ヌルデ 白膠木
Flora of Mikawa
ウルシ科 Anacardiaceae ヌルデ属
別 名 | 別名フシノキ、カチノキ |
中国名 | 盐麸木 yan fu mu |
英 名 | Chinese sumac, Chinese gall, nutgall |
学 名 | Rhus chinensis Miller synonym Rhus japonica Buch.-Ham. ex D.Don synonym Rhus javanica var. chinensis (Mill.) T.Yamaz. |
花 期 | 8~9月 |
高 さ | 2~10m |
生活型 | 落葉低木~小高木 |
生育場所 | 低地、丘陵、山地の森林、小川沿いの森林、雑木林 |
分 布 | 在来種 日本(北海道、本州、四国、九州)、韓国、中国、台湾、インド、ブータン、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア原産 |
撮 影 | 設楽町 07.9.8 |
ヌルデはウルシ科ヌルデ属の落葉小高木ときに低木。高さ2~10m。幹は灰褐色で、赤褐色の皮目がある。小枝は鉄さび色の毛があり、皮目がある。葉は無柄、葉身は長さ30~60㎝の奇数羽状複葉、葉軸は幅広い翼が有~無、鉄さび色の毛がある。小葉は(5~)7~13個。小葉の葉身は卵形~長円形、先に向かってサイズが大きくなり、長さ(5~)6~12㎝×幅3~7㎝、上面は暗緑色、まばらに毛があるかまたは無毛になり、下面は薄緑色、粉白色、鉄さび色の毛があり、基部は円形~頂小葉では楔形、縁は歯があり、しばしば円鋸歯があり、先は鋭形、側脈と網状脈が上面で凹み、下面で明瞭。花序は多数分枝し、鉄さび色の密な毛がある。雌雄別株。花序は頂生の総状花序、花が多数つく。雄花序は長さ30~40㎝、雌花序は短い。小花柄は長さ約1㎜、微細な毛がある。花は白色。雄花: 萼は微細な毛があり、萼片は長い卵形、長さ約1㎜、縁に縁毛がある。花弁は倒卵形~長円形、長さ約2㎜、反り返る。雄しべの花糸は長さ約2㎜、葯は卵形、長さ約0.7㎜。花盤は環形。子房は小さいか無い。雌花:萼片は長さ約0.6㎜。花弁は楕円状卵形、長さ約1.6㎜。仮雄しべは大幅に小さくなる。花盤は環形。子房は卵形、長さ約1㎜、密に白色の毛がある。花柱は3本。柱頭は頭状、3分岐。核果は扁球形、わずかに扁平、直径4~5㎜、直軟毛と腺毛が混じり、白色の物質(リンゴ酸カルシウム)を分泌して被われ、秋に熟すとこれが取れて黄赤色~赤色になる。2n=30。花期は8~9月。果期は10月。
葉にヌルデシロアブラムシがつくる虫えいは、五倍子(ごばいし; wu bei zi )と呼ばれ、タンニンを多く含み、昔はお歯黒に使ったという。
落葉低木又は高木、雌雄混株又は雌雄異株。葉は奇数羽状複葉。葉軸はときに翼がある。小葉は小葉柄が有m他派無、縁は鋸歯縁又は全縁。花序は頂生の円錐花序又は密錐花序状(thyrsoid)、花を抱く苞は宿存又は脱落性。花は機能的に単性又は両性、5数性。子房は1室、1胚珠。花柱は3本、しばしば基部で統合する。核果は球形、わずかに扁平、腺毛と直軟毛が混じり、熟すと赤色になり、外果皮と中果皮は統合する。中果皮は粘り、赤色。
世界に約250種があり、世界の亜熱帯と温帯地域に分布する。
北アメリカ(USA、メキシコ)原産。英名はfragrant sumac。
落葉低木、高さ0.6~1.2(~1.8)m。葉は3出複葉、緑色、秋に橙色、赤色、紫色に変わる。葉や小枝を傷つけると芳香がある。小さいが、葉はpoison ivy (Rhus radicans)の葉に似ているが、無毒である。葉の展開前の早春に枝先に小さな黄色い花をつける。雌雄同株又は雌雄異株。雄の尾状花序は晩夏に出て、冬中、宿存する。雌花は晩夏に小さく束生し、赤色の果実をつけ、冬に宿存する。
品種) 'Gro-Low'
2 Rhus chinensis Miller ヌルデ 白膠木
synonym Rhus japonica Buch.-Ham. ex D.Don
synonym Rhus javanica var. chinensis (Mill.) T.Yamaz.
