ヤナギラン 柳蘭

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Flora of Mikawa

アカバナ科 Onagraceae ヤナギラン属

中国名 柳兰  liu lan
英 名 fireweed
学 名 Chamerion angustifolium (L.) Holub subsp. angustifolium
Epilobium angustifolium L.
ヤナギランの花
ヤナギランの葉
ヤナギランの果実
ヤナギラン
ヤナギランの葉
花 期 6~8月
高 さ 100~150㎝
生活型 多年草
生育場所 山地の草原
分 布 在来種 北海道、本州(中部地方以北)、ヨーロッパ、アジア、北アメリカなど北半球に広く分布
撮 影 八島ケ原湿原  03.8.7
和名の由来は葉が柳に似て花が蘭のように美しいことから。北米の山火事跡に大発生することがあり、fireweedと呼ばれる。
 茎は直立し、分枝しない。葉は互生し、長さ5~18㎝の披針形、細かい鋸歯がある。茎頂に総状花序をつける。花は直径3~4㎝、花弁は4個。萼片4個。雄しべ8個。柱頭は4分岐。果実は細長い蒴果、熟すと先が4裂する。種子は長さ約1㎜、白色の毛(種髪)がある。2n=36

ヤナギラン属

  family Onagraceae - genus Chamaenerion

 多年草、直立、普通、叢生、木質のてい幹又は広がった側根からのシュートをもつ。茎は単純又はまれに分枝し、軟毛があるかほぼ無毛、毛は常に腺が無い。葉は螺旋状につき、まれに類対生又は類輪生、類革質、基部の葉は無柄、上部の葉は普通、葉柄がある。托葉は無い。小苞は無い。花序は単純な総状花序又は穂状花序、まれに、分枝する。花は4数性、わずかに左右相称、強く雄性先熟(protandrous) 花筒(floral tube)は無く、花柱と雄しべの基部の隆起した花盤から蜜腺を生じる。花弁はピンク色~ローズパープル色、まれに、白色、倒心形又は倒角卵形(obtrullate)、全縁。雄しべは8本、ほぼ等長、1輪につき、花の開始時に直立、後に後屈する。花粉は青色又は黄色、単一で落ちる。花柱は初め反曲し、柱頭が反曲するとき、直立する。柱頭は深く4裂して外巻きし、内面に受け入れる。果実は長い蒴果、細く、4室があり、胞背裂開。種子は多数、頂部の種髪は絹毛。2n = 36, 72, 108。
 世界に8種があり、北半球の山地帯~極地 、アジアやヨーロッパに広く分布し、北アフリカや北アメリカ南部からメキシコ中部の高山までにわずかに分布する。

ヤナギラン属の主な種と園芸品種

1 Chamaenerion angustifolium (L.) Scop.  ヤナギラン 広義
  synonym Chamerion angustifolium (L.) Holub 
  synonym Epilobium angustifolium L. [Kewscience , The Plant List]
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、ミャンマー、中央アジア、北アジア、南西アジア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は柳兰 liu lan。 英名はfireweed , French-willow , great willowherb , rosebay willowherb , willowherb 。湿った場所、しばしば撹乱地に生える。
 多年草、直立、木質のてい幹からの強健な匍匐地下茎(sobole)又は長い側根に大きなクローンを作る。茎は高さ20~200㎝、無毛~密に小剛毛があり、特に花序に多い。葉は葉柄が無又は長さ7㎜以下。根生葉の葉身は地下にあり鱗片状、披針状長円形~倒卵形、長さ 0.5~2㎝。茎葉の葉身は緑色、線形~披針形、長さ 3~23㎝×幅0.3~3.4㎝、全体に無毛又は下面の中脈に小剛毛があり、側脈は各側に10~25本、縁付近の脈に合流し、基部は鈍形又は楔形~漸尖形、縁は全縁又はかすかに小歯があり、先は漸尖状鋭形。苞は茎葉よりかなり小さい。花序は無毛又は小剛毛がある。花は蕾では下向き、花時にはほぼ直立する。咢片は長さ 6~19㎜×幅1.5~3㎜。花弁は淡ピンク色~紫色、まれに白色、長さ9~25㎜×幅3~15㎜。子房は長さ0.6~2.5㎝、密に灰白軟毛がある。花柱は長さ8~16㎜、下部に絨毛がある。蒴果は長さ4~9.5㎝、密に伏した灰白軟毛がある。花柄は長さ0.5~3㎝。種子は長さ0.9~1.3㎜×幅0.3~0.45㎜、不規則な網目があり、不明瞭な短い卵帯(カラザ)の襟[chalazal collar]があり、種髪はすすけ色又は白色、長さ1~1.7㎝、容易に取れない。(参考1)
品種) 'Album' , 'Monte Bianco' , 'Stahl Rose'
1-1 Chamaenerion angustifolium (L.) Scop. subsp. angustifolium  ヤナギラン 柳蘭
 日本、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、ミャンマー、中央アジア、北アジア、南西アジア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は柳兰 liu lan
 茎は高さ20~130㎝、ほぼ無毛。葉はほぼ無毛。茎葉の葉身は線状披針形~狭披針形、長さ (3~)7~14(~18.5)㎝×幅(0.3~)0.7~1.3(~2.5)㎝、全体に無毛、側脈はしばしば不明瞭だが、縁付近の脈は明瞭、基部は鈍形~楔形形、縁はほぼ全縁~不明瞭な小歯があり、ときに、外巻き。花序は類無毛。咢片は長さ6~15㎜。花弁は長さ9~15(~19)㎜×幅3~9(~11)㎜。 蒴果は長さ4~8㎝。花柄は長さ0.5~1.9㎝。種子は長さ0.9~1㎜。花期は7~9月。果期は8~10月。2n=36。(参考1)
1-2 Chamaenerion angustifolium (L.) Scop. subsp. circumvagum (Mosquin) Moldenke  ウスゲヤナギラン 薄毛柳蘭
  synonym Chamaenerion angustifolium (L.) Scop. var. pubescens (Hausskn.) Tzvelev 
  synonym Chamerion angustifolium (L.) Holub subsp. circumvagum (Mosquin) Hoch
 日本、朝鮮、中国、ロシア、インド、ブータン、ネパール、アフガニスタン、パキスタン、ミャンマー中央アジア、北アジア、南西アジア、ヨーロッパ、北アフリカ、北アメリカ原産。中国名は毛脉柳兰 mao mai liu lan 。
 茎は高さ30~200㎝、下部は無毛、茎上部と花序はまばらに全体に小剛毛がある。葉には葉柄があり、葉柄は長さ2~7㎜。茎葉の葉身は長円状披針形~楕円状披針形、長さ(6~)9~23㎝×幅(0.7~)1.5~3.4㎝、上面にまばらに小剛毛があり、下面の中脈に小剛毛がとくに多く、側脈と縁付近の脈は明瞭、基部は類楔形~漸尖形、縁は±小歯があり、平ら又はかすかに外巻き。花序には小剛毛がある。咢片は長さ9~19㎜。花弁は長さ14~25㎜×幅7~15㎜。蒴果は長さ5~9.5㎝。花柄は長さ1~3㎝。種子は長さ1~1.3㎜。花期は7~9月。果期は8~10月。2n = 72, 108。.(参考1)

