ホシクサ 星草

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Flora of Mikawa

ホシクサ科 Eriocaulaceae ホシクサ属

別 名 ミズタマソウ
中国名 白药谷精草 bai yao gu jing cao
英 名 ashy pipewort
学 名 Eriocaulon cinereum R.Br.
ホシクサ花序
ホシクサ花序2
ホシクサ雌花
ホシクサ茎
ホシクサ葉
ホシクサ
ホシクサ雄花
ホシクサ実
ホシクサ種子
花 期 8~9月
高 さ 5~15cm
生活型 1年草
生育場所 水田、湿地
分 布 在来種  本州、四国、九州、沖縄、中国、台湾、インド、ネパール、ブータン、パキスタン、アフガニスタン、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、アフリカ、オーストラリア
撮 影 幡豆町 07.9.23
 水田の中で見られる雑草、花茎が短く、頭花も小型。
 花茎は肋が低く、不明瞭、ねじれも少ない。葉は長さ3~8㎝、幅1~2㎜の線形で、根生する。茎頂に灰白色~淡灰褐色の頭花を1個ずつつける。頭花は直径3~4㎜の卵球形、多数の花をもつ。雄花と雌花が混生する。雄花は萼が仏炎苞状、毛が散生し、萼の上部が黒色を帯びる。雄花には花弁があり、3裂し、先端付近にこん棒状の毛がある。葯は黄色。雌花は花弁を欠き、線形で毛が散生する萼が2個つく。総苞片は短く、頭花の1/2長以下、灰白色。
 三河地方の湿地ではシラタマホシクサがよく知られている。頭花が球形で白色、花茎も長い。

ホシクサ属

  family Eriocaulaceae - genus Eriocaulon

 有花茎(scapigerous)の植物、水生または湿地に生育し、まれに乾燥した地面に生える。茎は非常に短く、円盤状、まれに長くなる。葉は根生し、線形。花茎は3~8隆条がある。鞘は口部で斜めになる。苞は鱗片状。花は単性、両方の性が同じ頭花につく。雄花:萼片2または3個が普通、合着して外側が分割された筒になり、まれに離生。花弁は基部で合着し、漏斗形、大きく、縁は普通、縁毛があり、先は明瞭または不明瞭に2または3裂し、普通は腺がある。雄しべは2輪に花弁につく。葯は黒色またはまれに帯黄色。雌花:萼片2または3個、離生、基部で合着または合着して内側の仏炎苞になり、平ら、舟形、またはとさかになり、等長または不等長。花弁は0~3個、線形、倒披針形、またはへら形、縁に縁毛があり、先にしばしば大きな腺がつく。子房は1~3室。花柱は1~3分岐。種子は黄褐色で、各バルブに1個。種皮は普通、六角形の網目があり、小さい刺が列に並ぶか、または無い。胚は微小。
 世界に約400種あり、主に熱帯および亜熱帯地域に分布し、アジアに集中する。

ホシクサ属の主な種と園芸品種

1 Eriocaulon alpestre Hook.f. et Thomson ex Körn. ヒロハノイヌノヒゲ 広葉犬髭
  synonym Eriocaulon robustius (Maxim.) Makino var. nigrum Satake
  synonym Eriocaulon robustius (Maxim.) Makino
  synonym Eriocaulon robustius (Maxim.) Makino var. perpusillum (Nakai) Satake
  synonym Eriocaulon chinorossicum Kom.
  synonym Eriocaulon alpestre Hook.f. et Thomson ex Körn. var. robustius Maxim.
  synonym Eriocaulon komarovii Tzvelev
日本(北海道、本州、四国、九州)、韓国、中国、ブータン、インド、ネパール、フィリピン、シッキム、タイ原産。中国名は高山谷精草 gao shan gu jing cao。水田、湿地に生える。
 1年草、高さ10~20㎝。葉は柔らかく、放射状に多数つき、長さ8~15㎝、中間で幅4~5㎜、基部では特に広く、幅約1~1.5㎝になり、脈は12~20本。花茎は約30本つき、長さ14~20㎝、3~5肋があり、ほとんど捻じれない。葉鞘は長さ5~8cm。花托は無毛になり、たまにいくつかの短い毛がある。頭花は基部がわら色、先が黒色、こま形、長さ3~4㎜×幅4~6㎜。雌花と雄花が混生し、総苞片は多数つき、総苞片は黄緑色、卵形、長さ1.5~2(~3.8)㎜×幅1.2~2(~2.6)mm、普通は白色の絹毛があり、無毛になる。花の苞は、倒卵形~倒披針形、無毛になる。雄花は萼片が仏炎苞状、長さ1.4~2㎜、無毛になり、先は3裂または切形。花弁は3個、錐形、ほぼ等長、肉質、無毛になり、腺は黒色。葯は黒色。 雌花は花苞が1個、萼片が1個、黒色、仏炎苞状、長さ1.8~2.2㎜、無毛になり、基部は合着し、先は3裂。 花弁は3個、離生し、へら形、肉質、内側には絨毛があり、先が無毛、腺は黒色。子房は3室。花柱は3分岐。種子は狭卵形で、長さ0.7~0.8㎜、種皮は六角形の網目があり、セルごとに1または2(~4)本の刺があり、T字形または線形。花期および果期は8~11月。2n=24。

