サイコクヌカボ 西国糠穂

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Flora of Mikawa

タデ科 Polygonaceae イヌタデ属

学 名

Persicaria foliosa (H.Lindb.) Kitagawa var. nikaii (Makino) Hara

 synonym Persicaria nikaii (Makino) Nakai

 synonym Polygonum foliosum var. nikaii (Makino) Kitam.

サイコクヌカボの花
サイコクヌカボの托葉鞘
サイコクヌカボ
サイコクヌカボ葉
サイコクヌカボ葉2
花 期 9~10月
高 さ 30~60㎝
生活型 1年草
生育場所 ため池、河川敷き
分 布 在来種(日本固有変種) 本州(中部地方以西)、四国、九州
撮 影 田原市  06.11.1
サイコクヌカボはマンシュウヌカボタデの変種(var. nikaii)に分類されている。愛知県の準絶滅危惧種にも指定されている。しかしPOWO(Kew)やFOC(Flora of China)ではこの変種は認められず、基本変種(var. foliosa)に含められている。YListでは変種として認めている。サイコクヌカボは花が著しく疎につき、痩果はやや大きく1.5~2㎜。愛知県ではヤナギヌカボは確認されていない。また、ヌカボタデも三河では確認されていない。
 サイコクヌカボ(var. nikaii)は日本固有変種(本州の中部地方以西、四国、九州に分布)。ため池、河川敷きに生える。
 1年草、高さ30~60㎝。茎は下部が地を這い、節から根を出し、上部は斜上し、分枝し、無毛、帯赤色、多くは直径1.2~1.3㎜。短い葉柄がある。葉は長さ3~9㎝、幅2~9㎜の狭披針形~狭線形、先は漸尖し鋭尖頭、基部は鈍形~円形、質はやや厚く、下面は無毛のこともあるが、上面は常に多少の毛があり、下面の主脈上は明らかに毛があり、下面に普通、腺点がないが、往々盤状腺点がある。托葉鞘は長さ5~6(~10)㎜の筒状、短剛毛があり、縁毛は長さ2~4㎜。花序は長さ5~6㎝、淡紅色の花を著しくまばらにつけ、ときに下部に1~2個の小さい葉がつく。小苞の縁毛は長さ1.2~2㎜で著しく、ときに短く目立たない。痩果は長さ1.5~2㎜、茶褐色~黒褐色、光沢があり、両凸形レンズ形、まれに3稜形。花期は9~10月。
 標本の花被が乾くと暗色を帯びるが、ヤナギヌカボは白っぽく鈍い光沢がある。
1 Persicaria foliosa (H.Lindb.) Kitag. マンシュウヌカボタデ 満州糠穂蓼
  synonym Polygonum foliosum H.Lindb.
 日本、朝鮮、中国(安徽省、黒竜江省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル)、台湾、ロシア、北西ヨーロッパ、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン原産。中国名は多叶蓼 duo ye liao。海抜700mまでの水辺、川辺、溝沿いに生える。
 1年草。茎は傾伏、まれに直立、高さ40~60㎝、細く、多数、分枝し、無毛。葉柄はごく短いか又は無いに近い。葉身は狭披針形、長さ3~6㎝×幅3~5㎜、まばらに毛があり、下面の中脈は明瞭、両面とも側脈は不明瞭、基部は楔形、広楔形又は円形、全縁、縁毛は無く、先は鋭形。托葉鞘は筒形、長さ8~10㎜、膜質、まばらに伏した小剛毛があり、先は切形、縁毛は長さ0.5~3㎜。花序は頂生又は腋生、穂状花序、直立、緩く、長さ3~5㎝、細く、下部は間隔が開く。苞は漏斗形、無毛、縁毛があり、各苞に、花が1~2個つく。花被は帯ピンク色、5深裂する。花被片は狭楕円形、長さ1.5~2㎜。雄しべは5個。花柱は2個。痩果は宿存する花被と同長、黒色、光沢があり、卵形、両凸形、長さ1.2~2㎜、平滑。2n=20(Flora of China)。
 KewとFlora of Chinaではvar. foliosa(var. nikaiiを含む)とvar. paludicolaの2変種に分類している。
YListでは3変種である。

