フリージア  
[別名] アサギスイセン浅黄水仙、コアヤメズイセン
[中国名]

小苍兰 xiao cang lan、香雪兰 xiang xue lan

[英名] freesia , grandma's freesia , common freesia , Cape lily-of-the-valley , freesia hybrid
[学名] Freesia x hybrida L.H. Bailey
Freesia hybrid sensu D.A. Cooke
Freesia alba (G.L. Mey.) Gumbl. x Freesia leichtlinii Klatt
Freesia sp. 広義
アヤメ科  Iridaceae  フリージア属
三河の植物観察
フリージアの花
フリージアの花2
フリージアの苞
フリージアの葉
フリージア
 フリージアはフリージア属の栽培種の総称である。
 フリージア属の植物はすべて南アフリカ地域の固有種であり、17世紀中頃に発見され、ヨーロッパに広まり、広く栽培されるようになった。1866年にフリージア属として分類が確立するまで、学名が混乱していた。現在、原種は16種とされている。古い文献ではフリージアの学名がFreesia refractaとなっているものが多いが、これはFreesia albaとしばしば混同されたためである。Freesia refractaはまれに栽培されるだけで、Freesia albaと他の種との交雑による栽培種が観賞用や切り花用に広く栽培されている。ハイブリッドのほとんどは、Freesia albaと Freesia leichtliniiに由来するものであり、Freesia alba と Freesia leichtliniiは自然交雑も起きる。ピンク色のものは過去にFreesia. armstrongiiとされたピンク色のFreesia corymbosaに由来し、濃黄色のものは過去にはFreesia aurea.とされた黄色のFreesia corymbosaに由来する。日本でよく植えられていた黄色のライ ンベルトゴールデンイエロー(Rijnveld's Golden Yellow)も病害抵抗性に強いハイブリッドである。ハイブリッドはウイルス抵抗性に欠けるものが多く、病害抵抗性の強いものが求められてきた。オランダ球根生産者協会(KAVB)には1940 年以降(2014まで)に662 品種が登録されている。1990年代にピークとなったが、その後の登録数は激減している。
 フリージアは明治20年(1887年)頃、日本へ初めて入り、その10年後頃から一般向けに球根が販売されるようになった。当時は「ふるじや」の名で、白地に黄色の花であり、アルバ(F. leichtlinii subsp. alba=F. alba) 又はF. leichtlinii subsp. leichtlinii と推定されている。1946年にオランダで作出された品種のライ ンベルトゴールデンイエロー(Rijnveld's Golden Yellow)は、強健で強い病害抵抗性を示し、強い芳香と周年開花性があり、1960年代にはオランダで5 割以上のシェアを占めた。日本には1957年から輸入され、1958年から八丈島でこの球根の栽培が行われるようになり、1960年代から長期間(約30年)、主力品種となった。フリージア は香りが良い黄色の花というイメージを与えるほどの画期的な品種であった。 八丈島は今でもフリージアの栽培が多く、数10万本が咲き、毎年春に「フリージアまつり」が開催されている。黄色のフリージアの品種にはこの他、1911年にオランダで初めて作出された4倍体であるバターカップ(切り花用 1929から輸入)、オーロラ(1962)、ロイヤルゴールド(Royal Gold)などがあり、最近では1990年頃から栽培されたアラジン(Aladin 1986)、ラピッドイエロー(Rapid Yellow 1997)、シンデレラ(Cinderella)などの栽培が多い。
※参考1) フリージアにおける育種,栽培技術および生産の変遷、本図竹司 茨城農総セ生工研研報15: 1~31 (2015)
  参考2)PlantZAfrica.com
  参考3)Pacific Bulb Society Freesia
  参考4)Flora of north America
[花期] 3~4
[草丈] 10~25(50~100)㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 草地
[分布] 在来種 南アフリカ原産
[撮影] 幸田町 13.4.20
【フリージア属】Freesia genus
