クサスギカズラ 草杉蔓

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Flora of Mikawa

キジカクシ科 Asparagaceae クサスギカズラ属

別 名 テンモンドウ、ナンゴククサスギカズラ
中国名 天门冬 tian men dong
英 名 fragrant Solomon's seal , Solomon's seal
学 名 Asparagus cochinchinensis (Lour.) Merr.
クサスギカズラの花序
クサスギカズラの花
クサスギカズラの葉
クサスギカズラ
花 期 5月
高 さ 100~200㎝
生活型 多年草
生育場所 海岸の崖地
分 布 在来種  本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾、ラオス、ベトナム
撮 影 静岡県(伊豆半島) 04.5.29
クサスギカズラはキジカクシ科クサスギカズラ属の多年草。キジカクシ科は旧分類のユリ科から分割された。
 多年草、高さ100~200㎝。短い根茎があり、根が長さ3~5㎝、幅1~2㎝の紡錘状に多数肥大し、塊根となり、多いものは100個にもなる。海岸の崖地に生育し、栄養分や水分を根に貯蔵する。茎は初め立ち上がり、やがて他の植物に寄り掛かるか、垂れ下がり、長さ1~2m、基部は木質になる。枝は角張るか、狭い翼がある。葉は退化して鱗片状、節につく。葉のように見える葉状枝(cladode)は普通3個の束になり、類かま形、長さ0.5~8㎝、幅1~2㎜、扁平~3稜形。葉の距(leaf spur)はときに刺がある。主茎上の刺は長さ2.5~3.5㎜。枝上の刺は小さいか不明瞭。雌雄異株。花序は葉状枝の出た後に葉腋に発達する。花は淡黄白色、雌雄が対になり、ほぼ等しく、小花柄は長さ2~6㎜、中間に関節がある。雄花は花被が緑色を帯び、鐘形、長さ2.5~3㎜。花糸は離生。液果は緑色、直径6~7㎜、1~2個の種子が入り、秋に黄白色に熟す。2n=20。花期は5~6月。果期は9月。2n=20。
 類似種のキジカクシ(Asparagus schoberioides)、タマボウキ(Asparagus oligoclonos)やハマタマボウキ(Asparagus kiusianus)は果実が赤色に熟す。キジカクシ(Asparagus schoberioides)は葉状枝が3~4本束生し、線形、鎌形、小花柄は長さ1~2㎜、関節が花のすぐ下にある。タマボウキは直立して分枝し、枝も斜上し、葉状枝は5~12本束生し、類円柱形、花が長く、紫褐色を帯び下向きに垂れ下がり、小花柄は長さ(1~)1.5~2㎝、中間のやや上に関節がある。ハマタマボウキは海岸の砂浜に生え、葉状枝は湾曲せず真っすぐ、3~6本が束生し、小花柄は短く、中央部付近に関節がある。

クサスギカズラ(アスパラガス)属

  family Asparagaceae - genus Asparagus
 
 多年草又は亜低木、雌雄異株又は雌雄同株、普通、短い根茎がある。主茎は直立又はよじ登り、普通、分枝し、主茎や枝の腋に葉状枝(cladodes:葉状の茎、仮葉ともいう)をもつ。葉状枝は束生、まれに単生し、緑色、平ら、3角(かど)があり、又は類円柱形。葉は茎に伏せ、緑色では無く、鱗片状、基部に距があり、しばしば距が伸び、刺になる。花序は腋生、花が束生し、まれに花が単生、ときに、総状花序又は散房花序になる。花柄は関節があり、膜質の小苞が基部につく。花被は鐘形又はほぼ球形、花被片は離生または、たまに基部が合着する。雄しべは6本。花糸は普通、花被片につき、つく位置は変化する。葯は背着。子房は3室。胚珠は室に少数。果実は液果。種子は1個~少数。
 世界に160~300種があり、アフリカ、アジア、ヨーロッパの温帯~熱帯地域に分布する。

クサスギカズラ属の主な種と園芸品種

1 Asparagus acutifolius L. タヌキボウキ 狸箒
 ヨーロッパ、西アジア、北アフリカ原産。英名はwild asparagus。
 多年草、高さ200㎝以下、枝分かれし、木質。 茎と枝は多少、縦の条線にパピラがあり、白色または帯灰色。距は長さ2~5㎜、直立・開出し、刺がある。葉状枝(cladodes)は長さ2~8(~12)㎜x幅0.3~0.5㎜、ほぼ等長、各束に(5~)10~30(~50)本ずつ集まって、開出し、目立つ刺があり、宿存性。節に(1~)2~4個の花がつく。小花柄は長さ3~7(~8)㎜、基部は苞に囲まれ、上半分に関節がある。花被片は長さ3~4㎜。果実は長さ4.5~7.5(~10)㎜、黒色、1~2個の種子を持つ。2n=40。花期は7~10月。

