ホタルイ  蛍藺
[中国名] 细秆萤蔺 xi gan ying lin
[学名] Schoenoplectiella hotarui (Ohwi) J.D.Jung et H.K.Choi
Schoenoplectus hotarui (Ohwi) Holub
Scirpus juncoides Roxb. subsp. hotarui (Ohwi) T.Koyama
Scirpus juncoides Roxb. var. hotarui (Ohwi) Ohwi
カヤツリグサ科  Cyperaceae  ホソガタホタルイ属
三河の植物観察
ホタルイの小穂3
ホタルイの小穂
ホタルイの果実
ホタルイ
ホタルイ柱頭
 旧ホタルイ属はホソガタホタルイ属とフトイ属に分けられた。
 茎は叢生し、断面は丸く、稜ははっきりしない。小穂は茎の先に3~5個つくが、苞が茎につながってつくため、茎の途中についているように見える。小穂は長さ6~14㎜の卵形、先はあまり尖らない。鱗片は長さ3~4.5㎜、円形に近い。果実は広倒卵形、横断面は扁平な3稜形。果実は長さ2~2.5㎜、熟すと黒褐色になる。刺針状花被片は鋭い下向きの刺があり、果実とほぼ同じ長さ。柱頭は3個(岐)が特徴である。
 イヌホタルイは茎に稜があり、小穂が細長く、先が尖る。柱頭は2個が普通で、3個の場合は真ん中の1本が短い。
[果期] 7~9月
[草丈] 30~40㎝
[生活型] 1年草
[生育場所] 湿地
[分布] 在来種  日本全土、朝鮮、中国、ロシア、ミャンマー
[撮影] 豊田市 07.9.2

 ホソガタホタルイ属

  family Cyperaceae - genus Schoenoplectiella

 1年草又は多年草、葉は有又は無。稈は花茎又はほぼ花茎、基部の上に節は有又は無。葉は普通、鞘に退化する。苞葉(総苞片)は葉状、広がり、又は普通、茎状で茎と同方向につき、横の隔壁は有又は無。花序は一見すると密な側生であるが、実際は小数~多数の小穂が束生し、頂生であり、それほど頻繁ではないが より開いたイグサ形花序になる。小穂は無柄、螺旋状につく苞穎に抱かれた多数の両性の花をもつ。花被の剛毛は無又は有、ひげのあるか又は平滑な針状の剛毛、又はより扁平で羽毛状である。雄しべは普通、3本。花糸はしばしば宿存する。花柱は2~3岐。小堅果は倒卵形~球形、普通、微突頭、平滑又はうねがあり、表皮細胞は狭楕円形~線形、縦方向に長くなる。
 世界に約52種あり、全世界に分布する。
 ホソガタホタルイ属( Schoenoplectiella)は最近、分子系統解析による研究結果からホタルイ属(Schoenoplectus)から分離された属である (Hayasaka 2012 , Shiels & Monfils 2012 , Derk R. Shiels et al. 2014)。残りのホタルイ属はフトイ属(Schoenoplectus)とされた。
 ホソガタホタルイ属はホソガタホ タルイ節 sect. Schoenoplectiella(主にアフリカに 分布)とカンガレイ節 sect. Actaeogetonで構成さ れる(Hayasaka 2012)。日本ではカンガレイ節に属する約10種が確認されている。カンガレイ節は茎の途中に葉がつかないのが特徴。

