パボニア 

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Flora of Mikawa

アオイ科  Malvaceae  ヤノネボンテンカ属

別 名 パボニア・インテルメディア、パボニア・グレドヒリィ
中国名 帕蓬花 pa peng hua
英 名 Brazilian candles , many flowers
学 名 Pavonia × gledhillii Cheek
Pavonia intermedia Hort
パボニアの花序
パボニアの雌しべと雄しべ
パボニアの花
パボニアの花柄
パボニア
パボニアの花序2
パボニアの葉
花 期 4~10月
高 さ 0.5.~1.5(2)m
生活型 常緑低木
生育場所 栽培種
分 布 帰化種  南アメリカ原産
撮 影 西尾市  18.6.29
ヤノネボンテンカ属(パボニア属)の観賞用園芸品種、パボニアと呼ばれる。パボニア・インテルメディアとかブラジリアン・キャンドルとも呼ばれる。1989年にイギリスで作られたPavonia makoyanaとPavonia multifloraとのハイブリッドであり、日本で栽培されているのはこの系統である。Pavonia makoyanaでなく、ヤノネボンテンカ Pavonia hastata とのハイブリッドともいわれているが、これは誤り。ヤノネボンテンカ属は世界に約250種あり、USA、メキシコ、西インド諸島、中央アメリカ、南アメリカ、アジア南部、アフリカに分布する。ヤノネボンテンカは世界中で栽培され、日本でも野生化しているが、パボニアは野生化しない。英語の通称名はBrazilian Candles ともいわれ、Pavonia multifloraと混同されることも多い。両親の間の特性を持つが、普通、赤色小総苞の小苞は等幅で、9~10個つき、赤色~ピンク色。咢片や花弁は暗紫色。葉縁がほぼ全縁、ただし、変化し、多くなることもある。高さは普通、2m程度まで。

ヤノネボンテンカ属(パボニア属)

  family: Malvaceae - genus Pavonia

 [多年草]、亜低木、低木。茎は普通、長立[平伏]、しばしば星状毛があり、ときに無毛、粘性無い[ときにある]。托葉は普通、宿存し(P. paludicolは早落性)、錐形~糸状。葉身は普通、対称、卵状三角形~ほこ状長楕円形~卵形、分裂又は深裂せず、基部は切形~心形、縁は歯状~円鋸歯~類全縁。花序は頂生の総状花序[円錐花序、頭状花序]、又は腋生の単生花。小総苞(involucel)がある。小苞(bractlet)は [4~]5~8[~18+]個、明らかに分離。咢は宿存性、対称には切れ込まず、仏炎苞を有せず、開花後に大きくならず又はほとんど大きくならず、膨らまず[やや膨れ]、裂片はうねが有又は無、普通披針状卵形。花冠は輻状(車形)~筒状、ラベンダー色~ピンク色~黄色[白色、紫色]、花弁の基部は耳状部が有又は無。雄しべ筒は普通、突き出ない[突き出る]。花粉はアメリカのものは普通、青色で、アフリカのものでは青色はまれ。花柱は柄が10個(心皮ごとに2個)。柱頭は10個、頭状。果実は分離果(schizocarp)、普通、直立し、膨れず、角(かど)がなく、しばしば扁球形、乾き、[ときに]硬化し、細毛が有又は無。分果は5個、1室、装飾は無く[ときに翼がある]、刺をもち又は他の装飾があり、普通、裂開しない。種子は分果に1個、無毛又は有毛。 x = 14.。
 世界に約250種あり、USA、メキシコ、西インド諸島、中央アメリカ、南アメリカ、アジア南部、アフリカに分布する。160種以上が南アメリカにあり、アフリカにも多い。(Flora of North America)
【概要】
 1年草、2年草、多年草又は低木。葉はしばしば基部が心形になる。花は単生、たまに頂部の総状花序又は穂状花序につく。5~16個の苞の咢状総苞( epicalyx)をもつ。咢は5裂。花柱は枝が普通、10個、常に5個以上ある。果実は5分果、分果は裂開せず、1種子を含む。種子は腎形。(Flora of Zimbabwe)

