カラマツソウ 唐松草

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Flora of Mikawa

キンポウゲ科 Ranunculaceae カラマツソウ属

学 名 Thalictrum aquilegiifolium L. var. intermedium Nakai
 synonym Thalictrum aquilegiifolium L. 広義

 synonym Thalictrum aquilegiifolium L. var. sibiricum Regel et Tiling

カラマツソウの花
カラマツソウの雌しべと雄しべ
カラマツソウの葉
カラマツソウ
花 期 7~9月
高 さ 70~120㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の草原、林縁
分 布 在来種(日本固有種) 北海道、本州、四国、九州
撮 影 八島ケ原湿原  03.8.7
和名の由来は花の様子がカラマツの葉に似ていることから。
 茎は中空。葉は3~4回3出複葉。小葉は長さ2~3㎝の広倒卵形で、先が3~5浅裂する。葉柄の基部には托葉がある。花序は散房状の傘形に広がり、、直径約1㎝の毛玉状の花を多数つける。花色は白~淡紅色。花弁はなく、花被片(萼)は早落性、開花するとすぐに落ちる。雄しべは多数つく。花糸は白色、先が棍棒状に幅広くなる。雌しべは子房と柄が紅紫色。痩果は広い翼があり、長さ3~4㎜の柄があって垂れ下がる。2n=14
 マンセンカラマツ(満鮮唐松)var. sibiricum は中国、ロシアにも分布する。中国名は唐松草 tang song cao。草丈が高く、果実は10個以下、普通、5~6個つき、先が尖らない。
 ミヤマカラマツ Thalictrum tuberiferum は雄しべの花糸の先の幅がカラマツソウより広く、雌しべの柄が白色であり、雄しべと見分けにくい。葉柄の基部に托葉はない。
 モミジカラマツ Trautvetteria caroliniensis var. japonica は葉が掌状に裂け、モミジに似ている。

カラマツソウ属

  family Ranunculaceae - genus Thalictrum

 多年草、根茎は木質、てい幹又は塊根をもつ。葉は根生葉と茎葉があり、下部の葉は葉柄があり、上部の葉は無柄、茎葉は互生する。葉身は1~4回3出複葉又は羽状複葉、まれに単葉(Thalictrum rotundifolium)。小葉は心状腎形、倒卵形、披針形、又は線形、ときに分裂し、縁は全縁又は円鋸歯。花序は頂生、ときにまた、腋生、単出集散花序又はときに総状花序状の円錐花序、頭が平ら又は散形花序状、花が1~200個つく。総苞は無又は有。総苞片は2又は3個、葉状、しばしば6~9個の単純な苞の輪に見え、密に花を抱かない。花は普通、全て両性、まれに両性と単性(T. smithii)、又は全て単性(中国には無い)、放射相称。萼片は4~10個、帯白色~緑黄色~帯紫色、披針形~腎形~へら形、平ら、長さ1~18㎜、果時に宿存しない。花弁は無い。雄しべは7~70本、花糸は糸状~こん棒形、又は上部が膨れ、仮雄しべは無い。心皮は1~50(~70)個、1-胚珠。花柱は普通、あり、宿存し、頻繁ではないが、欠く。果実は痩果、普通、集合し、無柄又は有柄、紡錘形~卵形、かま形又は円盤形、側面に明瞭なうねがある。宿存する花柱は(あれば)真っすぐな~渦巻状に巻いた嘴をつくる。x=7。
 世界に約150種があり、世界に広く分布し、主に、温帯地域に分布する。

カラマツソウ属の主な種と園芸品種

1 Thalictrum actaeifolium Siebold et Zucc. シギンカラマツ 紫銀唐松
 日本固有種(本州の関東地方南部以西、四国、九州)。山地の林内に生える。
 多年草。高さ30~70㎝。茎は直立~斜上し、茎や枝に稜がある。 茎葉は互生し、2~3回3出複葉。葉柄の基部は膜質の鞘状になる。狭い托葉がある。小葉は小葉柄があり、長さ2~6㎝、斜めの広卵形~円形、基部は歪んだ心形~切形、縁は浅裂して粗い歯状、下面は緑白色、葉脈は下面に明瞭に隆起する。花序は頂生の散房花序、花を多数つける。花は直径約1㎝(半球形に開いた雄しべの幅)、白色。花弁は無く、萼片は4個、広楕円形、長さ3~4㎜、早落性、開花すると落ちる。雄しべは多数つき、花糸も葯も白色、花糸の先が葯よりやや太くなり、花弁状に見える。痩果は2~5個放射状につき、柄がなく、長卵形~楕円形、長さ約3㎜、花柱は宿存し、先が尖り、鈎状に曲がり、縦のうねが10本あり、熟すと濃ピンク色。花期は7~10月。
品種) 'Perfume Star' , 'Twinkling Star'

1-1 Thalictrum actaeifolium Siebold et Zucc. var. brevistylum Nakai チョウセンシギンカラマツ

 朝鮮(南部)原産。
 高さ70~100㎝。花はローズ色。花期は7~9月。

2 Thalictrum alpinum L. ヒメカラマツ 広義
 中国、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、ネパール、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、ヨーロッパ、北アメリカ原産。英名はalpine meadow-rue , Arctic meadow-rue , dwarf meadow-rue。中国名は高山唐松草 gao shan tang song cao
 高さ5~40㎝、無毛。根はひげ根。根茎は細い。茎は単純、まれに、分枝し、直立する。葉は4個以上つき、全て根生。葉柄は長さ1.5~3㎝。葉身は羽状、2回3出複葉、長さ1.5~4㎝。小葉はくさび状倒卵形~円状卵形、長さ3~5㎜×幅3~5(~20)㎜、薄い革質、先は3(~5)裂し、裂片は縁が円鋸歯。花序は総状花序、花が少数つく。花序柄は単純又は分枝する。花柄は花時に直立又は反曲し、果時に反曲する。萼片は早落性、紫色を帯び、卵形~楕円形、長さ約2㎜。雄しべは7~10(~15)本。花糸は帯紫色、糸状。葯は黄色、長さ1.2~3㎜、先は微突形。心皮は(2~)3~5(~6)個。柱頭は紫色、狭三角形、子房と同長。痩果は短い柄があるか又は無柄。果体は狭卵形~披針状倒卵形、長さ2~3.5㎜、宿存する花柱は広三角形、脈が約8本、あり、丈夫。花期は6~8月。
2-1 Thalictrum alpinum L. var. alpinum チシマヒメカラマツ
  synonym halictrum alpinum var. hebetum B. Boivin.
 ヨーロッパ、アジア、北アメリカ原産。中国名は高山唐松草 gao shan tang song cao。湿った谷、湿った牧草地、沼地に生える。
 高さ5~20㎝。小葉は幅3~5㎜。花序柄は単純。小花柄は花時にが反曲する。痩果は無柄。花期は6~8月。
2-2 Thalictrum alpinum L. var. stipitatum Y.Yabe ヒメカラマツ 姫唐松
 日本の本州中部に分布。高山帯の砂礫地や乾いた草地に生える。
 高さ8~20㎝。根出葉は花期にも残る。葉は2~3回3出複葉。小托葉は無い。小葉は長さ3~8㎜。総状花序に花が約10個つく。小花柄は長さ1~1.5㎝、果時には少し伸び、曲がる。花は黄緑色。花糸は暗紫色、糸状。花期は7~8月。

3 Thalictrum aquilegiifolium L. カラマツソウ 広義
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、カザフスタン、ユーゴスラビア、ヨーロッパ、トルコ原産。英名はFrench Meadow-Rue。
 多年草、高さ150cm以下、無毛、粉白色。 茎は 管状、条線があり、分枝する。葉は3~4回羽状全裂、托葉があり、葉軸の裂片と小葉柄に小托葉がある。小葉の下面は粉白色。花序は散房花序状の集散花序、花の雄しべにより非常に派手である。花序柄と小花柄は直立する。花被は早落性。雄しべは萼片の2倍の長さがあり、扁平な花糸は対応する葯よりも幅が広い。痩果は長さ7~10㎜×幅3~4㎜、倒卵形、三稜形、柄があり、子房柄(gynophore)によってぶら下がり、(3)4個の不等な翼と宿存する曲がった花柱を備える。種子は紡錘形、長さ3.2~3.7㎜x幅1.3~1.5㎜、3角は丸く、表面は波状で光沢があり、赤褐色。2n=14、28; n=7。(Flora Ibeica)
品種) 'Album' , 'Amy Jan' , 'Atropurpureum' , 'Black Stockings' , 'Constable's Clouds' , 'Fluffy' , 'Gold Lace' , 'Hybridum' , Nimbus™ Pink , Nimbus™ White , 'Purple Cloud' , 'Purpureum' , 'Roseum' , 'Small Thundercloud' , 'Sparkler' , 'Thundercloud' , 'White Cloud'
3-1 Thalictrum aquilegiifolium var. aquilegiifolium
 ロシア、カザフスタン、ユーゴスラビア、ヨーロッパ、トルコ原産。

