ベニバナトチノキ  紅花栃の木
[英名] red horse chestnut , flowering horse-chestnut
[学名] Aesculus x carnea Heyne
ムクロジ科 Sapindaceae  トチノキ属
三河の植物観察
ベニバナトチノキの花序
ベニバナトチノキ果実
ベニバナトチノキ葉
ベニバナトチノキの幹
ベニバナトチノキ
ベニバナトチノキ果時
 新分類ではトチノキ科 Hippocastanaceae はムクロジ科に含められた。
 トチノキ属の園芸品種。北米南部原産のアカバナトチノキとヨーロッパ原産のセイヨウトチノキ(マロニエ)の交雑種である。5月頃、枝先に長さ15から25㎝の大きな円錐花序を直立し、雄花と両性花を付ける。トチノキ属の染色体は概ね2n=40であるが、本種は2n=80
 落葉高木。高さ9~12m。花期は5月。暗緑色の掌状複葉。小葉は5個(しばしば7個)、卵状長楕円形、長さ15~25㎝、縁は重鋸歯。花序は長さ15~20㎝、枝先に上向きにつく。花は非常に華やか、赤色。蒴果は殻にわずかに刺があり、直径3.8㎝、2~3個の堅果(種子)をもつ。堅果には毒性がある。花期は春(5月)。いくつかの園芸品種がある。
 品種) 'Aureomarginata' (v) ,'Briotii' , 'Marginata' (v) , 'O'Neill' , 'Plantierensis' , 'Rubro-petiolata' , 'Variegata' (v)
[花期] 5月
[樹高] 9~12m
[生活型] 落葉高木
[生育場所] 栽培種
[分布] 帰化種 ハイブリッド園芸品種
[撮影] 浜松市  17.5.18(花)
       17.7.21(果実) 

 トチノキ属

  Family: Sapindaceae - genus Aesculus
 高木又は低木、冬芽は大きく、粘り樹脂質又は樹脂質でなく、数対の芽鱗を覆瓦状につける。鱗片の外面には無毛又はまばらに微軟毛がある。葉身は小葉が5~11個、小葉には散在する目立つ腺は無く、縁は円鋸歯~鋸歯状又はその複合。密錐花序は円筒形又は円錐形。枝は単純。苞は無い。花は大きく、華やか。咢片は合着し、円筒形~鐘形の咢筒を形成する。花弁はしばしば不等形、基部は爪部があり、拡大部は倒卵形~長楕円形~倒披針形~へら形。子房は子房柄が無い。花柱は長く、細い。柱頭は扁球形、全縁又は不明瞭に分裂。蒴果は扁球形~ナシ形、長い柄はなく、しばしば1種子。果皮は普通、平滑、しばしば点々があり、まれにいぼ状又は刺がある。種子は扁球形~ナシ形、大きい(2~7㎝)。種皮は褐色、へそ(hilum:傷跡 scar= "buck's eye"ともいわれる )は大きく、単色、種子の1/3~1/2を占める。x = 20。
 世界に12種があり、主に北アメリカ、アジア(ヒマラヤ~日本)に分布し、ヨーロッパ南東部に1種がある。

 トチノキ属の主な種と園芸品種

 1  Aesculus californica (Spach) Nutt.  カリフォルニアトチノキ
 USA原産。英名はCalifornia buckeye
 高さ4~12m。葉は小葉が5~7個、長さ6~17㎝、槍状長楕円形、細かい鋸歯状、鋭形~尖鋭形。葉柄は長さ1~12㎝。花序は円錐花序状、直立し、長さ10~20㎝、細かい毛がある。花柄は長さ3~10㎜。咢は長さ5~8㎜、2裂。花弁は長さ12~18㎜、白色~淡ローズ色。雄しべは5~7個、長さ18~30㎜、突き出す。葯は橙色。果実は普通、花序の先に1個、たまに2~9個つき、直径5~8㎝。種子は一般に、1個、長さ2~5㎝、光沢のある褐色。2n=40。種子に魚毒性がある。花蜜と花粉はミツバチに毒性がある。花期は5~6(8)月。普通1~2月に落葉する。
品種) 'Blue Haze' , 'Canyon Pink'