ヤノネボンテンカ(パボニア属)の主な種と園芸品種

1 Pavonia columella Cav.
 アフリカ南部原産。英名はPink pavonia 。
 柔らかい低木状の「多年草。普通、2m以下。ほとんどの部分が柔らかい、粘性のある毛で被われ、刺激性は無い。葉は浅く3~7裂し、丸みがあり、つぶすと、不快な香りがある。花は淡ピンク色、腋生の小さな密散花序につく。.花期は通年。

2 Pavonia hastata Cav. ヤノネボンテンカ
 南アメリカ(ブラジル、ボリビア、アルゼンチン)原産。英名はlobed tickseed ,mouse ear coreopsis
 常緑低木、高さ50~200㎝。茎は直立する。葉は互生し、細く、長さ3~10㎝の鉾型、先がやや尖り、基部が張り出し、縁に波状の鋸歯がある。葉の両面に小さな星状毛がある。花は枝先に単生する。花柄は長さ4~7㎝。花はムクゲに似て直径4~6㎝と小型。花弁は5個、白色、中心部が赤色、裏に赤色の筋がある。雄しべ12個の花糸は合着して雄しべ筒になる。花柱は赤色、10分岐。萼は5裂、長さ約6㎜。萼より花弁が短い閉鎖花をつける。果実は直径約8㎜の5分果。分果は網状の脈があり、1種子が入る。2n=56。花期は7~11月。

3 Pavonia lasiopetala Scheele
 USA、メキシコ原産。英名はRose or Wright’s pavonia, Texas rock rose Rose or Wright’s pavonia, Texas rock rose
 低木、高さ0.5~1m。茎は密~まばらに星状毛がある。托葉は錐形、長さ2~5㎜。葉柄は長さが葉身の長さの1/2~1倍。葉身はわずかに変色し、長さ2~5㎝、幅よりわずかに長く、基部は心形、縁は粗い歯状、先は鋭形、表面には星状毛がある。花序は腋生、単生花。花柄は長さ2~5㎝普通、葉柄の長さにほぼ等しい。小総苞の小苞は5個、咢片に互生し、普通、腺状披針形、幅1~2㎜、咢の長さより短い~ほぼ等しく、粗毛がある。咢は長さ9~12㎜、粗毛がある。咢片は明瞭な3~5脈がある。花冠は輻状(車形)。花弁はラベンダー色~ピンク色、耳部は無く、長さ15~25㎜。雄しべ筒は普通、下に曲がり、やや両側の花になり、先に5個の歯をもち、無毛。花柱は突き出なず、普通、絨毛がある。分離果は青白く、直径8~9㎜、類無毛。分果は淡褐色、刺は無い。背に不明瞭な竜骨があり(carinate)、他は平滑、丸みがあり、長さ3.5~4㎜。種子はへそ(hilum)の上に房状になる。花期は夏~秋。

4 Pavonia makoyana E. Morren  ハボニア・マコヤナ
 中央アメリカ~南アメリカ原産。
 低木。高さ0.8~2.4m。葉は単葉、楕円状披針形、長さ8~15㎝。花は暗褐色~紫色、直径5~6㎝。

5 Pavonia multiflora A. St.-Hil. ハボニア・ムルチフローラ[AGM]
 ブラジル原産。英名はBrazilian Candles , many flowers
 常緑低木。高さ1.5~2.5m。葉は互生、槍形~披針形、長さ約15㎝、暗緑色、光沢があり、著しい鋸歯がある。花は上向きに多数つき、直径約6㎝、円錐形、苞(咢状総苞)は線状披針形、2輪に18~20個つき、赤色~暗ピンク色、花を取り囲み、完全には開かない。暗青色の雄しべ筒が突き出る。花期は普通、晩春~初秋だが、暖かい場所では冬まで咲く。温帯地域では温室が必要。米国では普通に栽培されているが、種子ができず、野生化していないとされている。
品種) 'Brazilian Red Rocket'