日本(北海道、本州、四国、九州)、韓国、中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西省、貴州省、海南省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、寧夏、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ブータン、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア原産。中国名は盐麸木 yan fu mu 。英名はChinese sumac, Chinese gall, nutgall , nutgalltree 。別名は別名フシノキ、カチノキ。標高100~2800mの低地、丘陵、山地の森林、小川沿いの森林、雑木林に生える。
落葉低木から小高木、高さ2~10m。幹は灰褐色で、赤褐色の皮目がある。小枝は鉄さび色の毛があり、皮目がある。葉は無柄、葉身は長さ30~60㎝の奇数羽状複葉、葉軸は幅広い翼が有~無、鉄さび色の毛がある。小葉は(5~)7~13個。小葉の葉身は卵形~長円形、先に向かってサイズが大きくなり、長さ(5~)6~12㎝×幅3~7㎝、上面は暗緑色、まばらに毛があるかまたは無毛になり、下面は薄緑色、粉白色、鉄さび色の毛があり、基部は円形~頂小葉では楔形、縁は歯があり、しばしば円鋸歯があり、先は鋭形、側脈と網状脈が上面で凹み、下面で明瞭。花序は多数分枝し、鉄さび色の密な毛がある。雌雄別株。花序は頂生の総状花序、花が多数つく。雄花序は長さ30~40㎝、雌花序は短い。小花柄は長さ約1㎜、微細な毛がある。花は白色。雄花: 萼は微細な毛があり、萼片は長い卵形、長さ約1㎜、縁に縁毛がある。花弁は倒卵形~長円形、長さ約2㎜、反り返る。雄しべの花糸は長さ約2㎜、葯は卵形、長さ約0.7㎜。花盤は環形。子房は小さいか無い。雌花:萼片は長さ約0.6㎜。花弁は楕円状卵形、長さ約1.6㎜。仮雄しべは大幅に小さくなる。花盤は環形。子房は卵形、長さ約1㎜、密に白色の毛がある。花柱は3本。柱頭は頭状、3分岐。核果は扁球形、わずかに扁平、直径4~5㎜、直軟毛と腺毛が混じり、白色の物質(リンゴ酸カルシウム)を分泌して被われ、秋に熟すとこれが取れて黄赤色~赤色になる。2n=30。花期は8~9月。果期は10月。
日本、韓国、中国、台湾、インド、ブータン、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア原産。中国名は 盐麸木 yan fu mu。
葉軸に翼があり、花期は6~8月。果期は9~11月。
synonym Rhus roxburghii Decaisne ex Steudel.
synonym Rhus javanica L. var. toyohashiensis Hayashi
中国、台湾原産。中国名は滨盐麸木 bin yan fu mu。別名, タイワンヌルデ、ハネナシヌルデ。
葉軸に翼が無く、花期は8~9月。果期は10~12月。
3 Rhus copallinum L. ルス・コパリヌム
synonym Rhus copallinum var. latifolia Engl.