3-2 Thalictrum aquilegiifolium L. var. intermedium Nakai カラマツソウ 唐松草

  synonym Thalictrum aquilegiifolium L. var. japonicum Nakai
 日本固有種(北海道、本州、四国、九州)。Kewscienceではvar. sibiricumに含める。
 多年草。高さ70~120㎝。茎は中空。葉は3~4回3出複葉。小葉は長さ2~3㎝の広倒卵形で、先が3~5浅裂する。葉柄の基部には托葉がある。花序は散房状の傘形に広がり、、直径約1㎝の毛玉状の花を多数つける。花色は白~淡紅色。花弁はなく、花被片(萼)は早落性、開花するとすぐに落ちる。雄しべは多数つく。花糸は白色、先が棍棒状に幅広くなる。雌しべは子房と柄が紅紫色。痩果は広い翼があり、長さ3~4㎜の柄があって垂れ下がる。2n=14。花期は7~9月。

3-3 Thalictrum aquilegiifolium L. var. daisenense (Nakai) Emura ダイセンカラマツ

 KewscienceではThalictrum aquilegiifolium var. sibiricum Regel & Tilingのsynonymとされている。

3-4 Thalictrum aquilegiifolium L. var. sibiricum Regel et Tiling マンセンカラマツ 満鮮唐松

  synonym Thalictrum contortum L.
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシアに分布する。中国名は唐松草 tang song cao。森林、林縁、草が茂った斜面、牧草地に生える。Flora of China, Kewscienceではvar. intermediumとvar. daisenenseを含む。
 高さ0.6~1.5m、無毛。茎は枝分かれし、丈夫で、直径約1㎝。根生葉は花期に枯れる。托葉は膜質。葉柄は長さ4.5~8㎝。葉身は3回または4回3出複葉、長さ 10~30㎝。小葉は倒卵形または広円形、長さ1.5~2.5㎝×幅1.2~3㎝、草質、基部は丸みを帯びたくさび形またはほぼ心形、先は円形~ほとんど鈍形。裂片は3個、全縁または1歯または2歯があり、脈は両面で平らか、または下面でわずかに隆起する。花序は散形花序状、多数の花をつける。小花柄は長さ4~17㎜。萼片は早落性、白色または下面が紫色を帯び、楕円形、長さ3~3.5㎜。雄しべは多数、長さ6~9㎜。花糸の基部は糸状、先は倒披針形、葯よりわずかに狭いかまたは広い。葯は長さ約1.2mm、先は鈍形。心皮は6~8個。花柱は宿存性、長さ0.3~0.5㎜。痩果は柄が長さ3~5㎜、果体は倒卵形、長さ4~7㎜、翼が広い。花期は7月
3-5 Thalictrum aquilegiifolium subsp. storgosiacum Panov
 ブルガリアに分布。

4 Thalictrum baicalense Turcz. ex Ledeb. ハルカラマツ 春唐松
 日本(北海道~本州の東北地方南部~関東地方北部)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は贝加尔唐松草 bei jia er tang song cao 。
 高さ40~80㎝、無毛。茎は単純又は分枝する。茎葉は葉柄がある。托葉は膜質。葉柄は長さ1~2.5㎝。葉身は3回3出複葉、長さ9~16㎝。小葉柄は長さ0.2~3㎜。小葉の葉身は広菱形~広菱状倒卵形、長さ1.8~4.5㎝×幅2~5㎝、草質、基部は円形~広楔形、先は3裂する。裂片は円鋸歯縁、脈は下面に隆起する。花序は円錐花序、長さ2.5~4.5㎝。花柄は長さ4~9㎜。萼片は4個、早落性、緑白色、楕円形、長さ約2㎜。雄しべは(10~)15~20本。花糸は上部が糸状、先は狭倒披針形、幅が葯と同じ。葯は長円形、長さ約0.8㎜。心皮は3~7個。花柱は真っすぐ又は先がわずかに反曲し、長さ0.5~1.2㎜。柱頭は楕円形~線状披針形。痩果は柄が長さ約0.2㎜。果体は卵形~広楕円形、長さ約3㎜。花期は5~6月。

4-1 Thalictrum baicalense Turcz. ex Ledeb. f. levicarpum Tamura  マルミノハルカラマツ


5 Thalictrum coreanum H.Lev. ハスノハカラマツ 蓮葉唐松
  synonym Thalictrum coreanum H.Lev. var. minus Nakai 
 朝鮮原産。別名はハスバカラマツ
 多年草。高さ15~30㎝。根は黒褐色を呈するやや太い梶棒状で、1~2本あり、それからひげ根が出る。葉柄は盾状につく。葉は広卵形、縁に不規則な鋸歯が少数あり、基部は切形~浅い心形、多少耳状をなし、極端なものでは両耳の内側の縁が互に重なり合うようになる。花序は比較的密で頂生し、ほとんど伸びない。花は淡紅色。果実は円形~広楕円形。花期は6月。

5-1 Thalictrum coreanum var. minus.Nakai  コハスノハカラマツ 小蓮葉唐松

 済州島に分布する。別名はコハスバカラマツ
 ハスノハカラマツとコハスノハカラマツは両種聞に中間形が見られ、明確な境界がない。成長の艮・不良による個体的変異と思われる。

6 Thalictrum delavayi Franch. オオシキンカラマツ 大紫錦唐松
 中国原産。中国名は偏翅唐松草 pian chi tang song cao。 英名はChinese meadow-rue。別名はタリクトラム・デラバイ、雲南シキンカラマツ。
 高さ0.6~2m、無毛。茎は分枝する。根生葉は花時に枯れる。托葉は半円形、縁は分裂又は全縁。葉柄は長さ1.4~8㎝。葉身は3~4回羽状複葉、長さ約40㎝。小葉の葉身は円状卵形、卵形、~楕円形、長さ0.5~3㎝×幅0.3~2(~2.5)㎝、草質、基部は円形~くさび形、先は鈍形~鋭形、3裂、基部は全縁又は1~3歯があり、若は平ら又は下面に隆起する。花序は円錐花序羽、長さ15~40㎝。花柄は長さ8~25㎜。萼片は4(~5)個、紫色を帯び、長円形~長い楕円形~卵形~広卵形、長さ6~14㎜× 幅2.2~7㎜。雄しべは多数、長さ5~7㎜。花糸は糸状、上部で広がる。葯は長円形、長さ0.1~1.8㎜、先は微突形、微突は長さ0.01~1.5㎜。心皮は15~22個。花柱は短い。柱頭は不明瞭。痩果は柄があり、柄は直立し、長さ1~3㎜。果体は斜めの倒卵形、長さ5~8㎜×幅2.5~3.2㎜、脈は約8本。花期は6~9月。
品種) 'Album' , 'Amethystine' , 'Ankum' , 'Gold Laced' , 'Hewitt's Double' (d) , 'Hinkley' , 'Sternhimmel'

7 Thalictrum diffusiflorum C. Marquand & Airy Shaw フジイロカラマツ 藤色唐松

 中国(南東チベット)原産。中国名は堇花唐松草 jin hua tang song cao。
 高さ60~100㎝、腺軟毛がある。茎は分枝する。托葉は膜質。葉柄は長さ1.5~4㎝。葉身は3~4回羽状複葉、長さ8~15㎝。小葉の葉身は円状菱形~広卵形、長さ4~12㎜×幅3.5~10㎜、草質、先は3~5裂し、脈は下面にわずかに隆起し、上面は平ら。花序は円錐花序、花が少数つく。花柄は長さ1~3㎝、腺軟毛がある。萼片は4~5個、紫色を帯び、卵形~狭卵形、長さ10~15㎜×幅5~7㎜。雄しべは多数、長さ約8㎜。花糸は糸状。葯は黄色、線形、長さ2~2.8㎜、先は微突形。心皮は10~15個。花柱は長さ約3㎜。柱頭は不明瞭。痩果は柄が反曲し、長さ約1.2㎜。果体は半卵形、長さ約4.5㎜。花期は6~8月。

8 Thalictrum filamentosum Maxim. オオミヤマカラマツ 大深山唐松
 中国、ロシア原産。中国名は花唐松草 hua tang song cao。森林、低木林に生える。
 高さ15~35㎝、無毛。根は塊根状、球形。 茎は直立する。根生葉は1枚、長さ15~25㎝。葉柄は長さ7~13㎝。葉身は2回3出複葉、長さ(4.5~)6.5~9㎝。葉身は卵形または広卵形、草質、基部は円形または心形、縁は不明瞭に3裂し、脈は両面で平ら。茎葉は2枚、対生、無柄、単葉、卵形または広卵形。花序は頭が平らで、長さ1.5~5.5㎝。萼片は早落性、白色、長円形、約・2㎜×0.5mm。 雄しべは長さ5~8㎜。花糸の基部は糸状、先は倒披針形、葯の幅の3~4倍。葯は楕円形。長さ0.6mm。心皮は2~5個、花柱は不明瞭。痩果は柄が細い。花期は5月。