 2  Aesculus chinensis Bunge  シナトチノキ
 中国原産。中国名は七叶树 (qi ye shu )。英名はChinese horse-chestnut
 高木、高さ25m以下。小枝は無毛又は若いときに微軟毛~密に絨毛がある。葉柄は長さ7~15㎝、帯灰色の微軟毛があるか又は無毛。葉身は小葉が5~7(~9)個、小葉柄は長さ0.5~2.5(~3)㎝、 帯灰色の微軟毛があるか又は無毛。小葉の葉身は長楕円状披針形~長楕円形~長楕円状倒披針形~長楕円状倒卵形、長さ 8~25(~30)㎝、幅3~8.5(~10.5)㎝、下面は無毛、脈上に帯灰色の綿毛があり(ときに若い時だけあり)、又は一様に帯灰色の綿毛又は絨毛があり、基部は楔形~広楔形~円形~わずかに心形、縁は細鋸歯又は小円鋸歯、先は急に尖鋭形。側脈は13~25対。花序は微軟毛があるか又は無毛。花序柄は長さ5~10㎝。密錐花序は円筒形、長さ15~35㎝、基部の幅2.5~12(~14)㎝、枝は長さ2~4 (~6)㎝、花が5~10個つく。花柄は長さ2~8㎜。花は芳香がある。咢は長さ3~7㎜、外面は微軟毛があるか又は無毛。花弁は4個、白色、黄色の斑点があり、ほぼ等形、長楕円状倒卵形、~長楕円状倒披針形、長さ8~14㎜、幅3~5㎜、外面に微軟毛がある。雄しべは6又は7個、長さ18~30㎜、花糸は無毛。葯は長さ1~1.5㎜。花柱は無毛又は先を除いて絨毛がある。蒴果は黄褐色、卵形~球形~倒卵形~ナシ形、長さ3~4.5㎝、密に点々があるが平滑。果皮は乾くと厚さ1~6㎜。種子は1又は2個、褐色、球形又は類球形、直径2~3.5㎝、へそは白色、種子の1/3~1/2を占める。花期は4~6月。果期は9~10月。

 3  Aesculus glabra Willd.  オハイオトチノキ
 USA原産。英名はOhio buckeye
 高木、高さ12~18m、幹は幅30~60㎝。大きいものは高さ21mを超える。樹皮は灰色、粗く、古くなると鱗状、いぼ状、うね状になる。枝や小枝の樹皮は灰色、平滑。葉は対生、複葉、小葉は5~7個。葉柄は長さ7.5~15㎝、淡緑色、無毛。小葉は長さ7.5~15㎝、幅2.5~5㎝、楕円形~楕円状倒披針形、縁に鋸歯があり、ほとんど無柄、上面は緑色~暗緑色、無毛、下面は淡緑色、普通、無毛、ときに、中脈に短い毛がある。長い円錐花序は長さ10~20㎝、たまに、枝先近くにつく。円錐花序の上部には雄花がつき、下部には主に両性花がつく。個々の花は長さ約2.5㎝以下。花弁は緑黄色、4個、咢は緑色~黄緑色、筒形、咢片は5個、円い。雄しべは7個、突き出る。両性花の雌しべは花柱が1本、突き出る。花弁は多少、互いに平行になるが、上側の花弁の先は花時に上側に曲がる。ときに上側の花弁に赤色の斑紋がある。円錐花序の柄は淡緑色、後にタン色になる。花期は春中旬~晩春、2~3週間続く。普通、円錐花序の2~3個の花だけが蒴果をつくり、秋に熟す。蒴果は幅2.5~5㎝、球形、革質、刺が目立つ。熟すと3つに裂開し、大きな種子を1~2(まれに3)個、落とす。種子は幅2.5~3㎝、多少、球形種子が1個より多いと、扁平になる。種子は熟すと、暗褐色、光沢があり、先にタン色の目がある。
品種) 'April Fire' , 'April Wine' , 'October Red'

 4 Aesculus flava Soland  キバナトチノキ[AGM]
 USA原産。英名はyellow buckeye, common buckeye, sweet buckeye
 高さ15m以下。小枝は灰色、強い。茎は葉痕が明瞭、側芽は頂芽よりかなり小さい。枝は灰色、古くなると粗く、淡色になる。幹は暗灰色~褐色、中年ではすじやうねがあるが、成木では鱗状や板状になる。葉は対生、緑色~暗褐色、掌状複葉、長さ、幅とも10~25㎝、小葉は5(ときに7)個、楕円形~倒卵形、細かい鋸歯がある。葉柄は短い。紅葉は黄橙色~黄褐色。花序は長さ約17.5㎝、幅約7.5㎝、上向きの円錐花序、多数の花がつく。花は黄色~黄緑色、長さ2~3㎝、5月中旬に葉より上に出る。雄しべは花弁より短い。(オハイオトチノキは雄しべが花弁より長い。)果実は蒴果、淡褐色、平滑、倒卵形、9~10月に裂開する。堅果状の種子は1~3個、幅2.5~3.5㎝、褐色、明瞭な 帯白色の"buck eye"がある。果実は毒性があるが、毒抜きをして食べられる。

