シャリンバイ  車輪梅

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Flora of Mikawa

バラ科 Rosaceae シャリンバイ属

別 名 タチシャリンバイ
中国名 厚叶石斑木 hou ye shi ban mu
英 名 Japanese hawthorn, Yeddo hawthorn , Indian hawthorn
学 名 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. ex Ker var. umbellata (Thunb.) H.Ohashi
Rhaphiolepis umbellata (Thunb.) Makino
Rhaphiolepis indica (L.) Lindl.  広義
シャリンバイ花
シャリンバイ果実
シャリンバイ果実拡大
シャリンバイ種子
シャリンバイの幹
シャリンバイ
シャリンバイ葉
花 期 5~7月 (果期 11~1月)
高 さ 2~6m
生活型 常緑低木~小高木
生育場所 海岸の崖地、山
分 布 在来種 本州(宮城、山形県以南)、四国、九州、沖縄、中国、台湾
撮 影 幡豆町  12.1.27
和名の由来は葉や枝が車輪状につき、花が梅に似ていることから。樹皮か大島紬の染料に使用される。学名は以前はRhaphiolepis umbellataとされていたが、現在ではRhaphiolepis indicaに含めるか、あるいは変種とされている。
 葉は互生し、革質、硬く、長さ4~8㎝の長楕円形~狭倒卵形で、光沢がある。花序は総状。花は直径1~1.5㎝の白色の5弁花。果実は直径7~12㎜の球形で、黒く熟し、白い粉を被る。種子は直径7~8㎜、球形、褐色、光沢がある。
 葉が円く、鋸歯がほとんどないものをマルバシャリンバイといい、変種とすることもあるが、中間型もあり分類しないのが一般的になっている。

シャリンバイ属

  family Rosaceae - genus Rhaphiolepis

 低木又は小高木、常緑。葉は単葉、葉柄は短く、革質、葉脈は曲行脈(camptodromous)、縁は鋸歯縁又は全縁。托葉は早落性、錐形。花序は頂生の総状花序又は円錐花序。花托筒は鐘形~筒形。咢片は5個、直立又は 後屈する。花弁は5個、白色又は紫色、基部に短い爪部がある。雄しべは15~20本。子房は下位、2室、各室に直立する胚珠が2個。花柱は2~3本、基部で合着する。ナシ状果(pome)は核果状、紫黒色~帯青色、ほぼ球形、多肉質、早落性の咢片の跡が環状に残る。種子は1又は2個、ほぼ球形、大きく、種皮は薄い。子葉は厚く、平凸形又は半球形。
 世界に約15種があり、東アジアに分布する。

