キンギョソウ  金魚草
[別名] ドラゴンフラワー
[中国名] 金鱼草 jin yu cao
[英名] snapdragon , common snapdragon
[学名] Antirrhinum majus L.
オオバコ科 Plantaginaceae  キンギョソウ属
三河の植物観察
キンギョソウの蕾
キンギョソウの花
キンギョソウの花横
キンギョソウの花序
キンギョソウの葉
キンギョソウ
キンギョソウ茎
キンギョソウ茎2
 世界の温帯地域で広く栽培され、野生化している。日本には江戸時代末の1862年に遣欧使節がチューリップの球根やクロタネソウ、コスモス、パセリ、カリフラワーなどの種子とともに種子を持ち帰ったとされている。また、新渡花葉圖譜(68~70)にはアメリカ産として彩色の図と萬延元年(1860)、文久元年(1861)に池田からとの記載がある。池田は現在の大阪府池田市のことで、日本四大植木産地の1つであり、別ルートで先に、アメリカの栽培種が導入されたと思われる。多年草であるが寒さに弱く、寒冷地では1年草、2年草として栽培されている。多数の園芸品種があり、赤色、ラベンダー、ピンク、オレンジ、黄色、白色などの花がある。高さ20~30㎝の矮性種もある。
 直立し、高さ30~90㎝程度であり、基部は木質化し、高いものはまれに2mにもなる。茎の中上部は腺毛がある。葉は茎の下部では対生し、上部では常に、互生し、短柄がある。葉身は無毛、披針形~広披針形~円状披針形、長さ2~6㎝、幅2~2.5㎝、全縁。茎頂の総状花序に多数の花を密につけ、腺毛が密生する。花柄は長さ5~7㎜。萼は5深列し、裂片は卵形、先は鈍形~鋭形。花冠は長さ3~5㎝、筒状の2唇形、全面の下部が伸び、兜状になる。英名はかみつきドラゴンを意味する。上唇は直立し、幅広で大きく、2中裂する。下唇は3浅裂し、中央に隆起があり、しばしば黄色の斑紋があり、喉部が狭まり仮面状になる。雄しべ4個、2強雄しべ。蒴果は卵形、幅10~14㎜、長いつの状に花柱が残り、腺毛に覆われ、多数の種子が入る。熟すと、頂部が裂開する。n=8。
[花期] (3)4~7(9)月
[草丈] 30~90(120)㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 栽培種
[分布] 帰化種 ヨーロッパ、地中海沿岸原産
[撮影] 豊橋市  16.4.5
【園芸品種】
 栽培キンギョソウの初期の歴史はよくわかっていない。記録では最初にイタリアで栽培され、その後ヨーロッパに広がったとされている。今ではイタリア西部の地中海沿岸に沿って自生地が見つかっている。1578年の最も初期の公表では少しのカラーバリエーションと葉の2タイプ(狭と広)が記載されている。少し後に、白色、紫色、帯赤色、黄色、変化の多いものの5品種が知られるようになった。その後すぐに二重花と斑入り葉のものが登場した。19世紀の初めにはいくつかのストライプとスポッティング品種が様々な生産者によって作り出された。1824年までには橙色や黄色~白色の広範囲の色があり、多くの2色タイプと同じように赤色や紫色のものもあった。キンギョソウの変種reticulatum、 youngii、carophylloides、は約1830年又は1835年まで現れなかった。1844年には血のような濃赤色の二重花が登場した。初期の二重花は白色~ローズ色であった。続く数十年間に無数の園芸品種が売り出され、1株1ドル以上で販売された。当時の繁殖は挿し木だけであった。1850年英国ブライトンのジョージ・パーソンズは、花色の配列が明らかに違う様々な品種を売り出した。1852年にECヘンダーソン&サンズによってHendersoniiの名で出されたものは花弁が白色で縁に濃ローズ色の帯があるものであった。キンギョソウは、19世紀の後半​​まで、本領を発揮することはなく、それ以前の品種はすべて挿し木による繁殖であり、種子によるものはほとんどなかった。スコットランドやイングランドの気候は上質のキンギョソウの生産のための最適であり、キンギョソウはすぐに非常に人気が出ることとなった。新品種や改良品種の需要により種子繁殖の増加をもたらし、新しい何百の品種がすぐに開発された。現時点ではキンギョソウは(1)商業栽培家用と(2)屋外園芸用の2タイプに分けられる。両方のグループに属す品種もある。イギリスやヨーロッパでは屋外園芸用が主流で、米国では促成栽培や温室栽培用が重要である。種子繁殖は20世紀初頭まで一般的にはならなかった。1896年から太平洋沿岸のカリフォルニアで既に知られていたキンギョソウさび病が1913年にシカゴ付近で発生し、数年後には米国全体、メキシコ、カナダに広がった。その結果、温室栽培のキンギョソウはほぼ壊滅した。これが、より良い種子繁殖株の開発の刺激となり、短期間で多数の品種が作り出され、現在では数百の品種がある。
 高度耐性株が作られ、現在ではF1品種が多く、1年草として栽培されることが多い。耐性株でも次第にさび病に侵されるようになることも珍しくなく、継続的な対応が必要といわれている。