2 Eriocaulon atrum Nakai クロイヌノヒゲ 黒犬の髭
  synonym Eriocaulon hananoegoense Masam. ヤクシマホシクサ(クロイヌノヒゲの媛小型)
  synonym Eriocaulon glaberrimum Satake
  synonym Eriocaulon atrum Nakai var. hananoegoense (Masam.) T.Koyama
  synonym Eriocaulon atrum Nakai var. glaberrimum (Satake) T.Koyama
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、ロシア、ネパール原産。池や湿地周辺の水のある露地に場所に生える。
 1年草。高さ5~15㎝。葉や茎を放射線状に広げる。葉はロゼット状に付き、線形で長さ3~15cm。花茎は5~15cm、多数出る。頭花は半球形、幅4mm、藍黒色を帯びる。総苞片は8~20個。クロホシクサにくらべると、雄花の萼片は合生、先が3浅裂して先端に単細胞の短毛がある。

3 Eriocaulon buergerianum Körn. オオホシクサ 大星草
  synonym Eriocaulon chishingsanense C.E.Chang
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は谷精草 gu jing cao。
 1年草。高さ25(~30)cm。葉は線形、4~10(~20)cm、中央で幅2~5㎜、脈は7~12(~18)本。花茎は多数つき、長さ25(~30)cm、隆条は4または5本。鞘は長さ3~5cm。花托は普通、密に絨毛がある。頭花は麦わら色、ほぼ球形、長さ3~5㎜×幅4~5㎜。総苞片は麦わら色、円形~卵形、長さ2~2.5㎜×幅1.5~1.8㎜、無毛になる。花の苞は倒卵形~狭卵形、外側は白色、先にこん棒形の毛がある。雄花は萼片が仏炎苞状、長さ1.8~2.5mm、外側に±毛があり、先は3裂。花弁は3個、±錐形、ほぼ等長、先に白色のこん棒形の毛があり、腺が黒色。雄しべは6本、葯は黒色。 雌花は萼片が長さ1.8~2.5mm、外側の先に白色のこん棒形の毛があり、基部で合着し、先が3裂。花弁は3個、離生、平ら、こん棒形、肉質、内側に絨毛があり、腺は黒色。子房は3室。花柱は3分岐。種子はほぼ球形(長楕円形)、長さ0.8~1㎜、種皮は網状、刺はT字形。花期および果期は7~12月。

4 Eriocaulon cinereum R.Br.  ホシクサ 星草
  synonym Eriocaulon cinereum R.Br. var. sieboldianum (Siebold et Zucc. ex Steud.) Murata
  synonym Eriocaulon sieboldianum Siebold et Zucc. ex Steud.
 本州、四国、九州、沖縄、中国、台湾、インド、ネパール、ブータン、パキスタン、アフガニスタン、スリランカ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、アフリカ、オーストラリア原産。中国名は白药谷精草 bai yao gu jing cao。英名はashy pipewort。
 1年草。高さ5~15cm。花茎は肋が低く、不明瞭、ねじれも少ない。葉は長さ3~8㎝、幅1~2㎜の線形で、根生する。茎頂に灰白色~淡灰褐色の頭花を1個ずつつける。頭花は直径3~4㎜の卵球形、多数の花をもつ。雄花と雌花が混生する。雄花は萼が仏炎苞状、毛が散生し、萼の上部が黒色を帯びる。雄花には花弁があり、3裂し、先端付近にこん棒状の毛がある。葯は黄色。雌花は花弁を欠き、線形で毛が散生する萼が2個つく。総苞片は短く、頭花の1/2長以下、灰白色。花期は8~9月。

5 Eriocaulon decemflorum Maxim. イトイヌノヒゲ 糸犬の髭
  synonym Eriocaulon decemflorum Maxim. var. nipponicum (Maxim.) Nakai
 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は长苞谷精草 chang bao gu jing cao。別名はコイヌノヒゲ。
 1年草。高さ5~30㎝。葉は長さ3~10㎝、幅1~2㎜の線形で、先が尖る。頭花は直径3~7㎜、黄白色を帯びる。雄花と雌花が混生し、花は全て2数性。花苞の先端部に白色の毛がある。葯は黒色。総苞片は頭花より長く、質が薄く、先端がやや内曲し、鈍頭に見える。花茎は細く、5肋があり、葉より長く、捻じれてやや蛇行し、乾いてくると強く捻じれる。花期は8~9月。2n=24。

6 Eriocaulon echinulatum Mart. ヒュウガホシクサ 日向星草
  synonym Eriocaulon seticuspe Ohwi
  synonym Eriocaulon echinulatum Mart. var. seticuspe (Ohwi) Ohwi
 日本(宮崎県)、中国、カンボジア、インド、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム原産。中国名は尖苞谷精草 jian bao gu jing cao。
葉は線形、長さ3.5~5.5㎝、中央の幅1.5~2㎜、脈は7~9本。 花茎は約12本、長さ6~9(~20)㎝、4本の隆条がある。花托には密に絨毛がある。頭花は卵形、長さ4~5㎜×5~5.5㎜、総苞片は約12個、わずかに後屈し、淡わら色、披針形~菱形、長さ2.2~2.9㎜×0.6~1.2㎜、膜質、無毛。花苞は倒披針形舟状、無毛、先は尾状。雄花は萼片が仏炎苞状、長さ1.1~1.7㎜、無毛になり、先は3裂し、側裂片にはわずかに竜骨がある。花弁は1または2個、小さくまたは縮小され、ほとんど見えず、無毛、まれに1つが腺を持つ。雄しべは5(~6)本、葯は黒色。雌花は萼片が2~3個、離生、後側の萼片は平ら、線形、狭く、ときに小さくなり、花托の絨毛によって隠れ、無毛または縁に少数の毛があり、側萼片は倒披針形の舟形状、長さ1.2~1.7㎜、外側に広い 翼がある。花弁は無い。子房は3室。花柱は3分岐。種子は狭卵形、長さ0.4~0.5㎜、種皮は網目状、刺は薄い。花期および果期は9~12月