9 Thalictrum flavum L. キバナカラマツソウ  黄花唐松草
 中国(新疆ウイグル自治区)、ロシア、カザフスタン、キルギスタン、コーカサス、トルコ、ヨーロッパ原産。黄唐松草 huang tang song cao。英名はcommon meadow-rue , yellow meadow-rue。草原、河川に生える。
 高さ約1.5m、無毛。茎葉は有柄。下部の葉の葉身は3回羽状複葉、長さ約30㎝。小葉の葉身は楔状倒卵形または狭倒卵形、長さ4~7㎝×幅2.5~5.5㎝、基部は円形~鈍形、先は3歯または3裂する。上部の茎葉の葉身は長さ9~15㎝。小葉はくさび形またはくさび状倒卵形、約・長さ4㎝×幅1.8㎝、基部は楔形または鈍形、先は3歯または3裂する。花序は穂状花序、長さ約25㎝、多数の花がつく。苞は狭線形または錐形、長さ約2.5㎜。小花柄は細く、長さ5~10㎜。萼片は4個、脱落性、狭卵形、長さ約4㎜。雄しべは長さ約8㎜。花糸は糸状。葯は線形、長さ約2.5㎜、先は不明瞭な微突形。心皮は約10個。柱頭は三角形の翼がある。痩果はわずかに扁平。花期は7月。
品種) 'Chollerton' , 'Illuminator' , 'Reaseheath Gold' , 'Tukker Princess'

10 Thalictrum foeniculaceum Bunge イトバカラマツ 糸葉唐松
 中国原産。中国名は丝叶唐松草 si ye tang song cao。斜面、牧草地、湿った岩棚に生える。
 高さ10~80cm、無毛。茎は分枝または単純。根生葉は2~6枚つき、長さ5~18㎝。葉柄は長さ1.5~9㎝。葉身は2~4回3出複葉、長さ2.5~10㎝。小葉の葉身はは錐形、線形、または狭線形、長さ0.6~3㎝×幅0.5~1.5㎝、薄い革質、縁は反り返り、先は鋭形。 茎葉は2~4枚つき、根生葉に似ている。花序は集散花序、頂部は平たい。小花柄は細く、長さ20~45㎜。萼片は4個、帯ピンク色または白色、楕円形または狭倒卵形、長さ6~10㎜×幅3~5mm。雄しべは長さ2.8~3㎜。花糸は糸状、短い。葯はの長円形、長さ約2㎜、先は微突形。心皮は7~11個。花柱は短い。痩果は無柄、果体は紡錘形、長さ3.5~4.5㎜、脈は8~10本。花期は6~7月。

11 Thalictrum foetidum L. タリクトルム・フォエチヅム
 日本(北海道、本州)、中国、アジア、ヨーロッパに広く分布。中国名は腺毛唐松草 xian mao tang song cao
 高さ15~100㎝、軟毛があるか又は無毛。茎は分枝するか又は単純。根生葉と下部の茎葉は花時に枯れる。上部の茎葉は短い葉柄がある。托葉は膜質。葉身は3回羽状複葉、長さ5.5~12㎝。小葉の葉身は菱形、広卵形、又は卵形、長さ4~15㎜×幅3.5~15㎜、草質、基部は円状楔形~円形~類心形、先は鈍形又は鋭形、3裂し、裂片は全縁又は少数の歯があり、脈は下面にわずかに隆起し、軟毛又は腺毛がある。花序は円錐花序、花が数個又は多数つく。花柄は細く、長さ5~15㎜。萼片は5個、黄色、緑色を帯び、卵形、長さ2.5~4㎜×幅約1.5㎜、下面は軟毛がある。花糸は基部が糸状、先は狭い線形。葯は長さ2.5~3.5㎜、先は微突形。心皮は4~8個。柱頭は三角形、翼がある。痩果は無柄。果体は半卵形、側部が扁平、長さ3~5㎜、軟毛がある。花期は5~7月。
11-1 Thalictrum foetidum L. var. foetidum  ニオイカラマツ
  synonym Thalictrum foetidum L. var. iwatense T.Shimizu
 ニオイカラマツはチャボカラマツの異名であると考えられる(Kadota2005)
11-2 Thalictrum foetidum L. var. apoiense T.Shimizu  アポイカラマツ
 北海道(アポイ岳、太平山)に分布。蛇紋岩地や石灰岩地に生える。
 高さ約20㎝。小葉が小さく、裏面に微腺毛が散生する。萼片と花糸は紫褐色。花期は6月。
11-3 Thalictrum foetidum L. var. glabrescens Takeda チャボカラマツ
  synonym Thalictrum yesoense Nakai
  synonym Thalictrum foetidum L. subsp. glabrescens (Takeda) T.Shimizu 
 日本(北海道と岩手県)、中国に分布。中国名は扁果唐松草 bian guo tang song cao
 チャボカラマツは全体に無毛、小托葉を欠き、花糸が帯紫褐色で、葉脈が背軸側に強く隆起する。花期は5~7月。

12 Thalictrum honanense W. T. Wang & S. H. Wang タリクトルム・ホナネンセ
 中国原産。中国名は河南唐松草 he nan tang song cao。森林、低木林に生える。
 高さ0.8~1.5m、無毛。茎は枝分かれが少ない。根生葉および下部の茎葉は開花時に枯れる。上部の茎葉は葉柄が長さ0.9~4㎝。葉身は2~3回3出複葉、長さ約25㎝。小葉の葉身は円形または心形、長さ4.4~8.5㎝×幅4.2~8.5㎝、紙質、基部はくさび形、円形またはほぼ心形、先は鈍形、3裂し、裂片には歯があり、脈は両面に盛り上がる。花序は円錐花序、長さ30~40㎝、枝は少なく、長さ2~8㎝、多数の花をつける。苞は三角形。小花柄長さ4~6㎜。萼片は4個、脱落性、帯赤色、楕円形、長さ3~4.5㎜×幅約2.2mm。雄しべは約35本、長さ約6.5㎜。花糸は狭い線形。 葯は狭長円形、長さ約2㎜、先は円形。心皮は3~9個。花柱は短い。柱頭は宿存し、長さ0.6~1㎜。痩果は無柄。果体は狭卵形、長さ約4.5㎜、脈は約6本、丈夫。花期は8~9月。
品種) Marble Leaf'

13 Thalictrum ichangense Lecoy. ex Oliv. トウハスノハカラマツ 唐蓮葉唐松
 中国原産。中国名は盾叶唐松草 dun ye tang song cao。森林、低木林、湿った岩棚に生える。
 高さ14~30cm、無毛。茎は単純か、または上部で枝分かれする。根生葉の葉柄は長さ5~12㎝。葉身は1~3回3出複葉、長さ8~25㎝。小葉は楯状、小葉柄は長さ15~25㎜、小葉は卵形、広卵形、広楕円形、または円形、長さ2~4㎝×幅1.5~4㎝、草質、先は鈍形~円形、3裂し、裂片は縁に歯があり、脈は両面で平ら。茎葉は1~3枚つく。花序は単出(monochasial)。小花柄は糸状、長さ3~20㎜。萼片は早落性、白色、卵形、長さ約3㎜。雄しべは長さ4~6mm、花糸は基部が糸状、先は倒披針形、葯より幅広になる。葯は楕円形、長さ約0.6mm。心皮は5~12(~16)個。痩果は柄が細く、柄は長さ1.5㎜、果帯はかま形、長さ約4.5㎜、脈は約8本あり、弱い。花期は5~7月。
品種) 'Evening Star' (v) , 'Purple Marble'
13-1 Thalictrum ichangense var. minus
品種) 'Chinese Chintz'

14 Thalictrum integrilobum Maxim. ナガバカラマツ 長葉唐松

  synonym Thalictrum filamentosum Maxim. var. integrilobum (Maxim.) Ohwi

 日本固有種(北海道)。別名はホソバカラマツ、サマニカラマツ
 多年草。高さ20~30㎝。根生葉は1個つき、長い柄があり、3~4回3出複葉。小葉は長さ約2㎝、細長く、線状楕円形、先は鈍く、全縁。花序は散房花序。花は白色、直径約1㎝。花弁はない。萼片は白色、早落性。白色の雄しべが花状に開く。花期は5~6月
品種) 'Yae Yugiri'八重夕霧

15 Thalictrum javanicum Blume タリクトルム・ジャバニクム
 中国、台湾、ブータン、インド、インドネシア、ネパール、シッキム、スリランカ原産。中国名は爪哇唐松草 zhao wa tang song cao。森林、低木林、斜面、湿った岩棚に生える。
 高さ(30~)50~100㎝、無毛または腺毛がある。茎は分枝する。根生葉は開花期に枯れる。茎葉は有柄。托葉は褐色、幅2~3mm、膜質、縁は房状へり。葉柄は長さ約5.5㎝。葉身は3~4回3出複葉 長さ6~25㎝。小葉柄は長さ0.5~1.4㎜。小葉の葉身は倒卵形、楕円形、又は円形、長さ1.2~2.5㎝×幅1~1.8㎝、紙質、基部は広くさび形、円形、又はほぼ心形、縁には歯があり、先は3裂し、脈は下面に隆起する。花序は多出(pleiochasial)、少数または多数の花をつける。 小花柄は長さ3~7(~10)㎜。萼片は4個、早落性、長さ2.5~3㎜。雄しべは多数、長さ2~5㎜。花糸は基部は糸状、先は倒披針形、葯より幅が広い。葯は長さ0.6~1㎜。心皮は8~35個。花柱は渦巻き状(circinate)、長さ0.6~2mm、果体は細い卵形、長さ2~3㎜、脈は6~8本。花期は4月~7月。
15-1 Thalictrum javanicum var. javanicum
 中国、台湾、ブータン、インド、インドネシア、ネパール、シッキム、スリランカ原産。中国名は爪哇唐松草 zhao wa tang song cao。森林、斜面、湿った岩棚に生える。
 無毛。花序は多出、少数または多数の花をつける。心皮は8~15個。花柱は長さ0.6~1㎜。花期は4月~7月。
15-2 Thalictrum javanicum Blume var. puberulum W.T.Wang
 中国原産。中国名は微毛爪哇唐松草 wei mao zhao wa tang song cao。森林、低木林、斜面に生える。
 腺毛がある。花序は頂部が平らで、花数は少ない。心皮は16~35個。花柱は長さ1.5~2㎜。

