ドジョウツナギ 泥鰌繋

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Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae ドジョウツナギ属

学 名 Glyceria ischyroneura Steud.
ドジョウツナギの花序
ドジョウツナギの花
ドジョウツナギの葉舌
ドジョウツナギの葉耳
ドジョウツナギの葉縁
ドジョウツナギの果実
ドジョウツナギの茎
ドジョウツナギ
ドジョウツナギ基部
ドジョウツナギ小穂
ドジョウツナギの護頴と内頴
ドジョウツナギの小花
ドジョウツナギの葉表
ドジョウツナギの葉裏
花 期 5~6月
高 さ 40~80㎝
生活型 多年草
生育場所 低地の湿地、水田の畔、湿った道端
分 布 在来種 日本全国、朝鮮
撮 影 豊田市 13.5.24
低山地の湿った道端などに群生していることも多い。
 散生又は小さく群生する。茎は無毛、平滑、基部が曲がり、上部は斜上する。葉は幅3~5(8)㎜、無毛、平滑、薄くて弱く、縁に歯がありざらつく。葉舌は長さ1~1.5㎜、切形、縁が不整に裂ける。葉鞘は無毛、平滑、完全な筒状になるが、縁の上部は裂けやすく、耳状の突起があることもある。花序は長さ20~30㎝、狭くて長く、枝は細く、各節に2~3本つき、散開する。小穂は長さ5~12㎜、小花が3~9個つき、軸が小花の腹面に沿ってジグザグに屈曲する。枝や花柄には微歯がありざらつく。第1苞頴は長さ約1㎜、第2苞頴は長さ約1.5㎜。小花は長さ2.2~2.5㎜、腹面が膨らむ。小穂が熟すと、軸のジグザグのところで切れ、護頴に包まれた果実が先から順に落ち、最後に苞頴が残る。小穂が熟してくると小穂の小花が少なく見えるが、先の小花が落ちると腹部に軸が残っている。護頴は無毛、7脈があり、芒は無い。内頴は腹部が膨らむため、強く湾曲し、縁は内側に折れ、護頴とほぼ同長。果実(頴果)は長さ1~1.4㎜、光沢のある褐色~暗褐色、腹部が溝状に窪む。
 ヒロハノドジョウツナギは大型で葉幅が7~10㎜あり、小花も大きく、長さ約3㎜ある。葉鞘の脈が格子状になる。
 ミヤマドジョウツナギは本州中部以北の亜高山から高山、北海道などに分布し、小穂が暗紫色。

ドジョウツナギ属

  family Poaceae - genus Glyceria

 多年草、普通、根茎がある。 稈は直立、斜上、または平伏する。葉鞘葉は縁が完全にまたは部分的に融合する。葉身は線形。葉舌は膜質。円錐花序は開くかまたは狭くなり、ときに、小穂が少ない場合は総状花序状になる。小穂は数個~多数の小花をもち、側部が扁平または円柱形。小軸は平滑またはザラつき、各小花の下で関節離断する(disarticulating)。苞穎(glumes)は 隣接する護穎(lemma)より小さいかまたは同長で、膜質、1脈があり、先は鋭形または鈍形。小花のカルス(callus)は小さく、無毛、鈍形。護穎は重なり、卵形~披針形または長円形、薄い草質または薄い革質、背は丸く、平滑、顆粒状または細かくザラつき、5~11脈があり、脈は明瞭で平行、先は普通、膜質、鋭形~広い鈍形または小歯がある。内穎は護穎と同長またはわずかに短く、竜骨にときに狭い翼がある。雄しべは2または3個。x=10。
 世界に約40種あり、世界の温帯地域に分布し、湿った生息地にある。

