ハナミョウガ 花茗荷

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Flora of Mikawa

ショウガ科 Zingiberaceae ハナミョウガ属

中国名 山姜 shan jiang
学 名 Alpinia japonica (Thunb.) Miq.
ハナミョウガ花2
ハナミョウガ花
ハナミョウガ果実
ハナミョウガ果実の中身
ハナミョウガ
ハナミョウガ種子
花 期 6月
高 さ 40~60㎝
生活型 多年草
生育場所 暖地の林内
分 布 在来種 本州(関東以西)、四国、九州、中国、台湾
撮 影 五井山 03.6.8   実 04.1.18
ショウガ科特有の偽茎は高さ35~70㎝。葉舌は2裂し、長さ約2㎜、短毛がある。葉柄は長さ2㎝以下。葉身は披針形~倒披針形~狭長楕円形、長さ25~40㎝、幅4~7㎝、短毛があり、特に葉裏に多い。葉の基部は漸尖し、葉先は尖鋭形、微突起がある。総状花序は偽茎の先につき、長さ15~30㎝、花序軸には密に綿毛がある。総苞片は披針形、長さ約9㎝、花期には落ちやすい。小苞は非常に小さく、早落性。花は花序軸に普通2個対につき、しばしば退化した花をつける。花柄は長さ約2㎜。萼は棍棒形、長さ1~1.2㎝、短毛があり、先は3歯がある。花冠の筒部は長さ約1㎝、まばらに短毛がある。裂片は長楕円形、長さ約1㎝、外面は綿毛がある。中央の裂片はフード状。側仮雄しべは線形、長さ約5㎜。唇弁は白色、赤色のストライプがあり、卵形、幅約6㎜、縁は不規則切れ込み、先は2裂する。雄しべは1個、長さ1.2~1.4㎝。雌しべ1個、柱頭が葯の間から突き出る。子房は綿毛が密生する。蒴果はサーモンレッド(salmon red) (写真の果実は深紅色=クリムソンに近い)に熟し、球形~楕円形、直径1~1.5(2)㎝、短毛があり、宿存性の萼が先に残る。種子は白色の仮種皮に包まれ、長さ約5㎜、幅約3㎜、角が多数あり、ショウノウ様の臭いがある。2n=48。

ハナミョウガ属の主な種と園芸品種

1 Alpinia boninsimensis Makino  シマクマタケラン 島熊竹蘭
  synonym Alpinia nakaiana Tuyama
 小笠原固有種。

2 Alpinia conchigera Griff.  カラリョウキョウ 唐良姜
 中国、インド、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア原産。中国名は节鞭山姜 jie bian shan jiang

3 Alpinia flabellata Ridley  イリオモテクマタケラン 西表熊竹蘭 (ハダカゲットウ)
  synonym Alpinia iriomotensis Masam.
  synonym Alpinia koidzumiana Kitam
 西表島、石垣島固有種。

4 Alpinia galanga (L.) Willd.  ナンキョウ 南姜
 中国、台湾、インド、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア原産。中国名は红豆蔻 hong dou kou 。

5 Alpinia intermedia Gagnep.  アオノクマタケラン 青野熊竹蘭
  synonym Alpinia oblongifolia Hayata 
  synonym Alpinia takaminei Masam.   イシガキクマタケラン
 日本、中国、台湾、フィリピン原産。中国名は光叶山姜 guang ye shan jiang 。
 偽茎は高さ約1m。葉舌は長さ5~6㎜、乾いた膜質、縁毛がある。葉柄は長さ2.5㎝以下。葉身は長円形又は披針形、長さ20~50㎝×幅5~12㎝、無毛、基部は漸尖形、先は尖鋭形。円錐花序は直立又は垂れ下がり、長さ10~15㎝×幅2~4㎝、無毛、枝は長さ0.8~1.3㎝、先に花が3~5個つく、小苞は長円形、長さ7~10㎜、脱落性。花は白色、無毛。咢は筒形、長さ3.5~4.5㎜、先は円鋸歯状。花冠筒部は咢より短く、花冠裂片は狭い。側仮雄しべはつの形。唇弁は卵形、長さ約1.8㎝、基部は漸尖形。先は鋭形、2裂。葯は卵形、わずかに毛がある。花期は6月。2n= 48。
品種) ''Sun Spice'