16 Thalictrum kiusianum Nakai ツクシカラマツ 筑紫唐松
  synonym Thalictrum filamentosum var. kiusianum
 ムラサキカラマツとヤクシカカラマツの栽培交雑種。古くから栽培されている。
 高さ約5㎝。花が淡紫色。

17 Thalictrum koikeanum Sera, N.Hamada et Kadota シロカネカラマツ 白金唐松

 日本固有種(広島県)。林縁又は林内の湿り気のある草地に生える。
 特徴:萼片が宿存性で目立ち、花糸が糸状で、葯隔がわずかに突出する。短柄のある痩果を多数つける。
 シキンカラマツとの相違:①花が小さい。②萼片は白色で先端が鋭形。③小苞は葉状で緑色。④痩果が10–15(稀に18)と少ない。
 多年草、無毛、高さ50~180㎝、太い根茎をもつ。茎は直立、1~2回分枝し、暗紫褐色、条線があり、ストロンを出さない。根生葉は花時に枯れる。茎葉は2~5個つき、4~6回3出複葉。葉身は上面が灰暗緑色、下面は粉白色、長さ10~40㎝×幅6~50㎝、小葉は倒卵形~卵形~長円形、長さ13~35㎜×幅10~30㎜、3尖形(tricuspidate)、中脈と側脈は下面にわずかに隆起し、上面は平ら、先は鈍形、基部は円形~楔形。葉柄は長さ(0~)10~25(~70)㎜。托葉は長さ4~10㎜、膜質、 鞘状、抱茎、小托葉は無い。花序は円錐花序、多数花がつき、長さ8~30㎝×幅3~10㎝。苞は葉状、緑色、単純から3出。小苞は葉状、緑色、単純で長円形~3出、長さ1~6㎜×幅1~10㎜。花柄は長さ0.3~1.7㎝、無毛。花は直径0.5~0.7㎝、垂れ下がる。萼片は4個、卵形~長円形、舟形、先は鋭形、基部は満開時に花柄まで強く後屈し、長さ3~5㎜×幅1.5~2㎜、両面とも白色、宿存する。雄しべは24~35本、長さ2~4㎜。葯は狭楕円形、明るい黄色。花糸は糸状、長さ1.0~2.7㎜、白色、葯隔は黄色、短く突き出る。花柱は長さ約1~2㎜。柱頭は長円形、三角形ではない。痩果は花に10~15(まれに~18)個、長さ3~6㎜、紡錘形、扁平ではなく、無毛。果皮は厚く、両側に約4うねがあり、斜め、柄は長さ約1㎜、嘴は長さ約1㎜、わずかに内側に曲がる。花期は6月。

18 Thalictrum kubotae Kadota タイシャクカラマツ 帝釈唐松
 日本固有種(広島県帝釈峡)。石灰岩地域に生える。
 .タイシャクカラマツは無柄で直立~斜上する(懸垂しない)痩果をつけ、葯隔の先端が突出することでアキカラマツ節に分類される。この節において、タイシャクカラマツの特徴は①萼片(花被片)が宿存性。 ②植物体全体に腺毛が密に分布する。③小托葉をもつ。④ 花期が5~6月と早いことである。日本産カラマツソウ属において、宿存性の萼片をもつ種はこれまでシキンカラマツT. rochebrunianum Franch. & Sav.ただ一種が知られているのみであった。したがって、宿存性の萼片をもつことがタイシャクカラマツの最も著しい特徴であるということができる。
 多年草、高さ30~40㎝、腺毛があり、根茎をもつ。根茎は直径約4㎜、水平、帯褐色の膜質の鱗片で覆われ、根はひげ根、太くならない。茎は傾き、1~2回分枝し、密に腺毛があり、基部は帯褐色の膜質の鱗片で覆われ、ストロンは無い。根生葉は花時に枯れる。茎葉は4~5個つき、2~5回3出複葉、葉身は上面が灰緑色、下面は白粉で覆われ、長さ4~16㎝×幅4~22㎝。小葉は広倒卵形~倒卵形~狭倒卵形、長さ12~33㎜×幅9~22㎜、3尖又はときに浅く3裂し、粗い鋸歯をもち、紙質、中脈と側脈は下面に隆起し、先は微突形、基部は楔形~円形、下面は密に腺毛があり、上面はまばらに腺毛があり、かすかに悪臭がある。葉柄は長さ(3~)15~30㎜、密に腺毛がある。托葉は長さ3~5㎜、暗褐色、膜質、鞘状。小托葉は広卵形、長さ約1㎜、暗褐色、膜質。花序は円錐花序、長さ7~17㎝。苞は葉状、単純~2回3出、小苞は卵形、長さ約2㎜×幅約1㎜、淡紫褐色。花柄は長さ1.5~2㎝、腺毛がある。花期は5~6月。花は直径1~1.5㎝、垂れ下がる。萼片は4個、長円形、長さ4~5㎜×幅約1㎜、淡紫褐色、暗色の脈をもち、宿存する。雄しべは10~12本、長さ7~12㎜。葯は狭楕円形、長さ2~5㎜、鈍い黄色。花糸は糸状、長さ4~8㎜、白色。葯隔は淡紫褐色、先が突き出る。花柱は長さ1~1.5㎜。柱頭は三角形。痩果は花に1~2個、長さ約3㎜、紡錘形、腺毛があり、扁平にならず、両面に4うねがあり、斜め、無柄。嘴は長さ約1㎜、矢じり形。2n=42。

19 Thalictrum microspermum Ohwi コゴメカラマツ 小米唐松
  synonym Thalictrum filamentosum Maxim. var. sikokianum (Honda) Ohwi 
 日本固有種(四国の徳島県、高知県、九州の宮崎県)。山地の林内や林縁の湿った岩場に生える。
 多年草、高さ15~30㎝。地下にストロンを出す。茎は分枝せず、根生葉とほぼ同じ高さで、全体に無毛。葉は根生葉と茎葉。根生葉は1個つき、長い葉柄がある。葉身は2~3回3出複葉。小葉は薄く、長さ1~5㎝、卵形~倒卵状菱形~菱形、不規則な鋸歯があり、基部はくさび形~円形で、裏面は灰白色。茎葉は2~3個つき、托葉も小托葉もない。花序は頂生の散房花序、葉よりかなり高く、多数花をつける。花は白色、直径5~8㎜。痩果は長い柄があり、嘴は短い。花期は4~5月。

19-1 Thalictrum microspermum var. sikokianum Honda オオコゴメカラマツ 大小米唐松

 九州産のコゴメカラマツと果実は異ならないが、全体が大きく、小葉も約2倍の大きさがあり、その基部が著しい楔形をなすのが特徴。花部が違へばThalictrum sikokianum Honda となるべきものと思われる。

20 Thalictrum minus L.  タリクトルム・ミヌス 広義
 温帯のアジア、ヨーロッパ、アラスカ原産。中国名は亚欧唐松草 ya ou tang song cao。英名はLesser Meadow-rue。森林、低木林、山地、斜面、湿った岩棚、畑の縁に生える。
 無毛の植物。茎葉の葉柄は長さ約4㎝。葉身は4回3出複葉または4回羽状複葉、長さ約20㎝。小葉はくさび状倒卵形~広倒卵形~円形~狭菱形、長さ0.7~4(~5)㎝×幅0.4~4(~5)㎝、紙質または薄い革質、下面は帯緑色、ときに粉白色、基部はくさび形~円形、縁は3裂し、脈は下面に隆起し、ときに不明瞭。 花序は穂状花序、長さ約30㎝。小花柄は長さ3~30㎜。萼片は4個、脱落性、帯緑色、狭楕円形、長さ約3.5㎜。雄しべは多数つき、長さ約6㎜。花糸は糸状。葯は狭長円形、長さ約2㎜、先は微突形。心皮は3~5個。柱頭は三角形、翼がある。痩果は無柄、果体は狭楕円体、長さ約3.5㎜、約8脈がある。花期は6~7月(Flora of China)。
品種) 'Adiantifolium'
【FNAの解説】
 アラスカ、ユーラシア大陸に分布し、ステップ草原、低木林の茂み、森林の縁、森林の牧草地に生える。
 茎は直立し、ほぼ群生または根茎があり、長さ15~150㎝、無毛またはやや腺がある。根生葉は長さ7~30㎝。葉身は3~4回3出複葉。小葉はほぼ円形~広卵形、不規則に2~3裂しまたは上部1/2の縁に歯があり、長さ15~30㎜、表面は無毛~腺がある。花序は円錐花序で、長い枝を持ち、多数の花がつく。小花柄は果時に反曲しない。萼片は黄緑色、卵形、長さ3~4㎜。雄しべは10~15本。葯は帯黄色、長さ2~3㎜。痩果は3~15個、無柄、果体は広卵形~狭長円状卵形、長さ2.5~4㎜、±弱い脈がある。花期は春の終わりから夏にかけて(6~7月)。

