イナモリソウ 稲森草

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Flora of Mikawa

アカネ科 Rubiaceae イナモリソウ属

学 名 Pseudopyxis depressa Miq.
イナモリソウの花①型
イナモリソウの花②型
イナモリソウの花横
イナモリソウの萼
イナモリソウ茎
イナモリソウ果実
イナモリソウ蓋の取れた果実
イナモリソウ
イナモリソウ2
イナモリソウ葉
イナモリソウ種子
花 期 5~6月
高 さ 3~10㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の林縁
分 布 在来種(日本固有種) 本州(関東地方以西)、四国、九州
撮 影 静岡県 14.6.2(花)
      14.8.29(果実)
根茎は細く、地中を這う。茎は高さ3~10㎝、全体に毛が密生する。葉は対生し、2~3対つき、長さ2~6㎝、幅1.5~4㎝の卵形~三角状卵形、両面に白色の毛がある。葉柄は長さ3~10㎜、上向きの屈毛がある。花は淡紅紫色、茎頂部に1~2個つく。花冠は長さ2~3㎝、直径2~3㎝の筒状漏斗形、先は5(まれに6)裂して平開し、先端は円頭~鈍頭、切れ込んだ三角状の尖りがあり、縁が波打ち、筒部の内側に白毛がある。花には2型ある。①雌しべが短く、雄しべが雌しべより上部につく型。②雌しべが長く、雄しべが雌しべの下部につく型。雄しべは5個、花糸は白色。雌しべは1個、柱頭は5裂する。子房下位。果実は蓋果、果実が上向きになり、種子が4個程度入り、萼片が残る。種子は黒褐色、長さ1.5~1.8㎜、鈍い3稜のある卵形、表面に縦条がある。
 シロバナイナモリソウ Pseudopyxis heterophylla は花期が8~9月。根茎が木質化する。茎には2列に毛がある。葉は長さ2~6㎝、卵形~三角状卵形、濃緑色、葉柄がある。茎上部の葉腋に1~3個の花序をつける。花は白色、花冠は長さ8~10㎜、先が5裂し、尖る。花冠内側は無毛。雄しべは花冠から突き出し、葯が白く、花糸も白い。蒴果はやや下向きになり、萼片が反り返る。

イナモリソウ属

  family Rubiaceae - genus Pseudopyxis

 多年草、低く、刺は無く、根茎があり、ときに、不快臭がある。束晶(raphide)がある。葉は対生、ときに最下の対は前葉(prophylls)になり、ダニ室は無い。托葉は宿存し、葉柄間につき、葉柄に融合し、三角形又は3(又は5)裂し、しばしば歯に腺がある。花序は頂生及び最上部の葉腋につき(又は葉状の苞に抱かれ)、2~数個の花が束生し、ときに花が1個つく。花序柄は有又は無。苞は有又は減じる。花は花序柄があるか又は花柄があり、両性、見たところ、単型。萼の拡大部は5深裂し、普通、網状脈が著しく、萼片はしばしば不等長。花冠は白色又は紫赤色、細い筒状漏斗形~高杯形、内側は無毛又はのど部に軟毛があり、花冠裂片は5個、蕾では敷石状に内巻(valvate-induplicate)。雄しべは5個、花冠筒部につき、突き出ない~突き出る。花糸は短いかよく発達する。葯は背着。子房は4~5室。胚珠は各室に1個、基部の胎座に倒生。柱頭は2、4、又は5個、突き出る。果実は蒴果、倒円錐形~半球形、紙質、先の蓋が全体に裂開し又は蓋(operculum)は宿存する咢の拡大部の中にあり、花柄は後屈する。種子は3~5個、倒卵形、縦に溝がある(又は束晶を含む多数の縦の異型細胞をもつ。)
 世界に3種あり、日本、中国に分布する。