USA、キューバ原産。英名はwinged sumac , shining sumac , dwarf sumac , flameleaf sumac。開けた乾燥した場所に生える。
低木または小高木、高さ6mまで。若い小枝、葉柄、および葉軸には毛が密生する。小葉は7~21個、上面は光沢があり、堅く、長円形~披針形、長さ3~8㎝、不等辺、全縁または上部の縁に少数の歯がある。葉軸は翼があり、翼は幅1~5㎜、各対の小葉の基部で途切れる。花序は長さ15㎝まで。果実は長さ4~5㎜、やや扁平で、赤色、直軟毛があり、単純毛と小さな卵形の毛が取り囲む。花期は6~7月。
品種) Prairie Flame = 'Morton'
4 Rhus glabra L. ルス・グラブラ
synonym Rhus borealis (Britton) Greene
USA、メキシコ原産。英名はsmooth sumac , white sumac , upland sumac , scarlet sumac。高台、古い畑、道端、林縁などに多数、生える。
通常は枝分かれの少ない低木だが、ときに6mに達し、大きく群生する。葉柄と若枝は無毛、やや白っぽい。小葉は11~31個、披針形~狭長円形、長さ5~10㎝、先は尖鋭形、通常は鋸歯があり、下面ははるかに淡色。花序は頂生、しばしば長さ20㎝になる。果実は長さ4~5㎜、やや扁平、明るい赤色、長さ約0.2㎜(0.5㎜以下)のいぼ状から棍棒状の太い赤色の毛が密にある。花期は6~7月。葉が2回羽状複葉のものもある。Rhus typhina L.とのハイブリッドは R. borealis (Britton) Greene と呼ばれる。R. borealisは現在ではRhus glabraの異名とされている。
【Rhus × borealisの解説】
小高木または大きな低木。樹形は丸形~頂部が平ら、根の芽からコロニーを形成する。樹皮は褐色~灰色、平滑。小枝は上部、様々に(通常はまばらに)柔らかい毛があり、切ると乳白色の帯黄色の樹液がにじみ出る。馬蹄形からC字形の葉痕が芽をほぼ取り囲み、维管束痕が3個ある。葉柄は丈夫で、長さ3~10㎝、様々な毛があり、その拡大した基部で芽を包む。葉は互生し、羽状複葉、長さ20~60㎝、小葉が9~31個つく、小葉は小葉柄が非常に短く(頂小葉の小葉柄が最長)、長さ5~12㎝(頂小葉が最長)×幅1.5~3.5㎝、披針形~長円形、長く尖った先端を持ち、鋸歯がある(場合によっては数個)。花は雌雄異株(dioecious)、ときに単性花と両性花がつく雌雄混株(polygamous)。花は黄緑色で小さく、分枝した円錐花序につき、花序は頂生し、長さ30㎝まで。果実は核果、多肉質で、密な直立した房状になり、鮮やかな赤色、直径3~5㎜、冬まで宿存する。各果実は長さ0.5~2㎜の赤色で、部分的に針状の毛と部分的に棍棒形の毛に覆われる。
品種) 'Laciniata' , 'Laciniata' ambig. , 'Laciniata' Carriere
5 Rhus hypoleuca Champ. ex Benth. ウラジロハゼ 裏白櫨
中国(福建省、広東省、湖南省)、台湾原産。中国名は白背麸杨 bai bei fu yang。標高800~1500mの丘陵林に生える。
低木または小高木。小枝はわずかに灰色がかった毛があるか無毛で、まばらに皮目があある。葉柄と葉軸には帯灰色の綿毛があり、翼はない。葉身は奇数羽状複葉、長さ20~30㎝。小葉は無柄、9~17個、対生し、小葉の葉身は卵状披針形または披針形、長さ5~9.5㎝×幅2~3.5㎝、上面は中肋に灰色の綿毛があり、下面は密に白色の綿毛があり、基部は斜め、縁は全縁~まばらに鋸歯があり、わずかに外巻きし、先は尖鋭形、側脈は約11対、中脈と側脈は上面でわずかに凹み、下面に突出する。花序は長さ20cmまで、灰黄色の綿毛がある。小花柄は長さ1~2㎜、灰黄色の綿毛がある。花は白色。萼片は長さ約0.5㎜、わずかに毛があり、縁には縁毛がある。花弁は倒卵状長円形、長さ約2㎜、縁には縁毛があり、下面に中肋に沿って白色の毛がある。雄花は花糸が葯と同じ長さ。花盤は環状。雌花は球形の子房を持ち、白毛が密生する。核果は直径約4㎜、直軟毛と赤色の腺毛が混じる。花期は8月。果期は9月~10月。
6 Rhus trilobata Nutt. ルス・トリロバータ
北アメリカ(USA、カナダ)、メキシコ原産。英名はskunkbush sumac , sourberry , skunkbush , Squawbush , three-leaf sumac。別名は名はスカンクブッシュウルシ。砂漠や低山の斜面、峡谷、岩の多い丘の中腹、峡谷や川岸の藪や斜面などに生える。
落葉低木、高さ2.4mまたはそれ以上になり、不快な臭いがある。茎は直立し、多数分枝して、アーチ状~斜上し密にやぶ状になる。葉は互生し、3小葉、頂小葉はしばしば数個の裂片があり、毛が無く、成熟した葉には粗い歯がある。葉はつぶしたり、傷つけるとスカンクのような悪臭がある。秋にはオレンジ色や帯赤色に紅葉する。葉が展開する前に花序は開花する。短い枝先の密な花序に花を多数つける。花は小さく、黄色または白黄色と明るい赤色。果実は液果状の核果、毛があり、粘着性があり、ほぼ球形、明るい赤または赤橙色、ライムに似た香りがあり、食べられる。花期は3~5月。
品種) 'Autumn Amber'
7 Rhus typhina L. ルス・ティフィラ
synonym Rhus hirta (L.) Sudw.