7 Eriocaulon heleocharioides Satake コシガヤホシクサ 越谷星草
 日本固有種(埼玉県越谷市、茨城県下妻市)。越谷市元荒川で発見された後、絶滅。下妻市の砂沼(さぬま)で発見し、保護し人工増殖している。  1年草。高さ10~30㎝。水中でも水上でも生育し、水深に応じて花茎を伸長させる。頭花は水面上に出ていないと結実しない。地下茎は短く直立し、倒卵形、長さ10~15㎝。葉は根生、束生し、線形、長さ7~15㎝×幅3~4㎜、先は尖鋭形。花茎は多数、出る。花期は7~9月。果期は9~11月。

8 Eriocaulon japonicum Körn. ヤマトホシクサ 大和星草
 日本固有種(本州)。湿地に生える。
 1年草。無茎。葉はロゼット状につき、束生し、線形、長さ6~12㎝×幅2~3㎜、上部はしだいに狭まり、先は尖鋭形、葉脈は5~7本あり、格子状になる。鞘は長さ約3㎝。花茎は多数出て、長さ12~16cm、縦肋が4本あり、あまり捻じれない。頭花は半球形、直径5~6mm、黒藍色を帯び、多数の花からなる。総苞片は披針形、頭花と同長かまたは少し長い。花苞は上部がやや黒褐色。花托は無毛。花弁は3個、離生。雌花の花弁や萼片の内側は無毛。種子に鉤状細毛はない。

9 Eriocaulon kiusianum Maxim. ツクシクロイヌノヒゲ 筑紫黒犬の髭
  synonym Eriocaulon nakasimanum Satake
  synonym Eriocaulon glaberrimum Miyabe et Satake var. platypetalum (Satake) Satake   synonym Eriocaulon atrum Nakai var. nakasimanum (Satake) T.Koyama
  synonym Eriocaulon atrum Nakai var. intermedium Nakai ex Satake
 日本固有種。本州(兵庫県、岡山県、山口県)、四国(香川県)、九州(鹿児島を除く各県)に分布。ため池や日当たりのよい湿地に生える。
 クロイヌノヒゲに似るがツクシクロイヌノヒゲは水深にたいして花茎を伸長させる性質を示し、水深が深い場所では花茎は長く伸びる。
 1年草。水位の変動で沈水~湿生形に対応する。減水して湿地になった場所では花茎がロゼット状になる。クロイヌノヒゲと似ているが、植物体、頭花はやや大きく、多数の花からなり、花托、雌花の花弁の内面に毛がないことから区別される。花期は8~10月。

10 Eriocaulon mikawanum Satake et T.Koyama ミカワイヌノヒゲ 三河犬の髭
  synonym Eriocaulon sikokianum Maxim. var. mikawanum (Satake et T.Koyama) T.Koyama
 日本固有種(愛知県新城市の旧作手村)三河の湿地だけに見られる。
 エゾイヌノヒゲに似たものであるが、外形がずっと太い上に、花部を見ると総苞片が幅広く、かつはるかに短かく、花弁(雌花)が萼より長く、花托に長毛がある。
 1年草、高さ5~10㎝。低い有茎で、叢生する。茎は非常に短く、廃れ、直立し倒卵形、長さ15㎜、太さ7㎜以下、横の隔壁があり、根は白緑色のひげ根。葉は幅が広く、直線形、弛緩性で、わら緑色、わずかに脈があり、長さ3~7㎝×幅1~2.5mm、縁は基部でわずかに包まれ、先は徐々に先細になり、鈍い。筒状の花序柄の基部の葉鞘は長さ2~4mm×幅0.8~1.5mm、緑色の花序柄は下部がゆるく旋回し、窓は透明で、先が多少、半透明で、前側が多少半透明で斜めに深く裂ける。花序柄は非常に不等長で、細く、高さ10㎝以下、直立または開き、葉よりはるかに長く、多少、反り返り、ほとんど捻じれず、乾くと滑らかで、ときに先に4(~5)個の狭い翼がある。頭花はパピラがあり、倒円錐状こま形、直径3~5mm、長さ約3mm。花托は非常に長い絹毛が多い。総苞片は長さ11.3~5mm以下、披針形または長円形、紙質、花はほとんど長さの半分以下で、淡白わら色、細く、単脈があり、先が鋭形。単性の花は、少数の雄花と雌花の混生である。中央の雄花は6個以下、苞は鱗片であり、舟形状倒卵形、背と上部の縁が透明で、まばらに白色の微軟毛がある。萼片は仏炎苞状、長さ1.4mm、花冠の長さ以下、透明、上部は淡青色に広がり、前側が中間に向かって褐色になり、先は斜めに裂け、丸い歯があり、縁に白色の微軟毛があり、毛は単細胞のこん棒状長円形。花冠は筒状の仏炎苞状、長さ約1.4mm、先の幅1/2mm、透明、縁の上部はやや褐色、不明瞭な3歯があり、歯は切形、ときに丸みを帯びまたは少数の微軟毛がある。雄しべは短いほぼ同じ反り返った葯をもち、葯は球形、黒色。花は雄花が最大7個つき、鱗片状の苞のつく最短の花柄よりわずかに長く、苞は透明、倒卵状長円形、長さ2㎜。萼はほぼ等長、背の先の縁が淡褐色、密に白色の毛がある。楕円形の仏炎苞状の萼片2個は長く、花弁よりも短い萼片は基部に向かって前側につき、裂け目は先の背側に3脈があり、わずかに3歯があり、鋭い白色の毛がある側歯2個が中央の萼歯よりわずかに上につく。花弁は3個、長円状倒披針形、長さ2.3~2.6mm、基部が海綿状、漸尖し、長さ1mmの柄があり、先が凹形、帯白色の毛があり、1個の黒色の腺があり、縦の六角形の細胞からなる長い絹毛状軟毛を冠る。子房は1室(ただし、非常にまれに3室まで)が直立し、長さ1.2mmの細い柱頭1個が反り返ってつく。種子は楕円形、長さ約1mm、黄ウグイス色の斑点がある。花期は8~9月。

