある。葉身は狭披針形~長円状披針形、長さ10~21㎝×幅1.3~2.5㎝、膜質で無毛、基部は細くなり、縁は全縁または波状、先は短く尖鋭形。中脈が顕著で、脈は10~12対。花序は頂生の葉苞で長さ20~45㎝×幅10~15㎝。集散花序は赤色、花数は少ない。花序柄は長さ3㎝以下。苞は線状披針形~披針形、長さ1~2㎝。小苞は千枚通し形(awl-shaped)。萼片は長さ1~1.5㎝、基部から3/4の深さまで分裂し、密に小さな円形の腺を持つ。萼裂は卵状披針形、長さ8~15㎜x幅3~6㎜、先は鋭形。花冠は白色で、クリーム色になる。花冠筒部は漏斗形で曲がり、長さ5~9㎝、花冠裂片は広がり、披針形~楕円形または卵状長円形、長さ8~15㎜x幅3~6㎜、先は鈍形。雄しべは長く突き出る。子房は無毛。花柱は雄しべより長い。果時の萼は深紅色で、直径3.8㎝まで、革質。核果は暗青色、直径約1.2㎝、小堅果の数によって 2~4裂する。花期は8~11月。

6 Clerodendrum izuinsulare K.Inoue, M.Haseg. et S.Kobay. シマクサギ 島臭木

 日本(伊豆諸島)原産。シマクサギは 1)雄しべは花筒より5~15㎜突き出る。2)葉や花序はほぼ無毛。3)花筒部は白色~淡紅色。4)萼片は披針形~狭卵形、幅2.5~4.5㎜。5)萼片はほとんど赤くならず緑色。5)花冠裂片はやや後ろに反り返る。6)花の直径が15~20㎜とやや小さい。7)開花時期がやや遅く、8~10月。という特徴がある。
 落葉樹、高さ6mになる。小枝は円柱形、節にまばらに毛があり、皮目は長楕円形。葉は対生し、パピラがある。葉柄は長さ2~12㎝。葉身は広卵形、長さ8~20㎝×幅5~15㎝、先は尖鋭形、基部は切形~円形、微細な小歯があり、上面は無毛で光沢があり、下面は脈に沿ってまばらに毛があり、下面の脈と小脈は隆起し、基部近くに3脈がある。花序は頂生および上部の葉腋に生じ、2分岐し(dichasially)、散房花序、長さ7~20㎝、幅8~20㎝、花が10~100個つく。苞は線状披針形、長さ1~2cm。花序柄は無毛。小花柄は上部に毛があり、長さ2~10㎜。萼は帯緑色またはわずかに赤みがかった緑色で、狭鐘形、長さ12~17㎜、5裂し、萼片は披針形~狭卵形、長さ2.5~4.5㎜、先は鋭形、基部に毛がある。花冠は白色、高杯形(salverform)、無毛、幅15~20㎜、5裂片がある。花冠筒部は白色または淡紅色、細く、長さ20~27㎜、幅約1.5㎜、花冠裂片は長円形で、軽く折り返され、長さ6~9㎜。雄しべは4本、長さ25~30㎜、花冠筒部から5~15㎜突き出る。花期は8~10月。

