スイセンアヤメ 水仙文目
[別名] スパラクシス(スパラキシス)
[中国名] 三色魔杖 san se mo zhang
[英名] Harlequin flower, wandflower
[学名] Sparaxis tricolor (Schneev.) Ker Gawl. 'Alba Maxima'
アヤメ科  Iridaceae  スイセンアヤメ属
三河の植物観察
スイセンアヤメの花序2
スイセンアヤメの花序
スイセンアヤメの花
スイセンアヤメの花横
スイセンアヤメの蕾
スイセンアヤメ
スイセンアヤメ葉先
スイセンアヤメ葉
 スイセンアヤメと呼ばれている。最近ではスパラクシス(スパラキシス)と呼ばれている。よく植えられているのは白色で中央が黄色のSparaxis tricolor'Alba Maxima'という品種である。
 スパラクシス(スパラキシス) Sparaxis は属名であり、和名はスイセンアヤメ属という。スパラクシスはSparaxis属の園芸品種の総称。
 スパラクシスはフリージアに少し似ているがフリージアほど見かけない。フリージアと同じように南アフリカ原産である。Sparaxisの種は16種ほどが知られ、世界中で栽培されている。Sparaxis tricolor(スイセンアヤメ)、Sparaxis grandiflora、Sparaxis elegans、Sparaxis bulbifera やこれらのハイブリッドがよく栽培されている。カリフォルニア、オーストラリア、ニュージーランドなどで野生化しているものもある。
 スイセンアヤメの原種は派手な花色で、花が橙色、中央に黄色の斑紋があり、黄色の周りは暗赤褐色の縁取りがあり、花が3色になるため tricolorという。カリフォルニアでは派手な色の原種に近いものが野生化している。日本でよく見る'Alba Maxima'は花がほとんど白色で、中央部が黄色、暗色の縁取りが無く、褐色の汚れがわずかに残り、原種とは似ていない。オーストラリアやニュージーランドで野生化しているSparaxis bulbiferaはほとんど白色で、部分的にやや黄色を帯び、スイセンアヤメによく似ているが、花の裏が紫色を帯びることが多く、苞が異なり、葉の縁に子球をつける。
[花期] 3~4月
[草丈] 10~40㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 栽培種
[分布] 在来種 南アフリカ原産
[撮影] 西尾市 13.4.20
【スイセンアヤメ属】
 スイセンアヤメ属(Sparaxis)はスパラキシス属ともいわれ、原種が16種あり、南アフリカに固有で、主に西ケープ州南部とレノスターベルドの中の粘土土壌のカルー西部にあり、ときに海岸の砂地帯にもみられる。球茎は基部から発根し、細かい~粗い繊維状の淡色の薄皮がある。地中海の気候でも育てやすく、多くの種や色彩豊かなハイブリッドSparaxis Hybrids が長い間、栽培されてきた。花期は4~ 5月頃。
 多年草、球茎がある。茎は単一又は分枝する。葉は数個、ときに平伏し、葉身は平ら、剣形~長楕円形。花序は穂状花序、螺旋状又は偏側生、2~5(~多数)個の花をつける。苞は淡褐色~薄褐色、不規則に暗褐色の条線があり、不等長。外側のものは普通、内側のものより大きく、薄膜状、鋭形~3尖頭形。内側のものは先が2又~2尖頭形。花は匂いが無く[芳香があり]、放射相称[左右相称]。花被の筒部は漏斗形、ときに斜形。花被片は開き、筒に合着し、色は様々、ときにコントラストの強い斑紋があり、ほぼ等形、外花被片はわずかに内花被片より大きい[不等長、側花被片が最も大きい]。雄しべは対称につき、片側につく。葯は直線状[コイル状]。花柱[片側性、しばしば花糸を超えて弓なり]、3個の短い枝に分枝し、先はへら状[長い、糸状]。蒴果は球形~長楕円形、軟骨性。種子は室に8~15個、球形。外種皮は短褐色~暗褐色、硬く、光沢がある。x = 10

【スイセンアヤメ属の種】16種
Sparaxis auriculata、 Sparaxis bulbifera、 Sparaxis calcicola 、Sparaxis caryophyllacea 、 Sparaxis elegans 、Sparaxis fragrans、Sparaxis galeata K、 Sparaxis grandiflora [subsp. acutiloba 、subsp. fimbriata 、subsp. grandiflora、 subsp. violacea ]、 Sparaxis maculosa 、Sparaxis metelerkampiae 、Sparaxis parviflora、Sparaxis pillansii 、Sparaxis roxburghii 、Sparaxis tricolor、Sparaxis variegata、Sparaxis villosa
 以前はSynnotia属であったSparaxis variegata、Sparaxis villosaも含められている。