11 Eriocaulon miquelianum Körn. イヌノヒゲ 犬の髭
  synonym Eriocaulon sikokianum Maxim. シロイヌノヒゲ
  synonym Eriocaulon miquelianum Körn. var. matsumurae (Nakai) Z.X.Zhang
  synonym Eriocaulon miquelianum Körn. var. atrosepalum Satake
  synonym Eriocaulon miquelianum Körn. f. involucratum (Nakai) Murata
  synonym Eriocaulon matsumurae Nakai マツムライヌノヒゲ l
  synonym Eriocaulon atroides Satake
  synonym Eriocaulon dimorphoelytrum T.Koyama
  synonym Eriocaulon tenuissimum Nakai
  synonym Eriocaulon sikokianum Maxim. var. matsumurae (Nakai) Satake
  synonym Eriocaulon sikokianum Maxim. var. piliphorum (Satake) Satake  ナガトホシクサ 
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は四国谷精草 si guo gu jing cao。
 1年草、高さ18~23㎝。葉は披針形、長さ6~14㎝、中央の幅1~1.5㎜、脈は4~7本。 花茎は約8本、長さ18~23㎝、4または5隆条がある。鞘は長さ5~7.5㎝。花托は直軟毛がある。頭花は、雄花と雌花が混生し、淡わら色、こま形、直径6~10㎜。総苞片はわら色、披針形~線状披針形、長さ3.5~7.3㎜、無毛または短い縁毛があり、脈は1~3本。花苞は狭倒卵形、無毛または縁絨毛があるか、または外面の先に密に短毛がある。雄花は萼片が3個、仏炎苞のようで、外面に短毛があり、先が3裂する。花弁は3個、狭卵形、前側の花弁は他よりも大きく、無毛または先に縁毛があり、腺は黒色。雄しべは6本、葯は黒色。 雌花は萼片が仏炎苞状、外面に絨毛があり、縁に白色のこん棒形の毛がある。花弁は3個、離生、こん棒形、肉質、内面に絨毛があり、先に密に縁毛があるかまたは無毛、腺は黒色。子房は3室。花柱は3分岐。種子は種皮が六角形の網目状になり、セルごとに1個(または2個)のT字形の刺がある。花期および果期は8~12月。2n=24。
11-1 Eriocaulon miquelianum Körn. var. lutchuense (Koidz.) T.Koyama オキナワホシクサ 沖縄星草
  synonym Eriocaulon sikokianum Maxim. var. lutchuense (Koidz.) Satake
 琉球諸島などに分布。花托が無毛。子房が3室。よく似たシロイヌノヒゲは花托が有毛で、子房が3室。マツムライヌノヒゲは花托が無毛で、子房が2~3室。ナガトホシクサは花托が有毛で、子房が2~3室。これらはイヌノヒゲのsynonymとされている。
11-2 Eriocaulon miquelianum Körn. var. monococcon (Nakai) T.Koyama ex Miyam. エゾホシクサ 蝦夷星草
  synonym Eriocaulon mikawanum Satake et T.Koyama var. azumianum Hid.Takah. et Hid.Suzuki アズミイヌノヒゲ
  synonym Eriocaulon monococcon Nakai エゾホシクサ
 北海道、本州(奈良県、福島県)。
 花部は 3数性を基本とするが、子房や柱頭が減数して 2または稀に 1となるものがある。その例に入る子房や柱頭が減数して1となった種。
 子房は1室、花柱と柱頭 は1個。エゾホシクサは普通、花苞や萼が白色であるが、福島県産は花苞と萼が帯黒色。2n=48。
11-3 Eriocaulon miquelianum Körn. var. ozense (T.Koyama) Miyam. ユキイヌノヒゲ 
  synonym Eriocaulon tutidae Satake
  synonym Eriocaulon ozense T.Koyama  ハライヌノヒゲ
 本州(尾瀬ヶ原)に分布。
 イヌノヒゲに含められる見解が「日本の野生植物 増補改訂版」に採用された。雌花、雄花ともに花苞や萼の背面の上部に白色の短毛がある。

