キジョラン 鬼女蘭

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Flora of Mikawa

キョウチクトウ科 Apocynaceae キジョラン属

中国名

假防己 jia fang ji

学 名 Marsdenia tomentosa Morr. et Decne.
アサギマダラ
アサギマダラ2齢
アサギマダラ2齢
キジョラン
花 期 8~9月
高 さ つる性
生活型 つる性木
生育場所 林内
分 布 在来種   本州(関東地方以西)、四国、九州、朝鮮、台湾
撮 影 豊田市  05.5.1
旧ガガイモ科はキョウチクトウ科に含められた。アサギマダラの食草としてよく知られている。
 葉は対生し、長さ約10㎝の卵円形~円形で、先がとがる。葉の質は厚く、表面には光沢がある。葉の付け根に、直径約4㎜の白花の花序をつける。花冠は鐘形で、5裂し、裂片は長さ約3㎜。袋果は長さ7~15㎝の紡錘形。冬に果実が割れ、白い種髪がついた種子を飛ばす。種子は長さ約1㎝の卵形、種髪は長さ約1㎝。和名はこの白い毛が鬼女の白髪を連想させることに由来する。

キジョラン属

  family Apocynaceae - genus Marsdenia

 つる性木(lianas)。花序は頂生又は腋外生(extra-axillary:葉と対生など葉腋以外につける)、散形花序状、円錐花序、又は総状花序状、花序柄がある。咢片は重なり、基部に腺や鱗片がしばしばある。花冠はつぼ形又は鐘形、のど部にはしばしば毛がある。花冠裂片は右に捻じれる。副花冠の裂片は5個、直立、尖鋭形、肉質、肉中体(gynostegium)につく。花糸は花冠筒部に合着する。葯は直立、葯の付属体は内側に曲がる。花粉塊は花粉団に2個、しばしば、長円形、直立する。花柱の頭部は平ら、凸面又は嘴がある。袋果はほとんどが太く、先が尖鋭形、平滑又は縦に翼がある。
 世界に約100種があり、アジア、アメリカ、熱帯アフリカに分布する。

キジョラン属の主な種と園芸品種

1 Marsdenia floribunda (Jacques) Schltr. マダガスカルジャスミン
  synonym Stephanotis floribunda Jacques  [Kewscience]
  synonym Stephanotis floribunda Brongn [The Plant List のsynonym]
英名は Madagascar jasmine , waxflower , Hawaiian wedding flower , bridal wreath
 学名が混乱している。
 The Plant List ではStephanotis floribunda Brongn.はMarsdenia floribunda (Brongn.) Schltr.のsynonymとしている。これはマダガスカル原産のマダガスカルジャスミンを指している。
 Kewscienceでは混同されていた南アフリカ南部に分布し、マダガスカルには無いMarsdenia floribunda (E.Mey.) N.E.Br.はDregea floribunda E.Mey.のsynonymとしている。マダガスカル原産のマダガスカルジャスミンはStephanotis floribunda Jacquesとしている。これに統一されることになりそうである。
 常緑つる性木、長さ2~6m、温室栽培では普通、2m以下。茎が太く、乳白色のラテックスを含む。葉は楕円形~卵形、長さ10㎝以下、濃緑色、光沢があり、厚い革質、全縁。散形花序を腋外生し、普通、花を5~7個、束生する。花はジャスミンのような芳香がある。花柄は短い。咢片は5個、緑色、卵形。花冠は白色、ワックス状、わずかに肉質、狭い筒形(トランペット形)、長さ5~10㎝、筒部は膨らみ、先は5中裂し、星形に開く。果実はマンゴー形、乾燥して熟すと裂開し、白色の種髪をつけた黒色の種子を放出する。花期は5~9月。
品種) 'Variegata'

2 Marsdenia formosana Masam.  タイワンキジョラン
  synonym Marsdenia iriomotensis Masam.
 日本(沖縄)、中国、台湾原産。中国名は台湾牛奶菜 tai wan niu nai cai

3 Marsdenia tinctoria R.Br.  ソメモノカズラ 広義
日本(沖縄)、中国、台湾、インド、ブータン、ネパールスリランカ、ミャンマー、ラオス、たい、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン原産。中国名は蓝叶藤 lan ye teng 。
 つる性木、長さ5m以下、若い時に密~疎に軟毛があり、無毛になる。葉柄は長さ1~4㎝。葉身は長円形~広卵形、長さ5~13㎝×幅2~7㎝、薄い紙質、乾くと青みがあり、基部は円形~心形、先は尖鋭形、側脈は5~7 (~10)対。花序は密、球形~長い総状花序状、小集散花序の束生、長さ (1.5~)3~15㎝。花序柄は長さ(0.5~)2.5~5㎝。花柄は長さ3~5㎜。咢片は類円形、長さ約2㎜。.花冠は黄白色、乾くと暗青色、つぼ形、長さ3.5~4(~6)㎜、のど部には毛の輪があり、他は無毛。花冠筒部は長さ約2.5㎜。花冠裂片は卵形、長さ1~1.5㎜、先は円形。副花冠は裂片が5個、披針形、葯の長さと同長。花粉塊は狭長円形。柱頭の頭部は円盤形、わずかに先が凸面。袋果は長円状披針形、長さ5~10㎝×幅8~10㎜、長軟毛~類綿毛がある。種子は卵形、約・長さ10㎜×幅3㎜。種髪は長さ1~2㎝。花期は3~11月。果期は6~12月。
3-1 Marsdenia tinctoria R.Br. var. tomentosa Masam.  ソメモノカズラ

4 Marsdenia tomentosa C.Morren et Decne.  キジョラン 鬼女蘭
 日本(本州の関東地方以西、四国、九州)、朝鮮、台湾原産。中国名は假防己 jia fang ji
 つる性木、長さ1~3m。小枝と葉柄には若い時に微細な綿毛があり、無毛になる。葉は対生し、葉柄は長さ約6㎝。葉身は広卵形~円形、長さ6.5~15㎝×幅6~13㎝、厚い紙質、上面に光沢があり、基部は浅い心形~類切形、先は短く尖鋭形、まばらに綿毛があるか無毛。花序は散形花序状又は凝縮した円錐花序状、長さ5~7㎝、花が多数つく。花序柄は長さが葉柄の長さに近い。花柄は長さ1~1.5㎝。咢片は卵形、腺が5個ある。花冠は白色、類鐘形。花冠筒部は内側に綿毛がある。花冠裂片は長円形、約・長さ3㎜×幅2㎜、縁毛がある。副花冠は裂片が披針形、肉質、葯より短い。葯は±四角形。花粉塊は長円形。柱頭の頭部は円盤形、先は円錐形。袋果は紡錘形、約・長さ7㎝×幅2㎝、果皮は木質、無毛。種子は卵形、長さ約1㎝。種髪は長さ約1㎝。花期は8~9(11)月[Flora of Chinaでは4月]。

参考

1) Flora of China
  Marsdenia
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=119745
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Marsdenia
  http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331758-2
 Stephanotis
  http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30089192-2
3)GRIN
  Marsdenia
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=7294
4)Marsdenia floribunda in Global Plants on JSTOR
 Dregea floribunda E.Mey.=Marsdenia dregea (Harv.) Schltr.
 https://plants.jstor.org/compilation/marsdenia.floribunda