 5  Aesculus hippocastanum L.  マロニエ(セイヨウトチノキ)
 ヨーロッパ南東部原産。英名はhorse-chestnut 。フランス名 marronnier 。中国名は欧洲七叶树( ou zhou qi ye shu )
 高木、高さ30m以下、胸高直径(d.b.h.)2(~5)m。小枝は若い時に絨毛がある。葉柄は長さ8~20㎝、無毛。葉身は小葉が5~7個。小葉は無柄、下面は緑色、倒披針形、長さ10~25㎝、幅5~12㎝、下面は無毛又はまばらに白毛があり、基部と側脈に鉄さび色の綿毛がある(しばしば密生する)。葉の基部は楔形、縁は円鋸歯、葉先は尖鋭形~類尾状。葉の側脈は18~25対。花序は無毛又は鉄さび色の絨毛と短い白色の綿毛が敷き詰められる(白色の綿毛はほとんど花柄につく)。花序柄は長さ2.5~5㎝。密穂花序は円錐形又は円筒状円錐形、長さ10~30㎝、基部の幅6~10㎝、枝は長さ2.5~5㎝、花が4~12個つく。花柄は長さ3~6㎜、咢は長さ5~6㎜、外面には綿毛がある。花弁は4又は5個、白色、赤色の斑点があり、爪部は黄色(後に褐色)、等形、長さ約11㎜、外面にはまばらに白色の綿毛があるか又は無毛。雄しべは5~8個、長さ10~20㎜。花糸には絨毛がある。葯は長さ1~1.3㎜。花柱は基部を除いて、無毛。蒴果は褐色、球形~類球形、刺を除いて長さ2.5~4㎝、幅2.5~6㎝。刺は錐形、わずかに曲がり、長さ10㎜以下。果皮は乾くと厚さ3~5㎜。種子は1~3(~6)個、光沢のある栗褐色、類球形、長さ2~4㎝、へそは淡褐色、種子の1/3~1/2を占める。花期は4~6月。果期は9月。
品種) 'Aureomarginata' (v) , 'Baumannii' (d) , 'Digitata' , 'Gimborn's Pride' , 'Glabra' , 'Globosa' , 'Hampton Court Gold' , 'Honiton Gold' , 'Monstrosa' , 'Pendula' , 'Pyramidalis' , 'Umbraculifera' , 'Wisselink'
 6  Aesculus indica (Colebr. ex Camb.) Hook.  インドトチノキ
 インド、ネパール、パキスタン、アフガニスタン原産。英名はIndian horse-chestnut 。
 高木、高さ20m又はそれ以上。葉柄は長さ10~15㎝、小葉の柄は長さ0.5~2㎝。小葉は5~7(~9)個、楕円形~長楕円状披針形、長さ10~20㎝、幅2.5~7㎝、尖鋭形、中間の小葉が最も大きく、類鋸歯縁、楔形、無毛。円錐花序は長さ15~30㎝、微軟毛~綿毛がある。咢筒は長さ約5㎜、鐘形、微軟毛がある。咢片は鋭形~円形、長さ1.5~2㎜。花弁は4個、不等形、白色、黄色を帯び、nアガサ1.3~2.3㎝、爪部があり、外面には微軟毛がある。花盤は前方にあり、分裂する。葯は長さ2~2.5㎜、長楕円形、まばらに毛がある。花糸はほぼ花弁の長さまたはそれ以上、わずかに曲がり、無毛。子房は長く、長さ約5㎜、微軟毛がある。花柱はほぼ花糸と同長。蒴果は多少、卵形、長さ3~4.5(~5)㎝、平滑。種子は幅2.7~3.5㎝、暗褐色、光沢がある。花期は4~5月。果期は10~11月。
 品種) 'Sydney Pearce'
 7  Aesculus parviflora Walter  アエスクルス・パルビフローラ
 USA原産。英名はbottlebrush buckeye , dwarf buckeye , shrubby pavia。
 落葉低木、根から芽を出し広がる。高さ1.8~3m。葉は対生、掌状複葉、5~7個の小葉をもち、緑色~暗緑色、秋に黄金色~黄緑色になる。花は枝先に束生又は円錐花序に6~24個つき、白色~クリーム白色。花弁は4個。雄しべは花弁より長い。葯は赤色。果実は蒴果、ナシ形、平滑、革質、種子を1~3個もつ。種子は光沢があり、褐色、へそ(傷跡=scar= "buck's eye")は淡色。花期は夏。
 品種)  'Rogers'