 ホソガタホタルイ属の主な種

 1  Schoenoplectiella gemmifera (C.Sato & al.) Hayas ハタベカンガレイ 端辺寒枯藺
   synonym Schoenoplectusgemmifer C.Sato, T.Maeda & Uchino
 日本(栃木県以西の本州、四国、九州)、朝鮮原産。カンガレイと混同されてきたが、2004年に新種として記載された。湿地、河川、溜池などに生え、通常、流水中に生じる。端辺は熊本県阿蘇山北外輪山地域の総称。この種はヒメカンガレイS. mucronatus (L.) PallaとカンガレイS.triangulatus (Roxb.) Sojakに類似するが、①)柱頭の多くが2本であり、②流水中に浮遊する稗の先端部からしばしば無性芽を生じ、③稈先端部の無性芽および根茎上の束生葉に葉身のある葉を生じ、④流水域に生育し常緑性である点で異なる。(参考9).
 多年草。常緑性、稈の先端からしばしば無性芽を生じる。緩やかな流水中の止水型では線形葉も無性芽もつけない。
 多年草。根茎は短く、水平又は斜上、まれに直立、ときに分枝する。稈は抽水のときに直立、又はしばしば流水に浮かび、密又は緩く叢生し、不規則にきつく並び、角(かど)は鋭く、面は凹面、濃緑色~黄緑色、高さ40~100[130]㎝×中間の太さ3~8㎜、基部の上に節は無く、浮遊するものは、先に頻繁に芽(無性芽)をつける。根生葉は普通、葉身の無い鞘に退化し、2~3個、ときに若い稈に4~6個、膜質、最も下の鞘は鱗片状又は閉じ、淡黒黄色形淡黒褐色、長さ8~18㎜、次の鞘は閉じ、きつく稈を取り囲み又はときに口部で緩くなる。最も上の鞘は閉じ、きつく稈を取り囲み、長さ14㎝以下、最下部の鞘の口部以外は斜め、鋭形又は円形で先端に微突起があり、白色を帯びた淡緑色~緑色。根茎の上や浮遊する稈の先に束生する葉は6~12個、線形、長さ15~55㎝×基部の幅1~3㎜、平らになり、ぐにゃぐにゃで、薄緑色~濃緑色、水中に沈み、多少浮かぶ。花序は偽側生、1個の頭状花序で、3~11個の小穂が放射状につき、幅1~2.5㎝。苞葉(involucral bract)は単生、稈状、3稜形、角(かど)は鋭く、面は凹面、直立又は果時に基部で斜めに曲がり、長さ1.8~7㎝、ときに前に浅く1溝があり、尖った先に向かって幅が狭くなる。小穂は無柄、卵形~狭卵形、ときに不明瞭な角(かど)があり、長さ7~15㎜×幅3~7㎜、基部は丸く、先は鋭形~鈍形、花が密に多数つく。苞穎は卵形~楕円形、厚い膜質、舟形、長さ3.5~5.2㎜×幅1.7~3.2㎜、黄緑色、又は後に黄褐色になり、かすかに多数の脈があり、中肋は新緑色~黄緑色、先は全縁、円形又は類鋭形、短い緑色の微突起がある。雄しべは3本。花糸は平らになり、リボン状。葯は狭長円形、長さ1.0~1.9㎜(主に1.2~1.7㎜)、薄黄色。葯隔の先は鋭形。花柱は真っすぐ、細く、扁平、長さ1.3~3.1㎜。柱頭はほとんどが2個まれに3個、糸状、微細なパピラがある。花被片は3~8(主に5~7)[6~7の報告もある]本、剛毛状、長さ2~3㎜、小堅果よりわずかに長いかほとんど同長[長さが痩果の1.5~1.7倍長の報告もある]、黄褐色、後ろ向きの小刺がある。小堅果は広倒卵形、不等の両凸レンズ形又はときに平凸レンズ形、長さ1.7~2.6㎜×幅1.2~2.1㎜、熟すと黒褐色、光沢があり、横の小しわがあり、基部は楔形、先は円形で急に収縮し、嘴がある。(参考9)

 2  Schoenoplectiella hondoensis (Ohwi) Hayas  ミヤマホタルイ 深山蛍藺
   synonym Schoenoplectus hondoensis. (Ohwi) Sojak
   synonym Scirpus hondoensis Ohwi
 日本固有種(本州の中部地方以北)。山地~亜高山の池沼や高層湿原の浅水中に生える。
 根茎は短く這う。高さ30~40㎝。稈はまばらに叢生し、円柱形、基部の鞘は膜質で、口部は斜めの切形。葉は鞘状。花序は偽側生の頭状花序、稈頂に1~5個の小穂を頭状につけ、花序の基部から1個の苞葉(総苞片)が直立し、花序が側生のように見える。苞葉は果時に直立し、長さ2.5~9㎝。小穂は緑褐色、卵形~広卵形、長さ4~8㎜、鈍頭。鱗片は広卵形、長さ3~4㎜、中央は緑色、その両側は帯褐色、円頭で微突頭。刺針状花被片は5~6個、痩果の長さの約1.5倍。痩果は広倒卵形、長さ約1..5㎜、偏3稜形だがほとんどレンズ形。花期は7~9月。