7 (Thunb.) Sweet ヒギリ 緋桐

  synonym Clerodendrum kaempferi sensu Siebold, non (Jacq.) Steud

  synonym Volkameria japonica Thunb.
 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖南省、江蘇省、江西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、アンダマン諸島、アッサム、ラオス、ネパール、ブータン、バングラデシュ、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア(ボルネオ、ジャワ、スマトラ、ジャワ)原産。中国名は赬桐 cheng tong。別名はトウギリ。標高100~1200mの谷間、小川沿い、草地の空き地の茂み生える。薬用、観賞用に栽培され、日本、韓国、スリランカ、マレーシア、メキシコなどに帰化している。
 低木、高さ1~4m。小枝は4角形で、軟毛~ほぼ無毛、節にはときに絨毛がある。葉柄は長さ0.5~15(~27)㎝、密に黄褐色の軟毛がある。葉身はほぼ心形、長さ8~35㎝×幅6~27cm、まばらに軟毛が生え、下面は多数の盾状腺(peltate glands)で密に覆われ、しばしば砂色の分泌物で覆われ、基部は心形、縁はまばらに小鋸歯~歯があり、先は尖鋭形~鋭形。花序は頂生の密穂花序(thyrses)、長さ15~34㎝×幅13~35㎝。苞と小苞は通常帯赤いろ。萼は赤色、長さ1~1.5㎝、深く5裂し、軟毛があり、外側は砂色の腺がある。萼片は卵状披針形~卵形、長さ0.7~1.3㎝。花冠は白色または赤色、花冠筒部は長さ1.5~2.2㎝。花冠裂片は長円形、長さ1~1.5㎝。雄しべと花柱は花冠筒部の長さの3倍以上長い。果時の萼は果実よりずっと長く、反り返る。核果は若いときは緑色で、成熟すると青黒色になり、ほぼ球形、直径7~10㎜。花期と果期は5~11月。

7-1 Clerodendrum japonicum var. bethuneanum (H.Low) Wearn & Mabb.

  synonym Clerodendrum bethuneanum H.Low
 インドネシア(ボルネオ)、フィリピン原産。英名はJapanese glorybower。
 小低木、高さ1~2m、平滑。枝は緑色で、紫色の条線があり、断面は4角形。下部の葉は長い柄があり、葉身は心形で非常に大きく、幅は32㎝まで、先端は尖っり、縁には不明瞭な歯がある。上部の葉は徐々に小さくなり、やがて苞になる。円錐花序は大きく、ピラミッド形、頂生、緩く、長さ50~90㎝。花は深紅色。萼は大きく膨らみ円錐形、角(かど)がほぼ翼状で、萼片は5個、楕円形または卵形、長さ約10㎜。花冠筒部は萼片よりわずかに長く、花冠裂片は5個、斜めに広がった長楕円形。雄しべは紫色、非常に長く、長さ5~6㎝。果実は直径約1㎝、通常は2裂し、宿存する萼片に挟まれている。
7-2 Clerodendrum japonicum var. japonicum ヒギリ 緋桐 狭義
 中国、台湾、アンダマン諸島、アッサム、ラオス、ネパール、ブータン、バングラデシュ、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア(ボルネオ、ジャワ、スマトラ、ジャワ)原産。日本、韓国、スリランカ、マレーシア、メキシコなどに帰化。

8 Clerodendrum lindleyi Decne. ex Planch. リンドレイクサギ 
 中国(安徽省、福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、湖南省、江蘇省、江西省、四川省、雲南省、浙江省)、ブータン、ミャンマー、ベトナム原産。中国名は尖齿臭茉莉 jian chi xiu mo li。標高1200~2800mの山の斜面や道端の混交林に生える。薬用に使われる。
 低木、高さ0.5~3m。小枝は軟毛があり、若いときはほぼ4角形で、ほぼ円柱形。葉柄は長さ2~11㎝、軟毛がある。葉身は広卵形~心形、長さ6.5~12.5(~22)㎝×幅5.5~10(~20)㎝、紙質、下面に特に軟毛があり、基部に数個の盾状腺があり、基部は切形~心形、縁は不規則に波打ち、先は尖鋭形。花序は頂生、密集し、頭状の散房花序をつける。花序柄には軟毛がある。苞は披針形、長さ2.5~4㎝、微軟毛があり、数個の盾状腺がある。萼は長さ1~1.5㎝、深く5裂し、密に軟毛があり、数個の盾状腺がある。萼片は線状披針形、長さ4~10㎜。花冠はピンクがかった紫色で、花冠筒部は長さ2~3㎝。花冠裂片は倒卵形、長さ5~7㎜。雄しべは突き出す。花柱は雄しべより長い。核果は紫色で膨らんだ宿存性の萼に包まれ、青黒色、ほぼ球形、直径5~6㎜。花期は6~11月。