20-1 Thalictrum minus var. kemense (Fr.) Trel. オオカラマツ 大唐松

  synonym Thalictrum minus subsp. elatum (Jacq.) Stoj. & Stef. [Kewscience]
  synonym Thalictrum minus var. elatum (Jacq.) G.Mey.
  synonym Thalictrum elatum Jacq
  synonym Thalictrum minus subsp. kemense (Fr.) Cajander

  synonym Thalictrum minus var. chionophyllum (Nakai ex F.Maek.) Emura ミョウギカラマツ 妙義唐松

  synonym Thalictrum minus var. elatum Lecoy.
  synonym Thalictrum kemense Fr.
  synonym Thalictrum minus auct. non L.

  synonym Thalictrum minus L. var. stipellatum (C.A.Mey. ex Maxim.) Tamura

  synonym Thalictrum minus L. subsp. kemense (Fr.) Hulten 
 日本、アジア北部(中国、モンゴル、ロシア)、ヨーロッパ北部、アラスカ原産。中国名は长梗亚欧唐松草 chang geng ya ou tang song cao 。亜高山から高山に生える。YList, Flora of Chinaではvar. kemenseを採用している。Kewscienceはsubsp. elatumとし、日本を分布域から外しているため、var. kemenseとした。
 葉の下面は帯緑色。花柄が15~30(50)㎜と長く、花つきがまばらに見える。花期は6~7月。
20-2 Thalictrum minus L. var.minus タリクトルム・ミヌス 狭義
 日本にはなく、アジア、ヨーロッパ、アフリカに広く分布する。中国名は亚欧唐松草 ya ou tang song cao。
 葉が長さ0.7~1.5㎝×幅0.4~1.3㎝と小さく、葉の下面は帯緑色、脈は下面に隆起する。花柄は長さ3~8㎜。花期は6~7月。

20-3 Thalictrum minus subsp. thunbergii (DC.) Vorosch. アキカラマツ 秋唐松

  synonym Thalictrum minus L. var. hypoleucum (Siebold et Zucc.) Miq. [YList , Flora of China]

  synonym Thalictrum minus L. var. hypoleucum (Siebold et Zucc.) Miq. f. contractum (Nakai) Tamura

  synonym Thalictrum kemense Fr. var. hypoleucum (Siebold et Zucc.) Kitag.

  synonym Thalictrum thunbergii DC.
  synonym Thalictrum minus auct. non L.
  synonym Thalictrum chinense Franch.

  synonym Thalictrum chionophyllum Nakai ex F.Maek. ミョウギカラマツ 妙義唐松

 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は东亚唐松草 dong ya tang song cao 。別名はタカトオグサ 高遠草。山野に普通に見られる。Flora of Chiinaの解説では花期が夏6~7月になっているが、「百度百科」では花期8~9月、果期9~10月。
 多年草。高さ50~150[20~60]㎝。茎は条線があり、よく分枝する。托葉は葉柄の基部につき、波状歯がある。小托葉は葉の1~2節につく。葉は2~4回3出複葉。小葉は倒卵形~広倒卵形~楕円形、長さ1.5~4(5)㎝×幅1.5~4(5)㎝、下面は粉白色(緑白色)、脈が下面に隆起し、先が不規則に数個、浅裂し、裂片は鋭頭~鈍頭~円頭、基部は円形~浅い心形。茎頂の大きな円錐花序に直径約1㎝の淡黄白色の花を多数つける。花柄は長さ3~8[6~16]㎜。花弁はなく、花弁に見えるのは花被片(萼片)で、3~4個つき長さ2~2.5[3~4.5]㎜、3脈があり、花後にすぐ落ちる。雄しべは多数つき、葯を含めて長さ4.5~6㎜。葯は長さ1.3~2[0.5~1.2]㎜。雌しべは2~4個、花柱が無く、子房に直接、柱頭がつく。柱頭は3角状長楕円形、鈍頭、長さ約1㎜。痩果は雌しべと同数の2~4個ずつつき、種子を1個入れる。痩果は無柄、卵形~楕円形、長さ(2)2.5~3[4~5]㎜、明瞭な数[6~8]本のうねがあり、嘴は短い[1~1.2]。2n=42。花期は7~10[8~9]月([ ]は百度百科 参考9)
【ミョウギカラマツとイシヅチカラマツ】
 アキカラマツ(subsp. thunbergiiまたはsubsp. elatum)に含められている。

(1) Thalictrum minus L. var. chionophyllum (Nakai ex F.Maek.) Emura ミョウギカラマツ 妙義唐松

  synonym Thalictrum chionophyllum Nakai ex F.Maek.
 本州(群馬県)に分布する。
 多年草、高さ14~100㎝、長さ60㎝程度で岩壁から垂れ下がって生えていることが多い。全草は霜を置いたように白く、特に葉の下面は著しく粉白色を帯び、ルーペで見ると微突起があり、乳白色。茎中間の葉は三角形~卵状三角形、長さ12~27㎝×幅12~28㎝、2~3回3出羽状複葉。小葉は円形~楕円形、先は3裂又は浅く切れ込む。花序は頂生の散房状の円錐花序、長さ8~17㎝。花柄は長さ5~10㎜。花はアキカラマツに似て、淡黄白色。花糸は白色、糸状。葯は黄色。痩果は1~2個、無柄、長さ約4㎜、傾いた紡錘形、6~8本の溝があり、花柱は長さ約0.5㎜。花期は7~8月。

(2) Thalictrum minus L. var. yamamotoi (Honda) Sugim. ex Kadota イシヅチカラマツ 石鎚唐松

 四国(高知県、徳島県)、九州(宮崎県)に分布する。岩場に生える。
 多年草。高さ30~100㎝。葉は互生し、長い葉柄がある。葉身は3出複葉。小葉は全緑、先が2~3浅裂し、基部は円形、短い小葉柄がある。花序は円錐花序、頂生し、花を多数つける。花は黄白色、直径約1.5㎝。萼片は淡紫色、早落性。雄しべは目立ち、咢より長く、葯は黄色。

21 Thalictrum myriophyllum Ohwi コバカラマツ 小葉唐松
 台湾原産。中国名は密叶唐松草 mi ye tang song cao。標高3000m以上の林内、林縁、山地、開けた場所に生える。
 高さ35~70㎝、無毛。 茎h分枝する。葉は根生葉と茎葉の両方がある。葉柄は長さ2.4~5.8㎝。葉身は4対、長さ5~10㎝。 小葉は卵形、倒卵形、または円形、長さ3~8㎜×幅2.5~5㎜、紙質、ときに毛のある脈を除いて両面とも無毛、基部は円形またはくさび形、先は3裂し、裂片は全縁。花序は穂状花序、花数は少ない。小花柄は長さ約10㎜。萼片は4個、脱落性、黄緑色、楕円形、長さ2~3㎜。雄しべは約25本。花糸は長さ2~2.5㎜、先は倒披針形。葯は楕円形、長さ0.5~0.7㎜、先は微突形。心皮は5~12個。花柱は宿存し、わずかに渦巻き状(circinate)。痩果は無柄、果体は紡錘形、長さ2~3㎜、脈は約8本。花期は7月。

22 Thalictrum nakamurae Koidz. ヒメミヤマカラマツ 姫深山唐松

  synonym Thalictrum filamentosum Maxim. var. nakamurae (Koidz.) Kitam.

 日本固有種(新潟県、群馬県)。山地の岩壁に生える。
 痩果の花柱は長く約1㎜。痩果の柄の長さは果体とほぼ同長。

23 Thalictrum osmorhizoides Nakai ヒカゲカラマツ 日陰唐松
 朝鮮原産。標高1,200~1,800mの山地の林内の日陰に生える。
 多年草、高さは20~40㎝。地中の根茎はひげ根の側枝をもち、または持たない。主茎は毛がない。根生葉は長さ10~12cm、3回3出複葉、葉柄は下部分がやや広くなって茎を抱き、長さ2~3㎜。小葉は倒卵形。花序は頂生、円錐花序。花序柄は短く、非常に細い。花は白色。果実は1~4個が集まって分裂し、扁平な紡錘形で縦線があり、長さは0.7~1.2㎝。果時の柄は長さ4~11㎜、先端が長細い。柱頭はくびれ、内側に曲がる。花期は7月。

