オオムギクサ 大麦草

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Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae オオムギ属

英 名 hare barley, mouse barley, barley grass
学 名 Hordeum murinum L. subsp. leporinum (Link) Arcang.
Hordeum leporinum Link
Hordeum murinum L.  広義
オオムギクサの若い花穂
オオムギクサの花穂
オオムギクサの雄性小花の護頴と内頴
オオムギクサ果実
オオムギクサの葉耳
オオムギクサ葉舌
オオムギクサ
オオムギクサ1組の3小穂
オオムギクサ花軸の1節
オオムギクサ両性小穂
オオムギクサ雄性小穂
オオムギクサ内頴
オオムギクサ葉
花 期 5~7月
高 さ 10~60㎝
生活型 1年草
生育場所 道端、耕地
分 布 帰化種  中国、西~中央アジア、ヨーロッパ、北アフリカ原産
撮 影 西尾市(吉良町)  12.5.5
柿畑の下にナギナタガヤに混じって生えていた。ナギナタガヤの種に混じっていたものと思われる。写真のものは両性小花の内頴の長さ8.9㎜、雄性小花の内頴の長さ12.3㎜、両性小花は雄性小花の0.7倍。雄性小花の内頴の下部に長毛がある。両性小穂の柄も長さ1㎜であり、オオムギクサと判断した。小穂の大きさなどを確認するまで、オオムギクサだとは全く考えなかった。今までムギクサとしていたものの中にオオムギクサがあると思われるので、側小穂が中央小穂より大きい場合は内頴の大きさなどを見て確認する必要がある。

 Hordeum murinumは次のとおりであり、主に3種の亜種に分けられる。ただし、subsp. leporinum とsubsp. glaucum は分類が困難とする見解もある。
 茎は平滑、無毛。葉は長さ28㎝以下、幅2~5㎜、両面に軟毛がある。葉耳は薄膜質の三角状。葉舌は長さ1~1.5㎜。葉鞘は無毛。穂状花序は長さ3~12㎝、幅7~16㎜、上から見るとほぼ四角形に見える。花軸は毛があり、節ごとに切れやすく、小穂が節ごとに3個ずつつく。小穂はすべて1小花からなる。中央小穂は両性、2個の側生小穂は雄性。中央小穂の柄は側生小穂の柄より短い。中央小穂の苞頴は長さ11~25㎜、2個が同形で、幅がやや広く縁毛があり、横に並んでつく。中央小穂の護頴は長さ8~14㎜、3脈があり、芒は20~40㎜、内頴にも芒がある。両性花の葯は長さ0.7~1.4㎜。 側生小穂の苞頴は長さ11~35㎜、先が長い芒になり、第2苞頴(両性花の苞頴側につく)にだけ縁毛がある。側生小穂の護頴は長さ8~15㎜、芒は長さ20~50㎜、内頴にも芒がある。果実(頴果)は長さ約5㎜、先に毛がある。2n=14,28,42
 subsp. leporinum オオムギクサ(fare barley, mouse barley ) はパキスタン、中央~西アジア、ヨーロッパ、北アフリカに分布し、南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本などに帰化している。中央小穂は側生小穂より明らかに小さく、両性小花の内頴は雄性小花の内頴の長さの0.7~0.9倍。中央小穂の柄は長さ(0.7) 0.9~1.8㎜。両性花の葯は長さ0.7~1.4㎜。側生小穂の軸の延長は細く、緑色。雄性小花の内頴は下半部に長毛がある。2n=28,48
 subsp. murinum ムギクサ(false barley, farmer's-foxtail, wall barley, way barley)はヨーロッパ、キプロスに分布し、南北アメリカ、オーストラリア、ニュージーランド、日本などに帰化している。中央小穂は側生小穂よりほぼ等しい又はやや大きく、両性小花の内頴の長さは雄性小花の内頴の長さの1~1.4倍。中央小穂はほぼ無梗(長さ0~0.5㎜)。両性花の葯は長さ0.7~1.4㎜。側生小穂の軸の延長は細く、緑色。雄性小花の内頴はざらつくか無毛。2n=28
 subsp. glaucum (smooth barley) は西~中央アジア、ヨーロッパ、北アフリカに分布し、オーストラリアや北アメリカに帰化している。 中央小穂の内頴は側小穂の0.7~0.8倍、両性花の葯は長さ0.2~0.5㎜。中央小穂の柄は長さ1~2㎜。側生小穂の軸の延長は硬く、橙褐色。雄性小花の内頴は下半部に長毛がある。2n=14