キバナオドリコソウ 黄花踊子草

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae オドリコソウ属

中国名 花叶野芝麻 hua ye ye zhi ma , 斑叶野芝麻
英 名 yellow archangel
学 名 Lamium galeobdolon (L.) L.
Lamium galeobdolon (L.) L. 'Variegatum'
キバナオドリコソウの花2
キバナオドリコソウの花
キバナオドリコソウの茎
キバナオドリコソウの茎2
キバナオドリコソウ
キバナオドリコソウ仮輪
キバナオドリコソウの葉
花 期 4~6月
高 さ 15~60㎝
生活型 多年草
生育場所 栽培種
分 布 外来種 ヨーロッパ、西アジア(アゼルバイジャン、ジョージア、イラン、トルコ)原産
撮 影 吉良町 07.4.28
キバナオドリコソウはオドリコソウ属の園芸品種。葉に白色の斑入りの品種が世界中で栽培されている。
 多年草。±まばらに毛がある。茎は平伏~直立、高さ15~60㎝、通常、花後に匍匐枝を伸ばし始める。葉柄は長さ1~3㎝。葉身は長さ2~9㎝、卵形~±広卵形、縁は円鋸歯~通常粗い歯状、通常斑入りで、基部は切形~±心形、先は鋭形~尖鋭形。花序は頂生及び腋生、頭状花序状、±無柄、花が2~10個つく。咢は長さ7~10㎜、咢歯はほぼ等長、普通、尖鋭形。花冠は長さ14~25㎜、明るい黄色、±褐色の斑点があり、2唇形。上唇はフード状。下唇は3裂し、中裂片は側裂片より大きく、三角形、全縁、鋭形。花冠筒部は咢より長く、内部に毛が輪状につく。雄しべは稔性、普通、上唇に包まれる。葯は普通、毛がある。花柱は±等長に2裂する。小堅果は断面で三角形、先は切形。2n=18,36。花期は4~6月。
品種) 'Dark Angel' , 'Emil Tramposch , 'Florentinum' (v) , 'Hermann's Pride' , 'Jade Frost' , 'Kirkcudbright Dwarf' , 'Petit Point' , 'Purple Heart' , 'Silberteppich' , 'Silver Angel' , 'Silver Carpet' , 'Silver Spangled' , 'Variegatum'

オドリコソウ属

  family Lamiaceae - genus Lamium

 1年草又は多年草。茎葉は葉身が円形~腎形~卵状披針形、縁は粗い円鋸歯~歯状鋸歯。輪散花序は花が4~14個。花葉(floral leave)似ていて、輪散花序の長さより長い。苞は±線形、早落性。咢は筒状鐘形~鐘形、5又は10脈があり、外側は±毛があり、のど部はわずかに斜め又は標準。咢歯は5個、ほぼ等長、錐形、筒部の長さと同長又は長い。花冠は紫赤色~帯赤色~汚白色、2唇形、咢の長さの2(~)倍、外側に毛がある。花冠筒部は真っすぐ又は内側に曲がり円筒形又は環状の毛(annulus)の上で広くなり、類袋状、上唇は直立、長円形、円形又は凹形、±かぶと形(galeate)。下唇は広がり、3裂する。中裂片は倒心形、凹形又は2裂する。側裂片は半円形、縁には円鋸歯又は歯がある。雄しべは4本、毛があり、前2本は長く、上唇の下で斜上する。葯は2室、散開する。子房の裂片は先が切形、無毛またはこぶがあり、ときに縁が膜質。花柱は先がほぼ等しく、2分岐する。
 世界に約40種があり、アフリカ、アジア、ヨーロッパに分布し、北アメリカに帰化している。