24 Thalictrum petaloideum L タリクトルム・ペタロイデウム
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は瓣蕊唐松草 ban rui tang song cao。草が茂った斜面、乾燥した斜面、牧草地、畑の縁に生える。
 高さ18~80㎝、無毛。茎は分枝する。葉はすべて根生する。葉柄は長さ約10㎝。葉身は3または4回3出複葉または羽状複葉、長さ5~15㎝。小葉柄は長さ5~7㎜。小葉は狭長円形、披針形、狭卵形、菱形、倒卵形、又は円形、長さ0.3~1.2㎝×幅0.2~1.5㎝、草質、基部はくさび形または丸みを帯びたくさび形、先は3裂し、裂片は全縁、脈は両面で平ら。花序は頂部が平らで、少数または多数の花をつける。小花柄は長さ5~25㎜。萼片は4個、早落性、白色、卵形、長さ3~5㎜。雄しべは多数、長さ5~12㎜。花糸は倒披針形で、葯よりも幅が広い。葯は狭長円形、長さ0.7~1.5mm、先は鈍形。心皮は4~13個。花柱は長さ約1mm。痩果は無柄、果体は卵形、長さ4~6㎜、脈は約8本。花期は6~7月。
品種) 'Ghent Ebony'
24-1 Thalictrum petaloideum var. petaloideum
  synonym Thalictrum petaloideum var. latifoliolatum Kitagawa.
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は瓣蕊唐松草 ban rui tang song cao。斜面の草地に生える。
 小葉は菱形、倒卵形、または円形。花期は6~7月。

24-2 Thalictrum petaloideum var. supradecompositum (Nakai) Kitagawa ヤチマタカラマツ

  synonym Thalictrum supradecompositum Nakai
 中国原産。中国名は狭裂瓣蕊唐松草 xia lie ban rui tang song cao。乾いた斜面、牧草地、畑の縁に生える。
 小葉は狭長楕円形、披針形または狭卵形。花期は6~7月。

25 Thalictrum pubescens Pursh タリクトルム・プベスケンス
  synonym Thalictrum flavum subsp. glaucum
  synonym Thalictrum flavum 'Glauca'
  synonym Thalictrum sphaerostachyum
  synonym Thalictrum speciosissimum
  synonym Thalictrum glaucum Schrad.
 北アメリカ(カナダ、USA)原産。英名はking of the meadow , tall meadow-rue , late meadow-rue , meadow-weed , muskrat-weed , pigamon pubescent , glaucous-leaved yellow meadow rue。
 茎は直立、粗く、高さ50~300㎝。葉は根生葉と茎葉。根生葉と下部の茎葉は葉柄があり、上部の茎葉は無柄、葉柄と花序軸は頻繁に軟毛がある。葉身は3出と羽状複葉、小葉は薄~暗緑色、心形又はほぼ円形~卵形~倒卵形、先は不分裂~ 2~3(~5)裂又は歯状、長さ11~68㎜×幅5~70㎜、長さは幅の0.8~2.6倍、膜質~硬く、縁はかすかに外巻き、裂片は縁が全縁、下面は軟毛があるか無毛。 花序は総状花序又は円錐花序から散房花序、先は±円形、花が多数つく。花序柄と花柄にはしばしば軟毛がある。花は単性又は両性(ときに両性で雄しべがごく少数)。萼片は4(~6)個、白色~帯紫色、楕円状円形、長さ2~3.5㎜。花糸は斜上し、白色~帯紫色、糸状~明瞭なこん棒形、長さ1.5~7㎜、普通、堅い。葯は長さ0.5~1.5(~2.1)㎜、普通、鈍形又はわずかに微突頭。痩果は多数、無柄~有柄。柄は長さ0.5~1.5(~2.4)㎜。果体は楕円形、長さ3~5㎜、脈が目立ち、普通、軟毛があり、嘴は普通、宿存し、真っすぐ又は上部が巻き、長さ0.6~2.5㎜、痩果の果体の長さの約1/2。2n=126。花期は6~8月。
品種) Brown's strain , 'Purple Haze' , 'Ruth Lynden-bell' , 'Silver Sparkler' (v) , 'True Blue'

26 Thalictrum reniforme Wallich タリクトルム・レニフォルメ
 中国、ネパール、ブータン、シッキム原産。中国名は美丽唐松草 mei li tang song cao。アカエゾマツの林内森、低木林、斜面に生える。
 高さ0.8~1.5m、腺毛がある。茎が枝分かれする。根生葉は花期に枯れる。茎葉の葉柄は長さ2~6㎝。葉身は3回羽状複葉、長さ約20㎝。小葉は広卵形、円状卵形、または菱状倒卵形、長さ1.2~2.5㎝×幅1.5~3.2㎝、草質、下面に腺毛があり、基部は円形またはほぼ心形、縁は3裂する。裂片は全縁または少数の円鋸歯があえい、脈は下面にわずかに隆起する。花序は円錐花序、長さ20~30cm。小花柄は長さ0.8~2.5㎜、腺のある軟毛がある。萼片は4個、赤ピンク色、卵形または円状卵形、長さ9~13㎜×幅6~10㎜。雄しべは多数つき、長さ約8㎜。花糸は糸状。葯は黄色、線形、長さ3~4㎜、先は微突形。心皮15~20個。花柱は長さ約1.5㎜、子房よりわずかに長い。柱頭は横長。痩果は腺のある暗毛があり、柄は長さ約1.5mm、果体は斜めの狭倒卵形、扁平、約・長さ6㎜×幅2.6㎜、脈は約3本、弱い。花期は7~10月。
品種) 'Grandiflorum'

27 Thalictrum rochebruneanum Franch. et Sav. シキンカラマツ 紫錦唐松

  synonym Thalictrum rochebruneanum Franch. et Sav. var. grandisepalum (H.Lev.) Nakai

  synonym Thalictrum grandisepalum H.Lev. 
 日本(長野県・群馬県・福島県)、朝鮮原産。英名はmeadow rue 。山地の林縁や湿った草地などに生える。咢片が帯紅紫色で宿存性。タイシャクカラマツに似るが、容易に区別できる。
 多年草。高さ0.7~1.5m、普通1m以上になる。茎は直立し、上部で多数分枝し、紫色を帯び、無毛。葉は互生し、大型の2回羽状複葉、下部の葉は葉柄があり、基部は短い膨らんだ鞘状になり、上部では次第に無柄になる。小葉は長さ1~3㎝、小葉柄があり、卵形~広楔形、基部は円形~やや心形、縁は全縁又は先が浅く3裂する。托葉はあるが小托葉は無い。大きな円錐花序に紅紫色の花を多数つける。花は直径9~12㎜。萼片はピンク色~紅紫色の花弁状、4~5個つき、長楕円形~倒卵形、舟形、長さ6~7㎜、開花してもしばらく残る。雄しべは多数、輪状につく。花糸は淡黄色、葯より幅が狭く、糸状。葯は黄色、長楕円形。葯隔は先が短く突出する。雌しべは離生心皮、20~35個つく。痩果は柄が細く、長さ約.5㎜、果体は狭倒卵形、長さ約7㎜、稜があって、先に柱頭が宿存する。花期は7~8月。
品種)  'Lavender Mist'

28 Thalictrum rubescens Ohwi ナンコカラマツ
 台湾原産。中国名は淡红唐松草 dan hong tang song cao。標高の高い濡れた場所に生える。
 高さ10~20㎝、無毛。茎は単純または上部で短く分枝する。葉はすべて根生する。托葉は狭い。葉柄は長さ2~6㎝; 葉身は3回3出複葉、長さ3~6㎝。小葉は楕円形、卵状円形、または円形、長さ0.5~1㎝、紙質、下面は粉状の白色、基部は円形~鈍形、先は鈍形またはほぼ鋭形、3裂し、裂片は全縁、脈は両面で平ら。 花序は単生、1~2個の花がつく。小花柄長さ2~5㎝。萼片は白色、狭楕円形、長さ5~6㎜。葯は黄色、狭卵形、先は鈍形。心皮は30~50個。花柱は渦巻き状(circinate)、長さ約1㎜。痩果は柄が長さ0.3~0.5㎜、果体は紡錘形、扁平、長さ約5㎜、脈は約8本。花期は6~7月。

29 Thalictrum sachalinense Lecoy. エゾカラマツ 蝦夷唐松
 日本(北海道)、朝鮮、サハリン原産。やや湿った山地の向陽地や草原に生える
 高さ50~80㎝。茎には条線があり、よく分枝する。葉は2~3回3出複葉、側小葉に短い小葉柄があり、小葉の先は3浅裂する。花は葉の上に出る散房花序につき、白色。托葉は円形膜質で目立たず、小托も小さく目立たない。萼片は白色、早落性。痩果の集合果は金平糖状に固まってつく。痩果は柄が無く、明瞭なうねがあり、宿存する花柱は鈎状に曲がる。花期6~7月。

30 Thalictrum sekimotoanum Honda イワカラマツ 岩唐松
  synonym Thalictrum minus L. var. sekimotoanum (Honda) Kitam.
 日本固有種(本州の青森県、秋田県、宮城県、栃木県、長野県、四国の香川県)。別名はナツカラマツ。山地の日当たりのよい岩壁や礫地に生える。
 多年草。高さ(50~)80~100(150)㎝。全体に微腺毛が密生して粘り、独特の臭気がある。茎の上部はよく分枝する。葉は2~4回3出複葉で、茎、葉柄、小葉の両面には微腺毛を密生する。大型の円錐花序に多数の花を直立してつける。萼の外面、雄しべなどにも微腺毛が密生し、粘る。花弁はなく、花糸は黄緑色、糸状。果柄は長さ2~10㎜と短い。花期はアキカラマツより早く、6~7月。

31 Thalictrum sessile Hayata ニイタカカラマツ
 台湾原産。玉山唐松草 yu shan tang song cao
 Thalictrum javanicum Blumeの異名ともされている。Flora of Chinaには掲載されていない。