球茎をもつ多年草。球茎は薄皮があり、円錐形、直径約1~2.5㎝。薄皮は繊維状、繊維は細く、淡色、網状になる。茎は単一又は分枝する。葉は数個、ときに平伏する。葉身は平坦、披針形(剣形又は長楕円形)。花序は穂状、偏側生、普通、強く、基部で曲がり、ほぼ水平になり、少数~多数、花をつける、苞は緑色(淡わら色)、革質又は膜質。花はしばしば強い芳香があり、左右相称。花被片は6個、筒部に合着し、最も多いのは白色又は黄色、ときにピンク又は赤色、ほぼ同形で、外花被片が内花被片よりわずかに大きい。花被の筒部は円筒形又は漏斗形、短く又は基部で長く、急に広がるか先がフレアー状になる。雄しべは非相称的に片側だけにつく。葯は普通、平行。花柱は花糸にアーチをかけ、糸状の3枝に分かれる。蒴果は不規則な球形、普通、しわがある。種子は1室に数個入り、球形、翼はない。種皮は淡褐色~案褐色、硬く、光沢があある。X=11
 フリージア属は南アフリカ地域の固有種であり、16種がある。(1)Freesia alba、(2) F. andersoniae、(3) F. caryophyllacea、(4) F. corymbosa、(5) F. fergusoniae、(6) F. fucata、(7) F. grandiflora、(8) F. laxa、(9)F. leichtlinii、(10)Freesia marginata (11) F. occidentalis、(12) F. refracta、(13) F. sparrmannii、(14)F. speciosa、(15) F. verrucosa、(16) F. viridis.

 Freesia albaは古い文献ではFreesia refractaとしばしば混同されている。その結果、Freesia refractaが誤って北アメリカの地域的な植物としてリストアップされている。北アメリカではFreesia refractaはまれに栽培されるだけで、Freesia albaと他の種との交雑による栽培種が観賞用や切り花用に広く栽培されている。(Flora of north America)

【フリージアの原種】
 フリージア属は南アフリカ共和国西ケープ州の周辺に16種ある。季節は南アフリカでの解説。
 (1) Freesia alba (G.L.Mey.) Gumbl.=.Freesia leichtlinii subsp. alba.= Freesia picta 1878年から市場に出る。1878年にG.L.Meyerによって命名された。1881年にFreesia refracta var. albaとして発表され、学名が混乱することになった。1896年にGumbletonがFreesia refracta var. albaはFreesia albaであるとした。(9-1) Freesia leichtlinii subsp. albaとする説(2010)もあるが、独立種とする説が主流であり、Freesia albaとFreesia leichtlinii との自然交雑も起き、オーストラリアでは交雑種が野生化している。
 芳香が強く、南アフリカの冬降雨地域( winter rainfall region)の主に、海岸に生え、砂質や砂利混じり土に生育する。高さ20~50㎝、葉は斜上からほぼ直立し、花は白色~クリーム色、花被片の裏は鈍い紫色。普通、下側の中央の花被片は黄色又は橙色の斑紋がある。花期は7月末~10月初め。
 (2) Freesia andersoniae L.Bolus 1888年に発見
 南アフリカ(冬降雨地域の外側の北西州の北ケープ州)のサバンナ、ナマ・カルー灌木地帯に生える。ただ1種の食道花(gullet-flowered )の種である。花期は8~10月、ときに5月以前。耐寒性がある。高さ10~25㎝。葉は10~14個つき、穂状花序に花を2~5個つける。花は長さ5~6㎝、白色~クリーム色、、最下部の花被片の基部と下側の側花被片の縁は橙色を帯びる。下側の花被片3個は中脈が暗褐色、花被片の凹部に紫色の山形模様がある。花は夜にも強いユリの芳香があり、蛾媒介を暗示する。葉が細長く、先が尖り、内面に紫色の線のあるのが特徴である。
 (3) Freesia caryophyllacea (Burm.f.) N.E.Br. 1768年以前に発見