 3  Schoenoplectiella hotarui (Ohwi) J.D.Jung et H.K.Choi ホタルイ 蛍藺
   synonym Schoenoplectus hotarui (Ohwi) Holub  [The Plant List]
   synonym Schoenoplectus hotarui (Ohwi) T. Koyama [Flora of China]
   synonym Scirpus hotarui Ohwi
   synonym Schoenoplectus juncoides (Roxburgh) Palla subsp. hotarui (Ohwi) Sojak
   synonym Scirpus juncoides Roxburgh var. hotarui (Ohwi) Ohwi.
 日本、朝鮮、中国、ミャンマー、ロシア原産。中国名は细秆萤蔺 xi gan ying lin 。湿った場所に生える。
 1年草、根はひげ根。稈は叢生、高さ13~40㎝×太さ0.7~1㎜、円柱形、細く、堅く、光沢があり、基部は被われ、約3個の葉身の無い鞘がある。苞葉は直立。花序は偽側生の頭状花序、1~3(~ 4)個の小穂をもつ。小穂は卵形、長さ6~14㎜×幅4~6㎜、先は鋭形。苞穎は卵状円形、長さ3~4.5㎜、緑色の肋の両側は褐色を帯び、先は円形。花被の剛毛は6本、小堅果の長さの約1.5倍。柱頭は3個。小堅果は熟すと帯黒色、広卵状円形、長さ2~2.5㎜、3稜形、横向きの小じわがある。は2n = 42(静岡県 , 岡山県 , 広島県 2005) , 2n = 44(北海道 , 宮城県 , 京都府 , 広島県 1979 , 2005 , 2010)

 4  Schoenoplectiella juncoides (Roxb.) Lye イヌホタルイ 犬蛍藺
   synonym Schoenoplectus juncoides (Roxb.) Palla [Flora of China]
   synonym Schoenoplectus juncoides subsp. ohwianus (T.Koyama) Sojak
   synonym Schoenoplectus ohwianus (T.Koyama) Holub
   synonym Scirpus juncoides Roxb.
 日本、朝鮮、中国、台湾、インド、ブータン、ナパール、カシミール、スリランカ、パキスタン、タジキスタン、ウズベキスタン、タイ、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、南西アジア、オーストラリア、インド洋諸島、マダガスカル、太平洋諸島原産。中国名は萤蔺 ying lin 。英名はrock bulrush。湿った場所、水田の縁に生える。
 1年草。根は多数、ひげ根。根茎は短い。稈は叢生、高さ18~70㎝×太さ1.5~7㎜、わずかに硬く、光沢が無く、鈍く~かすかに数稜(5~6)稜があり、平滑、基部が被われ、2~3個の葉身の無い葉鞘がある。葉鞘は淡緑色、長さ5~15㎝、微突形の口部は斜めの切形。苞葉は1個、直立、淡緑色、稈状、長さ3~15㎝。花序は偽側生の頭状花序、(2~)3~5(~9)個の小穂をもつ。小穂は褐色~淡褐色、長円状卵形、長さ8~17㎜×幅3.5~5㎜、多数の花がある。苞穎は褐色又は褐色で褐色の線があり、広卵形~卵形、長さ3~4㎜×幅1.8~2㎜、膜質、先は3脈をもち、緑色の肋は突き出し、微突起になる。花被の剛毛は5~6本、小堅果と同長又は短く、基部を除いて後ろ向きのザラつきがある。雄しべは3本。葯は長円形、葯隔の先は葯を超えて明瞭。花柱は長さ2~2.2㎜。柱頭は2個(又は1個が短く3個、まれに3個もある)。小堅果は熟すと暗褐色、広倒卵形~倒卵形、長さ約2㎜、平凸面レンズ形、不明瞭な横の小しわがあり、光沢がある。花期と果期は8~11月。2n = 74 , 76。