オドリコソウ属の主な種と園芸品種

1 Lamium album L. var. album  タイリクオドリコソウ 大陸踊子草
 日本、中国、モンゴル、ロシア、インド、カザフスタン、キルギスタン、タジキスタン、トルクメニスタン、ウズベキスタン、南西アジア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は短柄野芝麻 duan bing ye zhi ma 。英名はwhite nettle , white dead-nettle。
 多年草。茎は高さ30~60㎝、剛毛があるかほぼ無毛。根生葉は小さい。上部の葉は葉柄が長さ1~6㎝。上部の葉の葉身は卵形~卵状披針形、長さ2.5~6㎝×幅1.5~4㎝、下面はまばらに微細な伏せた剛毛があり、とくに縁付近に多く、基部は心形、縁は歯状鋸歯、先は鋭形~尾状尖鋭形。輪散花序は花が8~9個、花葉は茎葉に似るが、ほぼ無柄。苞は線形、咢の長さの約1/6。咢は鐘形、、長さ9~13㎜×幅2~3㎜、基部はときに、紫赤色、まばらに剛毛があり、微細な剛毛がある。咢歯は披針形、筒部の長さと同長、芒があり、縁毛がある。花冠は帯黄色又は汚白色、長さ2~2.5㎝。花冠筒部は少なくとも咢の長さと同長、直径2~2.5㎜、軟毛があり、内側に環状に毛があり、のど部は広がる。上唇は倒卵形、長さ7~10㎜×幅6㎜、鈍頭。下唇は長さ1~1.2㎝、中裂片は長さ4~6㎜×幅3~4㎜、倒腎形、縁毛がある。側裂片は円形、長さ約2㎜、縁に長さ約1㎜の錐形の歯をもつ。葯は黒紫色、絨毛がある。小堅果は暗灰色、狭卵形、3稜形、長さ3~3.5㎜×幅1.5~1.7㎜、無毛、こぶがある。花期は7~9月。果期は8~10月。
品種) 'Ashfield Variegated' (v) , 'Aureovariegatum' , 'Brightstone Gem' (v) , 'Dunkirk' , 'Friday' (v) , 'Golden Halo' , 'Goldflake' (v) , 'Pale Peril'

1-1 Lamium album subsp. barbatum (Siebold & Zucc.) Mennema  オドリコソウ 踊子草
   synonum Lamium album L. var. barbatum (Siebold et Zucc.) Franch. et Sav.
   synonum Lamium barbatum Siebold et Zucc.
   synonum Lamium barbatum var. hirsutum C.Y.Wu & S.J.Hsuan
 北海道、本州、四国、九州、朝鮮、中国、ロシアに分布。半日陰の山野、道端に生える。
 多年草。高さ30~50㎝。茎は4稜形、中空、しばしば紫褐色を帯び、茎稜には下向きの毛がまばらに生える。葉は十字対生し、長い柄がつき、長さ5~10㎝。葉表に白毛がある。葉裏の脈付近には白色の長毛とごく柄の短い腺毛があり、葉柄に続き、面上にも細かな腺点(小さすぎて柄が見えない)がある。若芽が食用となるが、芳香ではなく、やや不快臭。上部の葉腋に2~3個(まれに1個)の集散花序が集まる仮輪をつけ。花は1個の集散花序に普通、5~7個つく。集散花序の基部には4~5個程度の披針形の不揃いの苞がある。花は長さ3~4㎝の白色~淡紅白色の唇形。花冠は筒部が湾曲し、上唇は曲がって上部は丸くなり、白毛を密生する。下唇は側裂片が小さく、刺状、大きい中央裂片は先が2裂し、裂片には白毛と腺毛がある。萼は10脈があり、5中裂し、咢片は咢筒より短く、細長く尖り、縁付近に白毛と腺毛が多い。萼筒の根元の下面に黒色の班紋がある。雄しべは4個、外側の2個がやや長く、花糸に短腺毛があり、白毛が散生する。葯は黒色、4個が並び、周囲に白毛が密生し、縦に裂開して黄色の花粉を出す。雌しべの花柱は先端が2裂し、先が尖り、雄しべとほぼ同長、先が雄しべの葯の間にあり、見えにくい。果実は4分離果(シソ科の特徴)。小堅果は長さ3~3.5㎜、3稜があり、種沈がつく。2n=18。花期は4~5月。
1-2 Lamium album L. var. kitadakense N.Yonez.  キタダケオドリコソウ 北岳踊子草
 本州の北岳固有変種。
 高さ30~50㎝。オドリコソウに似ているが、植物体が紫色を帯びず、花がやや大きく、長さ3~4㎝、淡黄色花期が7~8月。
1-3 Lamium album L. var. takeshimense (Nakai) Kudo   タケシマオドリコソウ