 南アフリカの(西ケープ州のスウェレンダム~ボッ トリビエ)の レノスターフェルド(低木の灌木層)、フィンボス(fynbos 灌木植生地域)、石灰岩地帯に生え、普通、平伏し、高さ3~10㎝。穂状花序に紫色の、芳香がある花を3~10個付け、曲がって下がる。花は長さ3~4㎝、白色、裏は紫色になり、下側の花被片の基部に黄色、橙色の班があり、普通、中肋は暗色になる。花期は4~6月、最初の降雨の約1月後に生じる。多様な生息地があり、変化が多い。葉は露出した場所の地面の上に平伏するときは短く、鈍形。灌木の下の日陰ではほぼ直立、上向きで、狭く、鋭形。花序は普通、水平であるが、良好な環境ではほぼ直立する。花は芳香があるか又は無い。下側の花被片のいくつかは黄色や橙色の斑紋があり、ときに栗色に変色する。この種は開花期がFreesia alba と異なり、Freesia fucataは葉が幅広く、3歯のある苞を欠くことで区別でき、Freesia marginataは葉が革質で、明瞭な縁の近くの葉脈により区別できる。Freesia praecoxとの区別は難しいが、Freesia praecoxは球茎の表面が柔らかく、細かく、葉がほぼ直立し、先が先端まで均等に細くなり、中間の下側の花被片だけに斑紋がある。
 (4) Freesia corymbosa (Burm.f.) N.E.Br= Freesia armstrongii= Freesia aurea 1768年以前発見
 南アフリカ(東ケープ州のバターワース、デルスト)のレノスターフェルド、サクレント・カルー灌木地帯(succulent Karoo scrub)、草深いフィンボス(grassy fynbos)に生える。高さ15~40㎝。球茎は円錐形~球形、普通~粗く、繊維で覆われる。葉は7~10個、直立してつき、披針形、先は鋭形。穂状花序は水平又は反曲し、花が普通、6~10個つく。苞はFreesia refractaとの判別に重要であり、苞の先は鈍くて、暗褐色である。花色は変化が多く、黄色の様々な陰があり、まれに白色もある。花筒の基部や最下の花被片がローズ色又は濃いピンク色であって、下側の側花被片の内側の縁が黄色~橙色になることもある(過去には花が黄色のものをFreesia aureaとしていた.)。ピンク色の花(過去にはピンク色の花のものをFreesia. armstrongiiとしていた)が普通、ハイブリッドに使われる。花期は8~10月。
 (5) Freesia fergusoniae L.Bolus 1926年発見
 南アフリカ(西ケープ州のリバーズデイル地域)のレノスターフェルドの粘土質土壌に生える。高さ6~20㎝。葉は7~13個、平伏~斜上する。穂状花序は水平からうなだれる。花は淡黄色~クリーム色、裏面は鈍い紫色、下側の花被片の基部に橙色の斑紋がある。球形の表面は粗い。花は甘い香りがある。花期は7~8月(冬)、ときに早くなる。
 (6) Freesia fucata J.C.Manning & Goldblatt  1975年発見
 南アフリカ(西ケープ州の(ウスター南部のフックス リバーバレー Hoeks River Valley ) レノスターフェルドの粘土斜面に生え、、しばしば道端や川縁でもみられる。花期は7月(冬)。高さ15~30㎝。葉は5~6個、斜上~ほぼ直立し、線形~披針形、先まで細くなり、、茎とほとんど同長。葉身は質が硬く、緑色、縁が透明。花はスミレの香りがあり、白色、裏面は濃紫色になる。下側の花被片の基部には黄橙色の斑紋があり、暗色の中脈がある。開花の時期、幅4~5㎜の細い葉、3歯のある苞(tricuspidate bract)が特徴である。
 (7) Freesia grandiflora (Baker) Klatt = Freesia rubella   1858年発見
 南アフリカ(クワズール·ナタール州~ムプマランガ州)、スワジランド、モザンビーク、マラウイ、タン ザニア、ザンビアのサバンナ、落葉樹の林、まれに森、ときに流れに沿って生える。花期は春~夏、主に1~4 月。亜熱帯の気候を好むが、温帯の森でも見られる。高さ20~60㎝。花はFreesia laxaに似ているが、大きく、スカーレット色、ときにピンク色、3個の下側の花被片の基部に暗赤色の染み(しみ)がある。茎は普通、分枝しないが、4枝以下に分枝することもある。花冠筒部は花被片とほぼ同長、又はわずかに長い。花被片はやや杯形。花糸は筒部から突き出す。球茎は球状円錐形。種子は新鮮な時に、濃橙色~赤色、後に暗色になる。
  (7-1)  Freesia grandiflora ssp. grandiflora
 明赤色の亜種。 まれにサーモンピンクになる。花は完全に開き、花糸が突き出し、長さ15~20㎜。す。
  (7-2)  Freesia grandiflora ssp. occulta
 モザンビークの北部の中央部の海岸平野の縁に位置するMocuba市の近くに自生する。 高地の森林や林の花崗岩に派生する土壌に生え、開花は5~6月。花はピンク色、ときに完全に開かない、花糸は長さ約6㎜、約2㎜突き出すだけである。
 (8) Freesia laxa (Thunb.) Goldblatt & J.C.Manning=Lapeirousia laxa (Thunb.) N.E.Br. 1773年発見