 5  Schoenoplectiella komarovii (Roshev.) J.Jung & H.K.Choi  コホタルイ 小蛍藺
   synonym Schoenoplectus komarovii Ohwi
   synonym Schoenoplectus komarovii (Roshev.) Sojak [Flora of China]
   synonym Scirpus hondoensis var. leiocarpus (Kom.) Ohwi
 日本(北海道、本州の近畿地方以北)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は吉林水葱 ji lin shui cong 。沼地、湿った場所、水田に生える。
 1年草又は多年草。根茎はごく短い。稈は叢生し、高さ10~50㎝、円柱形、平滑、基部は2~3個の葉身の無い鞘で被われる。葉鞘は緑色、長さ1~10㎝、基部はやや淡褐色、口部は斜めの切形。苞葉は稈状、長さ8~18㎝、基部はわずかに広がる。花序は偽側生の頭状花序、小穂を2~10個又はそれ以上もつ。小穂は無柄、卵形~長円状卵形、長さ4~7(~10)㎜×幅2~3㎜、花が多数つく。苞穎は淡褐色、暗褐色の線をもち、長円形、長さ約2㎜、膜質、脈は不明瞭、緑色の1脈の肋が円い先に突き出して微突起になる。花被の剛毛は4本、小堅果の長さとほぼ同長[日本:花被の剛毛は4~5本、小堅果の長さの1.5倍以上]、後ろ向きにザラつく。雄しべは3本。葯は狭卵形、短い。葯隔の先は葯をわずかに明瞭に超える。花柱は長い。柱頭は2個。小堅果は黒褐色、広倒卵形、長さ1~1.5㎜、扁平な両凸レンズ形、不明瞭な横の小しわがあり、光沢がある。花期と果期は6~10月。2n=38[日本]

 6  Schoenoplectiella lineolata  (Franch. et Sav.) J.D.Jung et H.K.Choi ヒメホタルイ 姫蛍藺
   synonym Schoenoplectus lineolatus (Franch. et Sav.) T. Koyama
   synonym Scirpus lineolatus Franch. et Sav.
 日本(北海道、本州、四国、九州、沖縄)、中国、台湾、ロシア原産。中国名は细匍匐茎水葱 xi pu fu jing shui cong 。砂質の土質を好み、海抜近くの湿地に生える。まれに水田にも生える。
 根茎は這い、長くて細い[秋に越冬芽をつくる]。稈は根茎の節から単生、上部に1列につき、暗緑色、高さ7~35㎝×太さ0.8~1.2㎜、円柱形、中実、基部は1~2個の葉身の無い短い葉鞘で被われる。葉鞘は淡褐色、長さ1~5㎝、膜質、透明、口部は斜めの切形。苞葉は1個、直立し、稈状、先は錐形。花序は通常、1個[まれに2~3個]の偽側生の小穂。小穂は無柄、緑色を帯びたわら色、長円形~広卵形~狭卵形、長さ4~6㎜×幅2~3㎜、花が多数、密につく。苞穎は淡黄色、いくつかの褐色の線をもち、長円形~楕円形、長さ4~4.5㎜×幅1.8~2㎜、膜質、竜骨は緑色、縁は白色、透明、先は鋭形~鈍形。花被の剛毛は4~5本、小堅果の長さの2倍以下[2倍長]。雄しべは2~3本。葯は線形、長さ約2.5㎜。花柱は長さ4~5㎜。柱頭は2個。小堅果は黒色[黒褐色]、倒卵形[広卵形]~楕円形、長さ1.7~2.2㎜×幅1.2~1.8㎜、平凸レンズ形[両凸レンズ形]、光沢がある。花期と果期は7~10月。2n = ca. 60[2n = 72]。 [ ]内は日本産。
6-1 Schoenoplectiella lineolata f. achenes  コツブヒメホタルイ 小粒姫蛍藺
 花被の剛毛が痕跡的か又は全く無いもの。