12 Eriocaulon nanellum Ohwi ミヤマヒナホシクサ 深山雛星草
 日本固有種(北海道、本州の東北地方)。高層湿原内の水がわずかにある小凹地に生える。別名はアズマホシクサ , イトホシクサ。
 1年相、高さ2~8cmの小形。葉は線形で、3~5脈が格子状で、少数つく。8~9月、細い花茎に頭花を1個つける。頭花は少数の花からなり、総苞片は3~5個で、長楕円形、黒藍色を帯び、先端は鈍頭で、ときに小毛がある。雄花の萼は上部に単細胞の小毛がある。雌花の萼は4裂し、両面とも無毛、上部は有毛となる。花弁は3個で内面は無毛。
12-1 Eriocaulon nanellum Ohwi var. piliferum Satake コヌマイヌノヒゲ 小沼犬の髭
 栃木県塩谷郡塩原町の小沼湿原に生える。
 1年草、無茎。葉は線形、質は薄く、長さ約5㎝、1~3脈がある。花茎は高さ10~20cm、細く、直径O.5mm以下、3肋があり、多少ねじれる。頭花は直径2~3mm。総苞片は緑白色、卵形または長楕円状披針形、やや鋭頭、長さ2.5~3.5mm。花托は無毛。花は少数、平均雄花2個、雌花2個程度、長さ約2mm、総苞片より短い。雄花の萼は先が3浅裂し、裂片は鈍形で、縁に単細胞の短毛が少しある。雌花は萼が藍黒色、先は3浅裂し、裂片は鋭形、縁に単細胞の短毛があり、内面は全く無毛。花弁の内面には長毛が多い。子房は3室。種子(未熟)は長楕円形、長さ0.6~0.7mm。
12-2 Eriocaulon nanellum OhwiEriocaulon nasuense Satake ナスノクロイヌノヒゲ 那須の黒犬の髭
 栃木県那須市で発見された。
 クロイヌノヒゲ Eriocaulon atrumやツクシクロイヌノヒゲ Eriocaulon kiusianumに似ているが、植物体は大形で、葉が長く広く、花茎が多集叢生し、高さ30cmを超え、花の苞、萼(内面を除く)、花弁、花托などが全く無毛。
12-3 Eriocaulon nanellum var. nosoriense ノソリホシクサ 野反星草
 群馬県に分布。和名は野反湖から。

13 Eriocaulon nantoense Hayata ナントウホシクサ 
  synonym Eriocaulon nantoense Hayata var. satsumense Hatus. et T.Sakata
 中国、台湾原産。中国名は南投谷精草 nan tou gu jing cao。

14 Eriocaulon nepalense Presc. ex Bong. ゴマシオホシクサ 
  synonym Eriocaulon senile Honda 
  synonym Eriocaulon nantoense Hayata var. trisectum (Satake) C.E.Chang
 日本(本州、四国、九州)、中国、台湾、ネパール原産。中国名は尼泊尔谷精草 ni bo er gu jing cao。別名はレンゲチホシクサ。
 1年草、高さ12~25㎝。茎は長さ2~6㎝。線形の葉、長さ4~8(~11)㎝、中央で幅2~5㎜、脈は12~28本。花茎は5~15本、長さ12~25㎝、4~7隆条がある。鞘は長さ3~6㎝。花托はほぼ無毛。頭花は浅黒色~帯黒色、ほぼ球形、直径約5mm。総苞片は後屈し、わら色またはときに帯黒色、倒卵形、長さ2~2.7㎜×幅1.5~2㎜、膜質、無毛。花苞は帯黒色、倒卵形~倒披針形、内面は縁と先に毛があり、外面は先に毛がある。雄花は萼片が3個、仏炎苞状、長さ1.5~2mm、先が3浅裂~3裂。花弁は3個、長円形、前側の花弁は他よりわずかに長く、白色のこん棒形の毛があり、腺は黒色。雄しべは6本、葯は黒色。雌花は萼片が3個、帯黒色、離生、舟形状、長さ1.5~2mm、中脈と縁に毛があり、後側の萼片は小さくなるかまたは無い。花弁は3個、倒披針状線形、後側の花弁は他のものより長く、膜質で、縁と内面に毛があり、ときに先が凹形、腺が1~3個の花弁にあり、黒色または褐色。子房は3室。花柱は3分岐。種子は狭卵形で、長さ0.5~0.6mm、種皮は六角形の網目があり、細胞ごとに1~4本の刺があり、線形。花期および果期は4~10月

15 Eriocaulon nudicuspe Maxim. シラタマホシクサ 白玉星草
 日本固有種(愛知県、静岡県、岐阜県、三重県、宮崎県[類似種])。
 1年草、高さ20~40㎝。葉は長さ14~20㎝、幅1~3㎜で、先が尖る。花茎は明瞭な4肋があり、細長くても直立できるようにねじれている。花序は頭状花序で、雄花と雌花が混生する。頭状花序は花茎の先に1個だけつき、白色、直径6~8㎜の球形。雄花は萼も苞状であり、萼や苞の上部に白色の太い短毛が密生する。花弁3個、白色の短毛が上部にある。雄しべ6個、葯は黒色。雌花は基部に長毛があり、萼や苞の上部に短毛が密生する。子房は3室で、3個の種子が出来る。柱頭も3分岐。花期は8~10月。

