ヤブミョウガ 藪茗荷

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Flora of Mikawa

ツユクサ科 Commelinaceae ヤブミョウガ属

中国名 杜若 du ruo
英 名 double file
学 名 Pollia japonica Thunb.
ヤブミョウガ両性花
ヤブミョウガ雄性花
ヤブミョウガ未熟な果実
ヤブミョウガ果実
ヤブミョウガ茎
ヤブミョウガ
ヤブミョウガ葉
ヤブミョウガ果実と種子
ヤブミョウガ種子
花 期 8~9月
高 さ 50~100㎝
生活型 多年草
生育場所 山野の林内
分 布 在来種 本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国
撮 影 蒲郡市豊岡町  05.8.25
長い地下茎が横に這う。茎は直立し、先が鉤状に曲がった毛が密生する。葉は互生し、長さ10~30㎝、幅3~7㎝の狭長楕円形、基部は鞘となって茎を包み、ミョウガの葉によく似ている。葉表はざらつき、裏面には細毛がある。茎下部の葉は退化し、鞘状。葉の中央から出た長い花茎の先に数段に白色花をつけ、同形の両性花と雄性花が混在する。花は6個の白色の花被片があり、外花被片(萼片)3個は長さ約5㎜の卵形~円形、内花被片(花弁)3個は長さ約3~4㎜の倒卵形~へら状となる。両性花は雌しべが雄しべより長く、花柱が長く突き出る。雄性花は6個の雄しべがあり、雌しべが小さい。果実は直径5~6㎜、熟しても裂開せず、青紫色~黒色になる。種子は果実の球面に沿って並び、長さ約2㎜の不定形、灰色。2n=32。

ヤブミョウガ属

  family Commelinaceae - genus Pollia

 多年草。根茎は水平、長い。 茎は直立または斜上し、普通、単純。 葉は互生する。円錐花序は頂生。扇状集散花序(cincinnus , pf. cincinni)は数個の花がつき、下部の総苞片はほぼ葉状で、上部の苞は小さい。 苞は花序軸を包み、膜質。 花は放射相称。萼片は離生、浅い舟形、しばしば大きくなり、果時に宿存する。花弁は離生、白色、青色、紫色、または緑黄色で、ときに斑点があり、卵状楕円形、卵状円形、または倒卵形、ときに爪部がある。雄しべは6本、すべて稔性、等長または3本が小さく、または前側3本のみが稔性。 花糸は無毛。葯室は長円形で、縦に裂開する。仮葯(antherodes)は三角状披針形または矢じり形。子房は3室。胚珠は各室(1~)5~10個。果実は漿、球形、3バルブ、非裂開。 種子は各バルブに(1~)5~8個、紫灰色、多角形、わずかに扁平。へそは円形。
 世界に約17種あり、東半球の熱帯、亜熱帯、および温帯地域に分布し、中国には8種(1種は固有種)ある。

ヤブミョウガ属の主な種と園芸品種

1 Pollia japonica Thunb.  ヤブミョウガ 藪茗荷
 日本(本州、四国、九州、沖縄)、朝鮮、中国原産。中国名は杜若 du ruo。英名はdouble file。
 多年草、高さ50㎝以下。長い地下茎が横に這う。茎は直立し、先が鉤状に曲がった毛が密生する。葉は互生し、長さ10~30㎝、幅3~7㎝の狭長楕円形、基部は鞘となって茎を包み、ミョウガの葉によく似ている。葉表はざらつき、裏面には細毛がある。茎下部の葉は退化し、鞘状。葉の中央から出た長い花茎の先に数段に白色花をつけ、同形の両性花と雄性花が混在する。花は6個の白色の花被片があり、外花被片(萼片)3個は長さ約5㎜の卵形~円形、内花被片(花弁)3個は長さ約3~4㎜の倒卵形~へら状となる。両性花は雌しべが雄しべより長く、花柱が長く突き出る。雄性花は6個の雄しべがあり、雌しべが小さい。果実は直径5~6㎜、熟しても裂開せず、青紫色~黒色になる。種子は果実の球面に沿って並び、長さ約2㎜の不定形、灰色。2n=32,40。花期は8~9月。

2 Pollia miranda (H.Lév.) H.Hara コヤブミョウガ 小藪茗荷
  synonym Pollia minor Honda
  synonym Pollia japonica Thunb. var. minor (Honda) Hayata ex Masam.
  synonym Pollia japonica Thunb. var. miranda (H.Lév.) Kitam.
  synonym Pollia secundiflora auct. non (Blume) Bakh.f.
 日本(九州南部、沖縄)、中国、台湾原産。中国名は小杜若 xiao du ruo。
 多年草。 茎は斜上し、高さ20~50cm×幅3mm未満、無毛またはほぼ無毛。葉は葉柄がほとんど無い~長さ1.5㎝。 葉鞘は長さ1~2㎝、微軟毛がある。葉身は楕円形または卵状楕円形、長さ5~15㎝×幅約2.5㎝、上面は顆粒状でザラつき、まばらに小剛毛があり、または下面が無毛。花序は上部の葉の長さとほぼ同じ長さ。花序柄は長さ2~6㎝、 微細な剛毛で覆われる。扇状集散花序は2~数個、長さ1~3.5㎝、互生し、輪生ではなく、 微細な剛毛がある。下部の総苞片は長さ5~8㎜、上部の総苞片ははるかに小さく、鞘状で、扇状集散花序の軸を包み込み、微細な剛毛がある。苞は膜質。花柄が短く、果時に長さ約4㎜。 萼片は卵状円形、舟形、長さ約2.5㎜、無毛、宿存する。花弁は白色、ピンク色の斑点があり、卵状円形、長さ約4㎜。雄しべは6本、すべて稔性。 果実は球形、直径約5mm。花期は6~8月。

3 Pollia secundiflora (Blume) Bakh.f. ザルゾコミョウガ 
  synonym Pollia hasskarlii auct. non R.Rao
 日本(石垣島)、中国、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、タイ、ベトナム原産。中国名は长花枝杜若 chang hua zhi du ruo。別名はナンゴクヤブミョウガ。沖縄県の絶滅危惧II類に指定されている。
 多年草。 茎は直立し、高さ20㎝×幅7mm・以下で、まばらに白色の毛がある。葉は無柄。葉鞘は長さ約2.5cm、かなり密に毛がある。葉身は楕円形、約・長さ20×幅5cm、上面に疣があり、下面に密に微軟毛がある。花序は上部の葉の長さよりも長い。下部の花序の枝は花序柄が20cmを超え、密に褐黄色の鉤状粗毛がある。扇状集散花序は多数、長さ約2㎝、輪生は有または無、密に褐黄色の鉤状粗毛がある。 下部の総苞片は葉状、葉とほぼ同じ大きさで、上部の総苞片ははるかに小さく、5㎜以下、密に褐黄色の剛毛がある。苞は膜質。萼片は卵状円形、舟形、長さ約3㎜、無毛、宿存する。花弁は白色、倒卵形、浅い舟形、長さ約5mm。雄しべは6本、稔性の雄しべは3本、前側の仮雄しべは3本、花糸が短い。果実は球形、直径約6㎜。花期は4月。

参考

1) Flora of China
 Pollia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=126324
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Pollia
http://plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30211901-2
3) World Flora Online
 Pollia
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000030657;jsessionid=5806A511334E0B710A897334ACD551EC