9 Clerodendrum ohwii Kaneh. et Hatus.  タロコクサギ 太魯閣臭木
 台湾原産。中国名は花蓮海州常山。別名はビロードクサギ。
 低木、枝は灰色がかったほぼ四角形で、ごく短い帯灰色の毛がある。枝は対生し、ほぼ四角形、褐色の綿毛がある。葉は対生し、紙質、卵形楕円形~楕円形~楕円状長円形、長さ7~11㎝×幅3~5㎝、先は鋭形~尖鋭形、基部は楔形~鈍形、縁が広がり、肋は上面に盛り上がらず、下面に盛り上がり、両面に一次側脈は4~5本あり、50°の角度で肋から出て、縁でアーチ状に結合し、両面に褐色の小綿毛がある。葉柄は長さ2~2.5㎝、褐色の綿毛がある。集散花序は頂生~ほぼ頂生、長さ約8㎝×幅5~7㎝、褐色の綿毛があり、枝は二股に分かれ(dichotome forked)、苞は線形、長さ4~8㎜。一次の花序柄は長さ3~4.5㎝、直径1~1.2㎜。二次の花序柄は長さ1.5㎝×直径1㎜。小花柄は長さ1~1.2㎝。萼は倒円錐状鐘形、長さ1.3~1.5㎝、先は5裂し、外側に毛があり、内側は無毛。萼片は三角形、長さ5~6㎜×幅4㎜。花冠は筒状鐘形、上部は長さ2.5㎝、まばらに毛があり、細い筒部は長さ2㎝×幅1.5㎜。拡大部は鐘形、5裂し、花冠裂片は卵状楕円形または卵状長円形、先は鈍形、長さ7~9㎜×幅4~5㎜、縁は全縁、縁毛がある。雄しべは4本、花冠筒部の喉部につき、花糸は長さ3~4㎝、無毛、長く突き出す。葯は長円形、長さ2㎜×幅1㎜。子房は長円状球形、長さ1.5㎜。花柱は長さ4㎝、先端が非常に短く2裂する。

10 Clerodendrum paniculatum L. カクバヒギリ 

  synonym Clerodendrum kaempferi auct. non (Jacq.) Siebold ex Steud.

  synonym Clerodendrum intermedium auct. non Cham.
 中国(福建省、広東省)、台湾、インド(アッサム、アンダマン諸島、ニコバル諸島)、ミャンマー、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、フィリピン、マレーシア、インドネシア(ジャワ、ボルネオ、スマトラ島、スラウェシ島、小スンダ諸島、マルク)、ニューギニア、ビスマルク諸島原産。中国名は圆锥大青 yuan chi da qing。標高100~500mの湿地に生える。
 低木、高さ約1m。小枝は断面が4角形で、ほぼ無毛~毛があり、節には絨毛がある。葉は掌状に裂け、葉柄は長さ3~11㎝、黄褐色の毛がある。葉身は広卵形から亜円形で、長さ5~17㎝×幅7.5~19㎝、下面にはまばらに毛があり、砂色の腺毛がある。上面にはまばらに毛がある~ほぼ無毛、基部は心形で、縁は全縁または微細な小歯があり、先は鋭形。花序は円錐形~丸い密穂花序(thyrses)、長さ15~26㎝×幅16~22㎝、花序柄は長い。苞は卵状披針形~卵形、小苞は線形。萼は約7㎜、深く5裂し、斑点がある。萼片は通常、披針形、長さ約5㎜。花冠は赤色~橙色、花冠筒部は長さ1~1.5㎝、斑点があり、外側は毛があり、内側はほぼ無毛。花冠裂片は長円形~卵形、広がる。雄しべと花柱は花冠筒部の長さの4倍の長さ。核果は球形、直径5~9㎜。花期は4~2月。
品種)'Starshine'

