ケチヂミザサ 毛縮み笹

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Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae チヂミザサ属

別 名 チヂミザサ
中国名 求米草 qiu mi cao
英 名 wavy-leaf basket grass
学 名 Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roemer et Schultes var. undulatifolius (Stend.) Koidz.
ケチヂミザサの花序
ケチヂミザサ花序拡大
ケチヂミザサ毛拡大
ケチヂミザサの茎
ケチヂミザサ果実
ケチヂミザサ
ケチヂミザサの葉
ケチヂミザサ小穂
花 期 8~10月
高 さ 15~30㎝
生活型 多年草
生育場所 山野の林中、道端
分 布 在来種 北海道、本州、四国、九州、北半球の温帯、亜熱帯、オーストラリア
撮 影 豊田市 09.9.14
世界に広く分布し、北アメリカに帰化している。
 茎は長く地表を匍匐し、まばらに節から斜上又は直立して枝を伸ばす。葉舌は短い。葉鞘や葉に毛が多く、基部の膨れた長毛が混ざる。葉は長さ3~7㎝、幅0.8~1.5㎝、形がササに似て、葉が波打つのが特徴である。花序は長さ10~15㎝の穂状、紫褐色を帯びる。花軸に毛がある。小穂は長さ3~3.8㎜の狭卵形、2小花からなる。第1小花は不完全で、護頴は小穂と同長、短い芒がある。苞頴には長い芒があり、第1苞頴は広披針形、第2苞頴は短く、狭卵形。成熟すると苞頴の芒に粘液が出て衣服にくっつく。第2小花の護頴、内頴は光沢がある。果実は長さ約2㎜の惰円形、鈍頭、光沢はない。2n=54
 広義のチヂミザサは2変種に分けられる。ケチヂミザサ(狭義のチヂミザサ) var. undulatifoliusは、茎など全体に毛の多いもの。全体に葉、葉鞘、花軸に毛ほとんどなく、あっても短軟毛のみで、基部が膨れる毛がないのものを変種のコチヂミザサ var. japonicus としている。
 チャボチヂミザサvar. microphyllus はほとんど無毛、全体にきわめて小さく、高さ10㎝以下、葉の長さ1~2.5㎝、花序も5㎝以下、小穂も花序に3個程度しかつかない。

チヂミザサ属

  family Poaceae - genus Oplismenus

 多年草又は1年草。稈(culm)は匍匐し、傾伏する基部から斜上し、節間は基部を包む葉まで上側に絨毛の線をもつ。葉身は卵形、披針形、又は線状披針形、しばしば、横脈をもつ。葉舌は縁毛があり、膜質。花序は中軸に沿って間隔を開けた数個の片側性の総状花序の複合。総状花序は長くなり又は少数の小穂(spikelet)が束生に減じ、小穂は普通、短い花柄に対につき、しばしば、最も下の小穂はなくなる。小穂は披針形~長円形、弱く、背面又は側面が扁平になる。小花は2個。苞頴(glumes)はほぼ等しく、小穂の長さの1/2~3/4、しばしば、軟毛があり、第1苞頴(外頴)又は両苞頴は先端に粘る芒がある。第1小花の護頴(外花頴) (lower lemma)は小穂に等しく、鋭形~短い芒がある。その内頴(内花頴)(palea)は無く又はかなり小さくなる。第2小花の護頴(upper lemma)は紙質又は類皮革質、平滑で光沢があり、鋭形、不明瞭な冠毛がある(crested)。x = 9.。
 世界に5~9種あり、世界の熱帯、亜熱帯に分布する。

