ブタナ 豚菜

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Flora of Mikawa

キク科 Asteraceae エゾコウゾリナ属

別 名 タンポポモドキ
中国名 假蒲公英猫儿菊 jia pu gong ying mao er ju
英 名 cat's-ear , false dandelion , flatweed , pee-the-bed , rooted cat's-ear , spotted cat's-ear , wild dandelion , spotted cat’s ear, hairy cat's ear
[仏名] Salade de pore
学 名 Hypochaeris radicata L.
  
ブタナの花
ブタナの花
ブタナの果実
ブタナの冠毛の枝分かれ
ブタナの葉の毛
ブタナ
ブタナ葉
ブタナ果実と冠毛
花 期 6~9月
高 さ 10~60cm
生活型 多年草
生育場所 道端、草地
分 布 帰化種 ヨーロッパ原産
撮 影 新城市  04.10.2
和名はフランスの俗名の「豚のサラダ」から。昭和初期に初めて札幌で見つかり、その後、全国的に広がり、どこでも見られるようになった。
 花茎の葉は退化して鱗片状になり、根生葉だけである。葉は長さ5~35㎝、幅0.5~3㎝、硬毛が密生し、ざらつく。長い花茎を伸ばし、花茎の先を1~3に分枝し、先端に黄色いタンポポに似た花をつける。花の直径は3~4㎝、舌状花のみ。総苞は長さ10~25㎜、幅10~20㎜、下部が角張った円筒形で、総苞片は3列。総苞片の中央に1列の剛毛があるものとないものがある。痩果は金褐色、長さ6~10㎜、タンポポに似て3~5㎜の長い嘴がある。冠毛は2列につき、羽状に枝分かれし、長いものは10~12㎜。2n=8
 ヒメブタナは花期が早く、花茎が多く、よく分岐し、花が多数つく。また、全体にほぼ無毛。果実は嘴があるものとないものの2タイプが同じ頭花につく。

エゾコウゾリナ属

  family Asteraceae - genus Hypochaeris

 多年草、まれに1年草、しばしばロゼットになり、普通、硬い単純毛をもつ。茎は1本~少数[ときに、無茎]、普通、まばらに分枝又はまれに単純、葉がなく又はまばらに葉がある。合成花序は頭花が単生又は弱い散房花序に少数~数個の頭花がつく。頭花は約20個~多数の小花をもつ。総苞は円筒形、狭鐘形、又は広半球形。総苞片は±無毛又は剛毛がある。外総苞片は数列、求心的に次第に長くなり、±覆瓦状、しばしば内総苞片の長さの約3/4又はそれ以上。内総苞片は±線状披針形~線形、はぼ等長。花托は線形の薄膜質の鱗片をもち、鱗片総苞と長さがほぼ同長で、小花の基部を包む。小花は黄色又は白色。痩果はほとんどがかなり長く、同形又は2形、果体は円筒形~紡錘形、5本の微細突起のあるうねをもち、2次のうねは有又は無。細い~毛細管状の嘴をもち、まれに無く、痩果の果体よりしばしば長くなる。冠毛は白色又は汚白色、全ての剛毛が堅い長毛縁状の羽毛、又は内側の剛毛が羽毛状で外側の剛毛がザラつく。
 世界に約60種があり、アジア、地中海沿岸地域、南アメリカに分布する。

エゾコウゾリナ属の主な種と園芸品種

1 Hypochaeris albiflora (Kuntze) Azevedo-Goncalves et Matzenbacher シロバナブタナ 白花豚菜

  synonym Hypochaeris microcephala (Sch.Bip.) Cabrera var. albiflora (Kuntze) Cabrera

 南アメリカ原産。中国名は白花猫儿菊 bai hua mao er ju。公園や都市部の草地、道端に生える。
 多年草、高さ20~50㎝、直根がある。 茎は直立し、先端はまばらに分枝し、無毛またはまばらに粗毛があり、葉がつく。ロゼットの葉は狭楕円形~倒披針形、長さ4~10㎝×幅1~5㎝、分裂せず縁に波状の歯があり~羽状全裂で縁が全縁、両面は無毛~まばらに絨毛があり、基部は狭くなり、先は鈍形~鋭形。 存在する場合、側裂片と頂裂片は線状披針形。 茎葉は少なく、小さく、羽状全裂で裂片が少数、または不分裂で線状披針形、それ以外はロゼット葉に似る。合成花序は少数~数個の頭花を持つ。頭花は普通、20~40個の小花を持つ。花序柄は長い。総苞は円筒形~狭鐘形、花時に長さ0.8~1.2㎝×幅0.3~0.4㎝、果時に長さ1.5~1.8cm。総苞片は無毛。外側の総苞片は披針形。内側の総苞片は線状披針形。小花は白色、総苞よりわずかに長い。痩果は褐色、果体は紡錘形、長さ約4mm、肋と微細突起があり、嘴は毛細管状、長さ4~5㎜。冠毛は長さ7~8mm、すべての剛毛は羽毛状。花期および果期は4~5月。2n=8。