1-1 Persicaria foliosa (H.Lindb.) Kitag. var. foliosa マンシュウヌカボタデ 満州糠穂蓼

  synonym Polygonum foliosum var. foliosum
 日本、朝鮮、中国(安徽省、黒竜江省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル)、台湾、ロシア、北西ヨーロッパ、フィンランド、ノルウェー、スウェーデン原産。中国名は多叶蓼 duo ye liao 。Flora of Chinaでは中国に分布し、葉の基部が楔形、托葉鞘の縁毛が長さ0.5~1㎜。
 1年草。茎は傾伏、まれに直立、高さ40~60㎝、細く、多数、分枝し、無毛。葉柄はごく短いか又は無いに近い。葉身は狭披針形、長さ3~6㎝×幅3~5㎜、まばらに毛があり、下面の中脈は明瞭、両面とも側脈は不明瞭、基部は楔形、全縁、縁毛は無く、先は鋭形。托葉鞘は筒形、長さ[5~]8~10㎜、膜質、まばらに伏した小剛毛があり、先は切形、縁毛は長さ[0.4]0.5~3[4]㎜。花序は頂生又は腋生、穂状花序、直立、緩く、長さ3~5[~6]㎝、細く、下部は間隔が開く。苞は漏斗形、無毛、縁毛があり、各苞に、花が1~2個つく。花被は帯ピンク色、5深裂する。花被片は狭楕円形、長さ1.5~2㎜。雄しべは5個。花柱は2個。痩果は宿存する花被と同長、黒色、光沢があり、卵形、両凸形、長さ1.2~2㎜、平滑。2n=20。[]はサイコクヌカボを含めて訂正。

1-2 Persicaria foliosa (H.Lindb.) Kitag. var. paludicola (Makino) H.Hara ヤナギヌカボ 柳糠穂

 日本(北海道、本州、九州)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は宽基多叶蓼 kuan ji duo ye liao。湿地、休耕田、溜池の縁に生える。 愛知県では確認されていない。花は少し断絶的に多数つき、痩果は小さく長さ1.2~1.5㎜。
 高さ30~60㎝、茎はやや細く、直径1~2㎜、太いものは下部の直径3㎜、帯赤色、無毛。托葉鞘に伏毛があって、縁毛は短かく目だたず、縁毛は長いもので1.5~2(3) ㎜まで。葉は線形~線状披針形で細長く、 漸尖し、鋭尖頭、基部は狭形または鈍形、ほぼ無柄、普通、長さ4~8㎝×幅4~8㎜、上面はやや無毛のものから細毛を布くものまで変化があり、下面はルーペで見えるザラつきがあり、調査の範囲では何れの標本もどれかの葉には常に盤状腺点があった。下面の主脈上には伏毛があり、側脈は不明瞭。穂状花序は頂生又は腋生で細く、通常、長円筒形、長さ5~8(9)㎝、やや鞭状でゆるく下垂し、花茎の基部の葉腋から花がつき、上部は僅かに断絶しながら、多数の花をつけ、そのため花茎の部分が明らかでない。往々、花序の下部に2~3の小葉をつけることがある。小苞の縁毛は目だたないが、稀に長いものは1~1.5㎜ある。痩果は両凸形(レンズ形)、稀に僅かに3稜形を混えることがあり、黒褐色、長さ長さ1.2~1.5㎜。花期は9~10月。

2 Persicaria taquetii (H.Lev.) Koidz. ヌカボタデ 糠穂蓼

  synonym Persicaria taquetii (H.Lev.) Koidz. var. minutula (Makino) Honda

  synonym Polygonum taquetii H. Leveille
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、広東省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、浙江省)、東ヒマラヤ原産。中国名は细叶蓼 xi ye liao 。標高0~400mの湿った谷、溝沿い、水辺に生える。
 1年草。茎は直立又は、基部で平伏又は斜上、高さ30~50㎝、細く、無毛、多数分枝し、下部の節から根を出す。葉柄はごく短いか又は無い。葉身は狭披針形、長さ2~4㎝×幅3~6㎜、両面にまばらに毛があり、基部は楔形、全縁、先は鋭形。托葉鞘は筒形、長さ5~6㎜、膜質、まばらに毛があり、先は切形、縁毛は長さ3~5㎜。花序は頂生又は腋生、穂状花序、長さ10㎝以下、細く、間隔が開き、普通、数個の穂状花序がつき、円錐花序状になる。苞は緑色、漏斗形、長さ約2㎜、長い縁毛があり、各苞に花が3~5個つく。花柄は苞より長く、細い。花被は帯ピンク色、5深裂する。花被片は楕円形、長さ1.5~1.7㎜。雄しべは普通、7個、突き出ない。花柱は2又は3個、中間の下まで合着する。痩果は宿存する花被に包まれ、褐色、光沢があり、卵形、両凸面形又は3稜形、長さ1.2~1.5㎜。花期は8~9月。果期は9~10月。2n=20。