ドジョウツナギ属の主な種と園芸品種

1 Glyceria acutiflora Torr. ムツオレグサ 広義
  synonym Glyceria japonica (Steud.) Miq.
 日本、韓国、中国、USA(アラバマ州、コネチカット州、デラウェア州、ジョージア州、インディアナ州、ケンタッキー州、メイン州、メリーランド州、マサチューセッツ州、ミシガン州、ミズーリ州、ニューハンプシャー州、ニュージャージー州、ニューヨーク州、オハイオ州、ペンシルベニア州、ロードアイランド州 、テネシー州、バーモント州、バージニア州、ウェストバージニア州)原産。 英名はcreeping mannagrass。
 多年草。稈は高さ30~100 cm、直径3~6㎜、海綿状で、普通、傾伏し、下部の節から発根する。葉鞘は平滑、弱く竜骨がある。葉舌は長さ5~9㎜。葉身は長さ10~15㎝×幅3~8㎜、下面は平滑、中間の茎葉の上面はしばしば乳頭状突起がある。花序はしばしば総状花序、ときに円錐花序、長さ15~35㎝、×幅1~2 cm、花時に開き、しばしば成熟時に基部が止め葉の鞘(flag leaf sheaths)に囲まれる。枝は長さ5.5~8㎝(総状花序には存在しない)、単生または対につき、圧着し、ほとんどの枝には1~3個の小穂がつき、ときに下部の枝には3個以上になる。小梗は長さ1.5~2.5㎜。小穂は長さ20~45㎜×幅2.5~3㎜、円筒形、花時にわずかに側部が扁平なる以外は円柱形、側面から見ると、長方形で、5~12個の小花ががつく。両苞穎は等しくなく、鋭形。第1苞穎は長さ1.3~4.5mm。第2苞穎は長さ3~7㎜。小軸の節間は長さ2~3㎜。護穎は長さ6~8.5㎜、細かくザラつき、7脈があり、ほぼ中間近くから狭く鋭形(<45°)または尖鋭形の先まで次第に先細になる。内穎は護穎より長さ0.7~3㎜長く、竜骨に翼があり、先端は平行、肋間領域は切形、しばしば分裂し、先は2裂になり、歯は長さ0.4~1mm。葯は3個、長さ1~2㎜。穎果は長さ約3㎜。2n=40。
1-1 Glyceria acutiflora Torr. subsp. acutiflora アメリカミノゴメ 
 USAに分布。英名はcreeping mannagrass。
1-2 Glyceria acutiflora Torr. subsp. japonica (Steud.) T.Koyama et Kawano ムツオレグサ 六折草
 日本、韓国、中国に分布。中国名は甜茅 tian mao。別名はミノゴメ。水田、小川、溝に生える。
 多年草。稈は長く這う基部から斜上し、下部の節から発根し、高さ40~70㎝、直径1.5~3㎜。葉鞘は竜骨があり、平滑、節間よりも長い。葉身は平らで、たるみ、長さ5~15㎝×幅4~5㎜、わずかに細かくザラつき、先は鋭形。葉舌は長さ4~7㎜。円錐花序は狭く、長さ15~30㎝、基部はしばしば最上部の葉鞘に囲まれる。下部の節に枝が2本つき、1本は非常に短く、直立し、枝分かれせず、1個の小穂のみを持ち、円錐花序は先が総状花序状になる。小穂は線形、円筒形、長さ2.5~4.2㎝、小花が7~14個つき、淡緑色。苞穎は長円形、膜質、1脈があり、第1苞穎は長さ2.5~4㎜、第2上苞穎は長さ4~6㎜、先はほぼ鋭形。護穎は披針形、長さ7~9㎜、草質、7脈があり、細かくざらつき、先は膜質、鋭形またはわずかに3歯状。内穎は護穎より0.7~1.4㎜長く、竜骨は厚く、翼は狭く、竜骨の間の正中線の下は透明で、先の2歯が露出する。雄しべ3個、葯は長さ0.8~1.3㎜。花期は3~6月。2n=20。

2 Glyceria alnasteretum Kom. ミヤマドジョウツナギ 深山泥鰌繋ぎ
  synonym Glyceria arundinacea auct. non (M.Bieb.) Kunth
 北海道、本州(東北~中部)、千島、サハリン、ロシア、朝鮮原産。低山地~高山の湿地、林縁に生える。
 多年草。高さ30~60㎝。茎は直立、叢生する。葉は柔らかく、幅3~9㎜。葉舌は長さ約3㎜、鋭形。葉鞘は完筒形、平滑、無毛。花序は細く、長さ15~25㎝で、先が垂れる。小穂は長さ6~7㎜、暗紫色、小花が5~7個つく。小花(護頴)は長さ3.5~4㎜。苞頴は長さ約3㎜、第2苞頴は長さ約4㎜。第1苞穎は護穎の約1/2、第2苞穎は約2/3長。護頴(外花頴)は7脈があり、内頴は2脈がある。果実は長さ1.6~1..9㎜の長楕円形、光沢があり暗褐色。花期7~8月。

