ワタ  綿
[別名] ナンキンワタ、アジアワタ
[中国名]

钝叶树棉 dun ye shu mian

[英名] turnip , field mustard
[学名] Gossypium arboreum L. var. obtusifolium (Roxb.) Roberty
Gossypium nanking Meyen
Gossypium arboreum L. var. indicum (Lam.) Roberty
アオイ科 Malvaceae  ワタ属
三河の植物観察
ワタ花
ワタ花3
ワタ花横
ワタ花横4
ワタ萼状総苞
ワタ萼状総苞2
ワタ萼状総苞3
ワタ葉2
ワタ葉
ワタ
 ワタ(ナンキンワタ) Gossypium arboreum var.obtusifolium = Gossypium nanking はインド、スリランカが原産。キダチワタが改良されたもので、ワタ(和綿)もこの系統である。中国名は钝叶树棉( dun ye shu mian)。托葉は糸状、早落性。葉柄は長さ2~4㎝。葉は直径4~8㎝、掌状に3~5中裂し、裂片は長楕円形~卵形~倒卵形。萼状総苞は先が3裂し、基部1/3が合着し、裂片が卵状心臓形、長さ1.5~2㎝、脈上に星状毛があり、3~4歯があり、歯は幅の3倍より短い。萼は狭いカップ形、ほlぼ切形。花冠は帯黄色、しばしば中心が暗紫色、鐘形。花弁は長さ3~5㎝。ずい柱は長さ1.5~2㎝。花糸は同長。蒴果は3(4~5)室、円錐形、長さ約2.5.㎝、普通、下垂し、無毛、多くの油腺点がある。種子は1室に5~8個、直径5~8㎜の卵形、白色の短綿毛がある。花期は6~9月。2n=26

 世界の熱帯~亜熱帯地域に約40種が分布し、古くから世界各地で広く栽培されている。現在栽培されている品種は改良が繰り返されたものであり、2つの系統がある。アフリカからインド、中国と伝播した「アジアワタ」、中南米のワタとアフリカのワタが交雑した「ペルーワタ」の2系統である。ペルーワタの系統に①キヌワタ(リクチメン 陸地綿ともいわれる)と高級品の②カイトウメン(海島綿)がある。アジアワタ系統のアジアメン(亜細亜綿)はアラビア半島北部~中近東を中心に栽培される③シロバナワタ(白花綿)とインドを中心に栽培される④キダチワタ(木立綿)に分けられる。日本で栽培されているワタ(和棉)は中国でキダチワタが品種改良された⑤ワタ(ナンキンワタ)の系統になる。日本での栽培は延暦18年(799)に現在の西尾市(三河地方)に崑崙人(インド人)が綿種を持って漂着したのが最初といわれ、本格的な栽培は江戸時代に入ってからである。
 ワタ属は低木と草との中間の亜低木。葉が普通、掌状に3~5裂し、種類により浅裂~深裂する。花は淡黄色が多く、白色、黄色、赤色もあり、基部が紫色になることも多い。苞が萼のように花の基部を包み、萼状総苞(epicalyx)といい、縁が歯状に切れ込み、形や歯の深さなどに違いがある。果実は先端がやや尖った球形の蒴果、秋に熟すと3~5個に裂開し、綿毛に包まれた種子が飛散する。種類によって毛の長さが異なり、ペルーワタ系は繊維が長く、アジアメン系は毛が短い。