北アメリカ原産。英名はstaghorn sumac。乾燥した開けた場所に生える。
高さ10m までの小高木または大きな低木。 樹形は丸く~頂部が平ら、根の芽から疎~密なコロニーを形成する。樹皮は暗褐色~灰色、平滑で、ときに小さな正方形の鱗に分かれる。茎は太く、長さ3~10㎝で、密に毛があり、その拡大した基部で芽を包む。小枝は丈夫、褐色で丸く、密なベルベット状の長さ1~2㎜の毛で覆われ、切ると乳白色の黄色がかった樹液がにじみ出る。馬蹄形からC形の葉痕が芽をほぼ取り囲み、3個の维管束痕がある。芽は小さく、長さ約6㎜、円錐形で、ビロード状の淡褐色の毛がある。頂芽は無い。葉は互生し、羽状複葉、長さ20~60㎝、小葉が9~29(しばしば19)個つく。小葉はほぼ無柄で頂小葉の小葉柄が最長、対生または下部の小葉がわずかに互生し、長さ5~12㎝(中小葉が最長)、幅1.5~3.5㎝、披針形~長円形、基部は円形~わずかに心形、先は尖り、鋭い歯があり(ときに少数)、下面の中脈に短い毛がある。新葉は赤い毛で覆われ、明るい黄緑色になり、その後、上面は暗緑色、下面は淡色~ほぼ白色になり、秋の紅葉は黄色、赤色、紫色、橙色。花は雌雄異株(dioecious)、ときに単性花と両性花がつく雌雄混株(polygamous)。花序は大きく、長さ20~30㎝、頂生し、分枝して円錐花序になり、柄に毛があり、花は小さな黄緑色。雌の円錐花序は雄の円錐花序より小型。果実は核果、多肉質、密な直立した房状になり、直径3~5㎜で赤色、多数の赤い針状の毛(長さ2mm 以上)で覆われ、冬のほとんどの間宿存する。花期は6~7月。
品種) 'Bailtiger' (PBR) , 'Dissecta= 'Laciniata'(cutleaf staghorn sumac) , Radiance = 'Sinrus' , 'Sinrus' , Tiger Eyes = 'Bailtiger' (PBR)
8 Rhus × pulvinata Greene ルス・プルビナタ
synonym Rhus gymnoclada Greene
synonym Rhus hybrida Rehder
北アメリカ(マサチューセッツ州)原産。英名はNorthern Smooth Sumac。
Rhus × pulvinata はルス・ティフィラ(Rhus typhina) とルス・グラブラ(Rhus glabra)の自然交雑種。その特徴は両親の中間であり、実がなければ識別するのは非常に困難である。ルス・ティフィラは小枝に非常に毛が多く、果実には長2mm以上の赤い針状の毛だけがある。ラス・グラブラの小枝は無毛であり、果実にはいぼ状から棍棒状の毛(長さ0.5mm未満)がある。ルス・コパリヌム(Rhus copalina)も似ているが、葉軸に翼がある。
落葉低木、通常高さ3m程度、 ルス・ティフィラとルス・グラブラの中間型。果皮の毛は R. typhinaと似るが、茎の毛は最初は密に毛があるが、1年目以降は無毛になる。R. glabra var. borealis の果皮は肉眼では同じ様に見えるが、レンズ下では葉巻状の毛のように見え、すぐに無毛になる。花期は7~8月。果期は9~11月。
品種) (Autumn Lace Group) 'Red Autumn Lace' , 'Red Lace'
Rhus
Rhus
Rhus
Rhus
Rhus trilobata var. trilobata, Skunkbush Sumac
Rhus typhina L.