 参考)Pacific Bulb Society16種(写真掲載) 、The Plant List ではSparaxis calcicolaを除く15種

【主な種と栽培種】
 1 スイセンアヤメ  Sparaxis tricolor (Schneev.) Ker Gawl. 南アフリカ固有種 北ケープ州のニューウッドビル近くのボッケベルト高原に自生する。レッドリスト 危急種 Vulnerable(VU)。北アメリカ、オーストラリア南部、ニュージーランドに広く帰化している。園芸品種のハイブリッドに使われている。英名はHarlequin flower, wandflower。
 多年草、高さ10~40㎝。球茎は薄皮がある。薄皮は細かい帯白色の繊維状。半耐寒性で夏に葉が枯れる。葉は穂状花序の基部に数個つき、剣形、中脈は明瞭。花茎は2~3本、直立し、穂状花序を頂生し、花を2~5個程度つける。苞(spathes)は暗褐色の筋があり、ほぼ等形、乾き、しわがあり、外側の苞は縁が全縁又は軽く裂け、内側の苞は先が叉状になる。花は直径約4㎝、放射相称、花被片6個、橙色(オレンジ・スカーレット色)、暗赤褐色、黄色の3色になり、tricolorの名がつけられた。花被片は橙色、中央に約1/3の大きさの黄色のハート形の斑紋があり、その外側は暗赤褐色の帯状に縁どられる。花被片は披針形、ほぼ等長、長さ25~33㎜。花被の筒部は長さ約8㎜、 漏斗形。雄しべ3個、長さ6~7㎜、葯は黄色、線形、長さ8~9㎜。花柱は細く、柱頭は3分枝、枝は長さ1~2㎜、葯に対生し、先が広がる。北ケープ州のレノスターベルド地帯の湿った粘土や石の多い土壌に生育する。花は春、3~4月(南アフリカでは9~10月)[Flora of north America]。交配に使われ、広く栽培されている。 Sparaxis pillansii,に非常によく似ているが、花の色が異なり、葯がねじれず、黄色~黄土色。(同属の植物と自然の中でも交雑しやすい)。
 栽培種)'Alba Maxima'、'Bright Star'、'Color Fantasy'、'Excelsior' 、'Fire King'、'Horning' 、'Monica' 、 'Robert Schuman' 、'Skyline'、'Sulphur Queen'、 'Tri-Color'

 2 Sparaxis grandiflora (D.Delaroche) Ker Gawl. subsp. grandiflora 西ケープ州のタルバ渓谷内の頁岩のレノスターフェルドの湿った又は水浸しの粘土の平地又は斜面に見られる。1758年にはすでにKew Gardens に導入されている。古くからオランダ、オーストリア、フランス、イギリスで栽培されてきた。カリフォルニアではSparaxis grandifloraも帰化している園芸品種のハイブリッドに使われている。英名はlarge harlequin flower , plain harlequin flower
 多年草、葉が夏に枯れる。球茎は球形、直径約13㎜、薄皮は細かい繊維状。小子球は多数生じない。葉は10個以下、平滑、淡緑色、剣形~鎌形、先は鋭く尖る。葉は長さ6~20㎝、幅約1㎝、中央の花軸の両側に2つの垂直な列につき、扇形になる。この直立した植物は他の亜種より強くなく、約25㎝まで育つ。花は放射相称、6個の花被片が円形につき、基部で総合され、短い花筒の開いた花となる。花被片はほとんど等長、等形、形はへら形、先は円形(subsp. violacea は先が尖る)。花は匂いが無く、プラムレッド(橙赤色)plum-red ~白色~ふじ色(モーブ色)、赤色が最も多い。
 白色の花、紫色と白色の花は分枝しない主茎に束状につき、花は柄が非常に短く、ほとんど直接、出る。乾いた膜質の苞が各々の花の基部につく。雄しべは直立し、互いに、分離する。雌しべは花粉受容性。柱頭は花の片側に保持される。花期は8~10月初め。kajituは蒴果。種子は大きく、球形、平滑、光沢がある。種子から成長し、約10年生育する。
 4亜種がある。
 Sparaxis grandiflora subsp. grandiflora 花が橙赤色
 Sparaxis grandiflora subsp. acutiloba 花が黄色
 Sparaxis grandiflora subsp. fimbriata 花が白色又は白色に紫色の筋模様
 Sparaxis grandiflora subsp. violacea 花被片の先が尖る。