16 Eriocaulon pallescens (Nakai ex Miyabe et Kudô) Satake シロエゾホシクサ 白蝦夷星草
 日本固有種(北海道)。低地の湿原に生える。
 1年草、無茎、高さ5~6㎝。葉は線状披針形、長さ5~7cm、基部の幅約1mm。花茎は1~2本、細く、長さ5~6cm、3肋がありあまり捻じれない。頭花は単生、頂生し、白色、倒円錐形、直径約2mm、少数花からなる。総苞片は2~3個。花苞の上部の縁に毛が少しある。雄花は長さ約2mm、蕚が合着し上部は3裂、縁に微歯と短毛がある。雌花は雄花と同長、萼の縁に微鋸歯と長毛がある。

17 Eriocaulon parvum Körn. クロホシクサ 黒星草
  synonym Eriocaulon liberisepalum Z.X. Zhang
  synonym Eriocaulon amanoanum T.Koyama  アマノホシクサ
 日本(本州、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は朝日谷精草 chao ri gu jing cao。ため池、水田に生える。
 1年草、高さ6~13㎝。葉は披針形、長さ約2.3cm×幅1~2㎜、無毛、脈は6~8本、先は鋭形。花茎は5~23本、長さ6~13㎝、5または6肋がある。鞘は長さ2~2.3㎝。花托は密に絨毛がある。頭花は帯黒色、直径3~4㎜。総苞片はわら色、倒卵状倒披針形、長さ約1.8㎜×幅0.2~1.2㎜、先は鈍形。花苞は帯黒色、倒卵状倒披針形、長さ1.8~2㎜×幅約0.7㎜、鋭い先が灰白色になる(hoary)。雄花は萼片が3個、仏炎苞状、平ら、長さ約1.5㎜、先に毛があり、3裂し、裂片は卵形。花弁は3個、披針形、先に毛があり、腺は黒色。雄しべは6本、葯は黒色。 雌花は萼片が3個、帯黒色、離生、約・長さ1.2㎜×幅0.7mm、平らで、尖鋭形の先が灰白色になる。花弁は3個、倒披針形、約・長さ2㎜×幅0.2㎜、直軟毛があり、腺は黒色。種子は暗褐色、楕円形、長さ0.4~0.5㎜; 種皮は網状、細胞は横方向に長くなり、細胞あたり3~5本の刺があり、線形。花期および果期は9~11月。

18 Eriocaulon perplexum Satake et H.Hara エゾイヌノヒゲ 蝦夷犬の髭
 日本固有種(北海道日高地方のアポイ岳)。山地に生える。
 1年草、無茎、高さ5~14㎝。葉は長さ20~60㎜、5~8脈がある。鞘は長さ2~4㎝。花茎は長さ5~14㎝。頭花は直径3~6mm。花托には毛がある。総苞片は倒卵形、白色、先鋭形、外総苞片は長さ3~4mm。花苞は上部の背面に短毛がある。雄花の萼の先は2~3浅裂し、鋭形。雌花の萼の先は2~3浅裂し、鋭形。子房は2~3室。花期は8月。

19 Eriocaulon sachalinense Miyabe et Nakai カラフトホシクサ 樺太星草
  synonym Eriocaulon sphagnicola Ohwi
  synonym Eriocaulon atrum auct. non Nakai
 日本(北海道の士別市朱鞠内湖周辺)、サハリン原産。日本のホシクサの仲間では最も北に分布する。
 1年草。高さ約10㎝。花が2数性の黒花種。雄花は花弁が2個、雄しべは4本。雌花の萼片は2個、ほとんど離生する。花弁2個。子房は2室。種子形やT字毛に特別な特徴はないがT字毛がやや少ない。花期は8~9月。2n=24。
19-1 Eriocaulon sachalinense Miyabe et Nakai var. kusiroense (Miyabe et Kudô ex Satake) T.Koyama ex Miyam. クシロホシクサ 釧路星草
  synonym Eriocaulon nosoriense Ohwi
  synonym Eriocaulon nanellum Ohwi var. nosoriense (Ohwi) Ohwi et T.Koyama
  synonym Eriocaulon kusiroense Miyabe et Kudô ex Satake
 北海道の釧路・根室に分布。
 1年草。高さ約10㎝。花茎には3肋がある。花托は無毛。頭花は帯黒色、少なくとも花苞または雌花の萼の1部が黒藍色を帯び、狭倒円錐形の杯状、花は少数。総苞片は2~6個つき、円頭または鈍頭、普通、花より低い。花は2数性と3数性が混生する。雄花の萼は2~3裂し、縁に短毛があり、葯は黒色。雌花の萼片は1個に合生し、先が3裂した仏炎苞状であり、内面に長毛があり、外面は無毛。花弁の内面に長毛がある。2n=24。