2 Asparagus asparagoides (L.) W.F.Wight クサナギカズラ 草薙蔓
 アフリカ南部~熱帯アフリカ原産。英名はbridal-creeper , bridal-veil-creeper , gnarboola , smilax , smilax asparagus , African Asparagus fern。森林、低木林、森林地帯、川岸沿い、低木林に広く生息する。南ヨーロッパの一部、カリフォルニア、ハワイ、オーストラリア、ニュージーランドに帰化してる。観賞用に栽培される。
 多年草、這い上りまたはよじ登り、多数分枝する。茎は捻じれた針金状で、刺がなく、長さ3mに達することもある。根は根茎があり、多数の塊茎を形成する。装飾的な光沢のある緑色の葉を持っている、これは本葉ではなく、葉状枝(phylloclades)、または「葉状の枝」である。これらの構造は葉に似た平らな茎で、長さ25~40㎜×幅8~20㎜である。花は小さく、長さ6~10㎜、緑白色、香りがよく、葉腋に1個だけ垂れ下がってつく。果実は液果、球形、直径5~10㎜、ときに粘りがあり、初夏に赤色に熟す。 通常、それぞれの果実には数個の種子が含まれ、種子は卵形または球形、光沢がある。開花は通常、冬または早春(7~9月)。
品種) 'Myrtifolius'

3 Asparagus brachyphyllus Turcz. ハマキジカクシ 浜雉隠
 朝鮮、中国(甘粛省、河北省、河南省、青海省、陝西省、山東省、山西省)、モンゴル、カザフスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン原産。中国名は攀援天门冬 pan yuan tian men dong。標高2400~3300mの森林、藪、草の茂った斜面に生える。
 多年草。雌雄異株。 根はかなり細い。茎は直立し、高さ20~170㎝、上部にわずかに条線状の隆起がある。枝には明瞭な条線状の隆起があり、特に若い枝では隆起は通常軟骨質で小歯状になる。葉状枝(cladodes)は4~12本、束生し、真っすぐで、長さ6~15㎜×幅約0.6㎜、ほぼ円柱形、わずかに扁平、不規則な溝があり、通常は軟骨質の小歯状である。葉の距(leaf spur)にはわずかに刺がある。刺は主茎では長さ1~5㎜、枝では非常に短い。花序は状枝の出た後に葉腋に発達する。花は雌雄の花が対になる。小花柄は通常長さ6~13㎜。雄花:花被片は紫色、長さ6~7㎜。 花糸はその長さの約1/2が花被片に付着する。雌花:花被片は長さ約3㎜。液果は赤色、直径7~10㎜、約4個の種子をもつ。花期は4~5月。果期は6月~8月。

4 Asparagus cochinchinensis (Lour.) Merr. クサスギカズラ 草杉蔓
  synonym Asparagus lucidus Lindl.

  synonym Asparagus cochinchinensis var. pygmaeus (Makino) Ohwi タチテンモンドウ

  synonym Asparagus lucidus Lindl. var. pygmaeus Makino
 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国(安徽省、福建省、甘粛省、広東省、広西省、貴州省、海南省、河北省、河南省、湖北省、湖南省、江蘇省、江西省、陝西省、山東省、山西省、四川省、西蔵、雲南省、浙江省)、台湾、ラオス、ベトナム原産。中国名は天门冬 tian men dong。英名はChinese asparagus。 海抜1700m付近までの森林の斜面、道端、荒れ地に生える。塊根は薬用に使用され、天門冬と呼ばれる。
 多年草、高さ100~200㎝。短い根茎があり、根が長さ3~5㎝、幅1~2㎝の紡錘状に多数肥大し、塊根となり、多いものは100個にもなる。海岸の崖地に生育し、栄養分や水分を根に貯蔵する。茎は初め立ち上がり、やがて他の植物に寄り掛かるか、垂れ下がり、長さ1~2m、基部は木質になる。枝は角張るか、狭い翼がある。葉は退化して鱗片状、節につく。葉のように見える葉状枝(cladode)は普通3個の束になり、類かま形、長さ0.5~8㎝、幅1~2㎜、扁平~3稜形。葉の距(leaf spur)はときに刺がある。主茎上の刺は長さ2.5~3.5㎜。枝上の刺は小さいか不明瞭。雌雄異株。花序は葉状枝の出た後に葉腋に発達する。花は淡黄白色、雌雄が対になり、ほぼ等しく、小花柄は長さ2~6㎜、中間に関節がある。雄花は花被が緑色を帯び、鐘形、長さ2.5~3㎜。花糸は離生。液果は緑色、直径6~7㎜、1~2個の種子が入り、秋に黄白色に熟す。2n=20。花期は5~6月。果期は9月。2n=20。