チヂミザサ属の主な種と園芸品種

1 Oplismenus aemulus (R.Br.) Roem. et Schult.  ダイトンチヂミザサ
  synonym Oplismenus compositus (L.) P.Beauv. var. flaccidus (R.Br.) Domin
  synonym Oplismenus compositus (L.) P.Beauv. var. intermedius (Honda) Ohwi 
 オーストラリア原産。英名はcreeping shade grass , Australian basket grass
 多年草。弱く、匍匐し、高さ0.3m以下。葉は葉舌が長さ約3㎜、基部が膜質、縁毛に分裂する。葉身は長さ4~18㎜、細かい毛が散生し、中脈は非常に細く、下面は帯白色、10~15本の細かい脈が中脈の両側にある。:円錐花序の総状花序は長さ3~5㎝の2次の総状花序をもつ。小穂は総状花序に密集し、長さ2.5~3.5㎜。第1苞頴(lower glume)は小穂より短く、5脈があり、先に芒があり、小穂の長さの2倍以上のかなり細い曲げやすい芒をもつ。第2苞頴(upper glume)は少し長く、広い、7脈があり、鋭い先に芒があり、芒は長さ0.1~1㎜。第1小花の護頴 (lower lemma)は小穂の長さと同長、7脈がある。第2小花の護頴 (upper lemma)は長さ約2.6㎜、不明瞭な7脈がある。内頴(palea)は短く、縁は折り畳まれ、花を抱き、長さ1.2㎜。

2 Oplismenus compositus (L.) P.Beauv.  エダウチチヂミザサ 枝打縮み笹
 日本、中国、台湾、インド、タイ、フィリピン、熱帯アジア、西アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島に分布。中国名は竹叶草 zhu ye cao 。英名はrunning mountain grass
 多年草。稈は匍匐枝を出し、だらしなく広がり、斜上し、高さ20~80㎝。葉鞘は無毛又は軟毛があり又はいぼのある毛がある。葉身は披針形~卵状披針形、長さ3~20㎝×幅0.5~3㎝、ほぼ無毛~いぼのある毛があり、基部は普通、斜め。花序軸は長さ5~15㎝、無毛~いぼのある毛がある。総状花序は3~6個つき、長さ2~6㎝、斜上~直立。小穂は7~14個、広く間隔を開けてつき、ときに、対が開出し、披針形、無毛~薄く軟毛がある。苞頴(glumes)は草質、芒があり、芒は丈夫で緑色又は紫色、粘る。第1苞頴(lower glume)は芒が長さ5~10㎜。第2苞頴(upper glume)は芒が長さ3㎜以下又はたまに欠く。第1小花の護頴 (lower lemma)は類皮革質、7~9脈があり、鋭形又は丈夫な長さ0.3~1㎜の微突をもつ。第2小花の護頴 (upper lemma)は類皮革質、長さ約2.5㎜、平滑。花期と果期は9~11月。2n = 54, 72。

2-1 Oplismenus compositus (L.) P.Beauv. var. formosanus (Honda) S.L.Chen et Y.X.Jin  オオエダウチチヂミザサ 大枝打縮み笹
 中国、台湾に分布。中国名は台湾竹叶草 tai wan zhu ye cao。
 葉身は披針形、長さ9~13㎝×幅1.2~2.5㎝、普通、無毛。花序軸は普通、無毛。小穂は長さ3.5~4㎜。 第2苞頴(upper glume)は芒が長さ3㎜以下。花期と果期は秋。
2-2 Oplismenus compositus (L.) P.Beauv. var. owatarii (Honda) Ohwi  アラゲチヂミザサ
 日本、中国、台湾、タイに分布。中国名は大叶竹叶草 da ye zhu ye cao 。
 葉鞘、葉身及び花序軸は密に毛があり、長い柔らかい又は基部にいぼのある毛をもつ。葉身は長さ10~20㎝×幅2~3㎝。小穂は長さ約4㎜。第1小花の護頴 (lower lemma)は芒が長さ約8㎜。第2苞頴(upper glume)は芒が長さ約1㎜。花期と果期は秋。

3 Oplismenus hirtellus (L.) P.Beauv.
  synonym Oplismenus africanus P. Beauv
 アフリカ、北アメリカ、南アメリカ、ヨーロッパ(スペイン、イタリア、スイス、クロアチア、スロベニア)、アジア(トルコ、イエメン、アゼルバイジャン)に分布。basket grass , bristle basket grass , woods grass
品種) 'Variegatus'