Rhus × borealis
Rhus glabra L.
葉にヌルデシロアブラムシがつくる虫えいは、五倍子(ごばいし; wu bei zi )と呼ばれ、タンニンを多く含み、昔はお歯黒に使ったという。
ヌルデ属
family Cucurbitaceae - genus Rhus落葉低木又は高木、雌雄混株又は雌雄異株。葉は奇数羽状複葉。葉軸はときに翼がある。小葉は小葉柄が有m他派無、縁は鋸歯縁又は全縁。花序は頂生の円錐花序又は密錐花序状(thyrsoid)、花を抱く苞は宿存又は脱落性。花は機能的に単性又は両性、5数性。子房は1室、1胚珠。花柱は3本、しばしば基部で統合する。核果は球形、わずかに扁平、腺毛と直軟毛が混じり、熟すと赤色になり、外果皮と中果皮は統合する。中果皮は粘り、赤色。
世界に約250種があり、世界の亜熱帯と温帯地域に分布する。
ヌルデ属の主な種と園芸品種
1 Rhus aromatica Aiton ルス・アロマチカ北アメリカ(USA、メキシコ)原産。英名はfragrant sumac。
落葉低木、高さ0.6~1.2(~1.8)m。葉は3出複葉、緑色、秋に橙色、赤色、紫色に変わる。葉や小枝を傷つけると芳香がある。小さいが、葉はpoison ivy (Rhus radicans)の葉に似ているが、無毒である。葉の展開前の早春に枝先に小さな黄色い花をつける。雌雄同株又は雌雄異株。雄の尾状花序は晩夏に出て、冬中、宿存する。雌花は晩夏に小さく束生し、赤色の果実をつけ、冬に宿存する。
品種) 'Gro-Low'
2 Rhus chinensis Miller ヌルデ 白膠木
synonym Rhus japonica Buch.-Ham. ex D.Don
synonym Rhus javanica var. chinensis (Mill.) T.Yamaz.
日本(北海道、本州、四国、九州)、韓国、中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西省、貴州省、海南省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、寧夏、青海省、陝西省、山東省、山西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、インド、ブータン、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア原産。中国名は盐麸木 yan fu mu 。英名はChinese sumac, Chinese gall, nutgall , nutgalltree 。別名は別名フシノキ、カチノキ。標高100~2800mの低地、丘陵、山地の森林、小川沿いの森林、雑木林に生える。
落葉低木から小高木、高さ2~10m。幹は灰褐色で、赤褐色の皮目がある。小枝は鉄さび色の毛があり、皮目がある。葉は無柄、葉身は長さ30~60㎝の奇数羽状複葉、葉軸は幅広い翼が有~無、鉄さび色の毛がある。小葉は(5~)7~13個。小葉の葉身は卵形~長円形、先に向かってサイズが大きくなり、長さ(5~)6~12㎝×幅3~7㎝、上面は暗緑色、まばらに毛があるかまたは無毛になり、下面は薄緑色、粉白色、鉄さび色の毛があり、基部は円形~頂小葉では楔形、縁は歯があり、しばしば円鋸歯があり、先は鋭形、側脈と網状脈が上面で凹み、下面で明瞭。花序は多数分枝し、鉄さび色の密な毛がある。雌雄別株。花序は頂生の総状花序、花が多数つく。雄花序は長さ30~40㎝、雌花序は短い。小花柄は長さ約1㎜、微細な毛がある。花は白色。雄花: 萼は微細な毛があり、萼片は長い卵形、長さ約1㎜、縁に縁毛がある。