 南アフリカ(東ケープ州~ムプマランガ州)、スワ ジランド、モザンビーク、マラウイ、タンザニ ア、ケニア、ウガンダ、スーダンの林、森周辺、海岸砂丘に自生する。Freesia grandifloraの小型タイプ。高さ15~30㎝。球茎は類球形序状の円錐形。種子は新鮮なとき、明橙色~赤色。花はFreesia grandifloraより小さく、花冠筒部は花被片の長さの2倍以上の長さがある。花被片はすべて基部から平開し、花糸は筒部からほとんど突き出ない。花期は主に6~1月。
  (8-1)  Freesia laxa subsp. azurea (Goldblatt & Hutchings) Goldblatt & J.C.Manning
 花が青色の亜種。他主より育ちにくいと報告されている。クワズール・ナタール州とモザンビークの間の海岸の生育場所に限られる。草の多い砂丘のようなむきだしの場所や明るい日陰の場所の粗い砂質の土壌に生える。花期は冬~初春の6~9月。
  (8-2)  Freesia laxa subsp. laxa
 熱帯アフリカ東部~ケニア東部、ウガンダ東部、スーダン南部に広がる南アフリカの東海岸とその近くの内陸に広く分布する。灌木、やぶやAfrotemperate森林の縁の岩石の多い生育地を好む。また、海岸の森やクワズール・ナタール州の中の海面近くの灌木でも見られる。開花は8月~1月(赤道の南側の開花のピークは11月~1月、北側では5月~7月)。最も多いのは赤色で、暗色の染みがあり、花期は晩春と夏である。明赤色の種子から短期間で花をつける。
 (9) Freesia leichtlinii Klatt  1872年以前に発見
 南アフリカ(西ケープ州のケープアグラス岬~プ レテンベルグ湾) の海岸茂みやフィンボス海岸地帯の砂質土に生える。高さ6~25㎝。葉は剣形。花はクリーム色、黄色の斑紋があり、芳香がある。研究論文、フリージア属の植物学や園芸はJohn C. Manning & Peter Goldblatt in Strelitzia (2010)によって掲載され、Freesia albaは亜種としてこの種に含めている。(別種とする見解もある)
  (9-1)  Freesia leichtlinii subsp. alba (G.L.Mey.) J.C.Manning & Goldblatt=  (1)  Freesia alba
 全体に白色又はクリーム色、紫色を帯び、普通、下側の中央の花被片の基部だけに黄色~橙色の斑紋がある。花冠の筒部は長さ20~40㎜、基部の様い部分は5~20㎜。種子は平滑~小じわがある。花期は8月初め~9月末。
  (9-2)  Freesia leichtlinii subsp. leichtlinii = Freesia muirii = Freesia middlemostii
 花は淡黄色~クリーム色、外面が明るい紫色を帯び、下側の3花被片の基部に濃黄色~橙色の斑紋がある。花冠の筒部は長さ20~25㎜、基部の細い部分は長さ5~9㎜種子は小じわがある。花期は8月初め~9月末。
 (10) Freesia marginata J.C.Manning & Goldblatt  2000年に発見
 2005年に記載された。南アフリカ(西ケープ州のウースターとロバートソンの間のブレーデ・リバー·バレー地域)、 サクレント・カルー(西側の海岸部)に自生する。砂岩が崩れた砂利や石の多い、岸辺に生える。 球茎は岩の割れ目の砂質ロ-ムに深く埋まる。高さ4~10㎝、葉は低く、平伏する。花期は冬の初めの5~6月。花は白色、背面は紫色を帯び、下側の花被片の基部に黄橙色の斑紋があり、中脈は暗色、強いスミレの香がある。この種はFreesia caryophyllacea に花がよく似ており、花期が早く、平伏するが、葉は似ていない。 Freesia marginataの葉は革質、粉白を帯び、不明瞭な偽中脈であり、明瞭な亜縁脈がある。Freesia caryophyllaceaの葉は明緑色、明瞭な中脈があり、柔らかい。
 (11) Freesia occidentalis L.Bolus = Freesia framesii   1932年に発見
 南アフリカ(ケープ州のカルヴィニアの南西部の不毛な流域~セダバーグ地区の東部の縁及びスワルトルゲンス山地東部~ラングズバーグ = ケープ北西部~カルー盆地西部)、レノスターフェルド(低木の灌木層)、サクレント・ カルー(Succulent Karoo)灌木地帯、フィンボス(Fynbos)乾燥地帯に自生する。高さ9~50㎝。花期は8月中頃~9月。葉は普通、穂状花序より短く、葉先は鋭いというより鈍い。苞は膜質、乾き、透明になり、又はピンク色を帯びる。花はバラのようなスミレの香りで、ピリッとした含みがあり、傾上又は水平の穂状花序につき、乳白色~淡クリームイエロー、ときに、モーブ色又はピンク色を帯びる。 最下の花被片と側花被片の内側の縁が明黄色であり、3個全部の中脈が暗紫色になる。Freesia corymbosaとは苞により区別でき、Freesia refracta とは葉が幅広く、鋭形でないことで区別できる。
