イスノキ 柞の木

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Flora of Mikawa

マンサク科 Hamamelidaceae イスノキ属

別 名 ヒョンノキ、イス(柞)、蚊母樹
中国名 蚊母树 wen mu shu
学 名 Distylium racemosum Sieb. et Zucc.
イスノキの花
イスノキの花粉を出した後の花
イスノキの大きな虫えい
イスノキの果実
イスノキ裂開した果実
イスノキの幹
イスノキ
イスノキ花期
イスノキ葉表
イスノキ葉裏
イスノキ葉の虫えい
花 期 4~5月
高 さ 5~20m
生活型 常緑高木
生育場所 林内
分 布 在来種 本州(関東以西)、四国、九州、沖縄、朝鮮(済州島)、中国、台湾
撮 影 豊橋市  06.6.1
材が非常に硬く、箸、そろばん玉、木刀などにに使われ、灰は釉薬として利用される。乾燥にも強く、よく生垣として植えられている。神社や公園に植栽されることも多く、三河地域では豊橋公園の城近くに幹まわり3.6mの巨木がある。
 幹は直立し、淡褐色。枝や冬芽には褐色の星状毛がある。葉は互生し、革質、全縁、無毛、長さ4~9㎝の長楕円形、鋭頭、基部は楔形。はじめは葉裏にも星状毛がある。葉柄は長さ5~10㎜程度。葉にイスノキコムネアブラムシやイスオオムネアブラムシなどの虫えいができやすい。大きな虫えいを笛にして吹く音から、ヒョンノキとも呼ばれるという。雌雄同株。葉腋の円錐花序の先部に両性花、下部に雄花をつける。花柱は2個、紅色、角状にのび、星状毛がある。雄しべは5~8個、葯が紅色で美しく、花粉を出した後は黒くなってしまう。果実は蒴果、長さ7~10㎜の広卵形、先端に角状に花柱が残り、黄褐色の星状毛が密生し、熟すと2裂する。花期にも2裂した果実が残っている。種子は長さ5~7㎜、黒色、光沢がある。

イスノキ属

  family Hamamelidaceae - genus Distylium

 低木または小高木、常緑。若いときは、枝は1個の前出葉(prophyll)、星状毛をもち、または鱗片で覆われる。芽は裸。 葉は2列生(まれに螺旋状)、短い葉柄がある。托葉は早落性、葉痕は小さい。葉身は革質、縁は全縁または葉先に浅い歯があり、葉脈は羽状、下面の側脈は普通、明瞭。雄花両性花同株(andromonoecious)物。花序は凝縮した円錐花序またはブドウの房形(botryoid)、花は二列生(またはまれにらせん状に)、腋生、±無柄。各花は普通、2個のほぼ対生の(単純または3裂の)萼片のような小苞が基部につき、ときに雄花では小苞がない場合もある。花は雄性または両性。花の杯がなく、萼片と花弁が無い。雄花は雄しべが1~8本、花糸が短く、不等長。葯は楕円形、半葯は2胞子嚢、それぞれが縦の隙から裂開し、葯隔はがある。両性花は雄しべが5~8、子房は上位、胚珠は各室に1個。柱頭は沿下する。果実は、2列につき(またはまれに螺旋状につき)、ときに小花柄がある。蒴果は卵状球形、木質、星状の綿毛があり、2個の2裂のバルブによって中央より上で裂開し、先は鋭形。種子は各室に1個、狭卵形。2n=24。
 世界に約18種あり、日本(琉球諸島)、韓国、中国、北東インド(アッサム)、インドネシア(ジャワ、スマトラ)、マレーシアに分布する。

イスノキ属の主な種と園芸品種

1 Distylium gracile Nakai コバノイスノキ 小葉の柞の木
 中国、台湾原産。中国名は台湾蚊母树 tai wan wen mu shu。別名はタイワンイス、ホソバイスノキ。

2 Distylium lepidotum Nakai シマイスノキ 島柞の木
  synonym Distylium racemosum Siebold et Zucc. var. lepidotum (Nakai) Hatus.
 日本固有種。小笠原諸島に分布する。別名はシマイス。乾いた岩石地に多い。
 常緑低木。高さ2~4m。小笠の乾性低木林の主要構成種。若い枝には星状鱗毛が密生する。葉は互生し、葉柄には星状毛が密生する。葉身は倒卵状楕円形、長さ1.5~4㎝×幅1.3~2.5㎝、先は鈍形、革質で両面とも無毛。頭であるます。総状花序は葉腋につき、花序の上部に両性花、下部に雄花または全て雄花をつける。花は花弁、萼片がない。果実には密に灰白色の星状毛がある。花期は10~11(~1)月。

