キリンソウ  黄輪草
[学名] Phedimus aizoon (L.) 't Hart var. floribundus (Nakai) H.Ohba
Phedimus ellacombianus (Praeger) ’t Hart
Sedum aizoon L. var. floribundum Nakai
Sedum aizoon L. subsp. kamtschaticum auct. non (Fisch.) Frod.
ベンケイソウ科 Crassulaceae  キリンソウ属
三河の植物観察
キリンソウの花序
キリンソウの花
キリンソウの葉
キリンソウの果実
キリンソウ
キリンソウ種子
 三河でも見られるが、栽培されることが多いため、自生かどうか不明なものも多い。寸又峡のものはガレ場に群生し、自生種と思われる。ホソバノキリンソウの変種として分類されているが、キリンソウとホソバノキリンソウを区別しない見解もある。中国名は费菜(fei cai )。
 茎は円柱形、多肉質、直立又は斜上する。葉は互生し、多肉質、形は変化が多く、長さ2~7㎝の広倒卵~広倒披針形、葉の先は円頭~やや尖る。葉の上半部だけに鈍い鋸歯があるのが特徴。茎の先端に黄色の花が輪になって咲く。花弁は5個、長さ約6㎜。雄しべ10個。花糸の基部に蜜腺がある。袋果は幅約5㎜の星形、赤褐色に熟し、上部が裂開する。種子は長さ1.0~1.5㎜、翼がある。2n=32,33,34,48,61,64,78,80,84,85,88,93~97,102 。4倍体 (2n=32) が東日本に多く、高次倍数体は西日本に多い。
 愛知県内には分布しないホソバノキリンソウ var. aizoon は葉がやや細く、鋸歯が基部まである。
[花期] 5~8月
[草丈] 20~50㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 海岸、山地 の岩場
[分布] 在来種  北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア
[撮影] 寸又峡 07.8.5

 キリンソウ属

  Family Crassulaceae - genus Phedimus

 多年草、寝茎は太い。茎は根茎又は茎の基部の宿存部から生じ、単純、無毛、まれに有毛。葉は互生又は対生、葉柄があり又は無柄。葉身は平ら、鋸歯縁又は円鋸歯縁。花序は頂生、集散花序、3本の主な枝があり、苞は無く、花が多数つく。花は花柄が無く又はほぼ無く、両性、ほとんどが5数性。咢片は基部が合着し、肉質、距は無い。花弁は花時に広がり、ほぼ離生、明るい黄色。雄しべは花弁の数の2倍、2列につく。蜜腺の鱗片は全縁又は又は先が凹形。子房と袋果は内側に派生物outgrowth()をもつ。花柱は短く、花時に斜め又は広がる。袋果は多数の種子を含む。種子は条せんがある。
 世界に葯20種あり、アジア、ヨーロッパに分布する。