シャリンバイ属の主な種と園芸品種

1 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl  モッコクモドキ(シャリンバイ) 広義
  synonym Rhaphiolepis delacourii André
  synonym Rhaphiolepis × delacourii
 日本、中国、台湾、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム原産。中国名は石斑木 shi ban mu。英名はIndian hawthorn , India hawthorn , Hong Kong hawthorn。
 低木、まれに小高木、高さ4m以下。小枝は若い時に紫褐色、古くなると灰褐色、初め褐色の綿毛があり、古くなると無毛になる。葉柄は長さ0.5~1.8㎝又はほぼ無柄、わずかに褐色の綿毛があるか、又はほぼ無毛。托葉は早落性、披針形、まばらに褐色の綿毛があり、先は尖鋭形。葉身は卵形、長円形、まれに倒卵形、長円状披針形、狭楕円形、又は披針状楕円形、長さ(2~)4~8㎝×幅1.5~4㎝、下面で脈は明瞭、網状脈は下面で目立ち、上面では目立つか又は目立たない。葉の下面は淡色、無毛又はまばらに毛があり、上面は光沢があり、無毛、葉の基部は漸尖、縁は円鋸歯、鋸歯、又は鈍鋸歯、先は鈍形~鋭形~尖鋭形又は長い尾状。円錐花序又は総状花序に花が多数又は少数つく。花序柄と花柄には綿毛がある。苞と小苞は早落性、披針形~狭披針形、長さ2~7mm、両面に初め褐色の綿毛があり、縁に密にあり、すぐに無毛になり、先は尖鋭形。花柄は長さ0.5~1.5㎝、初め褐色の綿毛があり、すぐに無毛になる。花は直径1~1.3(~1.5)㎝。花托筒は筒形、褐色の綿毛が縁と両面にあるか又は無毛。咢片は三角状披針形又は線形、長さ4.5~6mm、両面にわずかに褐色の綿毛があるか又は無毛、先は鋭形。花弁は白色又はピンク色を帯び、倒卵形又は披針形、長さ5~7mm×幅4~5mm、基部に毛があり、先は鈍形。雄しべは15本、花弁と同長又は短い。子房は無毛、2又は3室、胚珠は各室に2個。花柱は2又は3本、基部で合着し、ほぼ無毛。ナシ状果は紫黒色、球形、直径5~8mm、無毛、果柄は長さ5~10mm、無毛、咢片の落ちた跡が輪になる。花期は4月。果期は7~8月。
品種) 'Ballerina' , Bridal Blush™ , Cherub's Cup™ , 'Clara' , 'Coates' Crimson' , 'Coppertone' , 'Corleyscourii' , Eleanor Taber™ , Enchantress = 'Moness' , 'Fiesta' , 'Kerdalo' , 'Majestic Beauty' , 'Moness' , 'Pink Cloud' , 'Pink Lady' , 'Pinkie' , 'Ponto's Pink Clara' , 'Snow White' , Snowcap = 'Corleyscourii' , 'Spring Song' , Spring Time' = 'Monme'
1-1 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. indica  モッコクモドキ
 (日本、中国、台湾、)東南アジアに分布。中国名は石斑木 shi ban mu。別名はインドシャリンバイ。  葉身は卵形~長円形、まれに倒卵形~長円状披針形、長さ(2~)4~8㎝×幅1.5~4㎝、縁は小円鋸歯。花序は錆色の綿毛があり、多数の花がつく。苞は狭披針形、長さ2~7mm。花柄は長さ0.5~1.5㎝。
1-1-1 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. ex Ker Gawl. var. indica f. impressivena (Masam.) S.S.Ying  アミバシャリンバイ 
  synonym Rhaphiolepis impressivena Masam.
1-2 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. umbellata (Thunb.) H.Ohashi  シャリンバイ 車輪梅
1-2-1 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. umbellata (Thunb.) H.Ohashi f. umbellata (Thunb.) Hatus.  シャリンバイ 狭義
  synonym Rhaphiolepis umbellata (Thunb.) Makino タチシャリンバイ
  synonym Rhaphiolepis integerrima Hook. et Arn. マルバシャリンバイ
  synonym Rhaphiolepis umbellata (Thunb.) Makino var. integerrima (Hook. et Arn.) Masam., K.Mori et Suzuki マルバシャリンバイ
  synonym Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. integerrima (Hook. et Arn.) Kitam.
  synonym Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. subsp. umbellata (Thunb.) Hatus.
  synonym Rhaphiolepis umbellata (Thunb.) Makino f. ovata (Briot) C.K.Schneid.
 日本(本州の宮城県、山形県以南、四国、九州、沖縄)、中国、台湾原産。英名はYeddo hawthorn。
 学名はThe Plant Listでは認めているが、Kewscience ではvar. umbellataやvar. tashiroiをvar. indicaにまとめている。
 相違点は①var. indicaの果実(直径約5mm)はvar. umbellataの果実(直径7~10mm、12mmのものもみられる)より小さい。②var. indicaの花はvar. umbellataの花より小さい。
 マルバシャリンバイやタチシャリンバイと区別していたこともあるが現在では区別しない。
 タチシャリンバイは葉が卵状長円形~倒卵形、長さ4~10㎝×幅2~5㎝、縁は疎に鈍鋸歯があるか又は全縁に近い。
 マルバシャリンバイは広倒卵形~広楕円形、長さ4-10㎝×幅3~4㎝、縁は全縁又は少数の歯がある。
1-2-2 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. umbellata (Thunb.) H.Ohashi f. minor (Makino) H.Ohashi  ヒメシャリンバイ 姫車輪梅
  synonym Rhaphiolepis umbellata (Thunb.) Makino var. minor Makino
  synonym Rhaphiolepis rubra (Lour.) Lindl. var. minor (Makino) Nakai
  synonym Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. minor (Makino) Kitam.
 葉が小さく、卵状長円形~倒卵形、長さ2~4㎝×幅1~2㎝、縁は鈍鋸歯又は全縁。
1-3 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. liukiuensis (Koidz.) Kitam.  ホソバシャリンバイ 細葉車輪梅
  synonym Rhaphiolepis umbellata (Thunb.) Makino var. liukiuensis Koidz.
 沖縄、南西諸島に分布する。
 葉は倒披針形~狭長円形、長さ5~12㎝×幅1~4㎝、縁は波状で鈍鋸歯又は全縁。
1-4 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. shilanensis Yuen P.Yang et H.Y.Liu  ヒイランシャリンバイ 
  synonym Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. ex Ker var. hiiranensis (Kaneh.) H.L.Li
 台湾原産。中国名は恒春石斑木 heng chun shi ban mu。
 葉身は長円形~倒披針形、長さ4~5㎝×幅1.5~2㎝、縁は先が鋸歯縁。花序はまばらに毛があり、花が少数つく。苞は披針形、長さ約4mm。花柄は長さ0.7~1.5㎝。
1-5 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl. var. tashiroi Hayata  タカサゴシャリンバイ 
 台湾原産。中国名は毛序石斑木 mao xu shi ban mu。
 葉身は狭楕円形~披針状楕円形、長さ5~7㎝×幅1.5~2㎝、鈍鋸歯縁。花序は密に錆色の綿毛があり、花が多数つく。苞は披針形、長さ約7mm。花柄は長さ3~10mm。

参考

1) Flora of China
 Rhaphiolepis
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=128270
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Rhaphiolepis indica (L.) Lindl.
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:731389-1
3) 植物研究雑誌 ]ourn. ]ap. Bot. Vo1. 63 No. 1(1988)
  日本産シャリンパイ属植物の分類
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_063_1_7.pdf