 7  Schoenoplectiella mucronata (L.) J. Jung & H. K. Choi  ヒメカンガレイ 姫寒枯藺
   synonym Schoenoplectus mucronatus (L.) Palla
   synonym Schoenoplectiella mucronata var. mucronata
 日本、インド、パキスタン、マレーシア、ヨーロッパ中部~南部、アフリカ、オーストラリア、マダガスカル原産。カリフォルニアで水田雑草として見られる。日当たりのよい湿地、溜池、湖沼などに生える。
 多年草。 根茎は短く横に這い、匐枝はない。茎は叢生、高さ40~80㎝、3稜形、質はやや柔らかく折れ曲がりやすく、縁は平滑。 花序は偽側生の頭状花序、無柄の小穂が3~13個つく。苞葉は直立又は斜上、長さ1~5㎝。小穂は卵形、長さ6~15㎜。鱗片(苞穎)は卵形、長さ2.2~3.8㎜、舟形、鋭頭。葯は線形、長さ0.9~1.7㎜。 痩果は倒卵形~広倒卵形、長さ1.5~2.5㎜、偏3稜形、中央の稜は著しく盛り上がり、表面には明瞭な横しわがある。 花被片(花被の剛毛)は6本、長さは痩果よりやや短~やや長(比075~1.40)、下向きの小刺がある。柱頭は3個。

 多年草は短い根茎をもち、あるいは1年草、根は小さく、小さく叢生し、高さ30~70㎝。茎は直径2~5㎜、鋭い3稜形、緑色~灰緑色、縁は平滑。鞘は2個、下側の鞘は長さ25㎜以下、上側の鞘は長さ10㎝以下又はそれ以上、緑色、口部は斜め、広く薄膜質。葉舌がある。葉身は微突起に退化。花序は6~15個たまに1~3個の無柄の小穂の球形の集団に密集し、直径約20㎜以下になる。最下の苞葉は目立ち、長さ10㎝以下又はそれ以上、初め直立、後に反曲、鋭い3稜形、平滑、上面は凹面、先は鈍形。小穂は長さ7~18㎜×幅4~5㎜、卵形。苞穎はきつく覆瓦状につき、長さ2.7~3.5㎜、舟形、中脈は平滑、突き出し微突起になり、両側に多数の脈があり、灰褐色、しばしば赤色を帯び、縁は薄膜質、わずかに反曲し、縁飾りがある。花被の剛毛は6本、果実よりわずかに長く、褐色。雄しべは3本。葯は長さ約1㎜。柱頭は3個。堅果は長さ1.7~2㎜×幅1.4~1.5㎜、倒卵形、微突頭、3稜形でほとんど平凸面形、浅く横の小しわがあり、光沢があり、黒褐色、花期は9月。(Flora of Pakistan)

 ユーラシア、アフリカ、オーストラリア原産。カリフォルニア州、イリノイ州、ケンタッキー州、ミズーリ州、テネシー州に帰化。湿った土壌、淡水中、池、溝、水田に生える。
 多年草(又は1年草?)。根茎は硬い。稈は鋭い3稜形、長さ0.4~1m×幅2~3㎜。葉は1~2個つき、鞘の前は羽状の繊維状でなく、葉舌は無く、葉身は無い。花序は頭状花序、下部の苞葉は散開~後屈、まれに直立し、3稜形、上面は樋状、長さ1~10㎝。小穂は長さ4~20個つき、長さ7~12㎜×幅約4㎜。鱗片は橙褐色~わら色、中央部はしばしば帯緑色、広倒卵形、3~3.5㎜×幅2~2.5㎜、縁に繊毛があり、先は鈍形~広鋭形、全縁、微突形。花被片は6本、褐色、剛毛状、痩果と同長、丈夫、後ろ向きの小刺がある。葯は長さ0.8㎜。花柱は3岐(又は同じ小穂で2岐もある)。痩果は暗褐色~黒褐色、厚い平凸レンズ形~鈍い3稜形、広倒卵形、長さ1.7~2.2(~2.5)㎜×幅1.2~1.7㎜、嘴は長さ0.2㎜。果期は夏~秋。(Flora of North America)

