ジュズダマ 数珠玉

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Flora of Mikawa

イネ科 Poaceae ジュズダマ属

別 名 トウムギ 唐麦
英 名 gromwell reed , Job's Tears
中国名] 薏苡 yi yi
学 名 Coix lacryma-jobi L.
ジュズダマの開花初期の花柱
ジュズダマの雄花の蕾
ジュズダマの雄花の開花
ジュズダマの実
ジュズダマ
ジュズダマ葉
ジュズダマ葉縁
花 期 6~10月
高 さ 1~3m
生活型 多年草、1年草(寒冷地)
生育場所 小川、湿地の谷、湿った畑、民家のそば
分 布 帰化種  中国、台湾、インド、ネパール、スリランカ、ラオス、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム、ニューギニア原産
撮 影 豊橋市 06.9.10
多年草または1年草(寒冷地)。 稈は叢生し、直立し、スポンジ状の髄があり丈夫で、高さ1~3m、10節以上あり、枝分かれする。葉は茎葉。葉鞘は平滑、節間より短く、無毛。葉身は線状披針形、普通、無毛、長さ10~40(60)㎝×幅1.5~7㎝、中脈は白色で目立ち丈夫、基部はほぼ円形または心形、縁はザラつき、先は鋭形。葉舌は切形、長さ0.6~1.2mm。花序は茎の上部の葉腋に直立して散状につく。雄の総状花序(総)は長さ1.5~4㎝、小穂は対につき、頂部は3個組。胞果(総苞)はビーズ状、卵形、骨質、光沢があり、嘴はなく、長さ7~11㎜×幅6~10㎜、白色、帯青色、または灰褐色、頂端に嘴はない。雄の小穂は長円状卵形、長さ6~9㎜。苞穎は多数の脈があり、第1苞穎は竜骨の上に翼があり、翼は幅0.4~0.8㎜、翼の縁に繊毛がある。葯は長さ4~5㎜。花期および果期は6~10月。2n=20。
 ハトムギ var. ma-yuen (Roman.) Stapf は食用や薬用に栽培されている変種。花序が垂れ下がり、花柱が胞果(総苞葉)の外に長く出る。胞果に縦溝があり、あまり硬くならず、胞果(ジュズダマ)がやや長く、長さ8~12㎜、褐色。

ジュズダマ属

  family Poaceae - genus Coix

 一年草または多年草。稈は丈夫で、直立または傾伏し、ときに浮き、普通、固い。葉は茎葉、葉身は大きく、普通、幅が広く、平ら。葉舌は膜質。花序は多数、上部の葉腋に束生し、それぞれの花序は葉鞘から変化した総苞小仏炎苞(involucral spatheole:総苞(葉)ともいわれる)が球形または細長い、骨質またはときにはより柔らかく形を変えた胞果(utricle:総苞(葉)、苞鞘ともいわれる)に包まれる。花序は腋生、2(3)個の総(rames:総状花序ともいわれる)からなり、1個の雌性の無柄の総(rames)は胞果に包まれ、他の1(2)個の花序柄のある雄性の総(rames)は低出葉(prophyll)が基部につき、胞果の頂孔から突き出る。雌の総は3小穂をもち、1個は無柄の小穂、他は2個の小梗があり未発達、ときに退化した小穂をつける。雌性の小穂は第1苞穎が広く、小穂をたたみ込み、膜質で軟骨性の嘴がある。第2苞穎(upper glume)は狭く、竜骨がある。下側の小花は広い透明な護穎に退化する。上側の小花は透明な護穎と内穎をもつ。鱗被は無い。柱頭は2個、長くなり、胞果から突き出る。雄の総はしなやかな で、胞果から突き出し、成熟時に脱落し、覆瓦状の小穂からなり、小穂は対または3個組(triads or triplets)でつき、1(~2) 個が無柄で1個が有柄、有柄の小穂はしばしば3個組で小さくなる。雄性の小穂は苞穎がほぼ等しく、草質、第1苞穎(lower glumes)は紙質、15本またはそれ以上の脈があり、2竜骨があり、竜骨の上に翼があり、翼には明瞭な枝分かれした脈がある。第2苞穎(upper glumes)は第1苞穎と長さがほぼ同じで、舟形、1竜骨がある。両小花とも雄性、下側の小花はときに不稔になる。護穎および内穎は透明。雄しべは0または3個。鱗被(lodicules)は2個。小梗は総の軸に融着しない。穎果はほぼ円形、腹側にうねがあり、胞果に包まれる。x=5。
 世界に4種あり、熱帯アジアに分布する。

