テイキンザクラ 提琴桜

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Flora of Mikawa

トウダイグサ科 Plantaginaceae ナンヨウアブラギリ属

別 名 ホコバテイキンザクラ、ヤハズヤトロファ、ヤトロファ・インテゲリマ
中国名 琴叶珊瑚 qin ye shan hu
英 名 peregrina , Spicy Jatropha
学 名 Jatropha integerrima Jacq.
テイキンザクラの蕾
テイキンザクラの雄花
テイキンザクラの雌花
テイキンザクラの果実
テイキンザクラの茎
テイキンザクラ
テイキンザクラ花序
テイキンザクラの葉表
テイキンザクラの葉裏
花 期 3~9月(通年)
高 さ 2~3(5)m
生活型 常緑低木
生育場所 栽培種
分 布 外来種  キューバ原産
撮 影 西尾市 21.9.1
テイキンザクラはトウダイグサ科ナンヨウアブラギリ属の観賞用の栽培種。  常緑低木、高さ2.5~5m以下、雌雄同株。茎は直立、暗褐色、条線があり、多数分枝し、無毛。短いシュートは無い。ラテックスは若いシュートでは水っぽく、無色、古い枝では白濁色。葉は宿存し、長いシュートに±均等につく。托葉は無い。葉柄は長さ1~5.5㎝,有柄の腺は無い。葉身は楕円状卵形、倒卵形、頭大羽状分裂又はバイオリン形(瓢箪形)、長さ7.5~15.3㎝×幅2.9~12.5㎝、不分裂又は浅く3裂し、基部は円形。心形、又はくさび形、縁は全縁(ときに、基部に2~4個の腺体又は毛をもつ)、先は尖鋭形、膜質~±革質、表面は無毛、脈は羽状脈(もし、分裂するなら掌状)。花序は両性、頂生又はほぼ頂生の集散花序。花序柄は長さ5.2~21㎝。苞は長さ1~12㎜、縁は全縁、無毛。花柄は長さ2~8mm。雄花は咢片が分離、卵形長さ2.5~3(~4)㎜×幅1~1.7㎜、全縁、先は鈍形、表面は無毛。花冠は明るい赤色~深紅色~ピンク色、車形。花弁は分離、長さ8.4~12.1㎜×幅2.5~4.3mm、外面は無毛、内面は基部近くに毛の房がある。雄しべは10本、2列につく(5 + 5)。各輪の花糸は長さの1/2~3/4が合着する。外側の輪の花糸は長さ4~9㎜、内側の輪の花糸は長さ5~12㎜。雌花は雄花に似ているが、咢片が長さ3.1~3.8㎜×幅1.2~2.2㎜。花弁は長さ9~17㎜×幅5~10㎜。心皮は3個。花柱は長さの1/2が合着し、長さ3~4㎜。蒴果は卵形、長さ1~1.3㎝×幅0.7~1.1㎝、爆発的に裂開する。種子はクリーム色、赤色と黒色の斑点がありまだら、楕円形、長さ7~10㎜×幅4~6.5㎜、カルンクルは比較的、小さいが目立つ。2n=22 (cult. Fla.)。花期と果期は通年。

ナンヨウアブラギリ属

  family Euphorbiaceae - genus Jatropha

 高木、低木、亜低木、又は草本。茎はラテックスを含む植物細胞(laticifers)をもち、ラテックスは透明、白色、又は帯赤色。密毛は単毛ときに腺毛。托葉は宿存又は脱落性、縁は全縁又は剛毛状、又は柄のある腺が列状になる。葉は互生し、不分裂又は掌状浅裂又は深裂、普通、葉柄の先に腺体をもつ。葉脈は掌状脈[又は羽状脈]。花は雌雄同株又は雌雄異株、円錐花序状の二出集散花序につく。雄花は咢片が5個、覆瓦状、基部でわずかに合着する。花弁は5個、覆瓦状、離生し、ときに密着又は基部が合着する。花案の蜜腺は5個、分離又は輪状に合着する。雄しべは8~12本、ときにそれ以上、2~6列につく。花糸は少なくとも部分的に合着し、ときに内側の花糸は合着してカラムになる。未発達の雌しべは糸状又は欠く。雌花は咢片が5個(又は6個)、離生、覆瓦状、普通、果実に宿存する。花盤は環状、浅裂、又は切り裂かれ、ときに、仮雄しべをもつ。子房は2~3(~4~5)室。胚珠は各室に1個。花柱は不分裂又は2裂、ときに広がる。果実は蒴果。種子は種阜(caruncle)をもち、種皮は甲殻質。胚乳は肉質。子葉は幅が広く、平ら。英名はBarbados nut。
 世界に約175種があり、主に熱帯と亜熱帯のアメリカに分布し、約70種がアフリカに分布する。