32 Thalictrum simplex L. ノカラマツ 野唐松 広義
 ユーラシアに広く分布。中国名は箭头唐松草 jian tou tang song cao。英名は small meadow rue。斜面、草原、湿った牧草地、岩棚に生える。
 高さ50~100㎝、無毛又は腺毛がある。茎は単純又は下部で分枝し、平滑。茎葉は直立、下部の茎葉は葉柄を含めて、長さ約20㎝。葉身は2回羽状複葉。小葉の葉身は楔形、狭楔形、円状菱形、広菱状卵形、又は倒卵形、長さ2~4㎝×幅1.4~4㎝、基部は狭楔形~円形、縁は3裂し、裂片は円鋸歯、先は円形、鈍形、又は鋭形、脈は下面に隆起する。上部の茎葉の葉身は小さく、小葉は楔状倒卵形、倒卵形、又は円形、基部は鈍形~楔形、先は鋭形。花序は円錐花序、長さ9~30㎝。花柄は長さ1~7㎜。萼片は4個、早落性、狭楕円形、長さ約2.2㎜。雄しべは約15本。花糸は糸状。葯は狭長円形、長さ約2㎜、先は微突形。心皮は3~6個。柱頭は広三角形。痩果は無柄、果体は狭卵形~狭楕円形、長さ約2㎜、脈は約8本。花期は7月。
32-1 Thalictrum simplex L. var. brevipes H.Hara ノカラマツ 野唐松
  synonym Thalictrum ussuriense Luferov 
 日本(本州の東北地方南部以南、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は短梗箭头唐松草 duan geng jian tou tang song cao 。日当たりのよい草地に生える。
 多年草。無毛。茎は高さ60~120㎝、稜があり分枝しない。茎葉は多く、1~2回3出複葉、小葉は広いくさび形、裂片は狭三角形、先は鋭形、下面は白色を帯びる。ときに、小托葉がある。花序は短い円錐形。花は黄緑色。花柄は長さ1~4(~5)㎜。痩果は2~6個つき、果体は紡錘形で隆起した8~10本の脈があり、柄はない。2n=28, 56

32-2 Thalictrum simplex L. var. simplex シベリアノカラマツ シベリア野唐松

 中国(内モンゴル、新疆ウイグル自治区)中央アジア、南西アジア、ヨーロッパに分布。中国名は箭头唐松草 jian tou tang song cao。斜面、湿った岩棚に生える。
 無毛。下部の茎葉は小葉の葉身が円状菱形~広菱状卵形~倒卵形、基部は円形、裂片は円鋸歯状、先は円形または鈍形。小花柄は長さ約7㎜。花期は7月。

33 Thalictrum sparsiflorum Turcz. ex Fisch., C.A.Mey. et Ave-Lall. ツリフネカラマツ 釣船唐松

 朝鮮、中国、ロシア、北アメリカ原産。中国名は散花唐松草 san hua tang song cao。マツ林、林縁、斜面に生える。
 高さ約90㎝、無毛。根は密にあり、長さ約10㎝。茎は枝分かれし、平滑。根生葉および下部の茎葉は花時に枯れる。茎葉は葉柄が長さ約3㎝。葉身は3~4回3出複葉、長さ6~9㎝。小葉は倒卵形または円形、長さ1.3~2㎝×幅1.2~1.8㎝、薄い草質、基部はうさび形~円形~ほぼ心形、縁は3裂し、裂片は円鋸歯があり、、先は短い鋭形、脈は両面とも平ら。花序は花が少数。小花柄は長さ0.5~1.5㎜、果時に長さ10~30㎜。萼片は白色、卵形、長さ2.5~3㎜。雄しべは10~15本。花糸は糸状。葯は卵形、長さ約1㎜、先は鈍形。心皮は4~7個。花柱は子房の長さと等しく、長さ約1㎜。痩果は柄が長さ2~3㎜、果体は斜めの倒卵形または半倒卵形、強く扁平、長さ約7㎜、脈は約3本。花期は6月。

34 Thalictrum squarrosum Stephan ex Willd. エダハリカラマツ
 中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は展枝唐松草 zhan zhi tang song cao。乾いた斜面、平原の草地、畑の縁に生える。
 高さ0.6~1.6m、無毛。茎は二分枝、溝がある。根生葉は花期に枯れる。茎葉は葉柄が長さ1~4㎝。 葉身は 2 または 3 羽状、8 ~ 18㎝。 小葉は長楕円形、くさび状倒卵形、広倒卵形又は輪状卵形、長さ0.8~2(~3.5)㎝×幅0.6~1.5(~2.6)㎝、紙質又は薄い革質、下面は粉白色、基部はくさび形~円形、縁は3裂し、裂片は全縁または2~3歯があり、先は鋭形、脈は両面で平ら。花序は円錐花序、二出分枝し、頂部は平ら。小花柄は細く、長さ1.5~3㎜。萼片は4個、落葉性、黄色で、緑色を帯び、狭卵形、約・長さ3㎜×幅0.8㎜。 雄しべは5~15本、長さ3~5㎜。花糸は糸状。葯は長さ約2.2㎜、先は微突形。心皮は1~3(~5)個。柱頭は矢じり形、長さ約0.6㎜。痩果は無柄、果体は狭倒卵形または紡錘形、長さ4~5.2㎜、脈は約8本、丈夫。花期は7~8月。

35 Thalictrum thalictroides (L.) A. J. Eames & B. Boivin  バイカカラマツ 梅花唐松

  synonym Anemonella thalictroides L.
 北アメリカ東部原産。英名はrue anemone , windflowe。
 根は黒色、塊根がある。茎は花茎、直立、高さ10~30㎝、無毛。葉は根生、葉柄は長さ10~30㎝。葉身は2回3出複葉。小葉は広卵形~倒卵形~ほぼ円形、先は3裂し、幅8~30㎜、表面は無毛。花序は散形花序又は花が単生、花が(1~)3~6個つく。総苞片は普通、3小葉、葉柄があり対生、又は無柄で小葉は6個の葉柄のある葉の輪をもち、他は根生葉と同じ。萼片は5~10(普通5)個、花弁状、早落性でなく、白色~帯ピンク色、華やかで、楕円形~倒卵形、長さ5~8㎜、雄しべより長い。雄しべは多数、緑黄色、花糸は狭いこん棒形、長さ3~4㎜。葯は長さ0.4~0.7㎜。痩果は(4~)8~12(~15)個、短い柄があり、柄は長さ.0.1~0.4㎜、果体は卵形~紡錘形、長さ3~4.5㎜、8~10脈が目立つ。花期は4~5月。
品種) 'Cameo' , 'Double White' , 'Flore Pleno' , 'Green Hurricane' , 'Jade Feather' , 'Kikuzaki Pink' , 'Kikuzaki White' , 'Lloyd's Big Bloomers' , 'Pink Pearl' , 'Rosea Plena' , 'Schoaff's Double Pink' , 'Snowball' , 'Tairin'

36 Thalictrum toyamae Ohwi et Hatus. ヒレフリカラマツ 領布振唐松
 日本固有種(佐賀県、長崎県)。山地の岩上に生える。佐賀県産の方が大きく、花期が早い。
 多年草10~30㎝。全体が小型。葉は1~3個、根生し、2~3回3出複葉。小葉は長さ2~3㎝、広倒卵状菱形~広卵形、下面は緑白色、先は円形、縁には大きな円鋸歯がある。散房花序に花がまばらにつく。花は白色、直径約1㎝弱。萼片は白色、花時にも落ちずに残る。痩果は5~10個、柄は長さ0.8~1.3㎜、果体は紡錘形、長さ2.3~2.7㎜、扁平で側面に1~3脈がある。宿存する花柱は長さ2~2.3㎜。 花期は4~5(6)月

37 Thalictrum tuberiferum Maxim. ミヤマカラマツ 深山唐松
  synonym Thalictrum japonicum Matsum. et Nakai 
  synonym Thalictrum tuberiferum Maxim. var. pubescens Honda 
  synonym Thalictrum filamentosum Maxim. var. tenerum (H.Boissieu) Ohwi

  synonym Thalictrum filamentosum Maxim. var. glabrescens (Honda) Tamura

  synonym Thalictrum filamentosum auct. non Maxim.

  synonym Thalictrum filamentosum Maxim. var. tenerum (H.Boissieu) Ohwi f. pubescens Tamura

  synonym Thalictrum punctatum H.Lev. タンナカラマツ
  synonym Thalictrum fauriei H.Lev. & Vaniot
 日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は深山唐松草 shen shan tang song cao 。 雄しべの花糸の先の幅がカラマツソウより広く、雌しべの柄が白色であり、雄しべと見分けにくい。葉柄の基部に托葉はない。
 高さ50~70㎝、無毛。根は塊茎がある。茎は分枝し、平滑。根生葉は1個、長さ25~30㎝。葉柄は長さ11~19㎝。葉身は3回3出複葉、長さ13~23㎝。小葉は葉身が卵形~菱状楕円形、長さ4~4.5㎝×幅約3.5㎝、草質、基部は円形~類心形、先は3裂し、脈は下面に隆起する。 茎葉は2個、対生し、長さ3.5~6㎝、葉身は3回3出複葉。花序は円錐花序。苞は3出。萼は早落性、楕円形、長さ約2㎜。花糸は基部が糸状、先は倒披針形、幅は葯の約3倍。葯は卵形、長さ約0.5㎜。心皮は3~5個。花柱は無い。柱頭は頭状、小さい。痩果は柄があり、柄は長さ約1.6㎜。果体は斜めの狭楕円形、長さ約3.5㎜。花期は6~7月。