3 Distylium myricoides Hemsley ディスティリウム・ミリコイデス
 中国原産。中国名は杨梅蚊母树 yang mei wen mu shu。英名はMyrtle-leaf Distylium。山地の常緑樹林に生える。
 低木または小高木。 若枝は星状に剥離し(lepidote)、古枝は乾くと灰褐色、無毛になり、皮目がある。芽は星状毛があり、星状に剥離する。葉柄は長さ5~8㎜、剥離し、毛がある。葉身は長円形または倒披針形、長さ5~11㎝×幅2~4㎝、乾くと変色し、両面とも無毛、基部はくさび形、縁は全縁または中央より上に歯があり、先は鋭形。側脈は6対、網状脈は下面でやや明瞭。花序は長さ1~3㎝。花序柄は剥離する。苞は長さ2~3㎜。花の苞(小苞)は長さ2~3㎜、剥離する。 花糸は長さ2mm未満。葯は赤色、長さ2~3㎜。子房は星状毛がある。花柱は長さ6~8㎜。蒴果は卵状球形またはほぼ卵形、長さ1~1.2㎝、黄褐色の星状毛があり、先は鋭形または鈍形、4バルブに裂開する。種子は長さ6~7㎜。花期は4~6月。果期は6~8月。
品種) 'Lucky Charm' , Spring Frost™

4 Distylium racemosum Siebold et Zucc. イスノキ 柞の木
 日本(本州の関東以西、四国、九州、沖縄)、朝鮮(済州島)、中国、台湾原産。中国名は蚊母树 wen mu shu。英名はEvergreen Witch Hazel。別名はヒョンノキ、イス(柞)、蚊母樹。林内に生える。材が非常に硬く、箸、そろばん玉、木刀などにに使われ、灰は釉薬として利用される。乾燥にも強く、よく生垣として植えられている。神社や公園に植栽されることも多い。
 常緑高木。高さ5~20m。幹は直立し、淡褐色。枝や冬芽には褐色の星状毛がある。葉は互生し、革質、全縁、無毛、長さ4~9㎝の長楕円形、鋭頭、基部は楔形。はじめは葉裏にも星状毛がある。葉柄は長さ5~10㎜程度。葉にイスノキコムネアブラムシやイスオオムネアブラムシなどの虫えいができやすい。大きな虫えいを笛にして吹く音から、ヒョンノキとも呼ばれるという。雌雄同株。葉腋の円錐花序の先部に両性花、下部に雄花をつける。花柱は2個、紅色、角状にのび、星状毛がある。雄しべは5~8個、葯が紅色で美しく、花粉を出した後は黒くなってしまう。果実は蒴果、長さ7~10㎜の広卵形、先端に角状に花柱が残り、黄褐色の星状毛が密生し、熟すと2裂する。花期にも2裂した果実が残っている。種子は長さ5~7㎜、黒色、光沢がある。花期は4~5月。 品種)  'Akebono' (v) , 'Guppy'
4-1 Distylium racemosum Siebold et Zucc. f. angustifolium (Masam.) H.Ohba ホソバイスノキ 
  synonym Distylium racemosum Siebold et Zucc. var. angustifolium Masam.
4-2 Distylium racemosum Siebold et Zucc. f. pendulum (Makino) Okuyama シダレイスノキ 枝垂れ柞の木
 鹿児島で発見された品種。枝が垂れる。

5 その他ハイブリッド
品種) Blue Cascade ('Piidist-ii') , 'Ed's Upright' , Emerald Heights® , First Editions® Cinnamon Girl™ , First Editions® Coppertone™ , First Editions® Linebacker™ , 'Guppy' , Jewel Box™ , 'Vintage Jade'

参考

1) Flora of China
 Distylium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=110669
2) Plants of the World Online| Kewscience
 Distylium
https://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:19588-1
3) World Flora Online
 Distylium
http://worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000012255;jsessionid=8DBE30F2EF409DE0B5E9F8BDA3E8C6CD