 (12) Freesia refracta (Jacq.) Klatt = Freesia hurlingii  1786~1795年に発見
 南アフリカ(西ケープ州のウスター Worcester~オウドシ ョーン Oudtshoorn )の レノスターフェルド、サクレント・カルー灌木地帯、フィンボス乾燥地帯に自生する。高さ15~40㎝。葉は7~10個、直立し、狭披針状漸尖形。穂状花序は水平~反曲して、5~10個の花をつける。花は長さ25~35㎜、淡緑黄色又は鈍白色、裏面及び花冠筒部の基部は紫色を帯びる。最下の花被片と下側の側花被片の内側の縁は明橙色であり、3個全部の中脈は暗褐色となる。花は芳香が無いこともあり、バラやスミレの強い香りがあることもある。Freesia refractaはその一様な淡色の苞でFreesia corymbosa と区別できる。Freesia corymbosaは苞の先が褐色である。花期は7~9月。i
 (13) Freesia sparrmanii (Thunb.) N.E.Br.  1775年に発見
 南アフリカ(西ケープ州のハイデルベルク(Heidelberg)近郊のランゲベルク山脈(Langeberg )の南麓)の 森林周辺の湿った粘土質ロームに自生する。高さ11~25㎝。葉は5~9個、直立し、線形~披針形。穂状花序は分枝し、反曲する。花は長さ35~40㎜、香りが無く、白色、裏面は鈍い紫色を帯びる。下側の中央の花被片の基部の中脈上に長楕円形の黄橙色の斑紋があり、花が小さいのが特徴である。漏斗形の筒部の下部は上部と同長又は長い。花期は春、9~10 月。学名のスペルが混乱し、現在でもsparrmanniiが多くの本やデーターベースで見られる。この種はAnders Sparrmanが1775に発見し、Thunberg がsparrmanniiとしたが、Manning & Goldblattが植物命名規約に従い、個人名のスペルに訂正し、nは1個が正しい。
 (14) Freesia speciosa L.Bolus= Freesia flava  1918年に発見
 南アフリカ(西ケープ州のトルカルー Little Karoo 西部)のサクレント・カルー灌木地帯に自生する。過剰放牧により絶滅の危機に直面している。高さ11~20㎝。葉は幅広で先が鈍くしばしばやや多肉になる。穂状花序は普通、単一、ときに分枝し、花を3~6個つける。花は長さ5~7㎝と大きく、淡クリームイエロー、最下の花被片の基部と下部の側花被片の内側の縁は橙色を帯びる。3個の下側の花被片はすべて中脈が褐色である。 下側の側花被片は楕円形~ほとんど円形。漏斗形の花冠は下部で筒形、上部でフレアー状に広がる。芳香はユリの香りであり、酸味や苦みが消えてさっぱりした香りが残ると、夜に芳香が残る。花期は冬から春の初め、8月中頃~9 月。
 (15) Freesia verrucosa (B.Vogel) Goldblatt & J.C.Manning = Freesia juncea 1769年以前に発見
 南アフリカ(西ケープ州のラングルーフLangkloof~ラディスミスLadismith~東ケープ州ウ ィローモーアWillowmore)のレノスターフェルドに自生する。高さ8~20㎝。葉は7~10個、ほぼ直立し、先は鈍く、茎の長さの約1/3の長さ、縁はわずかに波打ち、太い中脈がある。苞は短く(長さ4~5.5㎜)。花は明ピンク色、3個の下側の花被片の基部又は中央の花被片ともに帯白色又は帯淡黄色で輪郭が暗ピンク色の染みがある。花期は春、 8~10 月。
 (16) Freesia viridis (Aiton) Goldblatt & J.C.Manning  1774年に発見
 南アフリカ(西ケープ州ケープタウンの北のマムレMamre~ケープ州のリフタスフェルトRichtersveld)~ナミビアのサクレント・カルー灌木地帯、フ ィンボス乾燥地帯、海岸茂みに自生する。 5~8 月
 高さ10~30㎝。葉は4~8個、ほぼ直立し、まれに平伏し、変化が多い。穂状花序は反曲する。花は緑色、褐色又は栗色を強く帯びる。茎は普通ではなく、扁平になり、2翼があり、普通、分枝せず、しかし、5枝以下に分枝することもある。花期は冬~春、5~8月まれに10月まで。昼間は芳香がなく、夜に芳香があるものもある。葉は苦みがあり、動物に不快であり、過剰放牧の草原に存続することを許している。