 ※ キリンソウ類は近年の葉緑体DNAの解析より、マンネングサ属 Sedum からキリンソウ属 Phedimus に分類された。

 キリンソウ属の主な種と園芸品種

 1  Phedimus aizoon (L.) 't Hart  キリンソウ 黄輪草 (広義)
   Basionym Sedum aizoon L.
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は费菜 fei cai 。英名はstonecrop , aizoon stonecrop。
 多年草、根は塊茎があり、塊茎はニンジン形~狭円錐形。根茎は短く強健。茎は1~3本、単純、直立、高さ20~50㎝。葉は互生。葉身は挟披針形~楕円状披針形~楕円形~卵状倒披針形~卵形、長さ3.5~8㎝×幅0.5~3㎝、基部は楔形、縁は不規則な鋸歯縁、先は鈍円形~尖鋭形。花序は水平に枝分かれし、多数の花をつける。苞は葉状。花は不等の5数性。咢片は線形、不等長、長さ3~5㎜、先は鈍形。花弁は黄色、長楕円形~楕円状披針形、長さ6~10㎜、先は微突形。雄しべは10個、花弁より短い。蜜腺の鱗片は類四角形、長さ約0.3㎜。心皮は卵状長楕円形、下面は凸面、基部は合着する。花柱は狭錐形。袋果は星形、長さ約7㎜。種子は楕円形長さ約1㎜。花期は6~7月。果期は8~9月。(Flora of China)
品種) 'Aurantiacum' , 'Euphorbioides'
1-1 Phedimus aizoon (L.) 't Hart var. aizoon  ホソバノキリンソウ 細葉黄輪草
 全体に無毛、平滑。葉身は狭披針形~楕円状披針形~卵状倒披針形、幅1.2~2㎝、先は鋭形。花期は6~7月。果期は8~9月。
1-2 Phedimus aizoon (L.) 't Hart var. floribundus (Nakai) H.Ohba  キリンソウ
 茎は円柱形、多肉質、直立又は斜上する。葉は互生し、多肉質、形は変化が多く、長さ2~7㎝の広倒卵~広倒披針形、葉の先は円頭~やや尖る。葉の上半部だけに鈍い鋸歯があるのが特徴。茎の先端に黄色の花が輪になって咲く。花弁は5個、長さ約6㎜。雄しべ10個。花糸の基部に蜜腺がある。袋果は幅約5㎜の星形、赤褐色に熟し、上部が裂開する。種子は長さ1.0~1.5㎜、翼がある。2n=32,33,34,48,61,64,78,80,84,85,88,93~97,102 。4倍体 (2n=32) が東日本に多く、高次倍数体は西日本に多い。
1-3 Phedimus aizoon (L.) 't Hart var. latifolius (Maxim.) H.Ohba, K.T.Fu et B.M.Barthol.  オオバキリンソウ 
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は宽叶费菜 kuan ye fei cai 。
 全体に平滑。葉身は楕円形~卵形~広倒卵形、ときに円形、幅3㎝以下、先は鈍円形。花期は7月。
1-4 Phedimus aizoon var. scabrus (Maximowicz) H. Ohba et al.
 中国原産。中国名は乳毛费菜 ru mao fei cai
 小さな粗いパピラがある。花期は6~7月。果期は8月。
1-5 Phedimus aizoon var. yamatutae (Kitagawa) H. Ohba et al.
 中国原産。中国名は狭叶费菜 xia ye fei cai
 全体に平滑。葉は幅が0.5㎝以下。
 2  Phedimus ellaconbeanus (Praeger) 't Hart  ハコダテキリンソウ
品種) 'Akebono' , 'Cutting Edge'
 3  Phedimus floriferus (Praeger) 't Hart
 中国原産。中国名は多花费菜 duo hua fei cai
品種) 'Weihenstephaner Gold'
 4  Phedimus hybridus (L.) 't Hart  イヌキリンソウ
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は杂交费菜 za jiao fei cai
 5  Phedimus kamtschaticus (Fisch.) 't Hart  エゾノキリンソウ 蝦夷の黄輪草
   synonym Sedum kamtschaticum Fisch.
 日本(北海道、本州及び四国の高山)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は堪察加费菜 kan cha jia fei cai 。英名はRussian Stonecrop , Orange stonecrop
 多年草。根茎は分枝し、太くなり、木質。茎はほとんど単純、斜上し、長さ15~40㎝、ときにパピラがある。葉は互生又は対生、まれに3輪生。葉身は倒披針形~へら形~倒卵形、長さ 2.5~7㎝×幅0.5~3㎝、基部は狭い楔形、縁は先部にまばらに鋸歯又は円鋸歯があり、先は鈍円形。花序は頂生。花は不等の5数性。咢片は披針形、長さ3~4㎜、基部は広く、先は鈍形。花弁は黄色、披針形、長さ6~8㎜、外側に竜骨があり、先は尖鋭形で微突形。雄しべは10個、花弁よりわずかに短い。葯は橙色。蜜腺の鱗片は類四角形、小さい。心皮は直立し、花弁と等長又はわずかに短く、上面が凸月状(gibbous)、基部が約2㎜合着する。袋果は星形に水平になる。種子は褐色、倒卵形、小さい。花期は6~7月。果期は8~9月。
品種) 'Sweet and Sour' , 'Takahira Dake' , 'Tekari Dake', 'The Edge' , 'Variegatum' (v) , 'Variegatum Small Form' , 'Weihenstephaner Gold'

 6  Phedimus middendorffianus (Maxim.) 't Hart  ヤナギバキリンソウ 柳葉黄輪草
   synonym Sedum middendorffianum
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は吉林费菜 ji lin fei cai 。
 多年草。根茎は分枝し、這い、木質。茎は多数、束生、基部で分枝し、直立又は斜上、高さ10~30㎝、普通、宿存性。葉は互生。葉身は線条へら形、長さ 1.2~2.5㎝×幅0.3~0.5㎝、基部は楔形、縁は先部に鋸歯があり、先は鈍形。花序はしばしば、枝が広がり、多数の花をつける。花は不等形、5数性。咢片は線形、長さ 2~3㎜×幅0.6~0.8㎜、先は鈍形。 花弁は黄色、披針形~線状披針形、長さ 5~11㎜ ×幅1.8~3㎜、先は尖鋭形で微突形。雄しべは10個、花弁より短い。花糸は黄色。葯は紫色。蜜腺の鱗片は小さく、縁は類全縁。心皮は披針形、長さ約6㎜基部は約2㎜合着する。花柱は長さ約1㎜。袋果は星形に類水平、先は短い嘴がある。種子は卵形、小さい。花期は6~8月。果期は8~9月。
品種)  'Striatum'
 7  Phedimus selskianus (Regel et Maack) 't Hart  ケキリンソウ
   synonym Sedum selskianum Regel & Maack
 朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は灰毛费菜 hui mao fei cai
品種) Goldilocks' , 'Spirit' , 'Variegata'