6 Alpinia japonica (Thunb.) Miq.  ハナミョウガ 花茗荷
 日本(本州の関東以西、四国、九州)、中国、台湾原産。中国名は山姜 shan jiang 。
 ショウガ科特有の偽茎は高さ35~70㎝。葉舌は2裂し、長さ約2㎜、短毛がある。葉柄は長さ2㎝以下。葉身は披針形~倒披針形~狭長楕円形、長さ25~40㎝、幅4~7㎝、短毛があり、特に葉裏に多い。葉の基部は漸尖し、葉先は尖鋭形、微突起がある。総状花序は偽茎の先につき、長さ15~30㎝、花序軸には密に綿毛がある。総苞片は披針形、長さ約9㎝、花期には落ちやすい。小苞は非常に小さく、早落性。花は花序軸に普通2個対につき、しばしば退化した花をつける。花柄は長さ約2㎜。萼は棍棒形、長さ1~1.2㎝、短毛があり、先は3歯がある。花冠の筒部は長さ約1㎝、まばらに短毛がある。裂片は長楕円形、長さ約1㎝、外面は綿毛がある。中央の裂片はフード状。側仮雄しべは線形、長さ約5㎜。唇弁は白色、赤色のストライプがあり、卵形、幅約6㎜、縁は不規則切れ込み、先は2裂する。雄しべは1個、長さ1.2~1.4㎝。雌しべ1個、柱頭が葯の間から突き出る。子房は綿毛が密生する。蒴果はサーモンレッド(salmonred)(写真の果実は深紅色=クリムソンに近い)に熟し、球形~楕円形、直径1~1.5(2)㎝、短毛があり、宿存性の萼が先に残る。種子は白色の仮種皮に包まれ、長さ約5㎜、幅約3㎜、角が多数あり、ショウノウ様の臭いがある。2n=48。花期は6月。
品種) 'Extra Spicy'
6-1 Alpinia japonica (Thunb.) Miq. f. xanthocarpa Yamasiro et M.Maeda  キミノハナミョウガ
 果実が黄金色。

7 Alpinia latilabris Ridley  タチバナゲットウ 立花月桃
  synonym Alpinia hookeriana Valeton
  synonym Alpinia sericea Ridl.
  synonym Languas hookeriana (Valeton) Merr.
  synonym Languas sericea (Ridl.) Merr.
 ボルネオ、マラヤ、ミャンマー、ベトナム原産(インドシナ半島で栽培されている栽培種)。英名はupright shell ginger。ベトナムで胃薬として使われている。ゲットウに比べて草丈が高く、根元から分枝する数が多く、花序が直立する。ゲットウは円錐花序が垂れ下がる。
 多年草、高さ平均1.8~2.4(~3)m、幅は同程度に広がる。根茎から不規則に、疎に、上向きに群生する。葉は常緑、長楕円形、螺旋状につき、単葉、全縁、長さ40~60㎝×幅12.5~15㎝、緑色、羽状脈をもつ。花序は和名のように、ほとんどが上向きの頂部の総状花序。花は古い成長部につき、暖地以外では花が見られないこともある。花は芳香があり、初め、蕾は白色で、先端がピンク色、貝殻のように見え、後に開くが、開ききらず、黄色の唇が見え、のど部に赤色の網目をもつ。果実は橙赤色の球形の蒴果、花期は夏。開花は5~6月。

8 Alpinia malaccensis (N. L. Burman) Roscoe
 中国、インド、ブータン、バングラデシュ、マレーシア、ミャンマー、タイ原産。中国名は毛瓣山姜 mao ban shan jiang。
品種) ''Giant Pink Shell'

9 Alpinia nigra (Gaertn.) B.L.Burtt  チクリンカ
  synonym Alpinia bilamellata Makino
 中国、インド、ブータン、スリランカ、タイ原産。中国名は黑果山姜 hei guo shan jiang。
 古くは小笠原の固有種とされ、絶滅危惧種に指定されていた。花がピンク色。

10 Alpinia officinarum Hance  コウリョウキョウ 高良姜
 中国原産。中国名は高良姜 gao liang jiang 。
品種) 'Mcghiejcg' (PBR) , 'Variegata' (v)

11 Alpinia oxyphylla Miq.  ヤクチ 益智
 中国原産。中国名は益智 yi zhi

12 Alpinia pricei Hayata  プライスゲットウ
 台湾原産。中国名は短穗山姜 duan sui shan jiang。
12-1 Alpinia pricei Hayata var. sessiliflora (Kitam.) J.J.Yang et J.C.Wang アリサンゲットウ
  synonym Alpinia sessiliflora Kitam.