 切り花栽培品種の日本での生産量(2007年)はF1カリヨンシリーズ17.5%、F1バタフライシリーズ17.2%、アスリートシリーズ11.0%、マダムバタフライシリーズ10.5%、F1メリーランドシリーズ 9.1%、雪姫 6.3%、F1ポトマックシリーズ 2.4%、F1仙系+ 単一7品種 4.7%の順である。
 花は食用にもなり、、食味はえぐみや癖が少なく、特徴的な形状で色合いも良い。

<高さによる品種分類>
(1)矮性 dwarf plants 高さ20~30㎝
  Floral Carpet、Floral Showers、Kolibri、Royal Carpet、Tahiti
(2)中性 intermediate plants 高さ30~60㎝ 
  Princess、Liberty、Sonnet、Pixie、Sprite、Cinderella
  中高性 ニーハイ(ひざ丈)タイプ 高さ50~60㎝
(3)高性 tall plants 高さ60~91㎝
  Burpee's Topper、Spring Giant、Rocket

<花型による品種分類>
(1)普通種= スタンダード咲き=スナップ咲き ・・・・左右相称( zygomorph) 
 キンギョソウの名前の由来になった金魚の形(ドラゴンのあごdragon jaws)に似た花型。草勢が強く、水揚げが 良好なものが多く、切り花用に向いている。切り花用は現在、減少傾向にある。F1の矮性品種が多くなりつつある。
 白色系:アールグレイ(銀葉、矮性)、銀鵄、雪冠、白仙、白帝、白竜、ピクシアホワイト、
      富士の雪(極早生)、雪化粧、雪の輝き、雪姫(中晩生)
 黄色系:黄金の輝、金華山、金嶺、金鵄、黄竜、黄仙、、ピクシアイエロー、ピクシアオレンジ、満月
 紫系:藤娘、Montego Violet、
 桃色系:あけぼの、初春(早生)、ピクシアローズ、ブライダルピンク、
      ブロンズドラゴン(Bronze Dragon 葉が銅色)、桃仙、桃竜、桃園、桃の峰、桃の輝き、桃娘
 紅色(赤色)系:赤猩々、御神火、クリムソン・ジャイアント・レッド、紅華、紅鈴、
      ダンシングクイーン(斑入り葉)、春の峰、ピクシアスカーレット、福獅子
 複色系:アップルブロッサム、ヴェルン
 その他:ソネットシリーズ(草丈50~60cmの 中高性種)
      F1アスリートシリーズ(早生)、F1スナッピーシリーズ(矮性種、極早生)、
      F1スピーディーソネット(ニーハイタイプ、早生)、
      F1スマイルシリーズ(早生)、F1仙系(高性種)、
      F1パレット系(矮性種)、F1フローラルシャワーシリーズ(F1パレット系矮性種)、
      F1フラッシュシリーズ(早生、中生)、F1レジェ(ピンク、ホワイト、イエロー)、
      F1プリンセス系(中性種、2色咲きで色彩が鮮明;パープルアイ、レッドアイ)、
      F1フローラルカーペットシリーズ(矮性種)
      F1ポトマックシリーズ(晩生系;ホワイト)、
      F1メリーランドシリーズ(高性種、花色が豊富、極早生~早生)、
      F1モンティゴシリーズ(矮性種)、F1メモリアルシリーズ、

