カキドオシ 垣通し

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Flora of Mikawa

シソ科 Lamiaceae  カキドオシ属

別 名 カントリソウ 癇取草
中国名 日本活血丹 ri ben huo xue dan
英 名 ground-ivy
学 名 Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) Hara
Glechoma grandis (A. Gray) Kuprianova
カキドオシの花序
カキドオシの花
カキドオシの花
カキドオシの花
カキドオシの蕾
カキドオシの花柄
カキドオシ
カキドオシ花横、萼
カキドオシの葉
花 期 4~5月
高 さ 5~25㎝
生活型 多年草
生育場所 道端、野原
分 布 在来種、北海道、本州、四国、九州、中国、台湾
撮 影 豊田市 05.5.1
道端や草むらで普通に見られる。和名は花期の後、茎が垣根をとおって伸びることに、別名は子供の癇を取る薬になることからといわれている。茎や葉をもむといい香りがする。
 茎は下向きの毛が散生し、匍匐又は斜上し、走出枝を出す。葉は対生し、長さ約2㎝、幅約2.5㎝の円形、基部は心形、縁に先の丸い鋸歯があり、白毛が密生する長い葉柄がある。葉裏には腺点がある。花は唇形花、仮輪に1~3個つく。花冠は2唇形、長さ15~20㎜、色は淡青色~紅紫色と変化が多い。上唇は直立し、凹頭、切れ込みはやや不規則。下唇は3裂し、中央裂片が大きく、基部に白毛がある。花冠の下側に濃紫色の班紋があるが、班紋の濃さは変化がある。雄しべ4個。果実は4分果。分果は長さ約2㎜の惰円形。2n=36。

カキドオシ属

  family  Lamiaceae- genus  Glechoma

 多年草、匍匐茎を出し、雌花両性花異株(gynodioecious)又は雌花両性花同株(gynomonoecious)。茎は斜上又は平伏。葉は葉柄が長く、基部は心形。輪散花序は腋生、花が2~6(~多数)個つく。咢は筒形~鐘形、のど部近くでわずかに曲がり、15脈があり、不明瞭な2唇形。外側の唇は3歯があり、内側の唇は2歯がある。花冠は筒形、先で広がり、2唇形。内側の唇は真っすぐ、凹形又は2裂。外側の唇は広がり、3裂する。雄しべは4本、前側の2本は外側の唇の側裂片の下につく。後ろ側の2本は内側の唇の下ののど部近くにつく。花糸は無毛、雌花では発達しない。葯室は長円形、平行又は散開する。子房は無毛、花柱は細く、先はほぼ等しく2裂する。小堅果は暗褐色、長円状卵形、平滑又は凹んだ細点があり、無毛。
 世界に約8種があり、アジア、ヨーロッパに分布し、北アメリカや南アメリカで栽培されている。

カキドオシ属の主な種と園芸品種

1 Glechoma hederacea L.
1-1 Glechoma hederacea L. subsp. hederacea  セイヨウカキドオシ 西洋垣通し
 中国、ロシア、ヨーロッパ原産。中国名は欧活血丹 ou huo xue dan 英名はground ivy。
 茎は高さ10~17㎝、斜上し、基部は紫色を帯び、ほぼ無毛、節には後ろ向きの剛毛がある。根生葉の葉柄は長さ3.5~4㎝、上部の葉柄は長さ0.8~1.8㎝、まばらに、後ろ向きの微細な鈎のある毛をもつ。上部の葉身は根生葉より大きく、腎形~腎形状円形、長さ0.8~1.3㎝×幅約2㎝、下面の脈に後ろ向きの剛毛がまばらにある以外は無毛、縁は±粗い円鋸歯があり、先は円形。集散花序は花が2~4個つき、輪散花序になる。苞と小苞は錐形、長さ約1㎜。咢は筒形、先がわずかに曲がり、長さ5~7㎜、微細剛毛がある。咢歯は卵形、長さ約1㎜、先は鋭形、縁毛がある。花冠は紫色、長さ約1㎝、微細剛毛がある。花冠筒部は長さ約7.5㎜、真っすぐ、漏斗形。上唇は真っすぐ、長さ約3㎜、2裂し、裂片は長円形。下唇は斜めに広がり、長さ約4㎜、中裂片は扇形、先は凹形、側裂片は卵形。小堅果は不明。花期は5月。
品種) 'Barry Yinger Variegated' (v) , 'Dappled Light' , 'Little Crown' (v) , 'Rapunzel' (v) , 'Rosea' , 'Spot Check' (v) , 'Variegata' (v)

