ヒラドツツジ(オオムラサキ) 平戸躑躅(大紫)
[別名] オオサカズキ、オオムラサキリュウキュウ
[中国名] 锦绣杜鹃 jin xiu du juan (ヒラドツツジ)
[学名] Rhododendron x pulchrum Sweet 'Oomurasaki'
Rhododendron x pulchrum Sweet var. speciosum (Makino) H.Hara
Rhododendron oomurasaki Makino
ツツジ科  Ericaceae  ツツジ属
三河の植物観察
ヒラドツツジ(オオムラサキ)の花
ヒラドツツジ(オオムラサキ)の雄しべ10個
ヒラドツツジ(オオムラサキ)の蕾
ヒラドツツジ(オオムラサキ)の子房
ヒラドツツジ(オオムラサキ)の萼
ヒラドツツジ(オオムラサキ)葉裏の毛
ヒラドツツジ(オオムラサキ)
ヒラドツツジ(オオムラサキ)葉表
ヒラドツツジ(オオムラサキ)葉裏
ヒラドツツジ(オオムラサキ)葉表の毛
 ツツジの栽培は世界中で行われ、日本では江戸時代から多くの栽培品種が作られてきた。ツツジの園芸品種の分類は定説はないが、日本では江戸初期からの霧島ツツジ系、江戸中期頃からの琉球ツツジ系、平戸ツツジ系、江戸末期以降の久留米ツツジ系、その他原種の明確な品種系、外国系などに分けられる。
 ヒラドツツジRhododendron x pulchrumは古くから平戸城下の武家屋敷などで栽培されていたものであり、江戸時代中期の正徳2年(1712年)に出された『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』の平戸躑躅(琉球躑躅)は単弁、白花であり、現在のリュウキュウツツジを指すものである。長崎県の旧平戸藩で、早くから栽培されていたものの中から戦後の1951年以降に約300種が選抜され、ヒラドツツジと呼ばれている。亀岡公園の一角にある「ヒラドツツジ原木園には約300種が今でも保存されている。ヒラドツツジはケラマツツジ、リュウキュウツツジ、モチツツジ、キシツツジ、ヤマツツジなどが自然交雑して誕生したものと考えられている。中国でもヒラドツツジとされるものが広く栽培されており、Sweet によれば、赤花のサツキ Rhododendron indicum とリュウキュウツツジ Rhododendron mucronatum (=R. ledifolium) の交雑種と考えられている。形質は母種となった沖縄のケラマツツジに近く、大形である。今では品種も400種を超え、代表品種は大輪・白花の白妙、同じ大輪・紫色の大紫、ピンク色の曙などである。
 オオムラサキはヒラドツツジの代表的品種で、大輪赤花のケラマツツジ Rhododendron scabrum とリュウキュウツツジの交雑種とも推定されており、強健で、紅紫色の花が大きく、最も多く栽培されている。

 葉は互生し、枝先に集まってつき、枝に毛がある。葉柄は長さ3~6㎜、毛が密生する。葉身は長さ2~7(10)、幅1~2.5㎝の長楕円形~楕円状披針形、両面と縁に褐色の毛がある。花柄は長さ8~15㎜、毛が密生し、腺毛が混じる。花は枝先に1~5個つく。花冠は直径6~10㎝、紅紫色、先は5裂する。裂片は長さ3~4㎝、上部の裂片に紫色の斑点がある。雄しべ10個、花糸の下部に短毛がある。花柱は花冠より長く、無毛。子房には白色の長毛が密生する。萼片は5裂し、裂片は長さ約12㎜、褐色の長毛と腺毛がある。果実は長さ8~10㎜、楕円状卵形。
[花期] 4~5月
[樹高] 1~3m
[生活型] 半常緑低木
[生育場所] 庭園、公園、街路
[分布] 栽培種
[撮影] 豊橋市  15.5.1
【ヒラドツツジの品種例】
 曙(あけぼの)、大紫(おおむらさき)、オランダ紅、企救姫(きくひめ)、銀の采(ぎんのさい)、古賀錦、寿(ことぶき)、五月雨、春雪(しゅんせつ)、白孔雀(しろくじゃく)、白妙(しろたえ)、白牡丹、須磨(すま)、千重大紫(せんえおおむらさき)、大鳳(たいほう)、高根絞り、谷間の雪、花車、緋扇、紅石献花(べにしゃくなん)、紫牡丹、紅葉狩(もみじがり)、桃山、雪童子(ゆきどうじ)、琉球絞(りゅうきゅうしぼり)

 ※ケラマツツジRhododendron scabrum琉球(奄美大島-沖縄諸島) 原産、海岸付近の林縁に生える、高さ1-2mの常緑低木。若枝や花柄に粘毛を持つ。葉は対生し、厚く大型で、長さ5-8cmの長楕円形-倒卵状楕円形。枝先の花芽から2-4個の朱赤色の花を咲かす。花冠はろうと形で、上部の内側に濃い色の斑点がある。葉と同様に厚く、径4.5-6cmと大型である。元禄時代に江戸に持ち込まれ、観賞用に栽培された。寒さには弱いが、西南日本の暖地では栽培が可能である。 

 ※リュウキュウツツジ(シロリュウキュウ) Rhododendron mucronatum 。江戸時代中期の正徳2年(1712年)に出された『和漢三才図会(わかんさんさいずえ)』(著者:漢方医 寺島良安)の下の巻738/921に平戸躑躅(琉球躑躅)が単弁、白花として解説されている。この平戸躑躅が、琉球躑躅を異名とし、現在のリュウキュウツツジを指しているといわれ、このため、ヒラドツツジといわれることもある。江戸時代に盛んに栽培され、300年前のものも日本に残っている。リュウキュウツツジはモチツツジ Rhododendron macrosepalum とキシツツの交雑種という説もある。中国では白花杜鹃(bai hua du juan)は公園などに広く植えられている栽培種であり、日本のキシツツジ Rhododendron mucronatum var. ripense の白花品とされ(Flora of China)、日本のリュウキュウツツジと同一であり、白琉球杜鵑又は平戶杜鵑ともいわれる。モチツツジと同様に萼に腺毛があって粘り、花は白色、一重、直径5~6㎝と大きい、雄しべは10個。

 ※キシツツジ(イソツツジ) Rhododendron ripense =Rhododendron mucronatum var. ripense本州( 岡山県、島根県以西)、四国、九州に分布する。モチツツジに近縁であり、よく似ているが、雄しべが10個ある。モチツツジとほぼ隔離分布する。小河川~渓流の岩上に生育し、モチツツジより葉が細く、若枝の毛が斜上するが、葉では判別は難しい。

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