(2)バタフライタイプ butterfly cultivars、open-faced snapdragon・・・・放射相称(actinomorph)
  =ペンステモン咲き penstemon-blooming =ラッパ咲き 、
 1960年代に開発された。花がペンステモンのように釣り鐘が上向きについたように咲く花型。花色は中間色のパステルカラー、高性の切り花用。F1(一代交配種)品種のため、種子から同じものは得られない。 ヨーロッパでは広く栽培されているが、蒸し暑い気候に弱く日本の屋外栽培には向かない。切り花栽培では約34%(2007年)を占めるようになった。
 アポロ系(アポロパープル、アポロアイボリー、アポロイエロー、アポロシナモン)、F1カリヨンシリーズ(カリヨンホワイト、カリヨンタンジェリン、カリヨンイエロー改良、カリヨンホワイト改良、カリヨンピンク改良)、Chantilly series 、F1トランペットシリーズ(トランペットピンク、トランペットタンジェリン)、 F1バタフライシリーズ(バタフライイエロー、バタフライライトピンクⅡ)、ファルファシリーズ(ピンク、ライトピンク、イエロー、ホワイト)、Bells Series(Pink、Purple、Red、White、Yellow)、ロケットシリーズ(高性)

(3)ダブルアザレアタイプ=アザレア咲き(八重咲き)azalea-shaped snapdragon
 バタフライタイプを八重咲きにしたF1品種。バタフライタイプより長日性であり、12~2月の短日期の開花促進には電照が必要となる。
  F1ダブルアザレアシリーズ(ピンク、ホワイト、エロー、ブロンズ)、F1ツィニーシリーズTwinny Snapdragons (矮性;アップルブロッサム、ローズ、ピーチ、イエローシェード、バイオレット、ホワイト)、
マダムバタフライシリーズMadame Butterfly Series(ローズ、ブロンズ、エロー、ホワイト)

(4)三倍体型:四倍体と二倍体との交配による
   花が大きく、花色が鮮明である。
 千早シリーズ(桃黄色、桃色、藤色、紅色、白色、黄色、赤色)

(4)エスカル咲き:唇弁の肩が丸く盛り上がった花形(蝸牛を連想する花形
  普通咲きとアザレア咲き(八重咲き)の正逆交雑により作出

【キンギョソウの香り】
 キンギョソウは古くから香りの強い花として知られ、フローラルな爽やかな香りが特徴。芳香の強い品種もある。
 アロマシリーズAromas series (Magenta mist 、Red spice、Peach breeze、French vanilla 、Ffresh lemon )、ファルファレシリーズ(ライトピンク)

【農林水産植物種類別審査基準】 きんぎょそう Common snapdragon(Antirrhinum majus L.)