11 Clerodendrum thomsoniae Balf.f. ゲンペイクサギ 源平臭木
 アフリカ西部(カメルーン、ザイール、ガーナ、マリ、ナイジェリア、セネガル、シエラレオネ)原産。中国名は龙吐珠 long tu zhu。英名はbagflower , bleeding glory-bower , bleeding-heart-vine , glorytree。別名はカリガネカズラ、ゲンペイカズラ。観賞用に栽培される。日本には明治中期に渡来した。耐寒性は低く、植物園の温室ではよく見かけられる。小株でも開花し、鉢花として売られている。
 常緑低木、高さ3~7m。つる性木、絡みつき、長さ3~7mになる。茎は不明瞭な4稜形、微軟毛がある。托葉は無い。葉は対生、長さ5.2~14㎝×幅2.7~7㎝、楕円形~披針形、紙質、先は尖鋭形、基部は鈍形~円形、縁は全縁~離れた波状縁、上面は微軟毛があり、暗緑色、小托は無い。下面は微軟毛があり、淡緑色、多数の点があり、脈は目立つ。葉柄は長さ1~2.8㎝、溝があり、微軟毛がある。花序は腋生、二出集散花序。苞は小さく、錐形。萼は多少、つぼ形、長さ1.5~2.5㎝、白色、微軟毛がある。萼片は披針形又は楕円状披針形基部で合着し、先は尖鋭形。花冠は赤色又は深紅色、高杯形、長さ約2㎝、筒部は細く、裂片は円形。花糸はピンク色、花冠の長さの2倍、花柱はピンク色、花糸と同長。果実は核果、萼に覆われ、長さ2~3㎝、球形又は扁球形、長さ幅ともに10~14㎜、光沢のある黒色、2裂する。種子は長楕円形。。花期は6~9月。
品種) 'Variegatum' (v) 葉に白斑

12 Clerodendrum trichotomum Thunb. クサギ 臭木

  synonym Clerodendrum trichotomum Thunb. f. albicarpum Satomi シロミクサギ

  synonym Clerodendrum trichotomum Thunb. f. ferrugineum (Nakai) Ohwi  ビロードクサギ

  synonym Clerodendrum trichotomum Thunb. var. esculentum Makino ショウロウクサギ

  synonym Clerodendrum trichotomum Thunb. var. fargesii (Dode) Rehder アマクサギ

 日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国(内モンゴル、新疆、西蔵を除く中国全土)、台湾、フィリピン原産。中国名は海州常山 hai zhou chang shan。英名はharlequin glorybower, Japanese clerodendrum。標高2400m以下に生える。
 落葉低木または小高木、高さ1.5~10m。樹皮は灰色~暗灰色、多数、皮目がつく。小枝には皮目が目立つ。葉は対生し、葉柄は長さ2~8㎝、葉身は下面が帯緑色、上面は暗緑色、広卵形~卵状楕円形~三角状卵形または卵形、長さ5~16㎝×幅2~13㎝、紙質、基部は広楔形~切形まれに心形、縁は全縁~まれに波打ち、先は尖鋭形、葉脈は3~5対、下面には腺点がある。花序は腋生または頂生、緩い散房花序、二股になり(dichotomous)、長さ8~18㎝、花が多数つく。花序柄は長さ3~6㎝、苞は楕円形、脱落性。花は芳香がある。萼は帯緑色、果時に濃紅色~紫色になり、5深裂~5浅裂する。萼片は三角状披針形~卵形、先が鋭形。花冠は白色または帯ピンク色、長さ2~2.5㎝、花冠筒部は細く、花冠裂片は長円形、長さ5~10㎜×幅3~5㎜。花柱は雄しべより短く、両方とも突き出る。核果は4個入り、青紫色(藍色)、ほぼ球形、直径約6~8㎜。花期は7~9月。果期は10~11月。
品種)  'Carnival' , 'Hopleys' (v) , 'Purple Blaze' , 'Purple Haze' , 'Shiro' , 'White Ibis'
 多数の品種や変種に分類されていたが、POWOでは認められていない。