7-1 Schoenoplectiella mucronata (L.) J.D.Jung et H.K.Choi var. antrorsispinulosa (Iokawa, K.Kohno et Daigobo) Hayas.  イヌヒメカンガレイ 犬姫寒枯藺
 岡山県に分布。花被の剛毛には前向きの小刺がある。
7-2 Schoenoplectiella mucronata (L.) J.D.Jung et H.K.Choi var. ishizawae (K.Kohno, Iokawa et Daigobo) Hayas.  ロッカクイ 六角藺
 本州(新潟県、福井県、兵庫県)、九州(福岡県、熊本県、鹿児島県)に分布
 大型で稈は高さ40~100㎝、3本の翼があり、ロッカクイの3つの翼は先端が幅広く、中央はやや窪んで両縁が顕著な稜となるため、稗に6本の稜が存在し六角状に見える。鱗片は広卵形。 小堅果は広倒卵形、3稜形、長さ約2㎜、表面には明瞭な横じわがある。花被の剛毛は小堅果とほぼ同長か又は短い。
7-3 Schoenoplectiella mucronata (L.) J.D.Jung et H.K.Choi var. mucronata  ヒメカンガレイ[狭義]
   synonym Schoenoplectus mucronatus subsp. mucronatus
 北アメリカに帰化している。
7-4 Schoenoplectiella mucronata (L.) J.Jung et H.K.Choi var. tatarana (Honda) Yashiro  タタラカンガレイ
 攪乱された場所に生える。稈に明瞭な翼があり、翼の先端は狭い載形でしかない。花被の剛毛は小堅果よりも明らかに長く、後ろ向きの小刺がある。

7-4-1 Schoenoplectiella mucronata (L.) J.Jung et H.K.Choi var. tatarana f. brevisetaceus
   synonym Schoenoplectus mucronatus (L.) Palla var. tataranus (Honda) K.Kohno, Iokawa et Daigobo f. brevisetaceus Horiuchi  チョビヒゲタタラカンガレイ
 花被の剛毛が平滑、小堅果の長さの1/2以下のもの
7-5 Schoenoplectus mucronatus (L.) Palla subsp. robustus (Miq.) T.Koyama f. hosoiri Hayas. et H.Ohashi  ホソイリカンガレイ 細入寒枯藺
   synonym Scirpus mucronatus L. var. robustus Miq. f. hosoiri Hayasaka & H.Ohashi
 和名は発見した産地の富山県細入村に由来する。
 花序に花序柄(総花柄)があるもの。花序柄(総花柄)は長さ約10㎜×太さ1.5㎜、先端に2~6個の小穂をつける。花序柄がある以外はカンガレイと 区別できない。

 8  Schoenoplectiella orthorhizomata (Kats.Arai & Miyam.) Hayas.  ミチノクホタルイ
   synonym Schoenoplectus orthorhizomatus (Kats. Arai & Miyam.) Hayasaka & H.Ohashi
   synonym Scirpus orthorhizomatus Arai & Miyam
 日本固有種(北海道、本州北部の青森県、秋田県)
 ミチノクホタルイはミヤマホタルイ(Schoenoplectus hondoensis) に似るが、地下茎が直立すること, および総苞片が果実期に開出することで区別される別種として記載された。
 花序は小穂を6~13個もつ。苞葉(involucral bract)は果時に開出し、長さ5~13㎝。

