ホウキギクとヒロハホウキギクの学名 
  従来はシオン属(Aster)の中に含められてきたが、最近はシムフィヨトリクム属(Symphyotrichum)として分類されている。シムフィヨトリクム属のSymphyotrichum subulatum (Michaux) G. L. Nesomにはアメリカ合衆国では5変種があり、Flora of North Americaに次のように掲載されている。

    表 Varieties 5
① var. ligulatum ② var. elongatum ③ var. parviflorum ④ var. subulatum ⑤ var. squamatum
common name New Mexico aster,
saltmarsh aster,
slim aster, southern annual saltmarsh
Bahaman aster southwestern annual saltmarsh aster - asterweed,
bushy starwort,
narrow-leaf aster,
southeastern annual saltmarsh aster 
原産地 U.S.A、メキシコ U.S.A、西インド諸島 U.S.A、西インド諸島、中央アメリカ、南アメリカ カナダ、U.S.A ブラジル、ボリビア、アルゼンチン
高さ ㎝ (10)60~200 30~200 (10)70~150 30~120(150) 30~150
simple sometimes branched simple, often with leafy branches usually simple, often with short, leafy branches simple simple or branched basally 
頭花 個 50~120 15~130 20~100 (10)30~100(150) 30~100  
総苞 長さ㎜ (5.2)6~6.9 6~7 (8.1) 5~6.2 (5) 6~7(8.2) 5~7(8) 
narrow narrow narrow narrow often broadly
緑帯 narrowly lanceolate narrowly lanceolate  narrowly lanceolate narrowly to broadly lanceolate broadly lanceolate
総苞片 個 25~45(62) 21~35(40) 30~42 20~30 18~24(30)  
舌状花 列数 1列 (2)3列 (1)2列 2列 (2)3列
個数 17~30(45) 30~54 (23)27~37(42) 16~30 21~28(38)
舌部
長さ㎜
(3.5)4.5~7 (2)2.5~3.5(4.2) 1.9~3 (1.3)1.5~2.6(3.1) 1.3~1.7(2)
冠毛より 長い 長い 長い 短いかわずかに長い 短い
幅 ㎜ 0.9~1.3 0.3~0.6 0.2~0.5 0.2~0.5 0.2~0.3
花色 lavender~blue pink~lavender white, sometimes pink white white
花の巻く coil数 3~5 2~3(4) 1~2 0~1 0
筒状花 個数 (20)33~50 11~23 (6)8~15 4~10(13) (3)7~14
長さ㎜ 3.7~4.5(5) 4.3~5.2 3.4~4.4(4.7) 3.8~4.6(4.9) 4~4.9
痩果 ㎜ (1.3)1.7~2.5(2.9) 1.3~2.5(2.9) 1.5~2.7 (1.2)1.5~2.5 1.5~2.6(3)
冠毛 ㎜ (3)3.5~4.6 (3.2)3.6~5 3.5~3.8(4.2) (3.5)4~5.5 4~5.1(5.3)
染色体数 2n = 10 2n = 20 2n = 10 2n = 10 2n = 20

 日本のホウキギクはAster subulatus Michaux var. sandwicensis (A. Gray ex H. Mann) A. G. Jonesとされてきた。U.S.Aではシムフィヨトリクム属 Symphyotrichumが使われる前の分類であり、⑤var. squamatumが現在、使われている学名である。染色体数も2n = 20である。 ④var. subulatumは染色体数が2n = 10であるため、否定され、⑤var. squamatum が日本のホウキギクである。
 日本のヒロハホウキギクは染色体数が2n = 10でありvar. subulatumにあてられたことがある。しかし、神奈川県植物誌の見解では最も近いものは① var. ligulatumとしている。花色や総苞片などが表のとおりであり、①に近いものは③ var. parviflorumであり、筒状花の数が少なく、舌状花が2列になる。
 観察したものは筒状花の数が6~8個、舌状花が2列、33~36個、舌状花の舌部 laminae の長さ約1.8㎜、舌状花の幅約0.4㎜であり、③ var. parviflorumにほぼ一致する。総苞の長さも約5㎜であり、これに近い。
 オオホウキギクは2n = 20であり、②var. elongatum とされている。
ホウウキギクとヒロハホウキギクは開花期には葉が少なくなっていることが多く、ホウキギクをよく知らないと区別が難しい。海岸の造成地の水溜りのできたやや湿る場所に混生していたため、比較して観察することができた。雑種のムラサキホウキギクもところどころにあった。葉は花期であり、残っているものが少なく比較できなかった。
 水田の畔などでよく見られるヒロハホウキギクは茎もあまり赤くないが、ここのものは上まで赤いものが多い。花序枝も中部以下は60~90度であり、花序の上部が丸い。ホウキギクは茎の下部はヒロハホウキギクと同じように赤いが、花序の先の茎は赤くならず、緑色が多く、花序枝の角度も鋭角で、花序の先が尖って見える。
 ヒロハホウキギクの頭花はは薄いピンク(淡紅紫)色でやや大きくて目立つ。ホウキギクの頭花は白色からほんのわずかに青色を帯び、大きさはヒロハホウキギクのやや小さいものと同じくらいの大きさのものが最大で、かなり小さいのが普通である。
 ムラサキホウキギクは頭花が淡紫色といわれているが、咲いている花は淡青紫色で、しぼむと紫色に見える。普通は色が薄いが、かなり青色の濃いものが少しあり、違いに気がついた。草丈の高いものは倒れており、痩果はすべて秕((しいな)だった。
ホウキギクとヒロハホウキギク
 左側がヒロハホウキギク、右側がホウキギク。

ホウキギクとヒロハホウキギク
 左側の緑色の茎のものがホウキギク、赤い茎のものがヒロハホウキギク。ホウキギクは箒(ほうき)のように見えるが、ヒロハホウキギクは見えない。

比較表
ホウキギク ヒロハホウキギク ムラサキホウキギク
頭花 ホウキギク頭花 ヒロハホウキギク頭花 ムラサキホウキギク頭花
ほぼ白色、小さい  薄いピンク 薄い青紫色
総苞 ホウキギク総苞 ヒロハホウキギク総苞 ムラサキホウキギク総苞
花が小さくても、総苞が長く、総苞片の幅が広い。 総苞片の幅が狭く、数が多い。総苞は短いものが多い。 総苞片の幅がやや広く、総苞もやや長い。

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