2 Lamium amplexicaule L.  ホトケノザ 仏の座
 北海道を除く日本全土、中国、ロシア、西アジア、中央アジア、ヨーロッパ原産。北アメリカに帰化。英名はhenbit , henbit dead-nettle , henbit , lamier amplexicaule 。中国名は 宝盖草 bao gai cao 。別名はサンガイグサ 三階草。花期が長く、普通は春と言われているが三河地方では秋にも普通に群生している。
 1年草(越年草)。夏に見かけることもままある。茎は4稜形、下向きの毛があり、基部で分枝し、直立する。葉は長さ1~2㎝の扇形、対生して段々につき、別名、三階草とも呼ばれる。葉は両面に白毛がある。上部の葉には柄がなく、下部の葉には長い柄がある。頭頂部付近の葉腋に3~6個の花の仮輪をつける。苞は茎を抱き、無柄、普通、幅が長さより広い。花冠は2唇形、下唇は3裂し、大きな中央の裂片はさらに2裂する。この大きな下唇がハナバチ類の目印になり、蜜を吸う足場になる。花冠は咢よりかなり長く、普通、上唇及び筒部背面が紅紫色で、下唇は長さ1.5~2.5㎜、白色。全体に赤味が強く、下唇も赤味を帯びるものもある。花の頭部には赤色の毛が密生する。萼は長さ5~7㎜、筒形、先が5裂して鋭く尖り、白毛が密生し、腺点がまばらにある。果実は4分離果。小堅果は長い倒卵形、背側わずかに凸面、腹側の2面は平らで屋根状、目立つうねがあり、長さ2~2.2㎜×幅0.9~1.1㎜、表面は不規則な帯白色の突起で覆われ、鈍い、灰褐色、基部に種沈がつく。秋に閉鎖花をつけることもある。2n=18。花期は10~6月。
2-1 Lamium amplexicaule L. f. albiflorum D.M.Moore  シロバナホトケノザ
 花が完全に白色のもの

3 Lamium bifidum Cirillo
 地中海沿岸地域(イタリア、サルジニア島、シチリア島、コルシカ、クロアチア南部、ギリシャ、クレタ島、スペイン、ポルトガル、アルジェリア、ブルガリア、ルーマニア、ユーゴスラビア、チュニジア)原産。
 1年草、無毛又は軟毛がある。茎は高さ10~40㎝。葉は葉柄があり、葉身は縁に深い欠刻状の歯があり、三角形、先は尖鋭形、緑色。小苞は線形。咢は斜め、毛があり、咢歯は広がり、咢筒よりわずかに短い。花冠は白色、長さ20~25㎜。花冠筒部は小さく真っすぐ、咢の長さの3~4倍。上唇は2裂、裂片は広がり、倒卵形。小堅果は倒卵形、3稜形、背側は凸面、腹側は屋根状、両面とも平ら、先は切形、長さ2.5~3㎜×幅1.3~1.5㎜、面は密に帯白色のいぼがあり、かすかに光沢があり、灰色。花期は3~6月。