6 Pavonia paludicola Nicolson ex Fryxell
 中央アメリカ、南アメリカ北部、西インド諸島原産。英名はMangrove mallow , swampbush。
 低木、高さ1~4m。茎は細かい星状毛がある。托葉は早落性、不明瞭。葉柄は葉身の長さの1/2以下。葉身は同色、広卵形、長さ6~18㎝、基部は類心形、縁は不明瞭な歯状~類全縁、先は尖鋭形、まばらに星状毛がある。花序は頂生、総状花序。花柄は長さ1~4㎝。小総苞の小苞は約8個、披針形、長さ8.8~10㎜×幅 2.5~4 ㎜、類無毛。咢は長さ8~11㎜、細かい星状毛があり、咢片は脈が不明瞭。花冠は筒形、花弁は淡黄色又は黄緑色、耳部は無く、長さ12~18㎜。雄しべ筒は先に5歯がある。柱頭は突き出ない。分離果は淡緑色、熟すと褐色になり、直径10~13㎜、木質、無毛。分果は基部が狭く、長さ7~9㎜、平滑、普通、先が3か所、尖る。種子はへそに房状にならない。花期は通年。

7 Pavonia spinifex (Linnaeus) Cavanilles
 USA、南アメリカ原産。英名は gingerbush。
 低木、高さ1~2m。茎は細毛~無毛になる。毛は細かく、反曲し、しばしば縦列にうまく並ぶ。托葉は錐形~糸状、長さ5~10㎜。葉柄は葉身の長さの1/3以下。葉身は同色、卵形、長さ4~12㎝、基部は切形~類心形、」縁は不規則に、歯状、先は鋭形、表面はまばらに毛があるか無毛になる。花序は腋生、単生花。花柄は長さ1~3㎝、ときに葉柄の長さよりやや長い。小総苞の小苞は5~7個、咢片に互生ではなく、舌形又はわずかにへら形、長さ10~12㎜×幅1㎜、咢の長さにほぼ等しく、縁毛がある。咢は長さ8~11㎜、縁毛があり、毛は長さ1~2㎜。花弁は黄色、耳部があり、長さ20~25㎜。雄しべ筒は先に5歯がある。柱頭は突き出る。分離果は青白く、直径8~10㎜、しわがある。分果は刺が3本あり、刺は長さ6~7㎜、後ろ向きに髭があり、中央の刺は直立し、側部の刺は発散する。種子はへそに房状にならない。花期はおそらく通年。

8 Pavonia urens Cav.
 熱帯アフリカに広く分布。英名はStinging pavonia。
 大きな低木状の多年草。高さ3m以下。全体が柔らかい、刺状の毛で覆われ、触るとかゆみを引き起こす。葉は大きく、様々に3~5裂する。花は淡ピンク色~濃モーブ赤色、上部の葉腋の小さな密散花序につく。花期は2~5月。
9 Pavonia × gledhillii Cheek
  synonym Pavonia intermedia Hort.(non St.Hil.)
  synonym Pavonia intermedia var. kermesina
 1989年にイギリスのDr. David Gledhillによって作られたPavonia makoyanaとPavonia multifloraの交雑種。パボニア・インテルメディア Pavonia intermedia と呼ばれ、日本で栽培されているのは、ほとんどこの系統のものと思われる。学名はPavonia × gledhillii Cheek とされている。RHSによりPavonia intermedia 'Kermesina'としてFirst Class Certificateを受賞し、この少し後にPavonia makoyanaとPavonia multifloraがヨーロッパに初めて導入されたとされている。英語の通称名はBrazilian Candles ともいわれ、Pavonia multifloraと混同されることも多い。両親の間の特性を持つが、普通、小総苞の小苞は等幅で、9~10個つき、葉縁がほぼ全縁、ただし、変化し、多くなることもある。高さは普通、2m程度。
品種) 'Kermesina'小型, 'Rosea'濃ピンク色

参考

1) Pavonia makoyana - Pavonie de Makoy - Jardin ! l'Encyclopedie
 Pavonia makoyana  
https://translate.google.co.jp/translate?hl=ja&sl=fr&tl=en&u=http%3A%2F%2Fnature.jardin.free.fr%2F1108%2Fpavonia_makoyana.html
2)Jstor
 A new name of a South American Pavonia 145-149  
https://www.jstor.org/stable/4114654?seq=1#page_scan_tab_contents
3) Flora of North America
 Pavonia Cavanilles  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=124190