コギシギシ 小羊蹄

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Flora of Mikawa

タデ科 Polygonaceae ギシギシ属

英 名 toothed dock , dentate dock , Indian dock
中国名 齿果酸模 chi guo suan mo
学 名 Rumex dentatus L. subsp. klotzschianus (Meisn.) Rech.f.
 synonym Rumex nipponicus Franch. et Savat.
コギシギシの実
コギシギシの実
コギシギシの葉
コギシギシ
花 期 4~5月
高 さ 30~50㎝
生活型 多年草
生育場所 川原、海岸、田の畔、低湿地
分 布 在来種 日本(本州の関東以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、台湾、中国、インド、パキスタン、アフガニスタン、イラン、ネパール、ブータン
撮 影 蒲郡市  06.6.11
コギシギシは国のレッドデーターブック絶滅危惧II 類(VU)、愛知県では準絶滅危惧種に指定されている。学名はRumex dentatus L.の亜種 subsp. klotzschianusとされる。
 多年草。通常高さ30~50㎝。茎は紅色を帯び、直立し、分枝が少ない。帰化系統の疑いがあるものは茎が緑色で基部からよく分枝し、ミドリコギシギシと呼ばれるが、中間的な形態のものも見られる。下部の茎葉は長い葉柄があり、葉身は長円状披針形~披針形、長さ5~10cm×幅1.5~3.5cm、先は鈍形、基部は広楔形~浅い心形、縁はやや波打ち縮れず、両面とも無毛。上部の葉は互生し、次第に小さくなる。バルブは卵形、長さ3.5~4.5(~5)㎜、縁の刺状突起を除き幅2~2.5㎜、縁の拡大部が目立ち、長さ1~2.5㎜の刺状突起が(2~)3~4個あり、、中肋の瘤体(tubercle;こぶ状突起)は狭長卵形、長さ1.7~2.4㎜、長さはバルブの約2/3で、平滑または弱いしわがあり、赤色を帯びることはない。果実は長さ約2㎜、茶褐色。2n=40。花期は4~5月(レッドデータブック愛知)。
1 Rumex dentatus L. コギシギシ 小羊蹄 広義
 日本、千島列島、韓国、中国(安徽省、福建省、甘粛省、貴州省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、内モンゴル、寧夏、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省、新疆、雲南省、浙江省)、台湾、インド、パキスタン、アフガニスタン、カザフスタン、キルギス、ウズベキスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、アッサム州、西ヒマラヤ、ヒマラヤ東、ネパール、ミャンマー、バングラデシュ、ラオス、ベトナム、アジア西部(イラン、イラク、レバノン・シリア、パレスチナ、イエメン、サウジアラビア、湾岸諸国、オマーン、トルコ、キプロス、シナイ半島)、ヨーロッパ(アルバニア、ブルガリア、ギリシャ、ルーマニア、ウクライナ、南欧ロシア、北コーカサス、トランスコーカサス)、アフリカ(エジプト、リビア、チュニジア)原産。中国名は齿果酸模 chi guo suan mo。英名はToothed dock , dentate dock , Indian dock。海抜0~300mの荒地、斜面、耕作地に生える。
 1年草、まれに2年草、無毛または不明瞭なパピラがあり、特に葉身の下面の脈上にあり、紡錘形の垂直の根茎を持つ。茎は直立し、花序はしばしば屈曲し、上部~中間で、ときにほぼ基部から分枝し、高さ20~70(~80)㎝。托葉鞘は落葉性、または成熟しても部分的に宿存し、葉身は長楕形~楕円状披針形、または卵状楕円形、長さ3~8(~12)㎝×幅2~5㎝、長さは通常幅の4倍未満、革質ではなく、基部は通常切形またはほぼ心形~弱く心形、縁は全縁、平ら~弱く波打ち、たまにわずかにカリカリに縮れ、先は鈍形またはほぼ鋭形。花序は頂生、茎の上部1/2を占め、通常緩くて途切れ、広く円錐花序、枝は通常上向きで真っ直ぐ。小花柄は下部1/3に関節があり、糸状、長さ2~5㎜、関節は明らかに膨れる。花は10~20個、かなり密で離れた花輪につく。内花被片は卵状三角形または三角形、長さ3~5.5(~6)㎜×幅2~3㎜(歯を除く)、長さは幅の約1.5倍の長さ、基部は切形、ほとんどの場合、縁ははっきりとした歯状、まれにほぼ全縁、先は鋭形~ほぼ鋭形、真っ直ぐ、歯は2~4(~5)個、通常は縁の両側にあり、狭三角形、真っ直ぐ、長さ1~3(~5)㎜、内花被片の幅と同じかそれより短い。瘤体は(1~)3個、同じ大きさまたはほぼ同じ。痩果は暗赤褐色、長さ2~2.8㎜×幅1.4~1.8㎜。2n=40。花期は晩春~夏。(Flora of North America)。
1-1 Rumex dentatus subsp. dentatus
  synonym Rumex callosissimus Meisn.
 千島列島、西ヒマラヤ(インド北部、パキスタン)、東ヒマラヤ(インド北東部、ブータン、チベット自治区、中国の雲南省、ミャンマー)、インド、パキスタン、アフガニスタン、ラオス、バングラデシュ、ベトナム、アジア西部(イラン、湾岸諸国、オマーン、パレスチナ、サウジアラビア、イエメン)、アフリカ(エジプト、チュニジア)に分布。中国名は齿果酸模 chi guo suan mo。海抜2500mまでの湿った谷、山の斜面に生える。
 1年草、平均高さ80cm以上。茎は直立し、無毛で、基部から枝分かれし、緑がかった赤褐色で、角(かど)がある。葉は単葉、宿存性、無毛、対称、矢じり形。葉身は長さ1~8cm×幅2cm以上、縁は波打ち、平坦、先は鈍形。托葉鞘は2裂し、縁に不規則で細かく切り込みが入り、長さ2.5㎝以上で、透明。葉柄は長さ1㎝以上。花序の腋生、束生。花は両性、小花柄がある。花被片は6個、白色。花被筒は無い。バルブは長さ3~4㎜×幅約2㎜、鋭形で、すべてのバルブがバルブをほぼ覆う瘤体(tubercles)を持ち、歯はバルブの幅より短い。雄しべ6本。花柱と柱頭は3個。小堅果は帯褐色、三角形、光沢があり、表面は平滑、翼は無い。
1-2 Rumex dentatus subsp. halacsyi (Rech.) Rech.f.
  synonym Rumex halacsyi Rech.
 アフガニスタン、アルバニア、ブルガリア、ギリシャ、イラン、カザフスタン、キルギス、北コーカサス、パレスチナ、ルーマニア、タジキスタン、ザコーカサス、トルコ、トルクメニスタン、ウズベキスタンに分布。
 バルブ(内花被片)が幅の広い三角形で丸くなく、歯が長く、長さ3㎜まで。