4 Lamium galeobdolon (L.) L.  キバナオドリコソウ 黄花踊子草
   synonum Galeobdolon luteum Huds
   synonum Galeopsis galeobdolon L
   synonum  Lamium galeobdolon (L.) Crantz;
 ヨーロッパ、西アジア(アゼルバイジャン、ジョージア、イラン、トルコ)原産。英名はyellow archangel 。林や日陰の野原に生える。
 多年草。±まばらに毛がある。茎は平伏~直立、高さ15~60㎝、通常、花後に匍匐枝を伸ばし始める。葉柄は長さ1~3㎝。葉身は長さ2~9㎝、卵形~±広卵形、縁は円鋸歯~通常粗い歯状、通常斑入りで、基部は切形~±心形、先は鋭形~尖鋭形。花序は頂生及び腋生、頭状花序状、±無柄、花が2~10個つく。咢は長さ7~10㎜、咢歯はほぼ等長、普通、尖鋭形。花冠は長さ14~25㎜、明るい黄色、±褐色の斑点があり、2唇形。上唇はフード状。下唇は3裂し、中裂片は側裂片より大きく、三角形、全縁、鋭形。花冠筒部は咢より長く、内部に毛が輪状につく。雄しべは稔性、普通、上唇に包まれる。葯は普通、毛がある。花柱は±等長に2裂する。小堅果は断面で三角形、先は切形。2n=18,36。花期は4~6月。
品種) 'Dark Angel' , 'Emil Tramposch , 'Florentinum' (v) , 'Hermann's Pride' , 'Jade Frost' , 'Kirkcudbright Dwarf' , 'Petit Point' , 'Purple Heart' , 'Silberteppich' , 'Silver Angel' , 'Silver Carpet' , 'Silver Spangled' , 'Variegatum'
4-1 Lamium galeobdolon subsp. montanum (Pers.) Hayek
   synonum Lamium montanum (Pers.) Hoffm. ex Kabath
品種)  'Canfold Wood' , 'Florentinum'

5 Lamium garganicum L.
   synonum Lamium striatum Sibth. & Sm.
 西アジア、ヨーロッパ原産。山地に生える。
 多年草、様々に変化し、叢生~マット状に広がり、高さ10~45(~50)㎝、密に毛がある。葉は広卵形~腎形、長さ5~50㎜(~70)㎜×40㎜以下、縁は円鋸歯~鋸歯、多少、無毛~軟毛がある。花は上部の葉腋に1~5個、束生し、長さ2.2~4㎝、紫ピンク色~白色。小堅果は倒卵形、背側が凸面、両腹面は平ら、屋根形、先は切形、底部は狭く、長さ2.5~3㎜×幅1.5~1.7㎜、帯白色のいぼ状、光沢が無く、灰色。2n=18..花期は夏。
品種) 'Golden Carpet' (v)