5 Asparagus cooperi Baker ウサギボウキ 兎箒
 アフリカ原産。英名はwild asparagus。標高810~1200mの森林内に生える。
 地表植物(chamaephytes)。根茎は典型的な円柱形の根をもつ。茎はつる性、高さ2~5m、円柱形、無毛または毛があり、緑色、下部が直立し、上部で広がり、絡み合う。刺は木質、広がり、尖り、長さ4㎜。 枝は広がり、しなやかで湾曲し、細く、多数再分岐し、開出する小枝がある。葉状枝は非常に細く、錐形、5~12本、しばしば12本以上が束生し、長さ(5~)10~20㎜。花は腋生、1~3個または多数つき、強い甘い香りがある。小花柄は長さ(4~)5~10㎜、中央より下部に関節がある。花被は鐘形、長さ2~2.5㎜。花被片は白色で中肋が緑色、倒披針状長円形で、水平に広がる。雄しべは花被片とほぼ同長。葯は黄色。子房は各室に4胚珠をもち、倒卵形、濃緑色。液果は球形、直径4~6㎜、赤色、種子が1個ある。

6 Asparagus dauricus Fisch. ex Link トウキジカクシ 唐雉隠
 朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、江蘇省、吉林省、遼寧省、内モンゴル、陝西省、山東省、山西省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は兴安天门冬 xing an tian men dong。海抜2200m付近までの砂地の荒地、乾燥した斜面に生える。
 多年草。雌雄異株。根が細い。茎は直立し、高さ30~70㎝、刺が無く、条線がある。枝には条線があり、若いものは軟骨質の小歯がある。葉状枝(cladodes)は1~6個が束生し、通常は鋭角に上向きに広がり、長さ1~4(~5)㎝×幅約0.6㎜、ほぼ円柱形、わずかに扁平、不規則な溝があり、かなり柔らかく、ときに軟骨質の小歯がある。葉の距(leaf spur)は短く、刺はない。花序は葉状枝の出た後に葉腋に発達する。雌雄の花が対になる。雄花:小花柄は長さ3~5㎜。花被は黄緑色、長さ約4㎜。花糸はその長さの約4/5が花被片に付着する。雌花:小花柄は長さ約2㎜。花被は長さ約1.5㎜。液果は直径6~7㎜、種子が2~4(~6)粒入る。花期は5~6月。果期は8~9月。

7 Asparagus declinatus L. ヤナギボウキ 柳箒
  synonym Asparagus crispus Lam. 
 アフリカ原産。英名はbridal-creeper , bridalveil , bridalveil-creeper。海岸の岩の露出部、砂または粘土、断崖下の草原に生える。オーストラリアに帰化。
 柔らかい落葉性の亜低木で、高さ1m以下、刺は無く、多数の枝で這い登る。根茎は這い、多数の太い紡錘形の長さ50㎜までの塊茎をつけ、通常は根茎を覆う。茎は1年生で、稜があり、緑色、細く、傾く。枝も同様。小枝は短く、重なり合う3本の葉状枝(cladodes)を持ち、ときにより緩くつく。葉状枝(cladodes)は3本束生し、線形で尖鋭形、長さ±5~15㎜、やや弓なりになる。花は葉腋に単生、下向きにつく。小花柄は長さ±5~11㎜、花被の下に関節がある。花被片は下部で融合し、広線形、上半分が反り返り、長さ±5㎜、白色~淡ピンク色。雄しべは橙赤色の葯と垂直な花糸の基部に2個の距持つ。子房は長円状卵形、宿存する花柱まで先細り、暗緑色、室に2~4個の胚珠を持つ。果実は液果、長円形、下部が漸尖し、尖頭形、長さ約12㎜、帯白色、半透明、3~9個の種子をもつ。花期は5~9月。

