キブサスイセン 黄房水仙

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Flora of Mikawa

ヒガンバナ科 Amaryllidaceae スイセン属

別 名 グランドソレドール
英 名 Grand soleildor
学 名 Narcissus 'Grand Soleil d'Or'
Narcissus tazetta 'Grand Soleil d'Or'
キブサスイセンの花
キブサスイセンの外花被片
キブサスイセンの花裏
キブサスイセンの花序
キブサスイセンの苞
キブサスイセンの基部の鞘
キブサスイセン
キブサスイセン葉先
キブサスイセン葉表
キブサスイセン葉裏
花 期 12~2月
高 さ 30~45㎝
生活型 多年草
生育場所 園芸種
分 布 帰化種  地中海沿岸原産
撮 影 西尾市   17.1.15
タゼッタ系Tazetta Daffodilの園芸品種の花冠が黄色、副花冠が橙色の古からあるGrand Soleil D'Or(2n = 30) をキブサスイセンと呼んでいる。日本には大正時代に渡来し、よく栽培されている。ただし、新しい、類似品種も多い。キズイセン Narcissus jonquilla は葉が細い、別種である。写真のものは外花被片の先の微突起が明瞭であるが、花数が8個程度とやや少なく、類似種の可能性もある。
 1770年以前の古い園芸品種である。高さは普通30~45㎝、花は茎に10~20個、幅43㎜、鮮黄色。花被片は極広い卵形、色はbrilliant yellow又はvivid yellowより少し濃い色、花被片の先に長い白色の微突起(mucro)があり、平らに広がり、半分重なる。内花被片はほんのわずかに微突形、中間~基部まで鋭く狭くなり、縁は少し波打つ。副花冠(corona)は杯形(cup-shaped)、平滑、黄橙色、真っすぐかやや内側に曲がり、均一又はやや3角状、縁は全縁。芳香があり、これより大きい花の‘Soleil d’Or’に似ている。‘Soleil d’Or’は副花冠の色がもっと鮮やかである。2n =20, 30
 ●原種フサザキズイセン Narcissus tazetta subsp.tazetta 地中海沿岸西部からアフガニスタンにかけて広く分布する。球根は卵形、長さ4~6㎝、幅3~5㎝、薄皮は淡褐色~暗褐色。葉は4枚つき、葉身は平ら、長さ25~35㎝、幅8~15(20)㎜、粉白を帯びる。花序は散形花序 、花が5~15個つき、長さ25~35㎝。仏炎苞(spathe)は淡褐色、長さ4~6㎝、紙質。花は強い芳香があり、花被は幅2~4㎝。花被の筒は長さ1.5~2㎝、基部は次第に細くなる。花被片の分かれた部分は広がり、そり返り、白色~クリーム色、線状卵形~倒披針形、長さ1~2㎝、幅0.5~1㎝、先は鋭形。副花冠(coron)は黄色、杯形、長さ3~5㎜、幅5~10㎜、先は小円鋸歯縁~ひだ状縁。雄しべは6個、うち3個は短く、花被の筒に含まれ副花冠から突き出さず、上側につく3個は副花冠から突き出す。雌しべは1個、副花冠から突き出す。花柄は長さが様々で、長さ8㎝以下。2n=22。
 ※Narcissus aureus=Narcissus tazetta subsp. aureus.
 フランスやイタリアに分布し、タゼッタに花が似ていて、最近はタゼッタの亜種として分類される。花被片と副花冠が黄色。これとNarcissus bertolonii がよく知られた 'Soleil d'Or.' の原種ではないかともいわれる。
 ※Narcissus bertolonii =Narcissus tazetta subsp. aureus
  花被片に色がついたタゼッタである。花被片が黄色、副花冠は黄橙色(yellow-orange)。Narcissus aureusと同種とされ、The plant list ではNarcissus tazetta subsp. aureusの異名としている。Grand Soleil d'Orなどの黄色の花被片のタゼッタ系の園芸品種の原種と考えられている。