20 Eriocaulon setaceum L. タカノホシクサ 高野星草
  synonym Eriocaulon cauliferum Makino
 日本(群馬県)、中国、バングラデシュ、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、ミャンマー、スリランカ、タイ、ベトナム。 北オーストラリア原産。中国名は丝叶谷精草 si ye gu jing cao。池、湿地に生える。日本では絶滅。
 1年草。植物はほとんどが水中に生育する。茎は長さ約25㎝。葉は糸状、長さ3~4cm×幅約0.2mm、1脈がある。花茎は5~15本、長さ11㎝以下、6肋がある。鞘は長さ2~2.5cm。花托はほぼ無毛または絨毛がある。頭花は浅黒色、ほぼ球形、約・長さ2.5mm×幅3mm。総苞片は後屈し、わら色、卵形、長さ約1mm、膜質、無毛。花苞は円形~倒披針形、外面は白色のこん棒形の毛が上部にあるかまたは無毛。雄花は萼片が仏炎苞状、外面に短毛があり、先は(2または)3裂し、裂片は先が切形。花弁は3個、楕円形~錐形、小さく、前側の花弁は他のものよりわずかに大きく、内面に白色のこん棒形の毛があり、外面は先部に白色のこん棒形の毛があり、腺は黒色で、ときに無い。葯は黒色。雌花は萼片が3個、離生、舟形状~倒卵形、外面に縁に向かって白色のこん棒形の毛がある。花弁は3個、離生、倒披針状線形、不等長、膜質、腺は黒色でときに無い。子房は3室。花柱は3分岐。種子は狭卵形で、長さ0.3~0.4mm、種皮は六角形の網目状になり、各セルに1または2本の刺があり、線形、粘液質の被われる。花期および果期は8~10月。

21 Eriocaulon sexangulare L. オオシラタマホシクサ 大白玉星草
  synonym Eriocaulon miyagianum Koidz.
 日本(沖縄)、中国、台湾、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、アフリカ(マダガスカルを含む)原産。中国名は华南谷精草 hua nan gu jing cao。
 1年草。葉は線形、長さ10~35 cm、中央の幅4~13mm、15~37脈がある。花茎は5~20本、長さ20~60 cm、4~6肋がある。 鞘は長さ4~12cm。花托は無毛。頭花はほぼ球形、直径約6.5mm、無毛、基部は切形。総苞片はわら色、倒卵形、直径2.2~2.4mm、硬く、外面に白色のこん棒形の毛がある。花苞は倒卵形~倒卵状くさび形、長さ2~2.5mm、頂点に向かって軸方向に毛深い。雄花は萼片が仏炎苞状、無毛、側部に翼があり、先は(2~)3裂またはときに切形。花弁は(2~)3個、線形、先に毛があり、腺は普通、不明瞭。 葯は(4~)6個、黒色。 雌花は萼片が(2~)3個、離生、無毛、後側の萼片1個は他よりも小さく、ときに小さくなりまたは無くなり、翼は無く、側咢片は舟形状、翼がある。花弁は(2~)3個、線形、不等長、膜質、たまに中央に絨毛があり、先に白色のこん棒形の毛がある。子房は(2~)3室、花柱は(2~)3分岐する。種子は卵形、長さ0.6~0.7mm。種皮は六角形の網目があり、セルごとに1本のT字形の刺がある。花期および果期は8~3月 。2n=36。

22 Eriocaulon taishanense F.Z.Li タイザンホシクサ
  synonym Eriocaulon odashimae Masam.
 台湾原産。中国名は泰山谷精草 tai shan gu jing cao。

23 Eriocaulon takae Koidz. アズマホシクサ 吾妻星草
  synonym Eriocaulon nanellum Ohwi
  synonym Eriocaulon nanellum Ohwi var. albescens Satake
  synonym Eriocaulon nanellum Ohwi var. filamentosum (Satake) Satake
  synonym Eriocaulon nanellum Ohwi f. albescens (Satake) Murata
 日本固有種(北海道、本州の東北地方)。和名は吾妻連峰に因む。亜高山~高山帯の湿地に生える。
 1年草、無茎、高さ8~14㎝。葉は2~5個、根生し、線状披針形~線形、長さ1~4.5㎝、先は鋭形、3~5脈がある。花茎は2~3本、細く、4肋があり少し捻れる。頭花は頂生、単生し、倒円錐形、直径2~3mm。花は普通、単性、まれに両性花も混じる。総苞片は3~5個、卵状披針形~披針状長楕円形、頭花と同長またはやや長い。花苞は倒卵形~卵状長楕円形、先が鋭形、微小鋸歯がある。雄花は長さ約2㎜、萼は仏炎苞状に合着し、上部は不規則に3裂し、縁に微小鋸歯と毛がある。花弁は3個、下部が筒状に合着し、無毛、上部の弁部の内側に黒線がある。雄しべは6本、葯は黒色で球形。雌花は雄花と同長、萼は仏炎苞状に合着し、内側に毛があり、上部はわずかに3裂し、縁に微小鋸歯と短毛がある。花弁は3個、離生し、披針形、下部は漸尖し、爪部はなく、上部の内側に黒線がある。子房は3室。種子は表面にT字状毛がない。花期は7~8月。