1-3 Rumex dentatus L. subsp. klotzschianus (Meisn.) Rech.f. コギシギシ 小羊蹄

  synonym Rumex dentatus L. subsp. nipponicus (Franch. et Sav.) Rech.f.

  synonym Rumex nipponicus Franch. et Sav.
 日本(本州の関東以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮、台湾、中国、インド、パキスタン、アフガニスタン、イラン、ネパール、ブータン原産。ロシアに帰化。川原、海岸、田の畔、低湿地に生える。国のレッドデーターブック絶滅危惧II 類(VU)、愛知県は準絶滅危惧種。
 多年草。通常高さ30~50㎝。茎は紅色を帯び、直立し、分枝が少ない。帰化系統の疑いがあるものは茎が緑色で基部からよく分枝し、ミドリコギシギシと呼ばれるが、中間的な形態のものも見られる。下部の茎葉は長い葉柄があり、葉身は長円状披針形~披針形、長さ5~10cm×幅1.5~3.5cm、先は鈍形、基部は広楔形~浅い心形、縁はやや波打ち縮れず、両面とも無毛。上部の葉は互生し、次第に小さくなる。バルブは卵形、長さ3.5~4.5(~5)㎜、縁の刺状突起を除き幅2~2.5㎜、縁の拡大部が目立ち、長さ1~2.5㎜の刺状突起が(2~)3~4個あり、、中肋の瘤体(tubercle;こぶ状突起)は狭長卵形、長さ1.7~2.4㎜、長さはバルブの約2/3で、平滑または弱いしわがあり、赤色を帯びることはない。果実は長さ約2㎜、茶褐色。2n=40。花期は4~5月(レッドデータブック愛知)。
1-4 Rumex dentatus subsp. mesopotamicus Rech.f.
  synonym Rumex strictus Link
 キプロス、エジプト、シナイ半島、イラン、イラク、レバノン・シリア、リビア、パレスチナ、チュニジアに分布。
 1年草、平均高さ20~80㎝。 茎は直立し、無毛で、基部から枝分かれし、緑がかった赤褐色で、角(かど)がある。葉は単葉、宿存性、無毛、対称、矢じり形。 葉身は長さ1~8㎝×幅2㎝以上、縁は波打ち、平坦、先は鈍形。托葉鞘は2裂し、縁に不規則で細かく切り込みが入り、長さ2.5㎝以上、透明。葉柄は長さ1㎝以上。花序は腋生、束生。花は両性、小花柄がある。花被片は6個節、白色。 花被筒は無い。雄しべ6本。花柱と柱頭は3個。小堅果は帯褐色、三角形、光沢があり、表面は顆粒状、翼は無い。花期は5~7月。
1-5 Rumex dentatus L. subsp. nigricans (Hook.f.) Rech.f. ハマコギシギシ

 インドとバングラデシュのガンジス川下流域に分布。台湾、八重山諸島(一時的)に帰化。
 バルブは縁の刺状突起を除き、長さ3~3.6㎜×幅1.6~1.9㎜、縁の拡大部はしばしば目立たず、長さ1㎜までの刺状突起が1~2本あるか、またはまれに全縁になる。瘤体は長さ2.5~2.8㎜、顕著にしわがある。
1-6 Rumex dentatus subsp. reticulatus (Besser) Rech.f.
  synonym Rumex reticulatus Besser
 イラン、イラク、南欧ロシア、トランスコーカサス、ウクライナに分布。
 多年草。

 エゾノギシギシは果実が似て、内花被の縁の突起が長い。しかし、突起の数が少ないことも多く、内花被の先がやや長く尖り、こぶ状突起が赤色を帯びることが多い。また、葉幅が広く、葉裏の脈上に白色の突起状毛がある。