6 Lamium maculatum L.  ツルオドリコソウ 蔓踊子草
   synonum Lamium foliosum Crantz
 中国、ロシア、南西アジア、ヨーロッパ、北アメリカ原産。中国名は紫花野芝麻 zi hua ye zhi ma 英名はspotted dead nettle , deadnettle
 多年草、茎は高さ15~70㎝、まばらに白色の軟毛があり、中空。葉柄は細く、長さ1.5~3㎝。茎葉は葉身が長さ2.5~5㎜×幅1.5~3㎝、草質、伏した小剛毛があり、下面に腺点があり、基部は類切形~広楔形、縁は粗い内巻の鋸歯があり、先は尾状尖鋭形。輪散花序は花が8~12個。苞は線形、長さ2~3㎜、縁毛がある。咢は鐘形、約長さ1㎝×幅3.5㎜、5うねがあり、粗毛のある脈を除いて無毛。咢歯はほぼ等長、真っすぐ又は広がり、線状披針形、長さ5~6㎜、縁毛があり、先は長い芒がある。花冠は紫色、長さ1.8~2.5㎝。筒部は基部で幅約2㎜、外側に長軟毛があり、上唇の上は毛が濃く、内側に毛の輪と微軟毛がある。上唇は真っすぐ、長円形、長さ約7㎜、基部は狭く、わずかに曲がり、縁は波打つ。下唇の側裂片は浅い半円形、縁に1~1.5㎜の1個の歯をもつ。葯は暗紫色。子房裂片は無毛、先の縁が膜質。小堅果は倒卵形、背側はわずかに凸面、腹側は平らで屋根状、うねをもち、上部は切形、下部は狭くなり、長さ2.9~3.5㎜×幅1.6~1.8㎜、面はいぼがあり、鈍く、褐色。2n=18。花期は7~8月。
品種) 'Album' , 'Anne Greenaway' (v) , 'Annecy' , 'Aureum' , 'Beacon Silver' , 'Beedham's White' , 'Brightstone Pearl' , 'Brocade' , 'Cannon's Gold' , 'Changeling' (v) , 'Checkin' (PBR) , 'Chequers' , 'Chequers' Bloom , 'Chequers Board' , 'Cosmopolitan' , 'Dellam' (PBR) , 'Dingle Candy' , 'Edinburgh Broadstripes' , 'Elaine Franks' , 'Elisabeth de Haas' (v) , 'Forncett Lustre' , 'Forncett White Lustre' , 'Friday' , 'Ghost' , 'Gold Leaf' , Golden Anniversary = 'Dellam' (PBR) (v) , 'Golden Nuggets' , 'Golden Wedding' , 'Hatfield' , 'Ickwell Beauty' (v) , 'Immaculate' , 'James Boyd Parselle' , L. 'Chequers' ambig. , Lami Mega Purple (Lami Series) , 'Lemon Frost' , 'Margery Fish' , 'Moonglow' , 'Orchid Frost' , 'Peck's Pink' , Pink Chablis = 'Checkin' (PBR) , 'Pink Nancy' , 'Pink Pearls' , 'Pink Pewter' , Purple Chablis™ , 'Purple Dragon' , 'Purple Winter' , 'Red Nancy' , 'Roseum' , 'Salmoneum' , 'Shell Pink' , 'Silver Dollar' , 'Silver Shield' , 'Sterling Silver' , 'White Nancy' , 'Wild White' , 'Wootton Pink'

7 Lamium orvala L. ラミウム・オルバラ
   synonum Lamium grandiflorum Salisb.
   synonum Lamium pannonicum Scop.
   synonum Lamium phalacranthera St.-Lag.
   synonum Lamium wettsteinii Rech.
   synonum Orvala garganica L.
   synonum Orvala lamioides DC.
 ヨーロッパ原産。英名はbalm-leaved archangel , balm-leaved red deadnettle
  多年草、基茎は斜上、基部で分枝し、高さ10~100㎝。伏した粗毛がある。葉は互生し、葉柄は長さ5~10㎝。葉身は長さ15㎝以下、三角状卵形、基部は心形、先は鋭形、縁は不規則な細かい鋸歯又は歯があり、微細な白色の毛で覆われ、脈が目立ち、キルティング風に見える。葉は典型的な緑一色だが、ときに野生で中肋に銀色の筋の葉をもつものがある。あまりに乾燥すると夏の終わりに黄色で斑点に変わる。上部の葉腋に花が輪生する。花は2唇形、ピンク色~紫色、ビロード状。上唇はフード状、白色の毛の縁飾りがある。下唇はフレアーがあり、ひだ飾りがあり、面白い斑点模様がある。小堅果は倒卵形、側部はわずかに扁平、明瞭な円形又は楕円形のへそがあり、長さ2.8~3.2㎜×幅1.9~2.2㎜、表面に細かい顆粒があり、光沢があり、褐色。2n=18。
品種) 'Album' , 'Rubrum' , 'Silva