8 Asparagus densiflorus (Kunth) Jessop ホウキテンモンドウ 箒天門冬
  synonym Asparagus myriocladus Baker  タチボウキ
  synonym Asparagopsis densiflora Kunth
  synonym Asparagus sprengeri Regel.
 南アフリカ原産。中国名は非洲天门冬 fei zhou tian men dong。広く栽培され、ときに帰化している。園芸品種もいくつかあり、スギノハカズラがよく栽培されている。
 亜低木、雌雄同株。茎は±よじ登り、分枝し、長さ1mまで。枝には明瞭な条線のうねがある。葉状枝(cladodes)は1~5本束生し、線形、長さ1~3㎝×幅1.5~2.5㎜、平坦。葉の距には刺がある。刺はわずかに鈎状、長さ3~5㎜、主茎では鋭く、枝では非常に短く鋭くなく、木質。花序は葉状枝の出た後に発達し、葉腋に単生または対になり、それぞれ多数の花がついた総状花序または円錐花序は長さ2~2.5㎝。苞は線形、長さ2~5㎜。小花柄は長さ約2㎜、中央に関節がある。花被は白色。花被片は長楕円形、長さ約2㎜。 雄しべは花被片より短い。葯は小さい。液果は赤色、直径8~10㎜、種子が1~2個ある。花期は一年中。2n=40, 60。
品種)  'Graham's Cracker' , 'Mazeppa' , 'Morgan Bay' , 'Myers' , 'Myersii' , 'Myriocladus' , 'Sprengeri'スギノハカズラ , (Sprengeri Group) 'Variegatus' (v)

9 Asparagus falcatus L. ヤナギバテンモンドウ 柳葉天門冬
 アフリカ、スリランカ、イエメン原産。湿った場所に生え、通常は森林の縁や低木林に生える。オーストラリアで野生化。
 つる性低木、長さ4(~7)mまで。根茎は木質で幅が広い。根茎は主根が若いうちに膨らみ、紡錘形になり、年齢とともに長く直径約15㎜の円筒形になり硬くなる。茎は平滑、通常は淡色、刺は短く、反り返り、主茎は長さ5~7(~10)㎜。枝は円柱形~角(かど)があり、無毛、平滑、刺は反り返り、基部で広がる。葉状枝は3~6本が束生し、扁平、平滑、真っすぐまたはかま形、長さ(25~)35~125㎜×幅2~5㎜、明瞭な中脈を有する。葉状枝の基部の刺は長さ1~2㎜。総状花序は単純、葉腋に単生または2個が束生し、長さ(1.5~)3~6㎝、無毛、主茎と枝に存在するが、しばしば複合して大量に存在する。花は単生。苞は卵形で尖鋭形、膜質、長さ0.5~2㎜。小花柄は長さ(1.5~)4~7㎜、中央の上部または下部に関節があり、関節がフリルの円盤を形成する。花被片は白色~クリームイエロー色、広楕円形または倒卵形、長さ2.5~3.5㎜。雄しべは花被より短い。花糸は扁平。葯は黄色。子房は3室で、各室に6個の胚珠があり、暗色、倒卵形、基部で漸尖する。花柱は短く、柱頭を含めて長さ約0.5㎜。 液果は球形、またはやや扁平で、2~3本の溝があり、赤色または白色で紫色を帯び、直径7~10㎜、種子が1~3個ある。種子は直径約6㎜。花期は8~4月。

10 Asparagus kiusianus Makino ハマタマボウキ 浜玉箒
 日本固有種。本州(山口県)、九州北部に分布。砂浜海岸に生える。アスパラガスと交雑でき、アスパラガスの主要病害のひとつである茎枯病に抵抗性をもつことから、有用な遺伝資源として注目され、茎枯病抵抗性のアスパラガス新品種の「あすたまJ」が作出された。
 多年草、高さ50~80cm。雌雄異株茎は分枝し、長く這い、枝には明瞭な稜がある。葉状枝は湾曲せず、3~6本が束生する。葉は小さな膜質の鱗片状で葉状枝の基部につく。花は葉腋に単生または2~3個束生する。小花柄は短く、中央部付近に関節がある。花被は白色~淡黄白色、鐘形~広鐘形、長さ約5㎜、6裂する。花被片は中央部が開出せず、先が小さく反曲する。雄しべは突き出ず、葯は黄色。柱頭は3裂し、突き出ない。液果はほぼ球形、赤色に熟す。花期は5~6月。
 類似のクサスギカズラは海岸の崖地に生え、葉状枝が鎌形に湾曲し、1~3本束生し、液果は黄白色に熟す。