類似品種

 花被片が黄色、副花冠が橙色の房咲きの園芸品種も多数ある(アメリカスイセン協会)。

1 Soleil d'Or 8 Y-O 最初の開花 1731年以前 2n=20, 30
 高さ32.5~67.5㎝。花被片は黄色、副花冠はrich golden yellow又はオレンジ色。‘Grand Soleil d’Or’に似ているが花が大きく、副花冠の色が鮮やかでない。RHSでは8Y-Y又は8Y-Oといわれる。 Soleil d'OrはNarcissus tazetta subsp. aureus に由来する可能性が高いと考えられている。
2 Newton 8 Y-O 1875年
 高さ32.5㎝以下。花は茎に5~8個、幅46㎜。花被片は鋭形、vivid yellow、中肋でしわになる。副花冠は杯形、口は内曲し、強いうねがあり、黄橙色。強い芳香がある。‘Grand Soleil d’Or’に似ている。‘Grand Soleil d’Or’はわずかに花が大きく、花被片の色がわずかに暗い。 ‘Sir Isaac Newton’(高さ32.5~67.5㎝、1861年 )とおそらく同じものである。
3 Royal Connection 8 Y-O 1967年 雌(Matador) 雄(Grand Soleil d'Or)
 高さ32.5~67.5㎝。花は茎に4~7個、幅55㎜。花被片は非常に幅が広い卵形、先が鈍形又は円形、vivid yellow、明瞭な白色の微突起があり、反り返り、折り目があり、質が重く、半分重なる。内花被片は微突が少なく、広がり、内曲し、折り畳みが強く、しばしば、縁が中肋から折り返される。副花冠は椀形、ゆるくうねがあり、強オレンジ色(strong orange)、フリル状、縁は円鋸歯。色あせしない。強い芳香がある。開花が遅く、色が鮮やかな‘Hugh Town’に似ている。
4 Scilly Ruler  8 Y-O 1978年 雌(Matado)r 雄(Newton xAutumn Sol)
 高さ32.5~67.5㎝。花は茎に3~5個、丸く、幅50㎜。花被片は円く、非常に広く、切形、白色の微突起が明瞭、反り返り、平坦又はやや凹形、平滑、質が重く、半分重なる。内花被片はより広がり、折り目があり、縁が反曲する。副花冠は椀形、うねがあり、口部は広がり、浅裂し、縁は円鋸歯。やや短柄の ‘Royal Connection’に似る。
5 Falconet 8 Y-R 1979年 2n=24  雌 (Matador) x 雄(N. jonquilla)
 高さ32.5~67.5㎝。花は茎に3~5個、たまにそれ以上。幅40㎜。花被片はdeep yellow、重なる。副花冠は明るい橙赤色(bright orange-red)。小さなもっと明るい色の‘Hoopoe’.に似ている。
6 Scillonian Sunrise 8 Y-O 1980年 雌(Autumn Sol x Newton ) 雄(Matador)
 高さ32.5~67.5㎝。花は茎に5~8個、幅50㎜。花被片は非常に幅が広く、角があり、先が切形、brilliant yellow、明瞭な白色の微突起があり、広がり又はわずかに反り返り、平ら、平滑、質が重く、半分重なる。内花被片は卵形に近く、へら形、先が鈍形、微突起が不明瞭、よく広がり、縁は波状又は巻き込み状。副花冠は椀形(bowl-shaped)、ゆるいうねがあり、明オレンジ色(light orange)、口部は波状、縁は全縁又はたまに、刻み目がある。強い芳香がある。もっと早や咲きの‘Hugh Town’に似る。
7 Scilly Rock 8 Y-O 1980年 雌(Autumn Sol x Newton)、 雄(Matador)
 高さ32.5~67.5㎝。花は茎に4~6個。丸い、幅5㎜。花被片は非常に幅が広く、鈍形又は切形、brilliant greenish yellow、わずかに白色の微突起があり、広がり、凹面、平滑、質が重く、半分重なる。内花被片は折り目があり、縁は波状。副花冠は椀形、ゆるいうねがあり、やや三面があり、黄オレンジ色(yellow-orange)、口部は広がり、浅裂し、縁は全縁。強い芳香がある。