イナモリソウ属の種

1 Pseudopyxis depressa Miq. イナモリソウ 稲森草
 日本固有種(本州の関東地方以西、四国、九州)
 多年草、高さ3~10㎝。根茎は細く、地中を這う。茎は高さ3~10㎝、全体に毛が密生する。葉は対生し、2~3対つき、長さ2~6㎝、幅1.5~4㎝の卵形~三角状卵形、両面に白色の毛がある。葉柄は長さ3~10㎜、上向きの屈毛がある。花は淡紅紫色、茎頂部に1~2個つく。花冠は長さ2~3㎝、直径2~3㎝の筒状漏斗形、先は5(まれに6)裂して平開し、先端は円頭~鈍頭、切れ込んだ三角状の尖りがあり、縁が波打ち、筒部の内側に白毛がある。花には2型ある。①雌しべが短く、雄しべが雌しべより上部につく型。②雌しべが長く、雄しべが雌しべの下部につく型。雄しべは5個、花糸は白色。雌しべは1個、柱頭は5裂する。子房下位。 果実は蓋果、果実が上向きになり、種子が4個程度入り、萼片が残る。種子は黒褐色、長さ1.5~1.8㎜、鈍い3稜のある卵形、表面に縦条がある。花期は5~6月。
1-1 Pseudopyxis depressa Miq. f. angustiloba (Makino) H.Hara ホシザキイナモリソウ 星咲稲森草
 花冠裂片の縁が内側に巻き込んで細くなり、花が星型に見える。
1-2 Pseudopyxis depressa Miq. f. variegata (Makino) H.Hara フイリイナモリソウ 斑入稲森草
 葉に淡色の斑が入る。

2 Pseudopyxis heterophylla (Miq.) Maxim. シロバナイナモリソウ 白花稲森草
 日本固有種(本州の関東地方南部~中部地方、近畿地方の太平洋岸)。山地の木陰に生える。
 多年草。高さ15~20㎝。根茎は木質化する。茎には2列に毛がある。葉は対生し、長さ2~6㎝、卵形~三角状卵形、濃緑色、葉柄がある。茎上部の葉腋に1~3個の花序をつける。花は白色、花冠は長さ8~10㎜、先が5裂し、尖る。花冠内側は無毛。雄しべは5個、花冠から突き出し、葯が白く、花糸も白い。蒴果はやや下向きになり、萼片が反り返る。花期は(7)8~9月。

3 Pseudopyxis monilirhizoma Tao Chen
 中国(浙江省龍泉市)原産。中国名は胀节假盖果草 zhang jie jia gai guo cao 。標高1400~1600mの森林の下層の岩の隙間や川岸の湿った場所に生える。
 多年草、高さ10cmまで、悪臭を放つ。根茎はまばらに枝分かれし、節は塊状で著しく肥大し、節間は通常2㎝以上ある。茎は4稜形、葉柄間の2列の密な微細剛毛(hirtellous)または微直軟毛(pilosulous)を除いて無毛。葉は2~3対つき、葉柄は長さ0.3~2㎝、無毛または下面に密な微直軟毛がある。葉身は乾くと膜質、三角状卵形、長さ0.8~4.5㎝×幅0.6~3.5㎝、両面にまばらに小剛毛(hispidulous)があり、基部は楔形~切形、縁は全縁または縁毛があり、先は鋭形または鈍形。二次脈は4~5対。托葉は長さ約0.5㎜。花序は花が2~6個つく。花序柄は長さ2~4㎜、微軟毛(puberulent)がある。萼は小剛毛が線状に並ぶ。花托筒部分は倒円錐形で、縦のうねがあり、長さ約1mm、裂片は卵形~卵状披針形、長さ約2㎜。花冠は白色またはピンク色で、高盆形(salverform)、外側は無毛で、筒内と裂片の内側には微直軟毛がある。花冠筒部は長さ約5㎜、花冠裂片は披針形または狭楕円状長円形、長さ約4mm、鋭形~ほぼ鋭形。蒴果は倒円錐形、サイズは記載されていない。種子は長さ約1.2㎜。花期は6~8月。果期は8~10月。

参考

1) Flora of China
  Pseudopyxis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=127212
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Pseudopyxis
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:35204-1