  (16-1)  Freesia viridis ssp. crispifolia (Goldblatt) J.C. Manning and Goldblatt
 南アフリカの西海岸近くの内陸に沿ってナミビア~西ケープ州クランウィリアムまでに分布する。岩石が露出している場所の割れ目に挟まって見られ、多様な土壌で育つ。葉は縁が強く縮れる。花は褐緑色~栗色、花は短く他の亜種より花被片が鈍い。花は香りが無い。
  (16-2)  Freesia viridis ssp. viridis
 海岸性の亜種、海の見える海岸の雑木林の中の花崗岩、頁岩、石灰岩の露出地又は岩の割れ目に中のローム土壌のポケットに育つ。葉は狭披針形、柔らかい表面で、縁は平ら。花は黄緑色、ときに暗栗色を帯び、花被片は細く、基部が狭くなる。野生のものは夜、芳香があるものがある。

【フリージアの学名の歴史】
 フリージアは南アフリカで17世紀中頃に発見され、ヨーロッパに送られていた植物2種をオランダのN.L.Burmanが1768年にGladiolus corymbosa((4) Freesia corymbosa:黄色)及びIxia caryophyllacea((2) F. caryophyllacea)と名付けたのが最初といわれている。まだ、フリージア属がなかったため、グラ ジオラス属やイキシア属などに分類していた。その後、G. refracta((12) F. refracta)、G. xanthospila((2)F. caryophyllacea)、G. sparrmani((13) F. sparrmanii)が発見された。F. W. Klattが1866年にフリージア 属を分離し、分類が確定した。イタリアのPadua植物園で1872年にF. refracta とされていたフリージアの中に異なる黄色のフリージアが発見され、1874 年にF. leichtlinii ((9) F. leichtlinii subsp. leichtlinii)と命名された。19世紀末から20世紀に分類が進み、1933年にはH. M. L. Bolus が原種数を11種と発表した。その後の発見やDNA解析による見直しで、現在の16種とされている。これらは英国王立園芸協会(RHS)のKew Database に登録されている。

【フリージア栽培の歴史】
 フリージアはFreesia albaとFreesia leichtlinii.との(異種)交配が行われ、1878 年のイギリスの園芸市場にF. leichtlinii subsp. alba が登場した。1897年に発見されたピンク色のF. armstrongii(F. corymbosa)が20世紀の初めの発展に重要な役割を果たした。2倍体で紫色のマリオン。1946年にオランダで作出された2倍体で高い稔性をもち、香りの強い黄色のライ ンベルトゴールデンイエロー(RVゴールデンイエロー)はフリージアの歴史に残る重要な品種である。3倍体のホワイ トスワン、4倍体のバターカッ プ、アポテオーゼなどもある。1960 年代初めにはJ. A. M. Goemans が世界で最初の八重咲き、クリーム色のファンタジーを作出した。1970年代~1990年代には新品種が最も多く作出された。新品種の登録は1990年代にピークとなり、1年間に196 品種あったがその後激減している。黄色のアラジンはラインベルトゴールデンイエローの花径の2倍あり、最近の黄色花の主流となっている。

【農林水産植物種類別審査基準】 フリージア属 FREESIA (Freesia Eckl.ex Klatt)
  (2011年4月)
特性表 (Table of Characteristics) ※( )は標準品種(Ex.Var.)
(1)草丈 Plant: length 地際から最高部位までの長さ
  3低short(ブルーヘブン)、5中medium(ヒマラヤ)、7高long
(2)分枝の数 Plant: number of branches 開花期における分枝の発生の程度
   3少few(ヒマラヤ)、5中medium(ブルーヘブン)、7多 many
(3) 葉の向き Foliage: attitude= 葉の抽出向き
  1立erect(ヒマラヤ)、2開張 pendulous(ブルーヘブン)
(4) 花茎の長さ =最上分枝基部から第一花の基部までの長さ
  Stem: length (from the point of attachment of the upper lateral branch to the top)
  3短short(クラジナ)、5中medium(R.Vゴールテンイエロー)、7長 long(アレキサンダー)
