和名は樹皮が次々と剥がれ落ち、博打に負けて身ぐるみ剥がれるたとえから。太平洋の沿海地に多く、千葉県鴨川市平塚の大山不動の参道群生地が自生の北限とされている。バクチノキは蘭方医のシンボルともいわれ、葉から作られる杏仁水(バクチ水)が咳止め薬として用いられた。幕末の頃、蘭方医が植えたものが西尾市内にあり、その近くの上永良神明社にも2本のバクチノキがある。上永良神明社の境内には国の天然記念物に指定された愛知県内最大のスダジイの古木もある。豊橋市嵩山町の蛇穴の近くには自生らしいバクチノキ数本が点在している。
幹は灰褐色、平滑、樹皮が鱗片状に剥がれ、まだらになる。葉は互生し、長さ10~20㎝、幅4~7㎝の長楕円形、先は尖り、縁は裏側に反り返り、鋭鋸歯、鋸歯の先に腺がある。葉の基部は広楔形~円形。葉は無毛、葉裏は淡緑色。葉柄は長さ約1㎝、上部に密腺が2個つく。葉腋から長さ約3㎝の総状花序を出し、花を多数つける。花序の軸や小花柄には短毛がある。花は直径6~7㎜。花弁は白色、5個、長さ約2㎜。雄しべは30~50個、長く突き出る。萼は浅い杯型。果実は長さ約1.5㎝の歪んだ長楕円形。
セイヨウバクチノキ Laurocerasus officinalis はヨーロッパ、西アジアに分布し、常緑低木。花期が4月。
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