ジュズダマ属の主な種と園芸品種

1 Coix lacryma-jobi L. ジュズダマ 数珠玉 広義
 中国、台湾、ブータン、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、ニューギニア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム原産。中国名は薏苡 yi yi。英名はgromwell reed , Job's Tears。別名はトウムギ(唐麦)。小川、湿地の谷、湿った畑、民家のそばなどに生える。しばしば栽培される。
 多年草または1年草(寒冷地)。 稈は叢生し、直立し、スポンジ状の髄があり丈夫で、高さ1~3m、10節以上あり、枝分かれする。葉は茎葉。葉鞘は平滑、節間より短く、無毛。葉身は線状披針形、普通、無毛、長さ10~40(60)㎝×幅1.5~7㎝、中脈は白色で目立ち丈夫、基部はほぼ円形または心形、縁はザラつき、先は鋭形。葉舌は切形、長さ0.6~1.2mm。花序は茎の上部の葉腋に直立して散状につく。雄の総状花序(総)は長さ1.5~4㎝、小穂は対につき、頂部は3個組。胞果(総苞、ジュズダマ)は卵形~円筒形、普通、骨質、光沢があり、長さ7~11㎜×幅6~10㎜、白色、帯青色、または灰褐色、ときに、頂端に嘴がある。雄の小穂は長円状卵形、長さ6~9㎜。苞穎は多数の脈があり、第1苞穎は竜骨の上に翼があり、翼は幅0.4~0.8㎜、翼の縁に繊毛がある。葯は長さ4~5㎜。花期および果期は6~12月。2n=20。

1-1 Coix lacryma-jobi L. var. lacryma-jobi ジュズダマ 数珠玉 狭義
 中国、台湾、インド、インドネシア、ラオス、ミャンマー、ネパール、ニューギニア、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム原産。中国名は薏苡 yi yi。食用としないもの。
 胞果(総苞)はビーズ状、卵形、骨質、光沢があり、嘴はなく、長さ7~11㎜×幅6~10㎜。花期および果期は6~10月。
1-2 Coix lacryma-jobi L. var. ma-yuen (Rom.Caill.) Stapf ハトムギ 鳩麦
  synonym Coix lacryma-jobi L. var. frumentacea Makino
  synonym Coix chinensis Tod.
  synonym Coix lacryma-jobi L. subsp. ma-yuen (Rom.Caill.) T.Koyama
  synonym Coix ma-yuen Rom.Caill.
 中国、台湾、ブータン、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、フィリピン、タイ、ベトナム原産。中国名は薏米 yi mi。道端、谷などに生える。しばしば栽培される。ジュズダマを改良した栽培種ともいわれる。日本では江戸時代から食用として栽培され、シコクムギとチョウセンムギの品種がある。
 胞果(総苞)は細い縦の条線があり、淡褐色または暗褐色、楕円形~ほぼ球形、頂端が嘴状に細くなり、長さ8~12㎜×幅4~9㎜、もろくて壊れやすい。穎果は白色または黄色、長円形、長さ5~8㎜×幅4~6㎜、でんぷんが豊富。花期および果期は7~12月。
1-3 Coix lacryma-jobi L. var. maxima Makino オニジュズダマ 鬼数珠玉
 胞果(総苞)は長さ10~11㎜の偏球形となる。正式な変種と認められていない。
1-4 Coix lacryma-jobi L. var. stenocarpa (Oliv.) Stapf  ナガミノジュズダマ 
  synonym Coix stenocarpa (Oliv.) Balansa
 インド、インドネシア、ミャンマー、ニューギニア、フィリピン、ベトナム原産。中国名は窄果薏苡 zhai guo yi yi。中国で栽培されている。
 胞果(総苞)は狭円筒形、骨質、光沢があり、白色、帯青色、または褐色で、長さ7~15×幅2~3mm。花期および果期は10~12月。


参考

1) Flora of China
 Coix
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=107608
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Coix
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30055277-2
3) World Flora Online
 Coix
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000008874;jsessionid=2BAA77D7758908BA6B6C41B96C1E4C9E
4) World Checklist of Vascular Plants
 Coix
https://wcvp.science.kew.org/
5) FNA - Flora of North America
 Coix
http://beta.floranorthamerica.org/Coix