 9  Schoenoplectiella triangulatus Roxb. カンガレイ 寒枯藺
   synonym  Schoenoplectus triangulatus (Roxb.) Sojak
   synonym Scirpus triangulatus Roxb.
   synonym Schoenoplectiella mucronata (L.) J.Jung & H.K.Choi
   synonym Schoenoplectus mucronatus (L.) Palla
   synonym Schoenoplectus mucronatus (Linnaeus) Palla subsp. robustus (Miquel) T. Koyama [Flora of China]
 日本、韓国、中国、台湾、インド、スリランカ、インドネシア、マレーシア、ヨーロッパ南部、アフリカ、マダガスカル原産。中国名は水毛花 shui mao hua 。
 池や湖の縁、沼地、小川の岸辺、水田などに生える。
 多年草、大株になり、群生する。根茎は短い。稈は濃緑色、わずかに密に叢生し、高さ45~130㎝×太さ5~11㎜、鋭い3稜があり、浅いく凹面をもち、基部は2~4個の葉鞘で被われる。葉鞘は褐色、長さ7~25㎝、膜質~草質、口部は斜めの切形。苞葉は1個、稈状、直立又は斜めに曲がり、長さ2~10㎝、花序は偽側生の半球形の頭状花序、小穂を (3~)5~20個もつ。小穂は褐緑色、卵形~長円状卵形~狭卵形、長さ10~20㎜× 幅4~6㎜、円柱形、花が密に多数つき、先は類鋭形。苞穎(鱗片)は淡緑色で縁が褐色、赤褐色、紫褐色を帯び、広倒卵形~卵形~広卵形、長さ3.8~5(3.5~6)㎜×幅2.5~3㎜、強く凹面、紙質、縁の先に微細な縁毛があり、先には緑色の1~3脈をもち、肋は突き出し、微突になる。苞穎の間から、先に柱頭が出て、後に葯が出てくる。花被の剛毛は6本、小堅果の長さの1.5~2倍(0.88~1.94倍)、後ろ向きのザラつきがある。雄しべは3本。葯は線形、長さ約2.5(1.7~3.8)㎜。葯隔の先はわずかに明白に葯を超える。花柱は長さ約4㎜。花柱は常に3個。小堅果は熟すと黒褐色、 倒卵形~広倒卵形、長さ2~2.5㎜×幅1.5~2㎜、扁平な3稜形、明瞭又は不明瞭な横の小しわがあり、±光沢があり、基部は収縮~楔形、先は丸く~微倒形。花期と果期は5~11月。2n = 44.。(Flora of China:Schoenoplectus mucronatus subsp. robustus )。2n=42(参考14)

 10  Schoenoplectiella wallichii  (Nees) Lye タイワンヤマイ 台湾山藺
   synonym Schoenoplectus wallichii (Nees) T.Koyama
   synonym Scirpus sasakii Hayata
   synonym Scirpus wallichii Nees
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮半島、台湾、中国、インド、ミャンマー、ベトナム、マレーシア、フィリピン原産。中国名は猪毛草 zhu mao cao 。湿った場所、流れの縁、川の縁、水田などに生える。
 根茎は無い。稈は叢生し、高さ10~40㎝、平滑、基部は2~4個の鞘で被われる。葉鞘は長さ2~10㎝、基部の鞘はわら色、先の鞘は淡緑色、口部は斜めの切形、錐形の長さ約0.8㎜の付属体をもつ。苞葉(総苞片)は1個、直立し、稈状、長さ4.5~16㎝、基部は広がり、先は鋭形。花序は偽側生の頭状花序、1~3個の小穂をもつ。小穂は淡緑色~淡褐緑色、狭卵形~長円状卵形、長さ7~20㎜×幅 3~6㎜、花が密に多数つき、先は鋭形。苞穎は長円状卵形、長さ4~5.5㎜×幅約2.5㎜、薄い革質、先は尖鋭形、緑色の肋が微突する。花被の剛毛は4(~5)本、小堅果より長く、基部を除いて後ろ向きにザラつく。雄しべは3本。葯は長円形。葯隔の先はわずかに明白に葯を超える。花柱は2~2.5㎜。柱頭は2個。小堅果は黒褐色、広楕円形、長さ約2.5㎜、平凸レンズ形、±横の小しわがあり、光沢がある。花期と果期は8~11月。2n = 72

 11  交雑種
(1) Schoenoplectiella × igaensis (T. Koyama) Hayas. イガホタルイ
 ホタルイとヒメホタルイの自然交雑種 (2012)
(2) Schoenoplectiella × juncohotarui (Yashiro) Hayas.  ホタルイモドキ
 ホタルイとイヌホタルイの自然交雑種 (2012) 小穂が長く、ねじれる。
(3) Schoenoplectiella ×oguraensis (T.Koyama) Hayas. オグライ
 カンガレイとタイワンヤマイの自然交雑種
 小穂は明らかに細くなって先が尖り、刺針状花被片は長く、長さ2.5~3.1㎜。
(4) Schoenoplectiella ×trapezoides (Koidz.) Hayasaka & Ohashi  シカクホタルイ(クホタルイ)
  ホタルイとカンガレイの自然交雑種 (谷城 2007 , 角野 2014) 2n=42
 茎の稜がシカクイヌホタルイより鈍く、断面が三角形に近いものもある
 サンカクホタルイScirpus erectus Poir. var. triangulatus Hondaはホタルイの新変種として記載された、この植物は茎断面が三角形であることが特徴(Honda 1931)。これもシカクホタルイに含まれる。
(5) Schoenoplectiella×uzenensis (T. Koyama) Hayas アイノコカンガレイ
 カンガレイとヒメホタルイの自然交雑種
 ヒメホタルイの影響を受け、根茎がやや横に這い、植物体も小さい。
(6) Schoenoplectiella × yashiroi J. Oda & Nagam. シカクイヌホタルイ
 イヌホタルイとカンガレイの自然交雑種  (Hayasaka 2002 , 谷城 2007 , 角野 2014) 2n=57
 茎の稜がシカクホタルイより鋭い。(参考14)