 8  Aesculus pavia L.  アカバナアメリカトチノキ
 北アメリカ原産。英名はred buckeye 。
 落葉低木、高木。高さ3~6(11)m、群生し、花冠は丸い。葉は対生し、羽状複葉、小葉は5~7個、長さ7~15㎝、幅3~10㎝、尖鋭形、不規則なときに重鋸歯、暗緑色、無毛又は下面に毛がある。葉柄は長さ5~13㎝。花は赤色、長さ3~4㎝、花弁は4~5個。長さ10~20㎝、幅5㎝又はそれ以上の房状の花序につく。果実は球形又は卵形、幅3~5㎝、表面が平滑、1~2個の光沢のある種子を入れる。
品種)  'Atrosanguinea' , 'Biltmore Buckeye' , 'Humilis' , 'Koehnei' , 'Penduliflora' , 'Purple Spring' , 'Rosea Nana' , Splendens Group
 9  Aesculus turbinata Blume  トチノキ
 日本原産。英名はJapanese horse-chestnut 。中国名は日本七叶树 (ri ben qi ye shu)。中国で栽培されている。
 高木、高さ30m以下、胸高直径2m以下。小枝は若い時に毛がある。葉柄は長さ7.5~25㎝、無毛又は毛がある。葉身は小葉が5~7個。小葉は無柄、下面はわずかに白粉状、倒披針形、長さ15~35㎝、幅5~15㎝、下面は側脈の軸の絨毛を除いて無毛、又は有毛で脈上は密にあり、基部は楔形、縁は小さい円鋸歯の浅い円鋸歯、先は急に尖鋭形。側脈は18~26対。花序は無毛又は有毛。花序柄は長さ2~4㎝。密錐花序は円錐形又は円筒状円錐形、長さ12~25(~45)㎝、基部の幅 6~11㎝、枝は長さ5㎝以下、花が5~10個つく。羽根は長さ3~4㎜。咢は長さ3~5㎜、外面は有毛。花弁は4(又は5) 個、白色又は淡黄色、斑点が赤色、爪部は黄色(後に赤色)、不等形、2個は長楕円形、2個は長楕円状倒卵形、長さ7~11㎜、幅3~7㎜、外面は有毛。雄しべは6~10個、長さ10~18㎜、花糸にはまばらに絨毛がある。葯は長さ1~1.5㎜。花柱は綿毛があり、先付近はまばら。蒴果は暗褐色、広倒卵形又はナシ形、直径2.5~5㎝、いぼ状。いぼは低く、類円形、不等形、直径0.5~2㎜。果皮は乾くと厚さ3~6㎜。種子は普通、1個、赤褐色、ほぼ球形、長さ2~3㎝。へそは淡褐色、種子の約1/2.花期は4~6月。果期は9月。2n = 40。
 9-1 Aesculus turbinata Blume f. pubescens (Rehder) Ohwi ex Yas.Endo  ウラゲトチノキ(ケトチノキ)
 品種)
 10  ハイブリッド
10-1 Aesculus x carnea Heyne(Aesculus hippocastanum x Aesculus pavia)  ベニバナトチノキ
 栽培種。英名はred horse chestnut , flowering horse-chestnut
 マロニエと アカバナアメリカトチノキの交雑品種。ヨーロッパで1812年に発見された。
 落葉高木。高さ9~12m。花期は5月。暗緑色の掌状複葉。小葉は5個(しばしば7個)、卵状長楕円形、長さ15~25㎝、縁は重鋸歯。花序は長さ15~20㎝、枝先に上向きにつく。花は非常に華やか、赤色。蒴果は殻にわずかに刺があり、直径3.8㎝、2~3個の堅果(種子)をもつ。堅果には毒性がある。花期は春(5月)。
 品種) 'Aureomarginata' (v) ,'Briotii' , 'Marginata' (v) , 'O'Neill' , 'Plantierensis' , 'Rubro-petiolata' , 'Variegata' (v)
10-2 Aesculus × mutabilis (Aesculus pavia x Aesculus sylvatica)
 品種)  'Harbisonii' ,'Induta' , 'Penduliflora'
10-3 Aesculus × neglecta (A. flava x A. sylvatica)
 品種)  'Autumn Fire' , 'Erythroblastos'
10-4 Aesculus x arnoldiana 自然交雑種 (Horse Chestnut)
 品種)  'Autumn Splendor' [(A. glabra x A. flavia) x A. pavia]
10-5 Aesculus 'Dallimorei'((A. hippocastanum x A. flava)
(graft-chimaera , Dallimore horse-chestnut)


 参考

1) Flora of China
 Aesculus
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=100706
2)Aesculus parviflora (Bottlebrush buckeye) | NPIN
 Aesculus parviflora
 https://www.wildflower.org/plants/result.php?id_plant=aepa2
3) Plant Finder - Missouri Botanical Garden
 Aesculus × carnea
 http://www.missouribotanicalgarden.org/PlantFinder/PlantFinderDetails.aspx?kempercode=b984
4) GRIN
 Aesculus L.
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=245
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