(1) Clerodendrum trichotomum Thunb. f. albicarpum Satomi シロミクサギ 白実臭木

 果実が白色に熟す。

(2) Clerodendrum trichotomum Thunb. f. ferrugineum (Nakai) Ohwi ビロードクサギ

  synonym Clerodendrum trichotomum Thunb. var. ferrugineum Nakai
 台湾南部に分布。中国名は锈毛海州常山 xiu mao hai zhou chang shan。標高2400m以下に生える。
 小枝と花序はさび色の綿毛で覆われる。葉身は長さ5~10㎝×幅3~6㎝、さび色の綿毛が密にある。

(3) Clerodendrum trichotomum Thunb. var. esculentum Makino ショウロウクサギ 

 日本(四国、九州、沖縄)、朝鮮、フィリピンに分布。低地や林縁の向陽地に生える。
 葉はは無毛で下面は有毛。集散花序は短く、多数の花をつける。萼は広披針形の紫紅色で5深裂する。実は球形で青く熟す。花期は7~10月。

(4) Clerodendrum trichotomum Thunb. var. fargesii (Dode) Rehder アマクサギ 甘臭木

  synonym Clerodendrum trichotomum Thunb. var. yakusimense (Nakai) Ohwi 
 日本(九州南部~沖縄)に分布。低地~山地の林縁に生える。若葉が山菜として利用される。
 葉は大きく、長さ10~20㎝、卵形~三角状卵形、縁は全縁、先は鋭形、上面が無毛。花冠裂片は平開し、反り返らない。果実は球形で黒色に熟し、光沢がある。
品種)'Carnival' (v)

13 Clerodendrum laevifolium Blume クラリンドウ 
  synonym Clerodendrum wallichii Merr. [FOC]
  synonym Clerodendrum nutans Wall. ex D. Don
 中国、インド、アッサム、ネパール、ブータン、パキスタン、ミャンマー、バングラデシュ、タイ、ベトナム原産。中国名は垂茉莉 chui mo li。英名はbridals veil , Nodding Clerodendron , Wallich's glorybower , Nutan bleeding heart。別名はクレロデンドルム・ウォリキー。
 常緑低木又は小高木、高さ2~4m、直立する。小枝は4稜形、 ± 翼があり、無毛。葉は対生し、葉柄は長さ約1㎝。葉身は長楕円形~長楕円状披針形、長さ11~18㎝X幅2.5~4㎝、類革質、無毛、基部は狭楔形、全縁、先は尖鋭形~鋭形、側脈は7~8対、上面は脈がわずかに明瞭、緑色、光沢がある。花序は密穂花序、垂れ下がり、長さ20~33㎝、無毛、軸と花序柄は4稜形又は翼がある。苞は小さく、線形~千枚通し形。萼は赤色~紫色、長さ約1㎝、萼筒は非常に短く、萼片は5個、卵状披針形、長さ7~8㎜。花冠は白色、花冠筒部は長さ約1.1㎝、花冠裂片は5個、卵形、長さ1.1~1.5㎝。雄しべと花柱は突き出る。果時の咢は赤色~紫色、膨れ、太くなる。核果は若い時、黄緑色、熟すと、黒色で光沢があり、球形、直径1~1.3㎝。花期と果期は10~4月。
品種) 'Prospero'

14 Clerodendrum fortunatum L.
 中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、江西省)、ベトナム、フィリピン、インドネシア(ジャワ島)原産。英名はGlorybower , Gloryberry 。中国名は白花灯笼 bai hua deng long。標高約1000mの山の斜面、道路沿いに生える。
 低木、高さ約2.5m。若い枝は黄褐色の毛が密生し、小枝は暗褐色。葉柄は長さ0.5~3(~4)cm、黄褐色の毛が密生する。葉身は楕円形、卵状披針形、まれに卵状楕円形、長さ5~17.5㎝×幅1.5~5㎝、紙質、下面に毛が生え、密に小さな黄色の腺毛があり、上面に毛が生え、基部は楔形~広楔形、縁は全縁、波打つ、またはまばらに歯状鋸歯があり、先は尖鋭形。集散花序は腋生、基部の葉より短く、花が3~9(~18)個つく。花序柄は長さ1~4㎝、褐色の毛が密生する。苞は線形、密に褐色の毛がある。萼は紫色で深く5裂し、外側には毛が生え、内側は無毛。萼片は広卵形で、縁が結合し、5つの角(かど)を形成する。花冠は白色または帯ピンク色、高杯(たかつき)形 (salverform)。花冠筒部は真っすぐで、やや漏斗形、萼よりわずかに長い。拡大部は斜め。花冠裂片は長円形、長さ約6㎜、反り返る。雄しべは花冠より長く、傾斜し、花冠筒部のほぼ中間に挿入され、基部には毛がある。葯は暗褐色、矢じり形、平滑。花柱は糸状、雄しべより短い。果時の萼は膨らむ。核果は暗青緑色、ほぼ球形、直径約5㎜、萼に包まれる。花期は6~11月。