8 Lamium purpureum L. ヒメオドリコソウ  姫踊子草
 ヨーロッパ、北アフリカ、西アジア原産。英名はpurple dead-nettle , red dead-nettle, red archangel。明治中頃に日本に渡来した。 道端や草地に生える。
 1年草。高さ10~45㎝。茎は基部で分枝し、四角形で、しばしば紫色を帯び、下向きの白毛が生える。暖かい場所では冬にも花が見られる。葉は長さ1~5㎝、三角状卵形、鈍頭、基部は心形、縁は規則的な円鋸歯(やや不規則)~円鋸歯状鋸歯、脈が深く、花期に赤紫色を帯び、有柄。葉裏は軟毛が密生してやや白く、腺点がある。苞は葉に似るが、基部が円形又は切形、有柄又は上部ではほぼ無柄。花序はかなり密。咢は長さ5~7㎜、筒状鐘形、軟毛がある。咢歯は5個、咢筒の長さとほぼ同長、果時に広がり、裂片の先がとがり、裂片の先に延びるように脈が隆起し、脈の一部が紫褐色になる。花冠は長さ10~15㎜、ピンク紫色、花冠の下唇は長さ1.5~2.5㎜、花冠筒部は咢より長く、基部近くに毛の輪をもつ。雄しべ4個。花粉は橙色。花柱は先が2裂する。小堅果は約長さ2.3㎜×幅1.3㎜、3稜があり、頭部はほぼ平ら、平滑、オリーブ色~褐灰色、しばしば、白色の斑点があり、基部に大きな種沈がつく。2n=18。花期は3~10月。

8-1 Lamium purpureum L. f. albiflorum Goiran  シロバナヒメオドリコソウ
 白花品種。
8-2 Lamium purpureum L. var. hybridum (Vill.) Vill. モミジバヒメオドリコソウ 紅葉姫踊子草
   synonum  Lamium hybridum Vill.
   synonum Lamium purpureum var. incisum (Willd.) Pers.
   synonum Lamium dissectum With.
 ヨーロッパ、北アフリカ原産。英名はcut-leaved deadnettle , hybrid deadnettle。別名はキレハヒメオドリコソウ。ヨーロッパで普通に見られ、アメリカなどに帰化している。Lamium bifidum Cirilloと Lamium purpureum(ヒメオドリコソウ)の交雑起源とされていたが、ホトケノザとヒメオドリコソウの交雑起源といわれている。
 1992年に初めて横浜市で確認され、現在では関東から九州に帰化している。三河地域にもかなり見られるようになっており、蒲郡市、岡崎市、幸田町、豊田市で確認している。特に幸田町、岡崎市などでは多く、大群生が見られ、ヒメオドリコソウより多くなっているところも多い。
 1年草(越年草 winter annual)、高さ10~30㎝。不快な匂いがある。わずかに毛があり、茎は4稜形、斜上する。葉柄は細く、長さ4㎝以下。葉身は長さ1.5~4㎝×幅2~5㎝(花葉はしばしば小さい)、広卵形~ほとんど腎形、不規則な深い歯(欠刻状の歯状)又は円鋸歯があり、毛があり、基部は心形又は類心形。苞は葉に似るが、葉柄が短く、葉身は長さ3.5㎝×幅5㎝以下、基部が切形、葉柄に沿下する。咢は長さ8~10㎜、白毛と腺点があり、咢歯は咢筒と同長、錐形、明瞭な縁毛があり、咢片の先が尖り、咢片の先に延びるように脈が隆起し、脈の一部が紫褐色になる。花冠は長さ10~15㎜、淡紅色(ピンク色)、蕾もピンク色、花冠筒部は内側にほとんど不明瞭な毛の輪をもつ。花冠に濃色の斑紋があるものと不明瞭なものがある。上唇は長さ3~4㎜、外側に開出する直軟毛がある。下唇は長さ約2㎜、深く凹形。果実は4分離果、上から見ると十字に4個に分かれる。小堅果は倒卵形、背側はわずかに凸面、両腹側は平らで屋根形、角(かど)が鋭く、基部は狭く膜状、長さ2.1~2.4㎜×幅1.1~1.3㎜、帯白色の斑紋(いぼ)があり、光沢が鈍く、灰褐色、基部に種沈がつく。。2n=36。花期は11~7月。6月末でも花が満開の場所もあるほどである。
 ヒメオドリコソウは明治中頃に渡来し、どこでも見られるようになっているが、これによく似て葉の鋸歯が深く切れ込むものである。葉の色はヒメオドリコソウほど紫色が強くなく、ホトケノザと同じような色をしている。ホトケノザより花が短く、ヒメオドリコソウより花が長く、中間の形態をしている。花は下唇の形がホトケノザとやや異なり、花の色もうすく、ツボミがピンク色である。花色は淡紅色が普通であり、淡青色のものも見られる。