1-1 Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara  カキドオシ 垣通し
  synonym Glechoma grandis (A.Gray) Kuprian.
  synonym Glechoma hederacea L. var. grandis (A.Gray) Kudo
 日本、中国、台湾原産。中国名は日本活血丹 ri ben huo xue dan 。
 茎は束生し、高さ約20㎝、直立、平伏し、基部は帯紫色、軟毛がある。根生葉の葉柄は長さ3~4.5㎜、粗毛があり、上部の葉柄は長さ2~3.5㎝、長軟毛がある。葉身は腎形、長さ1.5~2㎝×幅2~3㎝、草質、上面に剛毛があり、 下面は脈上に長軟毛があり、縁は円鋸歯、先は円形。輪散花序には花が2(~4)個つく。苞と小苞は線状錐形、長さ約2㎜、縁毛がある。咢筒は先でわずかに広がり、長さ7~10㎜、絨毛がある。咢歯は卵形、長さ1.5~2㎜、先は針状。花冠は帯紫色、真っすぐ、漏斗形、長さ1.5~2㎝、外側に絨毛があり、のど部の内側に長軟毛がある。内側の唇は真っすぐ、裂片はほぼ円形。下唇は直立、中裂片は幅が広く、扇形、先は凹形、側裂片は卵形、上唇の長さと同長。小堅果は基部がわずかに3稜形、先は丸い。花期は4~5月。果期は6月。
1-1-1 Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara f. albovariegata H.Hara  フイリカキドオシ
1-1-2 Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara f. nivea Hiyama  シロバナカキドオシ

2 Glechoma longituba (Nakai) Kuprian  コウライカキドオシ 高麗垣通し
  synonym Glechoma hederacea L. subsp. grandis (A.Gray) H.Hara var. longituba Nakai
  synonym Glechoma grandis (A.Gray) Kuprian. var. longituba (Nakai) Kitag.
 朝鮮、中国、ロシア(、ベトナム)原産。中国名は活血丹 huo xue dan。
 茎は高さ10~20(~30)㎝、斜上し、基部は紫赤色になり、若い部分にはまばらに絨毛がある。葉柄は葉身の長さの1~2倍。根生葉の葉身は小さく、心形~ほぼ腎形。上部の葉身は心形、長さ1.8~2.6㎝×幅2~3㎝、上面にはまばらに剛毛又は微軟毛があり、下面は帯紫色、脈に長軟毛又は粗毛があり、縁は粗い円鋸歯又は鋸歯状円鋸歯があり、先は鋭形~鈍形。輪散花序には花が2(~6)個つく。苞と小苞は線形、長さ4㎜以下、縁毛がある。咢は筒形、長さ0.9~1.1㎝、絨毛があり、特に脈に多い。咢歯は卵状三角形、長さ3~5㎜、先に芒があり、縁毛があり、内側の咢歯は長い。花冠は青色~紫色、下唇に暗色の斑点があり、筒状鐘形、筒部の長い花冠は長さ1.7~2.2㎝、筒部の短い花冠は長さ1~1.4㎝、±絨毛があり、微軟毛がある。上唇は真っすぐ、2裂し、裂片はほぼ腎形。下唇は長く、斜めに広がり、中裂片は腎形、上唇の長さの2~3倍、先は凹形、側裂片は長円形、中裂片の長さの約1/2。小堅果は約長さ1.5㎜×幅1㎜、基部は±3稜形、先は丸い。花期は4~5月。果期は5~6月。

参考

1) Flora of China
 Glechoma
 http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=113621
2)Kew Science
 Glechoma
 http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:331625-2
3)GRIN
 Glechoma
 http://tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=4983