 ※Sparaxis grandifloraとSparaxis tricolorの見分け方
1. 花筒が長さ10~15㎜、花被片がクリーム白色~黄色~紫色
  花の基部に普通暗色の斑紋がある。花が左右相称。苞は上半分が槍状線形に切れ込む。
                                              ..... [S. grandiflora]
1' 花筒が長さ < 10㎜。花被片が橙色、基部に縁が暗赤褐色の黄色の斑紋がある。
 花は放射相称。苞は不規則に切れ込む。                    ..... [S. tricolor]

 3  Sparaxis elegans (Sweet) Goldblat
 英名はCape buttercup, spar axis, pale harlequin flower.
西ケープ州のthe Greater Cape Floristic Region (GCFR)の固有種であり、GCFRで最もエレガントな花の1つである。南アフリカのレッドリストでは危急種 Vulnerable(VU)。園芸品種のハイブリッドに使われている。英名はCape Buttercup , spar axis。
 多年草、高さ10~30㎝。球茎は球形、直径10~17㎜(Goldblatt 1992; Goldblatt & Manning 2013)、細かい繊維状の薄皮に被われる。茎は単一又は基部から分枝することもある。葉は5~9個、槍形(剣形)、先が尖り、基部に扇状に、茎の長さの約半分につく。茎は3~5個の花をつけ、花は放射相称。花序は頂生し、穂状花序。花は主にサーモンピンク色又は白色、混生する場所ではピンク色の花も見られる。花は中心が紫色、短い漏斗形の筒部の喉のまわりに目立つ黄色と黒色の斑紋がある。匂いは無い。雄しべは特徴があり、花糸は紫色、葯はS形でしっかり花柱の周りを曲がる。この形態学的な特徴はこの属の他の種では見られない。花期は8~9月、果実はやや目立たない。果実は軟骨質、乾くと、すぐに割れ、球形のshusiを放出する。種子は派手な光沢のある赤色。
品種)'Coccinea'

 4  Sparaxis bulbifera (L.) Ker Gawl. 西ケープ州南部とアガラス平野の湿った砂質又は石灰岩の平地に自生する。オーストラリア、ニュージーランドに帰化している。Sparaxis tricolor と混同されやすい。
 英名はairleaf satinflower , bulblet sparaxis , bulbil sparaxis, harlequin flower, harlequin-flower, sparaxis, white harlequin flower。
 多年草。直立し、高さ15~60㎝、球茎は長さ6~1㎜、幅10~15㎜。薄皮は柔らかい織り込まれた繊維状、灰褐色。葉は(4)~6~9個月、,無毛、淡緑色、剣形、長さ10~30㎝、幅4~13㎜、ほとんど基部に束生し、茎葉は少なく、互生し、苞状。葉の基部は鞘状、全縁、先は尖り、中脈は明瞭。葉の上部の又に多数の小さな子球をつける。茎は少数、分枝し、緑色、無毛。穂状花序は枝先に頂生、1~8(~15)個の花をつける。花は基部に2個の葉状の苞をつける。苞は長さ1.5~2.5㎝、白色、細い褐色の筋があり、しばしば、浅く~深く裂け、普通、先が赤褐色。花柄は無い。花は長さ4.5㎝以下、直径4~5㎝、主に白色又は黄クリーム色、たまに淡黄色又は紫色(とくに下面は筋状又は全体に紫色になる)。花被片(花弁)は6個、長さ3~4.5㎝。筒部は長さ約15㎜、黄色になることが多い。雄しべは3個。葯は長さ7~8㎜、帯白色。子房の上先に花柱があり、先が3分岐し、枝は長さ訳10㎜。果実は蒴果、長さ訳10㎜、幅約7㎜、熟すと薄緑色から褐色に変わり、数個の種子を入れる。種子は球形、直径2~2.5㎜、黒色~赤黒色。花期は春~初夏(9~12月オーストラリア)。

 5 ハイブリッド
 'Bright Star'、'Colour Mill' 、'Fire King' 、'Lady Buttercup' 、'Moonlight®'、 'Purple Passion' 、'Red Reflex' 、 'Sunshine ®' 、 'Skyline'
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