 カンガレイ、ヒメカンガレイ、ハタベカンガレイの3種の区別(参考12)

1.無性芽、線形葉を生じる ……………………………………………………ハタベカンガレイ(流水形)
1.無性芽、線形葉は生じない…………………………………………………………………………2
 2. 痩果は両凸型、柱頭は2本、花被の剛毛は6~7本 ……………………ハタベカンガレイ(止水形)
 2. 痩果は偏三稜形、柱頭は3本、花被の剛毛は6本 .……………………………………………3
  3. 葯長0.9~1.7㎜、小穂の鱗片長2.2~3.8㎜、
    花被片の痩果に対する相対長0.75~1.40………………………………………ヒメカンガレイ
  3. 葯長1.7~3.8㎜、小穂の鱗片長3.5~6.0㎜、
    花被片(花被の剛毛)の痩果に対する相対長0.88~1.94……………………………カンガレイ


 参考

1) Flora of Cnina
 Schoenoplectus
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=129637
2) GRIN
 Schoenoplectus
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=10906
3)Flora of North America
 Schoenoplectus
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=129637
4)Plants of the World Online | Kewscience
 Schoenoplectus
  http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:329455-2
 Schoenoplectus nipponicus (Makino) Sojak
  http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:312621-1
 Schoenoplectiella
  http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:329455-2
5)Michigan Flora
 Schoenoplectiella
 https://michiganflora.net/genus.aspx?id=Schoenoplectiella
6)レッドデータブック愛知
 ハタベカンガレイ
 https://www.pref.aichi.jp/kankyo/sizen-ka/shizen/yasei/redlist/ikansoku2015.pdf
7)植物研究雑誌 83 5 310~313 (2008)
 ミチノクホタルイ(カヤツリグサ科)の南限産地およびミヤマホタルイからの識別形質
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_083_310_313.pdf
8) 植物研究雑誌 Journal of Japanese Botany Vol. 75 No. 5 319(2000)
 カンガレイ(カヤツリグサ科)の一新品種(早坂英介,大橋広好)
 Eisuke HAYASAKA and Hiroyoshi OHASHI: A New Form of Schoenoplectus mucronatus (L.) Palla
   subsp. robustus (Miq.) T.Koyama (Cyperaceae)
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_075_319_319.pdf
9) 植物研究雑誌 Journal of Japanese Botany Vol. 79 No.1 23-28(2004)
 佐藤千芳,前田哲弥,内野明徳 .日本産フトイ属(カヤツリグサ科)の1新種 ハタベカンガレイ
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_079_23_28.pdf
10)植物研究雑誌 第76巻 第4号 平成13年8月 227-230(2001)
 河野和博,五百川裕,大悟法滋:日本産ヒメカンガレイの1新変種(ロッカクイ)と1新組み合わせ
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_076_227_230.pdf
11) 植物研究雑誌 Joumal of Japanese Botany Vol.79 No.1 1-3 (2004)
 五百川裕,河野和博,大悟法滋. 日本産ヒメカンガレイの1新変種(イヌヒメカンガレイ)
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_079_1_3.pdf
12)植物研究雑誌第79巻第1号平成16年2月 29-42(2004)
 ハタベカンガレイの変異とそれに近縁なヒメカンガレイおよびカンガレイとの形態比較
 http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_079_29_42.pdf
13)Flora of Pakistan
 Schoenoplectus mucronatus (L.) Palla
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=242101173
14)シカクホタルイの分類学的研究
 Journal of Phytogeography and Taxonomy 63:31-44, 2015
 織田二郎・永益英敏:シカクホタルイの分類学的研究

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