8 Scillonian Sunrise 8 Y-O 1980年 雌(Autumn Sol x Newton) x雄(Matador)
 高さ32.5~67.5㎝。花は茎に5~8個。幅50㎜。花被片は非常に幅が広く、四角ばり、ときに先が切形、brilliant yellow、明瞭な白色の微突起があり、広がり又はわずかに反り返り、平坦、平滑、質が重く、半分重なる。内花被片はより卵形に近く、へら形、先は鈍形、微突起はやや不明瞭、普通、より広がり、縁は波状又は巻き込む。副花冠は椀形、ゆるいうねがあり、明オレンジ色( light orange)、口部は波状、縁は全縁、たまに刻み目がある。強い芳香がある。わずかに早や咲きの‘Hugh Town’に似ている。
9 Innisidgen 8 Y-O 1982年 雌(French Sol) 雄(Autumn Sol)
 高さ32.5~67.5㎝。花は茎に9個。幅40㎜。花被片が6個以上あるものもある。花被片は広卵形又は円形状、鈍形、vivid yellow、淡オレンジ色を帯び、明瞭な白色の微突起があり、広がり、半分重なる。副花冠は杯形、ゆるいうねがあり、ひろがり、明オレンジ色(ight orange)~強いオレンジ色(strong orange)、口部は直線状、波状、ときに曲がった花被片により歪み、縁は全縁。
10 Martinette 8 Y-O 1985年以前 2n=21+ 3B 雌(Matador) x 雄(Narcissus jonquilla)
 高さ32.5~67.5㎝。花は茎に4~5個。花被片は非常に幅が広い卵形、鈍形ときに切形、lemon yellow、基部が淡オレンジ色を帯び、明瞭な白色の微突起があり、ひろがり、縁は内巻きし、1/3~半分重なる。内花被片は基部で肩が角張り、少し内曲し、縁はより深く内巻きする。副花冠は杯形、うねがあり、鮮オレンジ色( bright orange)、口部は波状、縁は全縁。
11 Avalanche of Gold 8 Y-Y 1986年 雌(Avalanche) 雄(Newton)
 高さ32.5~67.5㎝。花は茎に8~15個、幅42㎜。花被片は広卵形、淡黄色、わずかに折り目があり、深く重なる。副花冠は杯形、花被片より暗色、口部は真っすぐ。芳香がある。球根に茎が3~4本、出る。‘Avalanche’は花が早く、わずかに低が、似ている。
12 Scarlet Gem 8 Y-O 1910年以前 2n=17 
 高さ32.5~67.5㎝。花は茎に4~6個、花被片は非常に幅が広い卵形、鈍形、微突形、強プリムローズイエロー(rich primrose yellow)、内曲し、2/3重なる。内花被片は微突が少なく、ゆるく捻じれる。副花冠は浅く、広く、広がり、うねがあり、vivid orange、筒部で緑色がはっきり見え、少し、フリル状。芳香がある。
13 Hugh Town 8 Y-O 1974年 雌(Matador) 雄(Grand Soleil d'Or)
 花は茎に4~6個。丸く、幅50㎜。花被片は広卵形、vivid yellow、明白な帯白色の微突起があり、広がり、少し内曲し、折り目があり、縁が内巻きし、半分重なる。内花被片は縁が波状、ときに反り返る。副花冠は椀形、ゆるくうねがあり、強オレンジ色(strong orange)に成熟し、基部は緑色になり、フリル状。
14 Hoopoe 8 Y-O 1977年 2n=24+0_1B 雌(Matador) 雄(N. jonquilla)
 花は茎に2~3個。幅54㎜。花被片は広卵形、yellow、明白な白色の微突起があり、広がり、縁は内巻きし、1/3~半分重なる。内花被片は微突状。副花冠は椀形、狭く、平滑又は弱い尾根だけがあり、強オレンジ色より、鮮やか、口部はほとんど水平で縁は全縁。芳香がある。

参考

 the American Daffodil Society  http://daffseek.org/