3 Glyceria arundinacea Kunth
  synonym Glyceria arundinacea (M.Bieb.) Kunth
  synonym Glyceria effusa Kitag.  マンシュウドジョウツナギ 
 ユーラシアのハンガリー~朝鮮まで広く分布。
 多年草。稈は直立し、長さ70~150㎝。葉鞘はその長さの大部分が閉じ、管状、平滑、表面は無毛。葉舌は縁毛が無く、膜質、長さ2~3㎜。葉身は長さ15~30㎝×幅3~8㎜、緑色または灰緑色、表面は細かくざらつき、上面は粗く、縁は細かくざらつく。花序は円錐花序、開き、卵形、長さ15~20㎝。一次の枝は広がり、細かくザラつく。小穂は単生、稔性の小穂は小梗があり、2~5個の稔性の小花からなり、先端の小花は無くなる。小穂は楕円形たは卵形、側部が扁平、長さ6~7㎜、熟すと別れ、各稔性の小花の下で関節離断する。両苞穎は宿存し、似ており、小穂より短い。第1苞穎は楕円形、長さ1~1.5㎜、第2苞穎の長ささの0.66倍、膜質、竜骨はなく、先は鋭形。第2苞穎は楕円形、長さ1.5~2.5㎜、隣接する稔性の護穎の長さの0.5倍、膜質、竜骨はなく、先は鋭形。稔性の護穎は楕円形、長さ3~4㎜、膜質、上部ははるかに薄く、竜骨はなく、5~7脈があり、表面は顕微鏡的粗面(asperulous)、先は鋭形。内穎は長さ3㎜、2脈があり、竜骨に翼はなく、先は三角形、2裂する。先の不稔の小花は未発達でも稔性の小花に似ている。鱗被は2個、統合し、長円形、肉質、切形。葯は3個、長さ0.7~1.2㎜。穎果は果皮が付着性、へそが線形。

4 Glyceria depauperata Ohwi ヒメウキガヤ 広義
  synonym Glyceria leptorhiza subsp. depauperata (Ohwi) T. Koyama
4-1 Glyceria depauperata Ohwi var. depauperata ヒメウキガヤ 姫浮萱

  synonym Glyceria leptorhiza (Maxim.) Kom. var. depauperata (Ohwi) T.Koyama

  synonym Glyceria leptorhiza (Maxim.) Kom. subsp. depauperata (Ohwi) T.Koyama

 北海道、本州に分布する。低地の水辺に生える。
 多年草、茎は長く、繊細で、下部は水中にあり、匍匐する。全体に無毛。葉は線形、長さ6~20㎝×幅2~3㎜、先は鋭形。葉鞘は平滑。葉舌は鋭形、白色、膜質、長さ3~4㎜。円錐花序は細長く、長さ10~25㎝、各節から長と短の2枝を出し、小穂をまばらにつける。小梗は長さ1~1.5㎜。小穂は線形、長さ10~20(25)㎜×幅2~2.5㎜、淡緑色、小花が(7)9~13(15)個つく。第1苞穎は狭卵形、長さ1.5~1.8㎜。第2苞穎は卵形、長さ2~2.5㎜。小花は長さ3~3.5㎜。護穎は広倒卵形、長さ3~3.5㎜、7脈がある。内穎は護穎と同長。葯は長さ0.5~0.7㎜。花期は6~7月。
4-2 Glyceria depauperata Ohwi var. infirma (Ohwi) Ohwi ウキガヤ 浮萱
  synonym Glyceria leptorhiza (Maxim.) Kom. var. infirma (Ohwi) Ohwi

  synonym Glyceria leptorhiza (Maxim.) Kom. subsp. infirma (Ohwi) T.Koyama

  synonym Glyceria infirma Ohwi
 ヒメウキガヤよりも少し大きいが、よく似ている。稈は水中を匍匐し、節から発根し、群生する。花序は細長い。小穂は線形、長さ1~2cm、7~15個の小花がつく。両苞穎は1脈がある。護穎は7脈がある。護穎が長さ約4mmあり、ヒメウキガヤより大きい。花期は7~9月。