花弁は倒卵形~長円形、長さ約2㎜、反り返る。雄しべの花糸は長さ約2㎜、葯は卵形、長さ約0.7㎜。花盤は環形。子房は小さいか無い。雌花:萼片は長さ約0.6㎜。花弁は楕円状卵形、長さ約1.6㎜。仮雄しべは大幅に小さくなる。花盤は環形。子房は卵形、長さ約1㎜、密に白色の毛がある。花柱は3本。柱頭は頭状、3分岐。核果は扁球形、わずかに扁平、直径4~5㎜、直軟毛と腺毛が混じり、白色の物質(リンゴ酸カルシウム)を分泌して被われ、秋に熟すとこれが取れて黄赤色~赤色になる。2n=30。花期は8~9月。果期は10月。
2-1 Rhus chinensis var. chinensis ヌルデ 白膠木 狭義
synonym Rhus javanica L. var. chinensis (Mill.) T.Yamaz.日本、韓国、中国、台湾、インド、ブータン、カンボジア、ラオス、タイ、ベトナム、マレーシア、シンガポール、インドネシア原産。中国名は 盐麸木 yan fu mu。
葉軸に翼があり、花期は6~8月。果期は9~11月。
2-2 Rhus chinensis var. roxburghii (Candolle) Rehder タイワンフシノキ 台湾附子の木
synonym Rhus semialata var. roxburghii Candollesynonym Rhus roxburghii Decaisne ex Steudel.
synonym Rhus javanica L. var. toyohashiensis Hayashi
中国、台湾原産。中国名は滨盐麸木 bin yan fu mu。別名, タイワンヌルデ、ハネナシヌルデ。
葉軸に翼が無く、花期は8~9月。果期は10~12月。
3 Rhus copallinum L. ルス・コパリヌム
synonym Rhus copallinum var. latifolia Engl.
USA、キューバ原産。英名はwinged sumac , shining sumac , dwarf sumac , flameleaf sumac。開けた乾燥した場所に生える。
低木または小高木、高さ6mまで。若い小枝、葉柄、および葉軸には毛が密生する。小葉は7~21個、上面は光沢があり、堅く、長円形~披針形、長さ3~8㎝、不等辺、全縁または上部の縁に少数の歯がある。葉軸は翼があり、翼は幅1~5㎜、各対の小葉の基部で途切れる。花序は長さ15㎝まで。果実は長さ4~5㎜、やや扁平で、赤色、直軟毛があり、単純毛と小さな卵形の毛が取り囲む。花期は6~7月。
品種) Prairie Flame = 'Morton'
4 Rhus glabra L. ルス・グラブラ
synonym Rhus borealis (Britton) Greene
USA、メキシコ原産。英名はsmooth sumac , white sumac , upland sumac , scarlet sumac。高台、古い畑、道端、林縁などに多数、生える。
通常は枝分かれの少ない低木だが、ときに6mに達し、大きく群生する。葉柄と若枝は無毛、やや白っぽい。小葉は11~31個、披針形~狭長円形、長さ5~10㎝、先は尖鋭形、通常は鋸歯があり、下面ははるかに淡色。花序は頂生、しばしば長さ20㎝になる。果実は長さ4~5㎜、やや扁平、明るい赤色、長さ約0.2㎜(0.5㎜以下)のいぼ状から棍棒状の太い赤色の毛が密にある。花期は6~7月。葉が2回羽状複葉のものもある。Rhus typhina L.とのハイブリッドは R. borealis (Britton) Greene と呼ばれる。R. borealisは現在ではRhus glabraの異名とされている。
【Rhus × borealisの解説】