13 Alpinia purpurata (Vieill.) K.Schum. アカボゲットウ 赤穂月桃
 インドネシア(マルク)、パプアニューギニア(ビスマルク諸島)、ニューカレドニア、ソロモン諸島、バヌアツ原産。英名は red ginger , red ginger lily。別名はレッドジンジャー。
 多年草、高さ0.8~2.5(~7)m。 葉は狭楕円形、長さ20~50(~80)㎝×幅3.5~15㎝、先は鋭形、基部はくさび形、無毛。葉舌は長さ5~8㎜。 花序は直立した穂状花序状の密錐花序(thyrsus)、長さ8~25(~90)㎝×幅3.5~8㎝。各苞に花が1~5個の扇状集散花序(cincinnus)がつく。苞は倒卵形、長さ3~5㎝、先は鈍形~鋭形、無毛~微軟毛があり、赤色。小苞は筒状、長さ20~40㎜。花柄は長さ1~2㎜。 萼は長さ10~20㎜。花冠は長さ30~50㎜、無毛、白色。唇弁は長さ55㎜以下、白色。側部の仮雄しべは花弁状。蒴果はほぼ球形、直径30㎜以下。種子は赤色、仮種皮は無い。花期は6~10月。
品種)  'Double Red' , 'Hot Pink' , 'Pink'='Pink Cone'ピンクジンジャー , 'Purest White' , 'Rosea'

14 Alpinia shimadae Hayata  シンチクハナミョウガ
  synonym lpinia dolichocephala Hayata
 台湾原産。中国名は密穗山姜 mi sui shan jiang
14-1 Alpinia shimadae Hayata var. kawakamii (Hayata) J.J.Yang et J.C.Wang カワカミゲットウ
  synonym Alpinia kawakamii Hayata 

15 Alpinia uraiensis Hayata  タイリンゲットウ 大輪月桃
 台湾原産。中国名は大花山姜 da hua shan jiang
 全体に大形、葉も長く、葉に葉柄がほとんど無く、葉舌が長さ1㎝以上あり長い。花序は直立、花柄は短い。
 偽茎は高さ2~4m。葉は無柄、葉舌は長円状三角形、長さ1~1.5㎝×幅約 6㎜、外側に粗毛があり、先は鈍形。葉身は線状披針形、長さ約1m×幅約13 ㎝、無毛、基部と先は尖鋭形。総状花序は直立、花のつく部分は長さ約25㎝、密に花がつく。花序軸には密に剛毛状の綿毛があり、多数の溝がある。苞は先が赤紫色、線形長さ約2.5㎝×幅4~5㎜、無毛。小苞は円形、長さ約5.5㎝、外側の基部に剛毛がある以外は無毛。花柄は長さ約3㎜、中程度に丈夫、密に毛がある。咢は白色に近く、鐘状円筒形、長さ約3.5㎝×幅2㎝、片側で深く割れ、外側にはまばらに粗毛があり、先は細かい6歯がある。花冠筒部は長さ約1.3㎝、外側にまばらに粗毛があるか、又は類無毛。.中裂片は倒卵状長円形、約長さ3.5㎝×幅2.8㎝。側仮雄しべは線形、長さ約2㎜。唇弁は黄色で、中央が帯赤色、放射状の縞.が上部の中間部分にあり、縁で消え、長円状三角形、約長さ5㎝×幅4㎝、先は2裂。裂片は長さ6~7㎜、小さないぼがあり、基部に密に絨毛がある。花糸は長さ約1㎝。葯は長さ約1.8㎝。子房は球形。花柱は先が円蓋状。蒴果は淡緋色、球形、直径約2.5㎝、密に毛がある。花期は4~5月。

