北アメリカ、南アメリカなどに帰化している。
　葉がクワの葉に似ている。茎、葉に白毛と腺毛が密生する。葉は互生し、長さ3～9㎝、幅2～5㎝の卵形、鋭尖頭で、基部は切形、縁に鈍い鋸歯があり、葉裏には腺点もある。雌雄同株。花は集散花序につき花序枝には腺毛が密生する。雌花と雄花が同一花序に混生する。雄花は花被が深く4裂し、雄しべ4個、葯は白色。花被片が開いて雄しべが飛び出すと花粉を出す。雌花も花被が4裂し、花被が閉じたまま花被片の隙間から花柱を外に伸ばす。痩果は直径約1㎜の丸みのある3稜形。果実の下部に白色多肉質部があり、熟すと、膨圧により果実を弾き飛ばす。2n=26

クワクサ属

　 family　Moraceae － genus Fatoua

　1年草又は多年草。雌雄同株。ラテックスは無い。托葉は離生、早落性。葉は互生、対生。葉身は縁に歯がある。花序は腋生、普通、両性、集散花序、総状花序、又は穂状花序、短い花序柄があり、苞がある。雄花は萼が鐘形、4裂し、敷石状。雄しべは蕾では内側に曲がる。雌花は無柄、萼は舟形、4～6裂し、敷石状。子房は分離。花柱は側生。柱頭は2枝があり、糸状。果実は分離、肉質ではない。痩果は小さく、斜めの球形、±扁平、大きくなった萼に包まれる。種子は膜質の外皮がある。胚乳は無い。子葉は幅が広い。胚は内側に曲がる。
　世界に3種があり、東南アジア、太平洋諸島、オーストラリア、マダガスカルに分布する。

クワクサ属の主な種と園芸品種

1 Fatoua madagascariensis Leandri
　マダガスカル原産。

2 Fatoua pilosa Gaudichaud-Beaupré　 セイバンクワクサ　西蕃桑草
　　synonym　Parietaria aspera Lesch. ex Gaudich. 　　synonym　Urtica manillensis Walp. ex Bureau 　台湾、インドネシア、ニューギニア、フィリピン、バヌアツ、東ティモール、ニューカレドニア、オーストラリア原産。中国名は细齿水蛇麻 xi chi shui she ma。
　多年草、高さ60㎝以下。茎は分枝する。小枝は密に毛がある。葉柄は長さ4～5㎜、毛は広がる。葉身は三角樹卵形、長さ2.5～7.5㎝×幅0.8～4㎝、紙質、下面に毛が広がり、上面にはまばらに伏毛があり、基部は切形～±心形、葉柄に沿下せず、先は尖鋭形～鋭形、基部の脈は2本、2次脈は中脈の各側に4～5本。花序は葉腋に1～2個、集散花序、幅約6㎜。花序柄は長さ約4㎜。花は緑色。雄花は花柄が短く、咢は鐘形、まばらに短毛で覆われ、咢片は三角状舟形。葯は球形。未発達の雌しべは円錐形。雌花は無柄、萼は毛があり、子房は球形で斜め、やや扁平、先端に3うねがある。花柱は長さ2～2.5mm、子房の長さの3～4倍。痩果は赤褐色、扁平、3角(かど)があり、長さ約1mm。花期は6～11月。

3 Fatoua villosa (Thunb.) Nakai　 クワクサ　桑草
　日本（本州、四国、九州、沖縄）、朝鮮、中国、台湾、インドネシア、マレーシア、フィリピン、ニューギニア、オーストラリア原産。中国名は水蛇麻 shui she ma。英名はmulberry weed, hairy crabweed。
　1年草、高さ30～80㎝。葉がクワの葉に似ている。茎、葉に白毛と腺毛が密生する。葉は互生し、長さ3～9㎝、幅2～5㎝の卵形、鋭尖頭で、基部は切形、縁に鈍い鋸歯があり、葉裏には腺点もある。雌雄同株。花は集散花序につき花序枝には腺毛が密生する。雌花と雄花が同一花序に混生する。雄花は花被が深く4裂し、雄しべ4個、葯は白色。花被片が開いて雄しべが飛び出すと花粉を出す。雌花も花被が4裂し、花被が閉じたまま花被片の隙間から花柱を外に伸ばす。痩果は直径約1㎜の丸みのある3稜形。果実の下部に白色多肉質部があり、熟すと、膨圧により果実を弾き飛ばす。2n=26。果期は9～10月。

参考

1) Flora of China
　Genus Fatoua 2) Flora of North America
　Fatoua 3) NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE
　Genus Fatoua 4) Kewscience
　Fatoua