ナンヨウアブラギリ属の主な種と園芸品種

1 Jatropha curcas L.  ナンヨウアブラギリ 南洋油桐
 南アメリカ、中央アメリカ、メキシコ原産。中国名は麻风树 ma feng shu。英名はBarbados nut。別名はタイワンアブラギリ、 マアブラギリ。世界中で栽培されている。
 低木又は小高木、高さ2~5m、水っぽいラテックスがある。枝は粉白の灰色、無毛、まばらに皮目があり、髄は大きい。托葉は小さい。葉柄は長さ6~18㎝。葉身は円形~卵形、長さ7~18㎝×幅6~16㎝、紙質、上面は明るい緑色、無毛、下面は灰緑色、脈に微軟毛があるか無毛、基部は心形、先は鋭形、掌状脈は5~7本。花序は腋生、長さ6~10㎝。苞は披針形、長さ4~8㎜。雄花は咢片が5個、長さ約4㎜、基部で合着する。花弁は長円形、緑黄色、長さ約6㎜、中間まで合着し、内側に毛がある。花盤の蜜腺は5個、円柱形に近い。雄しべは10本。外側の5本の花糸は離生、内側の花糸は下部で合着する。雌花は花柄が長い。咢片は離生、長さ約6㎜。花弁と花盤の蜜腺は雄花と同じ。子房は3室、無毛。花柱は先が2裂。蒴果は楕円形~球形、長さ2.5~3㎝、黄色。種子は楕円形、長さ1.5~2㎝、黒色。花期は9~10月。果期は10~12月。

2 Jatropha gossypiifolia L. ヤトロファ・ゴシピフォリア
 メキシコ~熱帯アメリカ原産。英名はbelly-ache bush , red fig-nut flower。
 低木、高さ3m以下、 雌雄同株。茎は直立、褐色、まばらから多数分枝し、木質の多肉質、剛毛があり、若い時に腺毛があり、短いシュートはない。ラテックスは稔性があり、無色。葉は常緑又は干ばつ性時に落葉、長いシュートに±均等につく。托葉は宿存し、長さ2.5~12㎜、糸状に分裂し、各列片の先に有柄の腺fがある。葉柄は長さ3~14.5㎝。托葉は腺がある。葉身は心形~卵形、長さ4~18.2㎝×幅4.2~13.4㎝、3~5裂し、基部は心形、縁は普通、小鋸歯状の歯ああるか、腺のある縁毛があり、まれに全縁、先は尖鋭形、膜質、表面は無毛又はまばらに毛があり、特に脈上にある。葉脈は掌状脈。花序は両性、頂生又はほぼ頂生の週8散花序。花序柄は長さ2.5~10.5㎝。苞は長さ6~16㎜、縁は全縁、腺のある縁毛がある。花柄は長さ 1~2㎜。雄花は咢片が分離又は長さの1/4以下、合着し、披針形~卵状披針形、長さ1.2~2.5㎜×幅2.5~4㎜ 、縁は全縁、先は円形、表面は無毛又はまばらに毛があり、腺のある縁毛がある。花冠は橙赤色~紫色、ときに、中央が薄色になり、鐘形。花弁は長さの1/4~1/2が合着し、長さ3.5~5.mm×幅1.8~3mm、無毛か又は、片面ないし両面にまばらに毛がある。雄しべは8本、2輪につく(5本 + 3本)。両輪の花糸とも。長さの1/4~1/2+が合着し、外側の輪の花糸は長さ1.4~3㎜、内側の輪の花糸は長さ1.8~4mm。雌花は雄花に似ているが、咢片は長さ2.5~4㎜×幅1~1.7㎜。花弁は長さ4~6.5㎝×幅2~3.5㎝。仮雄しべがときにある。心皮は3個。花柱は長さの1/4以下が合着し、長さ1~2㎜。蒴果は楕円形、長さ1~1.2㎝×幅0.8~1㎝、爆発的に裂開する。種子は灰褐色暗褐色の斑点がありまだら、長さ6.5~7㎜×幅 3.8~4.5㎜、種阜(カルンクル:caruncle)が目立つ。2n= 22(Mexico)。花期と果期は通年。
2-1 Jatropha gossypiifolia L. var. elegans (Pohl) Müll.Arg.  アカバヤトロファ 赤葉ヤトロファ
  synonym Jatropha elegans (Pohl) Klotzsch  英名はBellyache bush , Red physic nuth。別名はアカバヤトロハ。アフリカに帰化している。
 多茎の低木。茎と枝は中空、紫色、曲がり、有柄の腺がある。葉は枝先に密集する。葉は掌状に3~5裂し、若い時には暗紫色、成長するとオリーブ緑色に変わる。縁と葉柄には腺毛がある。花は枝の頂部に束生し、濃赤色で中心が黄色。果実は蒴果、3裂する。