 8  Phedimus sikokianus (Maxim. ex Makino) 't Hart  ヒメキリンソウ 姫黄輪草
 日本(四国)固有種。多年草。高さ5~8㎝、茎は柔らかく、弱々しく、直立する。 葉は常に対生、3~4対つき、広倒披針形~倒卵形、長さ1~1.5㎝×幅0.8~1㎝、純頭、基部は楔形、縁の上半部には波状の鋸歯がある。 花は小さな花序に多くても10個以下つき、5数性。花弁は黄色、線状披針形、長さ約8㎜、先端は針状に尖る。葯は裂開前に赤橙色。心皮は果時に、広く開出する。花期は6~7月。
 9  Phedimus spurius (M. Bieb.) 'ʼt Hart  コーカサスキリンソウ
   Basionym Sedum spurium M.Bieb.
 西アジア(イラン、トルコ)、コーカサス原産。英名はCreeping stonecrop, Two-row stonecrop , Caucasian stonecrop。
 多年草、ほとんど無毛、 ±平伏し、マット状になる。茎は節からよく根を出す。葉は対生、葉柄は長さ2~4㎜、間隔が開くが、茎に沿って覆瓦状で、ロゼットも作る。葉身は長さ2.3㎝×幅2.2㎝以下、厚さ約1㎜、倒楔形~広倒卵形、上面はやや、凹面、下面は凸面、緑色、無毛だが、しばしば±パピラがあり、上部の縁に浅い円鋸歯があり、それ以外は全縁。花序は頂生、花序軸は直立、微軟毛があり、花時に高さ3㎝以下、花後に長さ約12㎝以下に伸びる。集散花序は幅3~5㎝、散房花序になり、2~4本の枝をもち、各枝に少数の花をつける。苞は葉状、基部につき、花序の先では小さくなる。花はかなり多く、ごく短い花柄があり、偏側生。咢片は等長、長さ4.5~5㎜、狭三角形~三角状披針形。花弁は5個、ほとんど開出し、長さ 9~13㎜×幅1.5~2㎜、±披針形、淡ピンク色又は白色、外側がピンク色、ローズ色になり、先は鋭形。雄しべは長さ6~8.5㎜、帯白色~ピンク色、古くなると暗色になる。心皮と花柱は白色、花後にローズ色又は深紅色になる。鱗片は半月形又はほぼ杯形、ときに軍配うちわ形。袋果は深紅色、わずかに、散開する。種子は長さ約1㎜、等卵形、縦のうねが目立つ。( Flora of New Zealand.)
品種) 'Album' , 'Atropurpureum' , 'Bronze Carpet' , 'Carneum' , 'Cherry Blush' , 'Coccineum' , 'Cream Split' , Dragon's Blood , 'Erdblut' , 'Elizabeth' , 'Fireglow' , 'Fool's Gold' (v) , 'Fuldaglut' , 'Glow' , 'Green Mantle' , 'John Creech' , 'Pink Jewel' , Purple Carpet , 'Purpureum' , 'Purpurteppich' , 'Raspberry Red' , 'Red Carpet' , 'Roseum' , 'Ruby Mantle' , 'Salmoneum' , 'Schorbuser Blut' , 'Splendens Roseum' , 'Summer Glory' , 'Tricolor' (v) , 'Variegatum' , 'Voodoo' , 'Wild Cherry'
 10  Phedimus stoloniferus (S.G.Gmel.) 't Hart
   synonym Sedum stoloniferum S.G.Gmel.
 アジア西部、コーカサス原産。英名は wormleaf stonecrop , stolon stonecrop , running false stonecrop。
 多年草。匍匐し、枝分かれするシュートでのび、長さ30㎝以下になり、節から根を出す。葉は対生し、シュートの先に密集してつき、倒卵形~円形~楕円形、縁に不明瞭な切れ目や鋸歯がある。葉身は肉質、長さ10~25㎜×幅6~10㎜。花のつくシュートは直立又は斜上し、長さ10~45㎝。花序は花が (10~) 20~30個つく。苞は広披針形、細かいいぼがあり、長さ4~8㎜。花は5数性。咢片は直立し、披針形、長さ2.5~4.5㎜、長さ1㎜以下で合着する。花弁は薄ピンク色、広がり、披針形、短いぼつぼつがあり、長さ6~8㎜。雄しべは長さ3.5~8㎜、葯は赤色。子房は長さ5~6㎜、基部が融合し、星形で無毛。種子は約長さ1㎜×幅0.5㎜。2n=14。
品種) 'Czar's Gold' , 'Immergrunchen' , 'Variegatum'

 11  Phedimus takesimensis (Nakai) 't Hart
   synonym Sedum takesimense Nakai
 韓国(鬱陵島)、竹島原産
 キリンソウに似ている。他家受粉性。葉が常緑。冬芽が未展開芽の状態で越冬し、茎が木質になるのが特徴とされる。花は黄色、6月に開花する。
品種) Atlantis , 'Gold Carpet' , 'Takeshima-Kirinsho', トットリフジタ1号 , トットリフジタ2号


 参考

1) Flora of China
 Phedimus
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=124932
2) GRIN
  Phedimus
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=20132

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