2 Hypochaeris chillensis (Kunth) Britt. チリブタナ
 南アメリカ原産。中国名は智利猫儿菊 zhi li mao er ju。道端に生える。
 多年草、高さ20~50㎝またはそれ以上、ロゼットをもち、直根がある。茎は直立し、先でまばらに分枝し、基部は無毛または粗毛があり、葉がつく。ロゼットの葉は狭楕円形、披針形または倒披針形、長さ5~10㎝×幅1~2㎝、またはそれ以上になり、分裂せずに縁には粗く波状歯と縁毛があり、または羽状中裂して裂片が三角形~披針形、下面は中肋にまばらに毛があり、 上面は無毛、基部は狭くなり、先は鋭形~尖鋭形。 茎葉はほとんどなく、小さく、幅が狭く、分裂せず、基部は±抱茎で、それ以外はロゼットの葉に似る。合成花序は少数~数個の頭花を持つ。頭花は多数の(> 50個)小花を持つ。花序柄は長い。総苞は円筒形~狭鐘形、花時に長さ0.9~1.2㎝×幅0.4~0.6㎝、果時に長さ1.5~1.8cm。総苞片には粗毛がある。外側の総苞片は披針形~線状披針形。内側の総苞片は線状披針形。小花は黄色、総苞よりわずかに長い。痩果は褐色、果体は紡錘形、長さ4~5㎜、肋があり、微細突起があり、嘴は毛細管状、長さ4~5mm。 冠毛は長さ4~7mm、剛毛はすべて羽毛状。花期および果期は6~7月。2n=8。

3 Hypochaeris ciliata (Thunb.) Makino オウゴンソウ 黄金草
 朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は猫儿菊 mao er ju。山の斜面の草地、林縁、小道、雑木林に生える。
 多年草、高さ20~60㎝、直根がある。茎は直立し、単純、無毛、または全体にまたは基部の半分だけが堅い剛毛で覆われ、葉があり、基部には暗褐色の古い葉の基部の残留物がある。根生葉はロゼットいなり、楕円形、狭楕円形または倒披針形、長さ9~20㎝×幅2~2.5㎝、ザラつき、漸尖し、翼のある葉柄状の基部は長さ2~5㎝、縁には±鋭い歯があり、先は鋭形~円形。 下部の茎葉は根生葉に似る。中部および上部の茎葉は無柄、楕円形~卵形、小さく、± まばらにくも毛があり、基部は±切形、±耳状に茎を抱き、縁には細かい歯がありり、それ以外は下部の葉に似る。頭花は単生、茎の上に頂生し、多数の小花がある。 総苞は広鐘形~半球形、長さ1.5~2.5㎝×幅1.5~2.5㎝。総苞片は縁に縁毛があり、まばらにくも毛がある。外側の総苞片は卵形~広披針形、明瞭に覆瓦状になる。 内側の総苞片は披針形。小花は黄金色。痩果は淡褐色、円筒形、長さ約8㎜、15 本の肋があり、先はわずかに漸尖して、切形。冠毛は長さ約1.5㎝、すべての剛毛は羽毛状。花期および果期は6~9月。2n=10。

4 Hypochaeris crepidioides (Miyabe et Kudo) Tatew. et Kitam. エゾコウゾリナ 蝦夷髪剃菜

 日本固有種(北海道アポイ岳)。
 多年草。高さ30~40㎝。茎は枝分かれせず、上部には黒色の剛毛が密生する。根出葉はロゼット状になり、広倒披針形、長さ6~15㎝、縁に不揃いの鋸歯がある。茎葉は少なく、小さい。頭花は頂生、単生。直径3~4㎝、全て黄色の舌状小花からなる。総苞には黒色の剛毛がある。花期は6~7月。2n=10

5 Hypochaeris glabra L.  ヒメブタナ 姫豚菜
 ヨーロッパ、北アフリカ原産。英名はfalse dandelion , glabrous cat's-ear , small Capeweed , smooth cat's-ear , smooth flatweed 。中国名は光猫儿菊 guang mao er ju 。別名はケナシブタナ
 1年草。高さ10~50㎝。ブタナより小型で、ほとんど無毛。葉は長さ2~11㎝、幅0.5~3㎝の倒披針形~惰円形、 根生葉のみで茎葉は鱗片状である。葉質は薄く、縁はしばしば赤味を帯び、タンポポ様の鋸歯がある。茎は根生葉から1~多数個出て、上部で分枝。頭花は枝先に付き、直径1~2㎝、黄色。総苞は長さ8~16㎜、幅(3)5~20㎜の狭い鐘形。痩果は長さ3~4㎜、2タイプが同じ頭花につく。外側の痩果には嘴がなく、内側は痩果より長い嘴がある。冠毛は長さ7~8㎜、2列につき、やや褐色を帯び、羽状に枝分かれする。花期は4~5月。

6 Hypochaeris radicata L.  ブタナ 豚菜
 ヨーロッパ、北アフリカ原産。英名はcat's-ear , false dandelion , flatweed , pee-the-bed , rooted cat's-ear , spotted cat's-ear , wild dandelion , spotted cat'sear, hairy cat's ear。中国名は假蒲公英猫儿菊 jia pu gong ying mao er ju。別名はタンポポモドキ。
 多年草。高さ10~60㎝。花茎の葉は退化して鱗片状になり、根生葉だけである。葉は長さ5~35㎝、幅0.5~3㎝、硬毛が密生し、ざらつく。長い花茎を伸ばし、花茎の先を1~3に分枝し、先端に黄色いタンポポに似た花をつける。花の直径は3~4㎝、舌状花のみ。総苞は長さ10~25㎜、幅10~20㎜、下部が角張った円筒形で、総苞片は3列。総苞片の中央に1列の剛毛があるものとないものがある。痩果は金褐色、長さ6~10㎜、タンポポに似て3~5㎜の長い嘴がある。冠毛は2列につき、羽状に枝分かれし、長いものは10~12㎜。2n=8。花期は6~9月。

参考

1) Flora of China
 Hypochaeris
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=116212
2)GRIN
 Hypochaeris
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=5978
3) Plants of the World Online | Kew Science
 Hypochaeris
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30007018-2