11 Asparagus simulans Baker ナギボウキ 薙箒
  synonym Asparagus madagascariensis Baker
  synonym Asparagus rusciformis Brongn. ex H.Perrier
  synonym Asparagus neofasciculatus Idrees
  synonym Asparagus ternatus Brongn. ex H.Perrier
 マダガスカル原産。マダガスカルのものと、栽培されているものは違い、詳細不明。栽培種は葉状枝の幅が広く、卵状披針形で、液果が赤色に熟す(RHS)。
 常緑または落葉の多年草または亜低木、ときにつる性になり、根茎は塊茎になる。茎には小さな目立たない鱗片状の葉と、目立つ葉状の葉状枝がある。葉状枝が2~3本、束生し、線形、かま形に曲がり、先は鋭形で、先端が尖る。花は不明。液果は白色に熟す(GBIF)。

12 Asparagus officinalis L. オランダキジカクシ
  synonym Asparagus officinalis subsp. altilis (L.) Cif. & Giacom.
  synonym Asparagus officinalis var. altilis L.
  synonym Asparagus tenuifolius Gilib.
 モンゴル、ロシア、中央アジア、南西アジア、ヨーロッパ原産。中国名は石刁柏 shi diao bai 。英名はasparagus , garden asparagus , common asparagus 。食用に栽培されるアスパラガス。多数の園芸品種がある。
 多年草、高さ1~2.5m。雌雄異株。根茎は繊維状、太さ2~3㎜、やや細い。茎は1年草、類直立し、上部で密に分枝し、普通わずかに先が垂れる。枝は細かく分枝して斜上~直立し、柔らかく、刺は無い。葉状枝(cladophylls)は各節に(2~)4~15(~25)本、束生し、糸状、真っすぐまたは湾曲し、長さ0.5~3㎝×幅約0.4㎜、類円柱形でわずか扁平になり、不規則に溝があり、葉の距はわずかに刺状又は不明瞭。葉は鱗片状、長さ3~4㎜、葉身は披針形、基部は硬くなる。花序は腋生の総状花序で、花が葉状枝の腋に1~3(4)個束生し、葉状枝の後に発達する。花は単性のものもある。小花柄は長さ8~12(~14)㎜、中間より上に関節がある。花被は鐘形、黄色~黄緑色。花被片は長さ1~2㎜が合着し、緑白色、長さ3~8㎜×幅1~2㎜、雄花は大きく長さ5㎜以上、雌花は小さく、長さ3~4㎜。花糸は花被片の長さの約1/2につく。葯は長さ1~1.5㎜。雌花は花被が長さ約3㎜。液果は赤色、直径6~10㎜、種子は2~4個。花期は5~6月。果期は8月。2n=20, 40。
品種) '1900204' (PBR) , '1901075' (PBR) , '1901342' (PBR) , 'Amaro Montina' , 'Apollo' , 'Argenteuil' , 'Argentuil' , 'Ariane' , 'AsparaBestR' , 'Atlas' , 'Atticus' (PBR) , 'Avalim' (PBR) , 'Backlim' , 'Bejo 2241' (PBR) , 'Bejo 2244' (PBR) , 'Bejo 2245' (PBR) , 'Bejo 2271' (PBR) , 'Butler' , 'Canticus' (PBR) , 'Cito' (m) , 'Connover's Colossal' , 'Crimson Pacific' , 'Cygnus' (PBR) , 'Darbella' (PBR) , 'Dariana' , 'Darlise' (PBR) , 'Darsiane' (PBR) , 'Dartagnan' , 'Darzila' (PBR) , 'Depaoli' (PBR) , 'Eposs' , 'Erasmus' (PBR) , 'Eros' , 'Finalus' (PBR) , 'Fortems' (PBR) , 'Franklim' , 'Franklim Early' , 'French Hybrid' , 'French Market' , 'Fruhlim' (PBR) , 'Giant Mammoth' , 'Gijnlim' , 'Golia' , 'Grande' , 'Grolim' (PBR) , 'Guelph Millennium' , 'Herkolim' (PBR) , 'Horlim' , 'Jersey Gem' , 'Jersey Giant' (m) , 'Jersey Knight' , 'Jersey Knight Improved' , 'Jersey Supreme' , 'Ju Feng' , 'L 022' (PBR) , 'L 252' (PBR) , 'L 362' (PBR) , 'L 428' (PBR) , 'L262' (PBR) , 'L263' (PBR) , 'L264' (PBR) , 'L448' (PBR) , 'L449' (PBR) , 'L450' (PBR) , 'L459' (PBR) , 'L460' (PBR) , 'Limbras' , 'Lucullus' , 'Magnus' (PBR) , 'Marte' , 'Martha Washington' , 'Mary Washington' , 'Millennium' , 'Mondeo' , 'Nj44p' (f) , 'Orane' (PBR) , 'Orus' , 'Pacific 2000' , 'Pacific Purple' , 'Placosesp' (PBR) , 'Plamaresp' (PBR) , 'Plasenesp' (PBR) , 'Portlim' (PBR) , 'Precoce d'Argenteuil' , 'Prelim' (PBR) , 'Primems' (PBR) , 'Prius' (PBR) , 'Purple Jacq Ma' , 'Purple Jumbo' , 'Purple Passion' , 'Purple Sweet' , 'Raffaelo' (PBR) , 'Ramada' (PBR) , 'Ramires' (PBR) , 'Ramos' , 'Ranger' , 'Rapsody' (PBR) , 'Ravel' , 'Rosalie' (PBR) , 'Stewart's Purple' , 'Sunlim' (PBR) , 'Sunviblanc' , 'Tallems' (PBR) , 'Terralim' (PBR) , 'Thielim' (PBR) , 'UC 157' , 'UC 72' , 'Vegalim' (PBR) , 'Venlim' , 'Verdus' (PBR) , 'Vitalim' (PBR)