特性表 (Table of Characteristics) ※( )は標準品種(Ex.Var.)
(1) 草型Plant: growth habit= 分枝の発生状態に基づく草姿
  1上位節型single stem、9叢生型bushy
(2) 草姿(叢生品種に限る。)Only varieties with bushy plant growth habit: Plant: attitude of shoots = 分枝の伸張する方向に基づく草姿
  1立性upright、3斜上semi upright、5水平horizontal、7やや下垂semi drooping、9下垂drooping
(3)茎の長さ Stem: length = 最長の1次分枝の長さ
  3短(ラレッド)、5中(ブライダルピンク)、7長(ナポレオンレッド)
(4)茎のアントシアニン着色の強弱Stem: anthocyanin coloration
  主茎の中央部分の茎で観察
  1無又は極弱、3弱、5中、7強、9極強
(5)葉の長さLeaf: length = 主茎の中央部分に着生した葉で観察
  3短(ラレッド)、5中(ブライダルピンク)、7長(伊予の紅)
(6)葉の幅Leaf: width = 主茎の中央部分に着生した葉で観察
  3狭(ラレッド)、5中(ブライダルピンク)、7広(伊予の紅)
(7)葉の斑の有無Leaf: variegation = 主茎の中央部分に着生した葉で観察
  1無 、9有(Dancing Flame)
(8 )葉の表面の緑色の濃淡(葉に斑の無い品種に限る。) =植物体全体の葉の色
  Only varieties with leaf variegation absent : Leaf: intensity of green color of upper side
  3淡 light、5中medium(ラレッド)、7濃 dark (ヤピアー)
(9)葉の裏面のアントシアニン着色の有無 = 主茎の中央部分に着生した葉で観察
    Leaf: anthocyanin coloration on lower side
  1 無absent、9 有 present
(10)葉の毛じの粗密 = 主茎の中央部分に着生した葉で観察
    Leaf: pubescence
  1 無又は極弱absent or very weak(ヤカン)、3 弱 weak(バルムホワイト)、
  5 中medium(アップルブロッサム)、7 強 strong
(11)花序の長さ(草型が上位節型の品種に限る。)
    Only varieties with single stem plant growth habit Inflorescence: length
  3短short(サンキスピンク)、 5中medium( 伊予の紅)、 7 長 long(ナポレオンレッド)
(12) 花序の粗密(草型が上位節型の品種に限る。) =花序に着生する小花の密度
   Only varieties with single stem plant growth habit : Inflorescence: density
  3 粗sparse、5 中medium(ブライダルピンク)、7 密 dense(ブライダルホワイト)
(13) 花の形 Flower: form = 2番目に開花した花で観察
  1 普通咲きzygomorph 、2 ペンステモン咲き(ベル咲き)actinomorph
(14 )花型 Flower: type 一重八重の別 = 2番目に開花した花で観察
  1 一重single、2 八重 double
(15) 花の長さ( 2番目に開花した花で観察 )Flower: length =小花の最大長
  3 短short(ラレッド)、5 中medium(ブライダルピンク)、7 長 long(ナポレオンレッド)
(16) 花の幅( 2番目に開花した花で観察 ) Flower: width =小花の最大幅 測定
  3狭(ラレッド )、5 中(ブライダルピンク)、7 広 narrow medium broad
(17) 花筒の長さ( 2番目に開花した花で観察 ) Corolla tube: length
  3短short、5 中medium、7 長 long
(18) 上唇弁の幅( 2番目に開花した花で観察 ) Upper lip: width
  3 狭narrow(ラレッド)、5 中medium(ブライダルピンク)、7 広 broad
(19)上唇弁の脈の明瞭度( 2番目に開花した花で観察 ) Upper lip: conspicuousness of veins
  1 無又は極弱absent or very weak、3 弱weak、5 中medium、7 強 strong、9 極強 very strong
(20)上唇弁の表面の主な色( 2番目に開花した花で観察 ) Upper lip: main color of upper side
   =上唇弁の裂片の表面の主な色
   RHSカラーチャートの色票番号による RHS Color Chart(indicate reference number)
(21)上唇弁の裏面の主な色( 2番目に開花した花で観察 ) Upper lip: main color of lower
    =上唇弁の裂片の裏面の主な色side
   RHSカラーチャートの色票番号による RHS Color Chart(indicate reference number)
(22) 花筒に対する下唇弁の中央裂片の向き ( 2番目に開花した花で観察 )
    Lower lip: attitude of middle cusp lobe (relative to corolla tube)
   1直立erect(ダイアナピンク)、3 斜上semi erect、5 水平horizontal(Sulte Redyel)、
   7 やや下垂semi drooping、9 下垂 drooping(ダイアナダークレッド)
(23) 下唇弁の中央裂片の最大幅( 2番目に開花した花で観察 )
    Lower lip: width of middle cusp lobe 下
  3狭narrow(ラレッド )、5 中 medium(千早イエロー1号) 、7広 broad(ブライダルピンク)
(24) 下唇弁の裂片の表面の主な色( 2番目に開花した花で観察 )
    Lower lip: main color of upper side of cusp
   RHSカラーチャートの色票番号による RHS Colour Chart (indicate reference number)
(25)下唇弁の裂片の裏面の主な色( 2番目に開花した花で観察 )
    Lower lip: main color of lower :side of cusp
   RHSカラーチャートの色票番号による RHS Colour Chart (indicate reference number)
(26) 下唇弁の基部の表面の主な色( 2番目に開花した花で観察 )
    Lower lip: main color of upper side of base
   RHSカラーチャートの色票番号による RHS Colour Chart(indicate reference number)
(27)下唇弁のスポットの有無( 2番目に開花した花で観察 ) Lower lip: spot
  1無absent、9 有 present
(28)下唇弁のスポットの大きさ( 2番目に開花した花で観察 ) Lower lip: size of spot
  1極小very small、3 小small、5 中medium、7 大large、9 極大 very large
(29)下唇弁のスポットの色( 2番目に開花した花で観察 ) Lower lip: color of spot
   RHSカラーチャートの色票番号による RHS Colour Chart(indicate reference number)
(30)花筒の外側の色( 2番目に開花した花で観察 ) Corolla tube: color of outer side
   RHSカラーチャートの色票番号による RHS Colour Chart(indicate reference number)
(31) 開花始期(種子繁殖性品種に限る。)
    =試験区の半数の植物体で、最初の1花が満開に達したとき
   Only seedpropagated varieties: Time of beginning of flowering
  1 極早生very early、3 早生early、5 中性medium、7 晩生late、9 極晩生 very late
TOP Back