小高木または大きな低木。樹形は丸形~頂部が平ら、根の芽からコロニーを形成する。樹皮は褐色~灰色、平滑。小枝は上部、様々に(通常はまばらに)柔らかい毛があり、切ると乳白色の帯黄色の樹液がにじみ出る。馬蹄形からC字形の葉痕が芽をほぼ取り囲み、维管束痕が3個ある。葉柄は丈夫で、長さ3~10㎝、様々な毛があり、その拡大した基部で芽を包む。葉は互生し、羽状複葉、長さ20~60㎝、小葉が9~31個つく、小葉は小葉柄が非常に短く(頂小葉の小葉柄が最長)、長さ5~12㎝(頂小葉が最長)×幅1.5~3.5㎝、披針形~長円形、長く尖った先端を持ち、鋸歯がある(場合によっては数個)。花は雌雄異株(dioecious)、ときに単性花と両性花がつく雌雄混株(polygamous)。花は黄緑色で小さく、分枝した円錐花序につき、花序は頂生し、長さ30㎝まで。果実は核果、多肉質で、密な直立した房状になり、鮮やかな赤色、直径3~5㎜、冬まで宿存する。各果実は長さ0.5~2㎜の赤色で、部分的に針状の毛と部分的に棍棒形の毛に覆われる。
品種) 'Laciniata' , 'Laciniata' ambig. , 'Laciniata' Carriere
5 Rhus hypoleuca Champ. ex Benth. ウラジロハゼ 裏白櫨
中国(福建省、広東省、湖南省)、台湾原産。中国名は白背麸杨 bai bei fu yang。標高800~1500mの丘陵林に生える。
低木または小高木。小枝はわずかに灰色がかった毛があるか無毛で、まばらに皮目があある。葉柄と葉軸には帯灰色の綿毛があり、翼はない。葉身は奇数羽状複葉、長さ20~30㎝。小葉は無柄、9~17個、対生し、小葉の葉身は卵状披針形または披針形、長さ5~9.5㎝×幅2~3.5㎝、上面は中肋に灰色の綿毛があり、下面は密に白色の綿毛があり、基部は斜め、縁は全縁~まばらに鋸歯があり、わずかに外巻きし、先は尖鋭形、側脈は約11対、中脈と側脈は上面でわずかに凹み、下面に突出する。花序は長さ20cmまで、灰黄色の綿毛がある。小花柄は長さ1~2㎜、灰黄色の綿毛がある。花は白色。萼片は長さ約0.5㎜、わずかに毛があり、縁には縁毛がある。花弁は倒卵状長円形、長さ約2㎜、縁には縁毛があり、下面に中肋に沿って白色の毛がある。雄花は花糸が葯と同じ長さ。花盤は環状。雌花は球形の子房を持ち、白毛が密生する。核果は直径約4㎜、直軟毛と赤色の腺毛が混じる。花期は8月。果期は9月~10月。
6 Rhus trilobata Nutt. ルス・トリロバータ
北アメリカ(USA、カナダ)、メキシコ原産。英名はskunkbush sumac , sourberry , skunkbush , Squawbush , three-leaf sumac。別名は名はスカンクブッシュウルシ。砂漠や低山の斜面、峡谷、岩の多い丘の中腹、峡谷や川岸の藪や斜面などに生える。
落葉低木、高さ2.4mまたはそれ以上になり、不快な臭いがある。茎は直立し、多数分枝して、アーチ状~斜上し密にやぶ状になる。葉は互生し、3小葉、頂小葉はしばしば数個の裂片があり、毛が無く、成熟した葉には粗い歯がある。葉はつぶしたり、傷つけるとスカンクのような悪臭がある。秋にはオレンジ色や帯赤色に紅葉する。葉が展開する前に花序は開花する。短い枝先の密な花序に花を多数つける。花は小さく、黄色または白黄色と明るい赤色。果実は液果状の核果、毛があり、粘着性があり、ほぼ球形、明るい赤または赤橙色、ライムに似た香りがあり、食べられる。花期は3~5月。
品種) 'Autumn Amber'
7 Rhus typhina L. ルス・ティフィラ
synonym Rhus hirta (L.) Sudw.