4 Oplismenus patens Honda  オオバチヂミザサ 大葉縮み笹
  synonym Oplismenus compositus (L.) P.Beauv. var. patens (Honda) Ohwi
  synonym Oplismenus compositus (L.) P.Beauv. subsp. patens (Honda) T.Koyama 
 日本、中国、台湾、ベトナム原産。中国名は疏穗竹叶草 shu sui zhu ye cao 。
 稈は細く、高さ30~60㎝、無毛。葉鞘は縁毛を除いて無毛。葉身は線状披針形~卵状披針形、長さ5~15㎝×幅0.4~3.5㎝、両面とも無毛。葉舌は膜質、細かい縁毛がある。花序軸は長さ20~25㎝、無毛又は微軟毛がある。総状花序は5~8個つき、長さ6~10㎝。小穂は1個ずつつき、卵状披針形。苞頴(glumes)は両者とも芒があり、第1苞頴(lower glume)は芒が長さ約10㎜。第2苞頴(upper glume)は芒が第1苞頴の芒の長さの1/5~1/2。第1小花の護頴 (lower lemma)は小穂の長さと同長、7~9脈があり、背面に微軟毛があり、縁毛があり、芒は長さ1~2.5㎜。内頴(palea)は無い。第2小花の護頴 (upper lemma)は紙質又は皮革質、平滑、微突は長さ0.5~1㎜。花期と果期は9~11月。
4-1 Oplismenus patens var. patens
 日本、中国、台湾原産。中国名は疏穗竹叶草 shu sui zhu ye cao 。
 葉身は長円状披針形~卵状披針形、長さ10~15㎝×幅2~3.5㎝、両面とも無毛。第2苞頴(upper glume)は芒が第1苞頴(lower glume)の芒の長さの1/2。第1小花の護頴 (lower lemma)は7~9脈、芒は長さ2~2.5㎜。.花期と果期は9~11月。

4-2 Oplismenus patens var. angustifolius (Chia) S. L. Chen & Y. X. Jin
Oplismenus compositus (Linnaeus) P. Beauvois var. an-gustifolius L. C. Chia
 中国原産。中国名は狭叶竹叶草 xia ye zhu ye cao 。
 葉身は披針形~線状披針形、長さ5~9㎝×幅0.4~0.7㎝。第2苞頴(upper glume)は芒が第1苞頴(lower glume)の芒の長さの1/5。第1小花の護頴 (lower lemma)は7脈。花期と果期は秋~冬。

4-3 Oplismenus patens var. yunnanensis S. L. Chen & Y. X. Jin
 中国原産。中国名は云南竹叶草 yun nan zhu ye cao 。
 葉身は披針形~狭披針形、長さ5~9㎝×幅0.7~1.8㎝。第2苞頴(upper glume)は芒が第1苞頴(lower glume)の芒の長さの1/3~1/2。第1小花の護頴 (lower lemma)は芒が長さ約1㎜。花期と果期は秋~冬。

5 Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult.  チヂミザサ 広義
  synonym Oplismenus hirtellus auct. non (L.) P.Beauv.
  synonym Oplismenus hirtellus (L.) P. Beauv. subsp. undulatifolius (Ard.) U. Scholz [GRIN]
 多年草。稈は細く、異なった方向に広がり、平伏する基部から斜上し、高さ20~50㎝。葉鞘は普通、密に基部にいぼのある毛があり、まれに無毛。葉身は披針形~狭卵形、長さ1~15㎝×幅0.3~3㎝、無毛又は様々な毛があり、基部は類円形で普通、やや斜め、 先は鋭形。葉舌は長さ約1㎜。花序軸は長さ9~15㎝、無毛又は小剛毛がある。総状花序は4~9個、密な楔形の長さ2㎝以下の小束に減じ、花序軸にはしばしば剛毛がある。小穂は3~5の対の集団になってつき、披針形、小剛毛がある。苞頴は草質、芒があり、芒は丈夫で、紫色、粘る。第1苞頴(lower glume)は3~5脈があり、芒は長さ5~10(~15)㎜。第2苞頴(upper glume)は5脈があり、芒は長さ2~5㎜。第1小花の護頴 (lower lemma)は草質、5~9脈があり、先に丈夫な長さ1~2㎜の微突があり、内頴(palea)は無い。第2小花の護頴 (upper lemma)は類皮革質、平滑。花期と果期は7~11月。2n = 54。