15 Clerodendrum inerme (L.) Gaertn. イボタクサギ⇒Volkameria inermis L.

  synonym Clerodendrum neriifolium Wall. ex Schauer

16 Clerodendrum serratum (L.) Moon ウスギクサギ⇒Rotheca serrata (L.) Steane & Mabb.


17 Clerodendrum speciosissimum Jacob-Makoy ジャワヒギリ ジャワ緋桐
  synonym Clerodendrum blumeanum Schauer マレークサギ
 マレーシア、インドネシア(ボルネオ、ジャワ、スマトラ)、ニューギニア、ビスマルク諸島、ソロモン諸島、バヌアツ原産。英名はJava glory bower, pagoda-flower, red clerodendrum, scarlet clerodendrum。熱帯アジアと亜熱帯アジアに分布し、標高0~1500mの低地および標高1000~2000mの湿潤な森林と低山帯気候の高地に生える。
 低木または亜低木、高さ4mまで、しばしばランナーで広がり、小枝は髄質(medullose)または中空で乾くと溝が入り、密に短毛が生える。葉は対生し、葉柄は長さ21㎝まで、密に短毛が生える。葉身は広卵形~卵状円形、長さ7~20(~35)㎝×幅6~17(~26)㎝、基部は深い心形、先は急に鋭角から短い尖鋭形、縁は全縁から不規則に反り返った歯状、通常上面に毛が生え、下面にも多数生える。花序は頂生、円錐花序、ゆるやかに多数の花が付き、長さ45×幅25㎝・まで、しばしば目立つ苞葉があり、枝は鮮やかな赤色で、花は華やか。萼は鐘形、鮮やかな赤色、長さ3~5(~9)㎜、5裂し、萼片は長さ1~3㎜、先は鋭形。花冠は高盆形(hypocrateriform)で赤色~朱色、筒部は細く、長さ2.5㎝まで、拡大部は3㎝まで広がり、花冠裂片は倒卵形で、長さ15㎜x幅10㎜・まで、雄しべと花柱は鮮やかな赤色で、花冠の喉部から約3㎝突き出る。果実は鮮やかな赤色または緋色(scarlet)で、成熟すると帯紫色または黒色に変わり、深く4裂し、長さ7㎜x幅10㎜・以下 。花期は5~9月。

参考

1)Cabi
 Clerodendrum thomsoniae (bleeding glory bower)
https://www.cabi.org/isc/datasheet/14337
2) Flora of China
 Clerodendrum
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=107332
3) GRIN
 List of Species Records in GRIN
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=2691
4) Cabi Digital Library
 Clerodendrum speciosissimum (Java glory bower)
https://www.cabidigitallibrary.org/doi/full/10.1079/cabicompendium.113372
5) 植物研究雑誌 J. Jap. Bot. 72: 119 (1997)
 伊豆諸島のクサギ属(クマツヅラ科)の1新種 Clerodendrum izuinsulare
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/72/2/72_72_2_9145/_pdf/-char/ja
6) 植物研究雑誌 J. Jap. Bot. 13: 677 (1937)
 Clerodendrum ohwii Kaneh. et Hatus
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjapbot/13/9/13_13_9_1969/_pdf/-char/ja
7) StuartXchange- Philippine Medicinal Plants
 Clerodendrum bethuneanum Low
http://www.stuartxchange.com/Biniuang.html