3 Jatropha integerrima Jacq.  テイキンザクラ 提琴桜
 キューバ原産。英名はperegrina , Spicy Jatropha。別名はホコバテイキンザクラ、ヤハズヤトロファ、ヤトロファ・インテゲリマ。
 常緑低木、高さ2.5~5m以下、雌雄同株。茎は直立、暗褐色、条線があり、多数分枝し、無毛。短いシュートは無い。ラテックスは若いシュートでは水っぽく、無色、古い枝では白濁色。葉は宿存し、長いシュートに±均等につく。托葉は無い。葉柄は長さ1~5.5㎝,有柄の腺は無い。葉身は楕円状卵形、倒卵形、頭大羽状分裂又はバイオリン形(瓢箪形)、長さ7.5~15.3㎝×幅2.9~12.5㎝、不分裂又は浅く3裂し、基部は円形。心形、又はくさび形、縁は全縁(ときに、基部に2~4個の腺体又は毛をもつ)、先は尖鋭形、膜質~±革質、表面は無毛、脈は羽状脈(もし、分裂するなら掌状)。花序は両性、頂生又はほぼ頂生の集散花序。花序柄は長さ5.2~21㎝。苞は長さ1~12㎜、縁は全縁、無毛。花柄は長さ2~8mm。雄花は咢片が分離、卵形長さ2.5~3(~4)㎜×幅1~1.7㎜、全縁、先は鈍形、表面は無毛。花冠は明るい赤色~深紅色~ピンク色、車形。花弁は分離、長さ8.4~12.1㎜×幅2.5~4.3mm、外面は無毛、内面は基部近くに毛の房がある。雄しべは10本、2列につく(5 + 5)。各輪の花糸は長さの1/2~3/4が合着する。外側の輪の花糸は長さ4~9㎜、内側の輪の花糸は長さ5~12㎜。雌花は雄花に似ているが、咢片が長さ3.1~3.8㎜×幅1.2~2.2㎜。花弁は長さ9~17㎜×幅5~10㎜。心皮は3個。花柱は長さの1/2が合着し、長さ3~4㎜。蒴果は卵形、長さ1~1.3㎝×幅0.7~1.1㎝、爆発的に裂開する。種子はクリーム色、赤色と黒色の斑点がありまだら、楕円形、長さ7~10㎜×幅4~6.5㎜、カルンクルは比較的、小さいが目立つ。2n=22 (cult. Fla.)。花期と果期は通年。
品種) 'Baby Doll' , 'Compacta' , 'Variegata'

4 Jatropha multifida L.  モミジバアブラギリ 紅葉油桐
 メキシコ、キューバ、ドミニカ、ハイチ、リーワード諸島、プエルトリコ、トリニダード-トバゴ、ウィンドワード諸島原産。中国名は珊瑚花 shan hu hua。英名はcoral plant。別名はモミジバヤトロファ、 モミジバサンゴ。中国などで観賞用、薬用に栽培されている。
 低木又は小高木、高さ2~3(~6)m。茎は無毛。托葉は分裂し、又状の剛毛状。葉柄は長さ10~25㎝。葉身は外形が円形、幅10~30㎝、上面は緑色、下面は灰緑色、両面とも無毛、縁は掌状に9~11裂し、裂片は全縁、脈は羽状脈。花序は頂生、花序柄は長さ13~20㎝。花柄は短い。花は密につく。雄花は咢が長さ2~3㎜、円形、無毛。咢片は5個、へら形、赤色、長さ約4mm。雄しべは8本、花糸は基部で合着する。葯は長い。雌花は咢が雄花と似ている。咢片は長さ6~7㎜、赤色、子房は無毛、花柱は3本、下部の1/2が合着する。蒴果は楕円形~倒卵形、長さ約3㎝、無毛。花期は7~10月。果期は9~2月。

5 Jatropha podagrica Hook.  トックリアブラギリ 
 メキシコ、エルサルバドル、グアテマラ、ホンジュラス、ニカラグア原産。中国名は佛肚树 fo du shu。英名はgout plant , Buddha Belly Plant。別名はサンゴアブラギリ。中国で観賞用、薬用に栽培されている。
 低木、直立し、高さ2m以下。茎の基部や下部が木質で膨れる。小枝は丈夫で短く、肉質、まばらに皮目がある。托葉は刺状、葉痕が宿存し、大きく、目立つ。 葉柄は長さ8~10㎝、無毛。葉身は掌状、円形~楕円形、長さ8~18(~25)㎝×幅6~16㎝、上面は明るい緑色、下面は灰緑色、両面とも無毛、基部は切形又は鈍形、縁は全縁又は浅く2~6裂し、先は鈍形、掌状脈が6~8本ある。花序は頂生、長い花序柄があり、枝は短く、赤色、咢は長さ約2㎜。咢片は円形、長さ約1mm。花弁は倒卵状長円形、長さ約6㎜、赤色。雄しべは6~8本、基部が合着する。葯は花糸の長さとほぼ同長。子房は無毛。花柱は3本、基部で合着し、先で2裂。蒴果は楕円形、長さ1.3~1.8㎝×幅約1.5㎝、縦に3本の溝がある。種子は長さ約1.1㎝、平滑。花期と果期はほぼ通年。
品種) 'Cintho Sunshine' (PBR)

参考

1) Flora of China
 Jatropha
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=116774
2) Flora of North America
 Jatropha
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=116774