北アメリカ原産。英名はstaghorn sumac。乾燥した開けた場所に生える。
高さ10m までの小高木または大きな低木。 樹形は丸く~頂部が平ら、根の芽から疎~密なコロニーを形成する。樹皮は暗褐色~灰色、平滑で、ときに小さな正方形の鱗に分かれる。茎は太く、長さ3~10㎝で、密に毛があり、その拡大した基部で芽を包む。小枝は丈夫、褐色で丸く、密なベルベット状の長さ1~2㎜の毛で覆われ、切ると乳白色の黄色がかった樹液がにじみ出る。馬蹄形からC形の葉痕が芽をほぼ取り囲み、3個の维管束痕がある。芽は小さく、長さ約6㎜、円錐形で、ビロード状の淡褐色の毛がある。頂芽は無い。葉は互生し、羽状複葉、長さ20~60㎝、小葉が9~29(しばしば19)個つく。小葉はほぼ無柄で頂小葉の小葉柄が最長、対生または下部の小葉がわずかに互生し、長さ5~12㎝(中小葉が最長)、幅1.5~3.5㎝、披針形~長円形、基部は円形~わずかに心形、先は尖り、鋭い歯があり(ときに少数)、下面の中脈に短い毛がある。新葉は赤い毛で覆われ、明るい黄緑色になり、その後、上面は暗緑色、下面は淡色~ほぼ白色になり、秋の紅葉は黄色、赤色、紫色、橙色。花は雌雄異株(dioecious)、ときに単性花と両性花がつく雌雄混株(polygamous)。花序は大きく、長さ20~30㎝、頂生し、分枝して円錐花序になり、柄に毛があり、花は小さな黄緑色。雌の円錐花序は雄の円錐花序より小型。果実は核果、多肉質、密な直立した房状になり、直径3~5㎜で赤色、多数の赤い針状の毛(長さ2mm 以上)で覆われ、冬のほとんどの間宿存する。花期は6~7月。
品種) 'Bailtiger' (PBR) , 'Dissecta= 'Laciniata'(cutleaf staghorn sumac) , Radiance = 'Sinrus' , 'Sinrus' , Tiger Eyes = 'Bailtiger' (PBR)
8 Rhus × pulvinata Greene ルス・プルビナタ
synonym Rhus gymnoclada Greene
synonym Rhus hybrida Rehder
北アメリカ(マサチューセッツ州)原産。英名はNorthern Smooth Sumac。
Rhus × pulvinata はルス・ティフィラ(Rhus typhina) とルス・グラブラ(Rhus glabra)の自然交雑種。その特徴は両親の中間であり、実がなければ識別するのは非常に困難である。ルス・ティフィラは小枝に非常に毛が多く、果実には長2mm以上の赤い針状の毛だけがある。ラス・グラブラの小枝は無毛であり、果実にはいぼ状から棍棒状の毛(長さ0.5mm未満)がある。ルス・コパリヌム(Rhus copalina)も似ているが、葉軸に翼がある。
落葉低木、通常高さ3m程度、 ルス・ティフィラとルス・グラブラの中間型。果皮の毛は R. typhinaと似るが、茎の毛は最初は密に毛があるが、1年目以降は無毛になる。R. glabra var. borealis の果皮は肉眼では同じ様に見えるが、レンズ下では葉巻状の毛のように見え、すぐに無毛になる。花期は7~8月。果期は9~11月。
品種) (Autumn Lace Group) 'Red Autumn Lace' , 'Red Lace'
参考
1) Flora of ChinaRhus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=128455
2) Plants of the World Online | Kew ScienceRhus
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30005665-2
3)GRINRhus
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=10433
4)Flora of North AmericaRhus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=119075
5)Southwest Desert FloraRhus trilobata var. trilobata, Skunkbush Sumac
https://southwestdesertflora.com/WebsiteFolders/All_Species/Anacardiaceae/Rhus%20trilobata%20var.%20trilobata,%20Skunkbush%20Sumac.html
6)GreaterGood FloraRhus typhina L.
https://madreandiscovery.org/flora/taxa/index.php?taxon=57421&clid=3948
7)SEINet Portal NetworkRhus × borealis
https://swbiodiversity.org/seinet/taxa/index.php?taxauthid=1&taxon=98140&clid=3508
8)SEINet Portal NetworkRhus glabra L.
https://swbiodiversity.org/seinet/taxa/index.php?taxon=3611&clid=2703