5-1-1 Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult. var. undulatifolius f. undulatifolius  ケチヂミザサ 毛縮み笹 [狭義]
  synonym Oplismenus undulatifolius var. undulatifolius [Flora of china]
  synonym Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult. f. elongatus (Honda) Y.N.Lee
  synonym Oplismenus hirtellus (L.) P.Beauv. subsp. undulatifolius (Ard.) U.Schulz 
 北半球の温帯、亜熱帯に広く分布。
 葉身は毛が密生し、基部にいぼのある毛(tubercle-based hairs)をもつ。花序は短い枝をもち、花序軸に小剛毛がある。花期と果期は7~11月。2n = 54.

5-1-2 Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult. var. undulatifolius f. japonicus (Steud.) T.Koyama ex W.T.Lee  コチヂミザサ 小毛縮み笹
  synonym Oplismenus hirtellus (L.) P.Beauv. subsp. japonicus (Steud.) U.Schulz
  synonym Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult. var. japonicus (Steud.) Koidz.[Flora of china]
  synonym Panicum japonicum Steudel
 日本、中国に分布。中国名は日本求米草 ri ben qiu mi cao
 葉鞘は無毛。葉身は広披針形~狭卵状楕円形、長さ5~15㎝×1.2~3㎝、無毛又はざらつく。花序軸は長さ15㎝以下、無毛。花期と果期は8~11月

5-2 Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult. var. imbecillis (R.Br.) Hack.  ホソバチヂミザサ 細葉縮み笹
  synonym Oplismenus hirtellus (L.) P.Beauv. subsp. imbecillis (R.Br.) U.Schulz
  synonym Oplismenus imbecillis (R.Br.) Roem. et Schult.
  synonym Oplismenus hirtellus (L.) P.Beauv. var. imbecillis (R.Br.) Fosberg et Sachet
 日本、中国、台湾に分布。中国名は狭叶求米草 xia ye qiu mi cao。
 葉鞘は無毛で平滑又は縁毛がある。葉身は狭披針形~線状披針形、長さ4~9㎝×幅0.5~1㎝、無毛又は微軟毛がある。花序軸は無毛。小穂は普通、軟毛がある。花期と果期は8~11月

5-3 Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult. var. microphyllus (Honda) Ohwi  チャボチヂミザサ 矮鶏縮み笹
  synonym Oplismenus undulatifolius (Ard.) Roem. et Schult. var. japonicus (Steud.) Koidz. f. microphyllus (Honda) Sugim.
  synonym Oplismenus hirtellus (L.) P.Beauv. subsp. microphyllus (Honda) U.Schulz 
 台湾、フィリピンに分布。中国名は小叶求米草 xiao ye qiu mi cao 。
 葉身は長さ1~3㎝×幅0.3~0.5㎝、無毛又はざらつく。小穂は節に2個、又は基部の節に3個つき、1個の小穂は普通、不稔。

5-4 Oplismenus undulatifolius var. imbecillis (R. Brown) Hackel
 中国に分布。中国名は双穗求米草 shuang sui qiu mi cao
 葉身と花序軸は小剛毛があるか又は基部にいぼのある毛がある。小穂は節に2個つく。

5-5 Oplismenus undulatifolius var. glaber S. L. Chen & Y. X. Jin
 中国に分布。中国名は光叶求米草 guang ye qiu mi cao
 葉鞘の縁毛を除いて全体に無毛。葉身は長さ5~10㎝×幅1~2㎝、無毛。小穂は節に2個つく。

参考

1)Flora of China
  Oplismenus
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=123025
2)PlantNET - FloraOnline
 Oplismenus aemulus (R.Br.) Roem. & Schult
 http://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=sp&name
  =Oplismenus~aemulus
3) GRIN
 Oplismenus
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=8508