(5) 花茎の太さ =最上分枝基部から第一花 の 基部までの 中央部 の太さ Stem: width
  3細 narrow、5中medium(R.Vゴールテンイエロー)、7太broad
(6)茎の表面の粗さ Stem: surface
  1滑smooth、 2 粗 rough
(7)葉の幅 Leaf: width =葉身 の最大幅
  3 狭narrow(マグタレナ)、5 中medium(ブルーヘブン、R.Vゴールテンイエロー)、7 広 broad
(8) 花序の長さ Inflorescence: length =第一 花序の長さ
   3短short、5中medium(R.Vゴールテンイエロー)、7長 long(アレキサンダー)
(9) 花序の数=第一花序の蕾を含む   Inflorescence: number of flowers
  3 少few、5 中medium(R.Vゴールテンイエロー)、7多 many(アテネ)
(10)第一花と二の花間長 =第一 花 序における第一花と第二花の距離
   Inflorescence: distance between first and second flower
  3 短short(マグタレナ)、5 中 medium、7 長 long
(11) 第二花と 第三花の花間長 =第一花序における第二花と第三花の距離
   Inflorescence: distance between second and third flower
  3 短short(ヒマラヤ)、5 中medium 、7長 long
(12)花軸の屈曲 の強弱 =花序 花軸 のジグザ グの程度
   Inflorescence: degree of zigzagging of axis
  3弱weak(ブルーヘブン)、5中medium、7強 strong(コートダジュール)
(13)花軸の曲がりの有無= 花軸の湾曲有無 Inflorescence: curvature of axis
  1 無absent、9有 present (ヒマラヤ)
(14)花の並ぶ角度 花の並ぶ角度= 花序内の花の列が作る角度
    Inflorescence: angle between the rows of flowers
  3小small、5中medium、7large
(15)花序の角度 =花茎と花序が作る角度 Inflorescence: angle of distal 3/4 with the peduncle
   3小small、5中medium(コートダジュール)、7large大
(16)つぼみの長さ/ 幅 =つぼみの長さと幅の比 Flower bud: ratio length/width
    (つぼみの花被が開き始 つぼみの花被が開き始 める時 に調査する。)
  3小small、5中medium、7大 large
(17)花型 Flower: type = 一重 ・八重 の別
  1一重single、2半八重semi-double、3八重 double (ヒマラヤ、イボンヌ)
(18)内花被片の着生角度 Perianth: attitute of inner segments
  3斜上semi-erect、5ほぼ水平nearly horizontal 、7水平 horizontal
(19)外花被片の形 Perianth: shape of outer segments
  1楕円形 elliptic(R.Vゴールテンイエロー)、2円形circular、3広楕円形broad-elliptic(ホワイトマリー)、
  4倒卵形 obovate(ブルーヘブン)
(20) 内花被片の形 Perianth: shape of inner segments
  1楕円形elliptic、 2円形circular(R.Vゴールテンイエロー)、3広楕円形broad-elliptic、
  4卵形ovate、5広卵形 broad-ovate
(21)内花被片の横断面形 Perianth: cross section of inner segments
   1 平straight、 2内曲 concave
(22) 内花被片の周縁の巻き込みの有無 Perianth: folds on margin of inner segments
  1 無absent、9 有 present
(23)側方外花被片の表面 の主な色 Perianth: main color of inner side of lateral outer segments
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(24)中央外花被の表面の主な色 Perianth: main color of inner side of median outer segments