13 Asparagus oligoclonos Maxim. タマボウキ 玉箒
  synonym Asparagus oligoclonos var. purpurascens X.J.Xue & H.Yao
  synonym Asparagus stachyphyllus H.Lév. & Vaniot
  synonym Asparagus tamaboki Yatabe
 日本(九州)、朝鮮、中国(河北省、黒竜江省、河南省、吉林省、遼寧省、山東省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は南玉带 nan yu dai。別名はツクシタマボウキ。海抜500m付近までの森林、牧草地、湿った場所に生える。
 多年草、雌雄異株。根は太さ2~3㎜、やや細い。茎は直立、高さ40~80㎝、ややわずかに条線がある。枝は堅く、条線がある。葉状枝は5~12本、束生し、長さ1~3㎝×幅約0.5㎜、類円柱形、わずかに扁平、不規則な溝がある。葉の距は短いか又は不明瞭、まれに短い刺状。花序は葉状枝の後によく発達する。雌雄のいずれの花も、単生又は双性する。小花柄は長さ(1~)1.5~2㎝、中間のやや上に関節がある。雄花は花被が黄緑色、下部が紫褐色、鐘形、長さ7~9㎜、花糸は花被片につき、花被片の長さの約3/4の位置につく。葯は長さ約2㎜。雌花は花被が長さ約3㎜。液果は赤色、直径約8~10㎜。花期は4~5月。果期は7~9月。2n=20。

14 Asparagus pseudoscaber Grecescu アスパラガス・シュードスカベル
 ウクライナ、セルビア原産。ドイツ語名はRauer Spargel。アスパラガス・福みどりの名で切り花用に販売されている。
 多年草、細く硬く直立し、多数分枝し、高さ200㎝以下。茎と枝は縦の粗い条線といぼ状の歯があり、完全に平滑になることはまれ。葉状枝は10~25本束生し、細かく密につき、長さ5~15㎜×幅0.2~0.5㎜、ほぼ平滑、わずかにザラつく。小花柄は長さ10~26㎜、葉状枝よりはるかに長い。上部の葉腋に1~2(4)個の花がつく。果実は液果、球形で直径7~11㎜、赤く熟す。種子は1~4個入り、黒色、しわがある。
品種) 'Spitzenschleier'