37-1 Thalictrum tuberiferum Maxim. f. lavanduliflorum Kadota フジイロミヤマカラマツ

37-2 Thalictrum tuberiferum Maxim. var. yakusimense (Koidz.) Emura ヤクシマカラマツ 屋久島唐松

  synonym Thalictrum filamentosum Maxim. var. yakusimense (Koidz.) Tamura

  synonym Thalictrum yakusimense Koidz. 
 屋久島に分布。山地の林縁に生える。
 全体に小型で、高さ10~15㎝。葉は3小葉か、基部は円形。花は小数つき、淡紅色を帯び、直径5~8㎜。花期は7~9月。

38 Thalictrum tuberosum L. タリクトルム・チューベロースム
 フランス、スペイン原産。英名はTuberous-rooted meadow rue。乾いた岩場に生える。
 多年草、高さ30~40㎝。葉は落葉性、互生し、3回羽状複葉、青緑色。小葉は小葉柄があり、倒卵形、円鋸歯がある。花序は円錐花序。花は白色、5弁花、直径20~35㎜。果実は痩果。花期は6~7月。
品種)  'Rosie Hardy' , 'Rosy Hardy'

39 Thalictrum uchiyamae Nakai ムラサキカラマツ 紫唐松
 九州(対馬、平戸島)、朝鮮原産。別名はチョウセンカラマツ。岩礫地や疎林内のやや乾燥した場所に生える。
 高さ15~40㎝。茎は直立し、上部で1~2回分枝し、無毛。根出葉は1枚つき、2~4回3出複葉。葉柄は長さ10~20㎝。小葉は倒卵形~広倒卵形、長さ1.5~3㎝×幅1.5~3㎝、基部は円形~ややくさび形、縁は粗い鋸歯があり、先は円形~鈍形。花序は散房花序、花が5~6個つく。花は直径1.5~5㎝。小花柄は長さ3~5㎜。花弁はなく、萼片は濃紫色、倒卵形、長さ2~3㎜、早落性。雄しべは長さ3~5㎜。葯は白色、長さ約0.6㎜。花糸は根棒形、花糸より幅が広い。葯隔は突出しない。痩果は2~3個つき、柄は長さ約2㎜、果体は紡錘形、扁平、長さ約4mm、3脈があり、開出する。花期は5~6月。

40 Thalictrum ujiinsulare Hatus. ウジカラマツソウ 宇治唐松草
 日本固有種(九州、鹿児島県宇治群島)。
 本種は花柱が長くなるグループ、肥前黒髪山のヒレフリカラマツ(Thalictrum toyamae)、台湾のミヤマカラマツThalictrum fauriei Hei=Thalictrum tuberiferum Maxim. 中国のトウハスノハカラマツT.ichangese Lecoy ex Oliv.などに近縁であるが、草丈が50㎝にもなり、葉は葉柄を含めて50㎝に達し、3~5回3出複葉で下面は粉白色でなく、緑色である点で直に区別できる。ミヤマカラマツとは葉が大きく、小葉は広倒卵状楔形又は円状菱形で基部は楔形、先端は3裂し、下面は灰白色とならず、痩果の花柱は長さ1.2㎜と長い点で区別できる。(参考7)痩果は8~11個集合してつき、柄は長さ2~3㎜。果体は紡錘形~長円形、長さ7~8㎜、6うねがあり、宿存する花柱は長さ1.2㎜。

41 Thalictrum urbainii Hayata タカサゴカラマツ 高砂唐松
 台湾原産。中国名は台湾唐松草 tai wan tang song cao。山地に生える。
 高さ10~70㎝、無毛。茎は2本または3本、単生または先端で少数、枝分かれし、平滑。根生葉は多数。葉身は2回3出複葉。小葉の葉身は菱状円形、長さ0.4~1㎝×幅0.4~1㎝、革質、基部はくさび形又は円形、先は円形、3裂し、裂片は全縁または1または2円鋸歯があり、脈は下面に不明瞭に隆起する。茎葉は1~2枚つき、小さい。花序は単出、花数は少ない。花は直径1~3㎝。小花柄は長さ1~1.6㎜。萼片は4~6個、早落性、狭楕円形~倒卵形、長さ3~15㎜×幅1.5~8㎜。雄しべは長さ約4.3mm。花糸は基部が糸状、長さ約4㎜、先は倒披針形、幅は葯の幅の約3.5倍。葯は楕円形、先は鈍形。心皮は11~17個。花柱は短い。痩果は柄が長さ約1.8㎜、果体は紡錘形、扁平、長さ4~6㎜、脈は約6本、弱い。花期は5月。
品種)  'Taiwan Baika Pink' , 'Taiwan Baika'
41-1 Thalictrum urbainii var. urbainii
  synonym Thalictrum fauriei Hayata
 中国名は台湾唐松草 tai wan tang song cao。
 高さ10~40㎝。花は直径約1㎝。萼片は4個、長さ3~3.5㎜×幅1.5~2㎜。花期は5月。

41-2 Thalictrum urbainii var. majus T. Shimizu, オオタカサゴカラマツ 大高砂唐松

 中国名は大花台湾唐松草 da hua tai wan tang song cao。
 高さ(10~) 20~70㎝。花は直径2~3㎝。萼片はしばしば6個、長さ8~15mm×幅3~8㎜。

42 Thalictrum watanabei Yatabe タマカラマツ 玉唐松
  synonym Thalictrum filamentosum Maxim. var. watanabei (Yatabe) Kitam
 日本固有種(本州の近畿地方、四国、九州)。山地の林内に生える。
多年草。高さ20~30cm。茎は細く円柱形、平滑。托葉はない。葉は長い葉柄があり、無毛、1~2回3出複葉。小葉は小葉柄があり、葉身はほぼ円形、幅1.5㎝、周囲に数個の浅い鋸歯があり、葉裏は淡緑色。花は白色の雄しべが目立ち、直径約8㎜、雌しべは隠れて見えない。雄しべは白色、線状倒披針形、花糸の幅は葯とが同じか少し細い。葯隔は突出しない。痩果は柄が細く長さ約2㎜、果体は披針形、長さ約3㎜、扁平で両面に3本ずつのうねがあり、花柱はごく短く、曲がらない。花期は6~8月。

43 ハイブリッド
(1) Thalictrum x karuizawaense Emura カルイザワカラマツ
 アキカラマツ×ノカラマツ
(2) その他ハイブリッド
品種) 'Amelia' , 'Anne' (PBR) , 'Black Stockings' , 'Blizzard' , 'Braveheart' , Chantilly Lace = 'Mactha002' , 'Charlotte' , 'Elin' , 'Evening Star Strain' , 'Fr21034' (PBR) , 'Heronswood Form' , 'Illusion' , 'Little Pinkie' (Censation Series) , 'Mactha002' , Nimbus Pink = 'Tntnp' (Nimbus Series) , Nimbus White = 'Tntnw' (Nimbus Series) , 'Nishiki' , 'Oscar Schoaff' , 'Pink Mist' , 'Purity' , 'Purplelicious' , 'Roy Elliott' , 'Splendide' , Splendide White = 'Fr21034' (PBR) , 'Tntnp' , 'Tntnw' , 'True Blue' , 'Tukker Princess' , Ucb 91.0215 , Ucb 91.0343 , 'Ulrike' , 'Yubari' , 'Yubari Mountains' , 'Yulia'

参考

1) Flora of China
 Thalictrum  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=132688
2) Jepson eFlora: Taxon page
 Thalictrum  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30001524-2
3)Flora of North America
 Thalictrum  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=133299
4)植物研究雑誌Journ.Jap.Bot.Vol.36 No.1 p61(1961)
 北川政夫 . 東亜植物断想録(13) 満鮮産カラマツソウ属植物のニ,三について
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_036_17_23.pdf
5)植物研究雑誌第80巻第6号 J. Jpn. Bot.80(6):343-348(2005)
 門田裕一:日本産カラマツソウ属(キンポウゲ科)の一新種,タイシャクカラマツ  
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_080_343_348.pdf
6)植物研究雑誌第86巻第2号J. Jpn. Bot. 86(2): 63–67 (2011)
 広島県産カラマツソウ属(キンポウゲ科)の1新種,シロカネカラマツ  
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_086_063_067.pdf
7) 植物地理・分類研究第35巻第1号(1987)
 初島住彦 九州産カラマツソウ属の一新種
8) 植物地理・分類研究第41巻第2号(1993)
千々布義朗 ヒレフリカラマツの新産地
9)唐松草属_百度百科
 东亚唐松草  
https://baike.baidu.com/item/%E5%94%90%E6%9D%BE%E8%8D%89%E5%B1%9E/3002374?fromtitle=Thalictrum&fromid=11318558
10)Shokubutsugaku Zasshi 56(661), 14-18, 1942 The Botanical Society of Japan
 日本植物新報知 XLVL  Nuntia ad Floram Japoniae XLVI  
https://ci.nii.ac.jp/naid/130004211897/