16 Alpinia zerumbet (Pers.) B.L.Burtt et R.M.Sm. ゲットウ 月桃
  synonym Alpinia speciosa (J.C.Wendl.) K.Schum. var. longiramosa Gagnep.
  synonym Alpinia speciosa (J.C.Wendl.) K.Schum.
  synonym Alpinia schumanniana Valeton 
 中国、台湾、インド、スリランカ、バングラデシュ、カンボジア、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、マレーシア、インドネシア、フィリピン原産。中国名は艳山姜 yan shan jiang。 英名はshell ginger。
 偽茎は高さ2~3m。葉舌は長さ5~10㎜、外側に毛がある。葉柄は長さ1~1.5㎝。葉身は披針形、長さ30~60㎝×幅5~10 ㎝、縁に毛がある以外は無毛、基部は漸尖形、先は尖鋭形で螺旋形の微突形。円錐花序は垂れ下がり、長さ30㎝以下、若いときには2個の長い鞘に包まれ、花序軸は紫赤色、ビロード状。枝はごく短く、花が1又は 2(又は3)個つく。小苞は花芽を包み、白色、先がピンク色、楕円形、長さ3~3.5㎝、無毛。 花柄は長さ1~2㎝。咢は白色、類鐘形、長さ約2㎝、片側で割れ、先に歯がある。花冠筒部は咢より短い。花冠裂片はミルキーホワイトで先がピンク色、長円形、長さ約3㎜。中裂片は側裂片より大きい。側仮雄しべは錐形、長さ約2㎜。唇弁は黄色で、紫赤色の縞があり、広卵状へら形、長さ4~6㎝、先はパリパリする。雄しべは長さ約2.5㎝。子房は黄金色、粗毛がある。蒴果は朱色、球形、直径約2㎝、うねがあり、先に宿存する咢をもつ。種子は角(かど)がある。花期は4~6月。果期は7~10月。2n = 48。
品種) 'Variegata' (v) , 'Yu Hwa Ginger'

17 ハイブリッド
(1) Alpinia formosana K.Schum クマタケラン 熊竹蘭
  synonym  Alpinia kumatake Makino 
  synonym  Alpinia koshunensis Hayata  コウシュンゲットウ
 日本、台湾原産。中国名は美山姜 mei shan jiang
品種) ''Pinstripe'
(1)-1 Alpinia formosana K.Schum. f. variegata (Makino) Kitam.  フイリクマタケラン
(2) Alpinia x ilanensis S.C.Liu et J.C.Wang  ギランハナミョウガ (temp.) 
(3) Alpinia x kiushiana Kitam.  ツクシハナミョウガ
  synonym  Alpinia japonica (Thunb.) Miq. var. kiushiana (Kitam.) H.Ohba
(4) Alpinia x kusshakuensis Hayata  クッシャクゲットウ 
(5) Alpinia x mesanthera Hayata  カッパンクマタケラン
(6) Alpinia x okinawensis Tawada  クマタケゲットウ
(7)Alpinia x tonrokuensis Hayata  トンロクゲットウ

参考

1) Flora of North America
 Alpinia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=101188
2) Florats of China
 Alpinia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=101188
3) ショウガ科植物ゲットウ - 琉球大学
 ショウガ科植物ゲットウ、タイリンゲットウの有効利用に関する研究
http://okinawa-repo.lib.u-ryukyu.ac.jp/bitstream/20.500.12001/14200/1/Vol20No1p9.pdf
4) GRIN
 Alpinia
http://www.tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxon/taxonomyfamily?type=tribe&id=2365
5)チクリンカ - 東京農業大学
 チクリンカ
https://www.nodai.ac.jp/hojin/journal/images/j_1211/h4.pdf
6)World Flora Online
 Alpinia purpurata (Vieill.) K.Schum.
http://worldfloraonline.org/taxon/wfo-0000338713;jsessionid=F95E5922F9DEF19C26D5DC031CCD588B
7)植物研究雑誌 30(10): 319–319(1955)
 前田正之 : 新品種キミノハナミョウガ
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_030_319_319.pdf
8)植物研究雑誌 80(6): 361–363(2005)
 船越英伸 : 絶滅危惧1A類チクリンカ(ショウガ科)の正体
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_080_361_363.pdf