5 Glyceria ischyroneura Steud. ドジョウツナギ 泥鰌繋
 日本全国、朝鮮原産。低地の湿地、水田の畔、湿った道端に生える。
 多年草。高さ40~80㎝。散生又は小さく群生する。茎は無毛、平滑、基部が曲がり、上部は斜上する。葉は幅3~5(8)㎜、無毛、平滑、薄くて弱く、縁に歯がありざらつく。葉舌は長さ1~1.5㎜、切形、縁が不整に裂ける。葉鞘は無毛、平滑、完全な筒状になるが、縁の上部は裂けやすく、耳状の突起があることもある。花序は長さ20~30㎝、狭くて長く、枝は細く、各節に2~3本つき、散開する。小穂は長さ5~12㎜、小花が3~9個つき、軸が小花の腹面に沿ってジグザグに屈曲する。枝や花柄には微歯がありざらつく。第1苞頴は長さ約1㎜、第2苞頴は長さ約1.5㎜。小花は長さ2.2~2.5㎜、腹面が膨らむ。小穂が熟すと、軸のジグザグのところで切れ、護頴に包まれた果実が先から順に落ち、最後に苞頴が残る。小穂が熟してくると小穂の小花が少なく見えるが、先の小花が落ちると腹部に軸が残っている。護頴は無毛、7脈があり、芒は無い。内頴は腹部が膨らむため、強く湾曲し、縁は内側に折れ、護頴とほぼ同長。果実(頴果)は長さ1~1.4㎜、光沢のある褐色~暗褐色、腹部が溝状に窪む。花期は5~6月。

6 Glyceria leptolepis Ohwi ヒロハノドジョウツナギ 広葉の泥鰌繋
  synonym Glyceria formosensis Ohwi  タイワンドジョウツナギ 
 日本(北海道、本州、四国、九州 )、韓国、中国、ロシア(ウスリー)原産。中国名は假鼠妇草 jia shu fu cao。湿地のある林内、小川の水辺、湖、溝に生える。
 多年草、根茎は長く、太い。稈は丈夫で硬く、高さ80~110㎝、直径5~8mm。葉鞘は目立つ竜骨は無く、下部の鞘はザラつき、横脈がある。葉身は平らまたは内巻きし、堅く、長さ40㎝以下×幅5~12㎜、下面は平滑、上面はザラつき、横の細脈があり、先は急な鋭形。葉舌は長さ0.3~1mm。円錐花序は外形が卵形、長さ15~25㎝、小穂が多数つき、各節に2~3本の枝があり、斜上し、ザラつく。小穂は楕円形~卵状長円形、長さ6~8㎜、小花が4~7個つき、淡緑色、熟すと黄褐色。苞穎は卵状長円形、膜質、1脈があり、第1苞穎は長さ1.5~2 mm、第2苞穎は長さ1.8~2.5 mm、先は鈍形。護穎は披針状長円形、薄い草質、長さ3~3.5 mm、微細な顆粒があり、7脈があり、脈は細かくザラつき、縁および先は膜質、ほぼ鋭形。内穎は護穎と同長かそれよりわずかに長く、竜骨に翼はなく、細かくザラつき、先は凹形。雄しべ2個、葯は長さ0.6~0.8mm。花期および果期は7~9月。2n=20。