8-3 Lamium purpureum var. moluccellifolium Schumach.
   synonum  Lamium moluccellifolium Fries.
   synonum Lamium intermedium Fries.
 ヨーロッパ原産。英名はnorthern dead-nettle。
 1年草、高さ40㎝以下、ホトケノザより丈夫、綿毛がある。葉はやや三角形状の丸味のある卵形、縁には切れ込み又は鋸歯がある。苞は抱茎でなく、最下部の苞に短柄がある。花は花冠が長さ15㎜以下。花冠筒部は基部近くで急にくびれない。下唇は長さ約4㎜。咢は花時に長さ8~12㎜、伏毛があり、咢歯は普通、咢筒より長く、果時に広がる。小堅果は倒三角形、背側は凸面、腹側は屋根状、先は切形、底部は狭く、基部に橙色のカルンクラ(curncula)がつき、長さ2~2.8㎜×幅1.1~1.3㎜、表面は、こぶがあり、わずかに光沢があり、帯灰色。2n=36。Lamium amplexicaule(ホトケノザ)とLamium purpureum(ヒメオドリコソウ)のハイブリッド起源とされている。花期は5~9月。

9 ハイブリッド
(1) Lamium × Stachys, 'Lilac Falls'
(2) その他
品種)  'Ickwell Beauty' , 'Lambrook Silver' , Lami Blush (Lami Series) , Lami Dark Purple (Lami Series) , Lami Pink (Lami Series) , 'Marshmallow' , 'Mega Purple' , 'Silberlicht' , 'Wisley White'

参考

1) Flora of China
 Lamium  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=117535
2) GRIN
 Lamium  
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=6490
3)Alpine Garden Society
 Lamium garganicum  
http://encyclopaedia.alpinegardensociety.net/plants/Lamium/garganicum
4) The Jepson Herbarium
  Lamiastrum galeobdolon  
https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display_N.php?tid=30148
5)Plants of the World Online | Kew Science
 Lamium  
http://plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:325936-2
6)Atlas of Seeds and Fruits of Central and East-European Flora: The Carpathian ...
 Lamium garganicum p571  
https://books.google.co.jp/books?id=QSMe0qHGVaAC&pg=PA571&lpg=PA571&dq=Lamium+garganicum+flora&source=bl&ots=0rUnvkC3V6&sig=ACfU3U2a_0oKZo3DUV-6mKw1ZdU02EHWFg&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwiSj7ubmenoAhVFyosBHXzgB5kQ6AEwDnoECAwQNw#v=onepage&q=Lamium%20garganicum%20flora&f=false
7) Flora of the British Isles
 17. Lamium p413-414  
https://books.google.co.jp/books?id=GVs4AAAAIAAJ&pg=PA413&lpg=PA413&dq=Lamium+moluccellifolium+flora&source=bl&ots=0XRoJ6dbr2&sig=ACfU3U3YBj6pMpHV2pvYHBWkhVJzj-Hcjw&hl=ja&sa=X&ved=2ahUKEwiw6o_S0enoAhUtyIsBHYcuAnoQ6AEwEnoECAoQUA#v=onepage&q=Lamium%20moluccellifolium%20flora&f=false
8)NatureGate
 Cut-leaved Dead-nettle  
http://www.luontoportti.com/suomi/en/kukkakasvit/cut-leaved-dead-nettle
9)Flora of New Zealand
 Lamium purpureum var. hybridum (Vill.) Vill.  
http://www.nzflora.info/factsheet/Taxon/Lamium-purpureum-var-hybridum.html