24 Eriocaulon taquetii Lecomte  ニッポンイヌノヒゲ 日本犬の髭
  synonym Eriocaulon hondoense Satake f. stellatum (Satake) Murata
  synonym Eriocaulon hondoense Satake
  synonym Eriocaulon hondoense Satake f. pilosum (Satake) Satake
  synonym Eriocaulon sekimotoi Honda
  synonym Eriocaulon satakeanum Tatew. et Koji Ito
  synonym Eriocaulon omuranum T.Koyama
  synonym Eriocaulon hondoense Satake var. stenopetalon T.Koyama
  synonym Eriocaulon hondoense Satake var. gracile Satake
 北海道、本州、四国、九州、朝鮮原産。湿地に生える。
 1年草。高さ15~22㎝。葉は厚めで、光沢があり、長さ10~20㎝、幅がやや広いのが特徴で、中部の幅3~5㎜、下部の幅5~8㎜。花茎は長さ15~22㎝、葉とほぼ同長程度で、長くならず、多数、叢生する。花茎は太めで捻じれがほとんどない。頭花は直径6~8㎜。総苞片は披針形で、先が鋭くとがり、頭花より著しく長い。雄花、雌花ともに白色の毛が少ない。花期は8~9月。2n= 24。
24-1 Eriocaulon taquetii Lecomte var. zyotanii (Satake) Miyam. イズノシマホシクサ 伊豆の島星草
  synonym Eriocaulon zyotanii Satake
 伊豆諸島神津島天上山にのみ生える。
 頭花は淡黄白色、総苞片より短い。雌花には花弁がある。
24-2 Eriocaulon sekimotoi Honda f. glabrum Satake ヤシュウイヌノヒゲ(栃木県)

25 Eriocaulon truncatum Buch.-Ham. ex Mart. スイシャホシクサ 水車星草
  synonym Eriocaulon merrillii Ruhland ex Perkins
  synonym Eriocaulon merrillii Ruhland var. suishaense (Hayata) C.E.Chang
  synonym Eriocaulon nigrum Lecomte var. suishaense (Hayata) Hatus. et T.Koyama
  synonym Eriocaulon suishaense Hayata var. okinawense Satake
  synonym Eriocaulon suishaense Hayata
 日本(琉球諸島)、中国、台湾、インドネシア、フィリピン、タイ原産。中国名は菲律宾谷精草 fei lu bin gu jing cao。池、水田に生える。
 1年草、高さ5~10(~18)㎝。葉は線形、長さ2.5~5(~6.5)㎝、中央で幅2~4(~5)mm、脈は8~11(~20)本。花茎は長さ5~10(~18)㎝、(4~)5(~6)肋がある。鞘は長さ2~3.8㎝。花托は無毛またはほぼ無毛。頭花はわら色、ほぼ球形~半球形、長さ2~3mm×幅2.5~5mm。総苞片はわら色、長さ2.5~4mm×幅0.7~1.8mm、膜質、無毛。花苞は倒卵形~倒披針形、透明、無毛またはまばらに毛がある。雄花は萼片が帯黒色、仏炎苞状、長さ1~1.8mm、縁が無毛またはまばらに毛があり、先は点2または3裂する。花弁は3個、各花弁に黒色の腺があるかまたは腺が無い。葯は(5~)6個、黒色。雌花は萼片が2(~3)個、帯黒色、離生、普通は無毛、後側の花は小さくなる。花弁は3個、内面と縁に絨毛があり、先に白色のこん棒形の毛がある。子房は3室。花柱は3分岐。種子は卵形~ほぼ球形、直径約4mm。種皮は六角形の網目があり、細胞は縦に長いかまたは四角形で、縦壁からリボン状の帯があり、横壁からは1本の不完全な帯がある。花期および果期は5~12月。2n=30 , 32。

参考

1) Flora of China
 Eriocaulon
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=112020
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Eriocaulon
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30001179-2
3) World Flora Online
 Eriocaulon
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000013809;jsessionid=C6C649AD9019F3FAA585DBA3BB7893EF
4) 植物研究雑誌 Vol.27 No.9 264-268, 1952
 佐竹義輔:ホシクサ属雑記 (1)
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_027_264_268.pdf
5) 植物研究雑誌第 30巻 第4号 114-116, 1955
 佐竹義輔,小山鉄夫 : イヌノヒゲ属の1新種 ミカワイヌノヒゲ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_030_114_116.pdf
6) 植物研究雑誌 Vol.46 No.4 109-112, 1971
 佐竹義輔. 那須の2新植物 ナスノクロイヌノヒゲ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_046_109_112.pdf
7) 植物研究雑誌 Vol.49 No.10 313-314, 1974
 ホシクサ属の 1新植物について(佐竹義輔) コヌマイヌノヒゲ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_049_313_314_d.pdf
8) 植物研究雑誌第 Vo1.63 No.4 153-157, 1988
 高橋秀男*・鈴木英俊**. ミカワイヌノヒゲの一新変種 アズミイヌノヒゲ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_063_153_157.pdf
9) 植物研究雑誌第 Vo1.68: No.2 88-93 (1993)
 日本産ホシクサ属 7種の染色体数 西川恒彦
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_068_88_93.pdf
10) 水草研会報 No49  (1993)
 福島県にてエゾホシクサを採る 土屋 守
http://mizukusakenjp.sakura.ne.jp/PDF/BWPSJ049_8-9
11) 水草研会報 No.69 (2000)
 ホシクサ属数種の種子形態(3)
http://mizukusakenjp.sakura.ne.jp/PDF/BWPSJ069_7
12) 植物研究雑誌 80(2), 96-105, 2005-04
 屋久島産クロイヌノヒゲとその近縁種の花形態および生態的特性
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_030_114_116.pdf