7 Glyceria leptorhiza (Maxim.) Kom. マンシュウウキガヤ 満州浮萱
 中国、ロシア原産。中国名は细根茎甜茅 xi gen jing tian mao。

8 Glyceria lithuanica (Gorski) Gorski カラフトドジョウツナギ 樺太泥鰌繋
 日本(北海道、本州中部)、韓国、中国、モンゴル、ロシア、南西アジア(コーカサス)、中央および北部ヨーロッパ原産。中国名は两蕊甜茅 liang rui tian mao。沼沢地の森林、森林の縁、小川沿いなど湿潤地に生える。
 多年草、根茎がある。 稈は柔らかく、高さ60~150㎝、直径3~5mm。 葉鞘は目立つ竜骨は無く、下部の鞘はザラつく。 葉身は平らで、柔らかく、薄く、長さ30㎝以下×幅4~9mm、ザラつき、先は鋭形。葉舌は長さ2~3mm。円錐花序は外形が卵形、長さ15~30㎝、小穂が多数つき、各節に2~4本の枝があり、広がり、しばしば屈曲し、ときにうなずき、糸状、ザラつく。小穂は楕円形~卵状長円形、長さ5~8mm、小花が3~6個つき、明るい緑色または紫色を帯びる。小軸は密にザラつく。苞鋭は卵形、膜質、1脈があり、第1苞穎は長さ1.2~1.8mm、第2苞穎は長さ1.7~2.5mm、先はほぼ鈍形。護穎は披針状長円形、長さ2.5~4mm、薄い草質、しばしば、細かく顆粒がありまたは細かくざらtるき、7脈があり、脈はザラつき、先は膜質、鈍形。内穎は護穎と同長かそれよりわずかに長く、竜骨に翼はなく、細かくザラつき、先は凹形。雄しべは2個、葯は長さ0.5~0.8mm。花期は6~8月。2n=20。

9 Glyceria maxima (Hartm.) Holmb. グリセリア・マキシマ
  synonym Glyceria spectabilis Mert. & W.D.J.Koch
  synonym Glyceria aquatica (L.) Wahlb.
  synonym Hydropoa spectabilis Dumort.
 ヨーロッパ、アジア西部原産。中国名は水甜茅 shui tian mao。英名はtall glyceria , English watergrass , reed sweet grass , great manna grass , reed mannagrass, reed sweet-grass , greater sweet-grass。北アメリカ、オーストラリアに導入され、野生化し、有害雑草とされている。洪水帯の湿地、小川、湖の土手などに生える。
 多年草。根茎は長く、太い。 稈は丈夫で、直立し、高さ80~200㎝、直径10mm以下。 葉鞘は刃に向かって平滑またはザラつく。 葉身は平ら、薄緑色、長さ25~50㎝×幅8~16㎜、横脈があり、下面はザラつき、上面は平滑またはまばらにザラつき、先は鋭形。葉舌は長さ2~4mm。円錐花序は外形が卵形~長円形、普通、ゆるく狭まり、長さ20~40㎝、小穂は多数つく。各節に4~10本の枝がつき、斜めに斜上し、比較的太く、ザラつく。小穂は狭長円形、長さ5~12mm、小花は5~10個つき、黄緑色または帯紫色。小軸の節間は平滑。苞穎は狭卵形で、1脈があり、第1苞穎は長さ2~3mm、第2苞穎は長さ3~4mm、ほぼ鋭形。護穎は長円形、長さ3~4mm、薄い草質、7脈があり、脈はザラつき、先は膜質、広い鈍形。内穎は護穎と同長、竜骨に翼はなう、ザラつく。雄しべは3個、葯は長さ1.2~1.8mm。花期は5~7月。2n=28, 56, 60。
品種) 'Pallida' , 'Variegata'(var. variegata (v))

