マツブサ科 Schisandraceae

分類 被子植物(angiosperm)-基部被子植物群(Basal angiosperms)-シキミ目 (Austrobaileyales)
 新分類(APG)ではシキミ属を含めてもよいとしている。別科(Illiciaceae)とする見解もある。狭義のマツブサ科は2属(マツブサ属、サネカズラ属)約30種。
【マツブサ科の属】
シキミ属(Illicium)、サネカズラ属(Kadsura)、マツブサ属(Schisandra)
分布 アジアと北アメリカにマツブサ属、サネカズラ属、シキミ属の3属約70種が隔離分布し、日本にもサネカズラ、チョウセンゴミシなどが自生する。
特徴 シキミ属以外はつる性の木本。花がモクレンに似ているため、かってはモクレン科に分類されていた。雌雄異株又は雌雄同株。果実は液果。

狭義のマツブサ科 約30種
 蔓性木、雌雄同株又は雌雄異株。托葉は無い。葉は互生又は束生、単葉、葉柄がある。花は末端の小枝の葉腋又は最終のシュートの基部近くの早落性(fugacious)の苞腋につき、普通、単生、たまに双生や8個束生、単性、子房下生、少数~多数が螺旋状に並び、花序柄がある。花被片は分離した萼片や花弁のようではなく、最も外側と最も内側はときに減る。雄花は雄しべが4~80個、分離、基部が合着又は肉質の雄しべ群(synandrium )として合着、又は堅く圧縮される。葯は底着(Schisandra plenaを除く)、葯室は縦の隙間から裂開する。雌花は心皮が12~約300個、発達上は二つ折り。柱頭は、維管束のない(unvascularized)柱頭のとさか(stigmatic crest)は偽花柱(pseudostyle)といい、ときに盾状の偽柱頭(pseudostigma)として修正される。子房は1室、胚珠は子房に2~5(~11)個、倒生胚珠、腹側につき、又は垂れ下がり、二珠皮性、薄層型珠心。果実は離生心皮果(apocarp)の集合。花托は楕円形又は長形。離生心皮果は肉質の果皮をもつ。種子は離生心皮果に1~5個(又はそれ以上)、腹側につくか、垂れ下がる。側面は扁平。胚乳は豊富、油質。

シキミ科 Illiciaceae 約40種
 高木又は低木、常緑。無毛又はごくまれに、若い枝に不明瞭な微軟毛がある。葉芽の鱗片は覆瓦状、普通、早落性。若い小枝は油又は樹脂を含む 細胞をもち、芳香がある。托葉は無い。葉は互生、普通、小枝の先近くに束生、又はときに偽輪生又は類対生、単葉、葉柄がある。葉身は革質又は紙質、縁は全縁、わずかに反り返り、裏面の中脈は明瞭又は平らで、表面は窪み、二次脈は羽状。花は腋生又は葉腋の上につき、しばしば小枝の先近くのほぼ先端につき、まれに茎生花になり、普通、単生、まれに2~5個、束生し、両性。花被片は 7~33(~55)個、黄色、赤色まれに白色、螺旋状につき、分離、覆瓦状、、普通、腺がある。外花被片は小さく、ときに苞状。内花被片は大きく、舌状で膜質又は卵~類円形でわずかに肉質。雄しべは普通、多数、螺旋状に並ぶ。花糸は舌状~類円柱形。葯は2室、底着、内向き~内向き状の横向き、縦に裂開する。心皮は (5~)7~15(~21)個、1輪につき、分離。子房は1室。胚珠は倒生胚珠、腹部又は基部近くにつく。花柱は短く、錐形。果実は星形の袋果、袋に1種子が入り、腹面の縫合に沿って裂開する。種子は楕円形~卵形、側面は扁圧、光沢がある。胚乳は豊富、油質。胚は小さい。
栽培 シキミは仏事に用いるため、よく寺院に植栽されている。チョウセンゴミシは薬用に用いられる。
サネカズラ属 サネカズラ Kadsura japonica Dunal.
シキミ属 イリキウム・ヘンリー llicium henryi Diels
シキミ Illicium anisatum L.