①キヌワタ(リクチメン)Gossypium hirsutumは中南米原産。世界で最も多く栽培されている。托葉は長さ5~8㎜、卵状かま形。葉柄は長さ3~14㎝。葉身は広卵形、直径5~12㎝、掌状に3裂し、下部ではときに5裂し、裂片は広三角状~卵状円形、基部は広い、中央裂片は葉身の長さの普通1/2。葉裏はわずかに軟毛があり、葉表は無毛に近く、脈上に毛がある。葉の基部は心形~切形、先は尖鋭形。花は葉腋に単生し、花柄は普通葉柄よりやや短い。萼状総苞は3個、長さ4㎝以下、幅2.5㎝以下(歯を含んで)、長い毛が多く、縁毛があり、基部は心形、1個の腺があり、先近くに7~9個の歯があり、歯は幅の3~4倍の長さがある。萼は杯形、5裂し、裂片は三角状、縁毛がある。花は白色~帯黄色、帯赤色~帯紫色に退色し、漏斗形。花弁は5個、 長さ4~5.5㎝、幅3.5~4.5㎝。 ずい柱は長さ1~2㎝、花糸は緩く、上側の花糸は長い。蒴は3~4室、卵形、長さ3.5~5㎝、先は嘴状。種子は卵形、白色の長繊維(white wool)と灰白色の適度に残存性の短い綿毛(fuzz)をもつ。得られる長繊維(lint)は20~30㎜、短繊維(linters)は2~7㎜。 2n = 52
 ②カイトウメン(ベニバナワタ、アメリカワタ)Gossypium barbadense 熱帯アメリカ原産。アメリカ北東部沿岸沖にある シー諸島の特殊な気候にあって繁茂し、またバルバドスなど西インド諸島に生育している。高さ50~120㎝、葉は掌状に5裂。開花は8~10月、花は黄色。綿毛が最も長い高級品。
 ③シロバナワタ Gossypium herbaceum はアラビア半島北部~中近東が原産。中国名は草棉( cao mian).。低木又は1年草。高さ約1.5m以下、有毛。托葉は糸状、長さ5~10㎜、早落性。葉柄は長さ2.5~8㎝、長軟毛がある。葉身は普通、掌状に5裂し、直径5~10㎝、幅が長さより広い。裂片は広卵形、葉身の1/2より短い。葉裏はわずかに軟毛があり、脈上には長軟毛がある。葉表は放射状に毛があり、基部は心形、先は鋭形。花は葉腋に単生する。花柄は長さ1~2㎝、長軟毛がある。萼状総苞は裂片が基部で合着し、長さ2~3㎝、広三角形、長さより幅が広く、わずかに脈上に毛があり、6~8個の歯がある。萼は杯形、5裂する。花冠は黄色、中央が紫色、直径5~7㎝。花弁は長さ 2.5~3㎝、幅3~4㎝。花糸は長さが同じ。蒴は普通、3~4室、卵形、長さ約3㎝、先は嘴状。種子は長さ約10㎜、斜めの円錐形、白色の長毛と短い綿毛がある。2n=26
 ④キダチワタ(インドワタ)Gossypium arboreum var arboreum.インド原産。中国名は树棉(shu mian) 。低木又は多年草、高さ2~3m。托葉は糸状、早落性。葉柄は長さ2~4㎝。葉は互生し、直径4~8㎝、掌状に浅く3~5中裂、裂片は長楕円状披針形。萼状総苞は先が3裂し、基部1/3が合着し、裂片が三角形、長さ約2.5㎝、脈上に星状毛があり、3~4歯があり、歯は幅の3倍より短い。萼は狭いカップ形、ほlぼ切形。花冠は帯黄色、しばしば中心が暗紫色、鐘形。花弁は長さ3~5㎝。ずい柱は長さ1.5~2㎝。花糸は同長。蒴果は3(4~5)室、円錐形、長さ約3.㎝、普通、下垂し、無毛、多くの油腺点がある。種子は1室に5~8個、直径5~8㎜の卵形、白色の短綿毛がある。花期は6~9月。2n=26
 ⑥Gossypium tomentosum はMa'o、 Hawaiian Cottonと呼ばれるハワイの固有種。海岸から120mまでの低地に生える低木。葉は3~5裂。花は黄色、赤色の斑点はない。種子を覆う綿毛は繊維が短く、赤褐色。キヌワタに似た種である。2n=52
 ⑦Gossypium darwinii Darwin's Cotton Garapagos Cotton ガラパゴス諸島原産。カイトウメンによく似ている。幹に黒い点がある。葉は3裂する。花は大きく、花弁は黄色、基部が赤紫色になる。果実は乾いた蒴果、開くと白色の長繊維(lint)が見える。2n=26
 ⑧Gossypium sturtianum オーストラリア原産。綿用に栽培されている。高さ1~2m、茎や葉に暗色の腺があり、有毒なゴシポールを含有する。花は1年中見られるが、盛期は晩冬、花弁は5個、淡ピンク色~暗紫色~栗色、中央は暗赤色、直径12㎝以下。葉は卵形~円形、長さ6㎝以下、もむと強いよい香りがする。
[花期] 6~9月
[草丈] 2~3m
[生活型] 亜低木(多年草)
[生育場所] 栽培種 畑
[分布] 外来種 インド、スリランカ原産
[撮影] 蒲郡市  05.8.25
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