10 Glyceria notata Chevall. ヒロハウキガヤ 広葉浮萱
  synonym Glyceria plicata (Fr.) Fr.
  synonym Glyceria fluitans auct. non (L.) R.Br.
 中国、アフガニスタン、カザフスタン、キルギスタン、パキスタン(カラチ)、ロシア、タジキスタン、ウズベキスタン。 北アフリカ、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は蔗甜茅 zhe tian mao。 北米とオーストラリアで導入され、日本でも戦後に導入され、北海道、本州で野生化している。湿った草地、溝、浅い池などに生える。
 多年草、緩いパッチを形成する。稈は海綿状で、平伏する基部から斜上し、下部の節から発根し、高さ30~100㎝、直径3~6㎜。葉鞘は竜骨があり、上部でザラつき、節間より長い。葉身は平らまたは折り畳まれ、たるみ、緑色~灰緑色、長さ6~30㎝×幅4~10㎜、下面は平滑またはザラつき、上面はザラつき、先は鋭形。葉舌は長さ3~6㎜。円錐花序は初めは披針形、成熟すると卵形になり、長さ30㎝以下、下部の節に3~5本の枝があり、やがて広く広がり、長い枝に15個以下の小穂をつける。小穂は線状長円形、円筒形またはわずかに側部が扁平、長さ1~2.5㎝、小花が5~16個つき、灰緑色または帯紫色。苞穎は卵形、膜質、1脈があり、第1苞穎は長さ1.4~2.3㎜、第2苞穎は長さ2.5~4㎜、先は円形。護穎は広楕円形~倒卵状長円形、長さ3.5~4.5㎜、堅い草質、ザラつき、7脈があり、先は膜質、広い鈍形。内穎は護穎と同長、竜骨には狭い翼があり、先は2小歯状。雄しべは3個、葯は長さ0.8~1.4㎜。花期は6~8月。2n=40。

11 Glyceria occidentalis (Piper) J.C.Nelson セイヨウウキガヤ 西洋浮萱
 北アメリカ原産。英名はnorthwestern mannagrass, western manna grass。湿地、浅い水辺、水田に生える。
 多年草。高さ40~90(150)㎝。茎の基部は倒伏し、水中に沈み、やや群生する。茎は柔らかく、無毛、平滑、基部は泥の上を這い、節から発根し、新苗をつける。葉は長さ20~30㎝、幅4~13㎜、平滑、無毛、先がボート形。葉舌は長さ5~12㎜、鋭形。葉鞘は長く、無毛、平滑、円筒形。花序は長さ15~40㎝、狭くて長く、各節に枝が1~3本つき、小数の小穂がつく。枝は花時には軸に沿ってつき、果時には開出する。小穂は長さ13~22㎜の線状円柱形、小花が5~13個つく。第1苞頴は長さ1.5~3.5㎜。第2苞頴は長さ2.5~5㎜。護頴は長さ4.5~6㎜の広披針形、先が歯状に3~5裂する。内頴は護頴とほぼ同長、先が2裂し、翼が幅広い。雄しべ3個。葯は長さ約1㎜。果実は長さ約4㎜。2n=40。花期は4~6月。

12 Glyceria probatovae Tzvelev   
 ロシア(千島列島)に分布。
13 Glyceria spiculosa (F.Schmidt) Roshev. ヌマドジョウツナギ 
  synonym Glyceria effusa Kitag. var. coreana (Ohwi) Tzvelev  ムラサキヌマドジョウツナギ 
 北朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は狭叶甜茅 xia ye tian mao。

14 Glyceria triflora (Korsh.) Kom. クロバナドジョウツナギ 
  synonym Glyceria arundinacea (M.Bieb.) Kunth subsp. triflora (Korsh.) Tzvelev
 韓国、中国、モンゴル、ロシア(極東、シベリア)、カザフスタン、ヨーロッパ(ウラル山脈)原産。中国名は东北甜茅 dong bei tian mao。
 Kewscienceではカラフトドジョウツナギ(Glyceria lithuanica (Gorski) Gorski)の異名としている。
14-1 Glyceria triflora (Korsh.) Kom. var. fauriei Tzvelev   
 GBIFではGlyceria arundinacea Kunthの異名としている。
15 Glyceria voroschilovii Tzvelev   
 ロシア(千島列島)に分布。

16 Glyceria x tokitana Masumura  マンゴクドジョウツナギ 
 ドジョウツナギヒロハノドジョウツナギとドジョウツナギの自然交雑種。

参考

1) Flora of China
 Glyceria
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=113749
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Glyceria
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331200-2
3) World Flora Online
 Glyceria
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000015842
4) World Checklist of Vascular Plants
 Glyceria
https://wcvp.science.kew.org/
5) FNA - Flora of North America
 Glyceria
http://floranorthamerica.org/Glyceria