15 Asparagus scandens Thunb. ギョリュウカズラ 御柳葛
 南アフリカ原産。英名はasparagus-fern , climbing asparagus-fern。
 細い這い登るまたはつる性の多年草。根は塊状。茎は長さ2mまで、緑色、上部でよく分枝する。枝は広く広がり、角(かど)がある。鱗片葉は薄膜質、かなり分裂し、基部の刺は無い。葉状枝(cladodes)は3本、たまに各節に2、4、または 5本束生し、1平面に広がり、長さ5~15㎜×幅0.8~1.5㎜、1本は著しく長く、扁平、線状披針形、鎌形で、1脈がある。花は長さ3~4㎜、葉腋に単生し、白色まれに淡いピンク色になる。小花柄は長さ約10㎜。液果は球形、直径約8㎜、赤色~橙赤色。種子は1個、直径約4㎜、球形、黒色。花期は春~夏。

16 Asparagus schoberioides Kunth キジカクシ 雉隠

  synonym Asparagus schoberioides var. subsetaceus Franchet ホソバキジカクシ

  synonym Asparagus sieboldii Maximowicz.
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は龙须菜 long xu cai。山地の草原に生える。
 多年草、雌雄異株。根は太さ2~3㎜。茎は直立、高さ1m以下、刺は無く、上部に明瞭な縦条のうねがある。枝は角(かど)があり、又はときに、狭い翼がある。葉状枝は普通、3~4本、束生し、線形、鎌形、長さ1~4㎝×幅約1㎜、扁平、基部は3角(かど)があり、中脈が目立つ。葉の距は短い。花序は葉状枝の後によく発達し、腋生。雌雄のいずれの花も、2~4個が束生し、ほほ等形。小花柄は長さ1~2㎜又はそれ以下、上端に関節がある。雄花は花被が黄緑色、鐘形、長さ2~2.5㎜、花糸は離生。液果は赤色、直径約6㎜、普通、種子は1~2個。花期は5~6月。果期は8~9月。2n=20。

17 Asparagus setaceus (Kunth) Jessop オオミドリボウキ 大緑箒
  synonym Asparagus plumosus Baker 
 アフリカ原産。英名はclimbing asparagus-fern ,lace-fern。標高0~100mの荒地、放棄された庭園に生える。
 つる植物、木質、攀縁またはよじ登り、長さ5mまで。根はひげ根。 茎は4mに達し、針金状、平滑、枝は平面状に広がる。葉序枝は節あたり(5~)8~20本、束生し、糸状、長さ4~10㎜×幅約0.5㎜、±堅く、1脈を持つ。葉は膜質、長さ1~2㎜、葉身は短い刺になり、先が後屈し、基部は硬くなる。花序は頂生の散形花序で、花が1~4個つく。花は両性、下向きにつく。花被は広がり、鐘形。花被片は白色、長さ3~4㎜×幅1~1.5㎜。小花柄は長さ1~3㎜、基部または基部のすぐ上で結合する(関節がある)。果実は紫黒色、長さ4~5㎜。種子は1~3個。2n=20。花期は春~夏。
品種) 'Cupressoides' , 'Nanus' シノブボウキ , 'Pyramidalis' , 'Tenuissimus' ミドリボウキ

18 Asparagus tenuifolius Lam. イトテンモンドウ 糸天門冬
  synonym Asparagus collinus Jan ex Parl.
  synonym Asparagus sylvaticus Waldst. & Kit.
 地中海沿岸のヨーロッパ、トルコ原産。
 多年草、高さ30~100㎝。雌雄異株。A. officinalisに似ているが、より強く分枝しており、葉状枝は毛のように細く、長さ1.5~4㎝、小さな膜質の鱗片葉の葉腋に10~25本束生し、基部には明確な距の膨らみが無い(A. officinalisでは、距状に膨らむ)。花は緑がかった白色、葉腋に1または2個、下向きに垂れ下がってつく。小花柄は剛毛状で細長く、花のすぐ下に関節がある。花被は6裂し、筒部は非常に短く、花被片は長さ5~8㎜。葯は楕円形、花糸の長さの1/4。果実は赤色、直径12~16㎜。花期は5~6月。2n=20。 (© Flora Helvetica 2018)。