2 Chamaenerion latifolium (L.) Sweet  ヒメヤナギラン 姫柳蘭
  synonym Chamerion latifolium (L.) Holub
  synonym Epilobium latifolium L. 
  synonym Epilobium kesamitsui T.Yamaz
  synonym Chamaenerion latifolium (L.) Sweet
 日本(南アルプス北岳)、中国、モンゴル、ロシア、インド、ネパール、ブータン、アフガニスタン、パキスタン、タジキスタン、中央アジア、西アジア、ヨーロッパ北部、北アメリカ原産。中国名は宽叶柳兰 kuan ye liu lan 。英名はalpine fireweed , broadleaf willowherb , dwarf fireweed , river-beauty 。別名はキタダケヤナギラン。川沿いや山地の湿った砂利の多い場所に生える。
 多年草、直立、叢生し、太い木質の根茎と根の針金状の固まりをもつ。茎は高さ12~35㎝、下部は無毛~まれに、上部の茎と花序に密に小剛毛がある。葉は葉柄が無又は長さ2㎜以下。根生葉の葉身は褐色、三角状卵形、長さ5~10㎜、類膜質。茎葉の葉身は緑色~淡緑色、楕円形~卵形~披針状楕円形、長さ2~5(~8)㎝×幅0.6~1.7(~2.6)㎝、ほぼ無毛又は小剛毛があり、特に脈に多く、側脈は不明瞭、各側に3~4本、基部は鈍形又は楔形~ときにほぼ鈍形、縁はほぼ全縁~離れた点状の歯があり、4~7歯をもち、先は鈍形又は尖鋭形。苞は茎葉の長さの約1/2、草質。花序はまばら~中程度に小剛毛がある。花は蕾では直立、花期の初期には下を向く。咢片は長さ 1~1.6㎝×幅1.5~3.5㎜。花弁はロズパープル色又はピンク色、長さ1~2.4(~3.2)㎝×幅7~15(~23)㎜。子房は紫緑色、長さ1~2㎝、密に灰白軟毛がある。花柱は長さ3.5~8㎜、無毛。蒴果は長さ2.5~8㎝、小剛毛がある。花柄は長さ1.2~2.5㎝。種子は長さ1.2~2.1㎜×幅0.4~0.6㎜、不規則な低い網目があり、明瞭な卵帯(カラザ)の襟[chalazal collar]、長さ0.1~0.12㎜をもつ。種髪は黄褐色又はすすけ色で、長さ9~15㎜、容易に取れない。花期は6~8月。果期は8~10月。2n = 36, 72.。(参考1)
品種)  'Dublin' , 'Laguna Mountain'

参考

1) Flora of China
 Chamaenerion  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=106488
2) GRIN
 Chamaenerion  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=18458
3)Flora of North America
 Eriophorum  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=112065
4)Plants of the World Online | Kewscience
 Eriophorum  
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30000954-2