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(25)側方内花被の表面の色= 側方内花被片の内側の色
   Perianth: color of inner side of lateral inner segments
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(26)中央内花被片の表面の色 Perianth: color of inner side of median inner segments
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(27)中央外花被の表面の斑紋の大きさ Perianth: size of the macule (inner side)
   =中央外花被片の表面の斑紋(濃着色部)の大きさ
  3小small、5中medium、7大 large(R.Vゴールテンイエロー)
(28) 中央外花被片の表面の斑紋の色 Perianth: color of the macule (inner side)
  RHSカラーチャートの色票番号 RHS Colour Chart (indicate reference number)
(29) 喉部の大きさ=開喉部の直径 Perianth: opening of the throat
  3小small、5中medium、7大 large
(30)喉部外側の主な色 Perianth: main color of outer side of throat
   RHSカラーチャートの色票番号 RHS Colour Chart (indicate reference number)
(31)喉部内側の主な色 Perianth: main color of inner side of throat
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(32)喉部内側の条線の強弱 Perianth: stripes on ventral part of inner side of throat
   =喉部内面の条面の条斑の発現強弱
  3 弱weak(ブルーヘブン)、5 中medium、7 強 strong
(33) 花筒部の長さ Perianth: length of tube
  3 短short、5 中medium(R.Vゴールテンイエロー) 、 長 long
(34)雄ずいの花糸の主な色 Stamen: main color of filament
  1 白white、2 黄yellow(コートダジュール)、3 青 blue
(35) やくの主な 色 Anther: main color of stoma (just before dehiscence)= 開やく直前のやくの色
  1 白white、2 紫 violet(ローズマリー、コートダジュール)
(36)花柱の主な色 Style: main color =雌ずいの花柱色
  1 白white、2 黄yellow(コートダジュール)、3 青 blue
(37)柱頭のやくに対する位置 Stigma: position relative to anthers (time: as for 35)
   =開やく直前の柱頭のやくに対する位置
   1 同位置same level(R.Vゴールテンイエロー)、2 上位 above(ブルーヘブン)
(38)柱頭の裂片長さ Stigma: length of lobes
  3 短short、5 中medium、7 長 long
(39) 柱頭の裂片粗密 Stigma: appearance of lobes
  3 密fine、5 中medium、7 粗coarse
(40)柱頭の色 Stigma: color in relation to upper part of the style (time: as for 35)
   = 花柱上部の色に対する柱頭の色程度 (開やく直前に調査 )
  3 淡lighter、5 同程度same、7 濃darker
(41) 球茎の長さ/直径 Corm: ratio length/ diameter =球茎の長径に対する比
  3小small、5 中medium、7 大 large
(42) 開花期 Time of flowering =50 %の個体の第一花序の第一花が開いた時期
  3 早early、5 中medium、7 晩 late
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