19 Asparagus trichophyllus Bunge イトキジカクシ 糸雉隠
  synonym Asparagus verrucosus Nakai イガキジカクシ
 中国(河北省、遼寧省、内モンゴル、山西省)、モンゴル、ロシア原産。中国名は曲枝天门冬 qu zhi tian men dong。海抜2100m付近までの芝生の斜面、道端、畑の縁、荒地に生える。
 多年草、雌雄異株。 根はかなり細い。茎は直立し、上部で強く曲がり、長さ60~100cm、ときにまばらに軟骨質の小歯がある。枝は基部で後屈し、上部は斜上する。小枝はほぼ軟骨質の小歯がある。葉状枝は5~8個束生し、通常は枝に伏せ、糸状、長さ0.7~1.8cm×幅約0.3㎜、不規則な溝が入る。葉の距にはわずかに刺がある。主茎の刺は長さ1~3㎜、枝の刺は不明瞭。 花序は葉序枝の展開後に発達する。花は雌雄の花が対になる。小花柄は長さ1.2~1.6㎝。雄花:花被は黄緑色、通常淡紫色を帯び、鐘形、長さ6~8㎜。花糸はその長さの約1/2が花被片に付着する。雌花:花被は長さ2.5~3.5㎜。液果は直径6~7㎜、種子は3~5個。 花期は5月。果期は7~9月。2n=30。

20 Asparagus verticillatus L. クルマバテンモンドウ 車葉天門冬
 ヨーロッパ、西南アジア(イラン、イラク、トルコ、トルクメニスタン)原産。 英名はClimbing Asparagus。
 多年草、高さ70~90㎝。茎は直径3~5㎜、枝は曲がる。葉は鱗片状、膜質。全体に緑色。葉状枝は5~12本束生し、不等長、線形、先は鋭形、真っすぐ、長さ30㎜以下×幅0.4~0.5㎜、距は長さ1.3~1.6㎜。小花柄は長さ約2㎜、果時に長さ2~2.2㎜。花は単生。花被片は長さ2~2.2㎜。液果は直径5~5.5㎜。種子は2個あり、球形、直径2~2.5㎜。種子の表層に平行な細胞壁(periclinal cell wall)は長さ7~25μm×幅5~15μm、表面細胞は不規則な5角形および6角形、表面は粗く、パピラがある。果実の表層に平行な細胞壁(periclinal cell wall)は長さ25~65μm×幅20~50μm。

21 Asparagus virgatus Baker ネズミボウキ 鼠箒
 アフリカ、イエメン原産。英名はasparagus fern , tiki fern , broom aspargus , tree fern , African broom fern。日陰を好み、 木陰、開けた樹木が茂った草原、林縁、川端、道端などに生える。オーストラリアに帰化。
 亜低木、硬く、直立し、高さ0.4~1(~1.4)m。根は円柱形。茎は単生または2(~4)本、長さ0.75~1.00m、細く、角(かど)があり、刺がなく、直立し、上半分ほどで枝を広げて±規則的に分枝し、シダのような外観を与え、ときに葉状枝は無く、無毛。葉状枝は1~3(~7)本が束生し、糸状、稜があり、開花後に成熟し、長さ4~15(~25)㎜、不等長。花は枝に沿って単生し、垂れ下がる。苞は卵形、約・長さ1㎜×幅0.5㎜、先は鋭形。小花柄は長さ4.5~8㎜、下半分に関節があり、果時には長さ10㎜まで伸びる。花被片は白色~帯黄色、わずかに不等長で、長さ3~4.5㎜×幅0.5~1㎜、先が反り返り、外側の花被片は内側の花被片より小さい。内側の花被片の先端に数個の歯がある。雄しべは6本、花被につき、子房と花柱の周りに直立する。子房は球形、3室があり、各室に4(~6)個の胚珠を持つ。花柱は花時に突き出し、長さ2~3㎜、子房とほぼ同長。液果は若いうちは帯緑色、熟すと橙色~赤色変わり、1~2裂し、直径4~7㎜。種子は黒色。 花期は9月~1月(日本では5~9月頃)。

22 その他ハイブリッド
品種) 'Carlim' , 'Ida Lea' , 'Lewisii' , Limbras 26 , 'Rambo' (PBR) , 'Saxon'

参考

1) GRIN
 Asparagus
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=1046
2) Flora of China
 Asparagus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=102837
3) Flora of North America
 Asparagus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=102837
 Asparagus asparagoides
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=242101424
 Asparagus setaceus
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=1&taxon_id=200027577
4)PlantNET - FloraOnline NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE
 Genus Asparagus
http://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=gn&name=Asparagus
 Asparagus virgatus Baker
http://plantnet.rbgsyd.nsw.gov.au/cgi-bin/NSWfl.pl?page=nswfl&lvl=sp&name=Asparagus~virgatus