ヒメクグ  姫莎草
[中国名] 无刺鳞水蜈蚣 wu ci lin shui wu gong.
[学名] Kyllinga brevifolia Rottb. var. leiolepis (Franch. et Sav.) H.Hara
Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. var. leiolepis (Franch.et Savat) T.Koyama.
カヤツリグサ科 Cyperaceae  ヒメクグ属
三河の植物観察
ヒメクグ花序
ヒメクグ花序2
ヒメクグ花序3
ヒメクグ果実
ヒメクグ
ヒメクグ小穂
 赤紫色の根茎を延ばして増える。葉は幅2~4㎜の線形で、苞葉は普通、水平からやや下向きに3個つく。周囲の草丈が高いときなど、場所によっては最下の苞葉が直立するときもある。花序は1個で、小花1個だけの小穂が密に固まってつき、直径0.6~1㎝の球形になる。ヒメクグ属は4個の鱗片をもち、2個は大きく、2個は小さい。大きい鱗片には緑色の竜骨があり、竜骨は平滑で、刺がない。果実は広倒卵形。
 アイダクグはヒメクグとよく似ており、混生して見られることもある。アイダクグの鱗片竜骨には数個の小刺があり、肉眼では難しいが、10倍のルーペを使えば確認できる。
[花期] 7~10月
[草丈] 10~20㎝
[生活型] 多年草
[生育場所] 日当たりのよい湿った場所
[分布] 在来種  日本全土、朝鮮、中国、ネパール、ロシア
[撮影] 豊田市  07.9.2

 ヒメクグ属

  Familia: Cyperaceae - genus Kyllinga
 多年草、まれに1年草、根茎が有り又はまれにひげ根がある。稈は束生又は散生し、普通、やや細い、まれにやや頑強。葉は根生し、3列(3-ranked)につく。葉舌は無い。葉身は長く又は小さくなる。総苞(involucral bracts)は広がり、葉状。花序は頂生、頭状、穂状花序が1~3個つく。穂状花序は無柄、頭状、小穂が密に多数つく。小穂は短く、扁平、両性の小花を1又は2(~5)個もつ。小軸(rachilla)は基部近くで区切れ、成熟すると区切れから脱落する。鱗片(glume)は2列生(distichous,)、小軸の上に宿存し、小軸とともに落ちる。基部の2個の鱗片は小花が無い。最も先の鱗片はまれに雌性花をもつ。その他の鱗片は両性の小花をもつ。小花は花被の剛毛又は鱗片状の花被部分が無い。花柱の基部は膨れず、脱落性。柱頭は2個。小堅果は扁平な両凸形、小軸に斜めにつく。
 約75種が世界の熱帯と温帯に広く分布する。日本にはヒメクグ、アイダクグ、タチヒメクグ、タイトウクグのヒメクグ属4種が分布する。(参考 谷城 勝弘著 カヤツリグサ科入門)
 ヒメクグ属をカヤツリグサ属 Cyperus に含める説もあり、GRIN、YlistなどはCyperusに含めている。

 ヒメクグ属の主な種

 1  Kyllinga polyphylla Willd. ex Kunth  クルマバヒメクグ
    synonym Cyperus aromaticus (Ridl.) Mattf. et Kuk.
    synonym Kyllinga erecta Schumach. var. polyphylla S.S.Hooper
   アフリカ、西インド諸島、マダガスカル原産。アメリカ、アジア、オーストラリア、太平洋諸島に帰化。中国名は水蜈蚣 (I8shui wu gong)。
 多年草。根茎は太く、水平に長く這い、節間は短く、褐色~紫色~帯黒色の鱗片に覆われる。各節に1本の稈をつける。稈は散生し、高さ25~90㎝、3角(かど)があり、平滑、基部は球根状、長い歯鞘に被われる。葉鞘は帯紫色、円筒形、縁は薄膜状、口は斜めの切形、先は類鋭形、先の1~2個は葉身がある。葉身は長さ3~5(~15)㎝、幅2~6㎜又は短く、平ら、先の縁は小歯状。苞葉(=総苞 involucral bracts)は5~8個、葉状、最も長いものは15㎝以下、水平~わずかに後屈。穂状花序は1~3個、半球形~類球形、長さ6~12㎜、幅6~8㎜。側穂状花序ははるかに小さく、多数の小穂を密につける。小穂は狭楕円状卵形、長さ約3㎜、1~2小花をつける。鱗片はわら色、さび褐色の条線があり、卵状披針形、長さ3~4㎜、5~7脈、中脈は小刺があり、先は微突形。雄しべは3個、葯は短い線形、葯隔は葯を越えて突き出る。花柱は長い。柱頭は2個、花柱より短い。小堅果は初め黄白色、成熟すると黒色になり、長楕円形~倒卵形長楕円形、下につく鱗片の長さの約1/2、平凸形、密に細点があり、先は微突頭。花期と果期は7~10月。
 2  Kyllinga nemoralis (J.R. et G.Forst.) Dandy ex Hutch. et Dalziel  オオヒメクグ(シロヒメクグ)
    synonym Kyllinga monocephala Rottb
    synonym Cyperus mindorensis (Steud.) Huygh
   中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、パキスタン、スリランカ、ミャンマー、タイ、ベトナム、インドネシア、マレーシア、フィリピン、パプアニューギニア、ソロモン諸島、アフリカ、オーストラリア、太平洋諸島分布。南アメリカに帰化。英名はwhite kyllinga , white water sedge 。中国名は单穗水蜈蚣 (dan sui shui wu gong)。
 多年草、根茎は長く這う。稈は離れ又は疎に群生し、高さ10~40㎝、細く、つぶれた3稜形、基部は膨れない。葉は普通、稈より短い。葉鞘は褐色又は紫褐色の班があり、短く、最も基部のものは葉身が無い。葉身は幅2.5~4.5㎜、平ら、ふにゃふにゃし、縁は疎な歯状。総苞片は3~4個、葉状、花序より長い。穂状花序は1(~3)個つき、卵形~球形、長さ5~9㎜、幅5~7㎜、多数の小穂をもつ。小穂は類倒卵形~狭卵状長楕円形長さ2.5~3.5㎜、幅約1.5㎜、扁平、1小花。鱗片は淡色~わら色、さび褐色の斑紋があり、舟形、長さ2.5~3.5㎜、竜骨の翼は基部で狭く、中間~先では広く、竜骨の両サイドに3又は4脈があり、縁は小刺状、先はわずかに曲がり、微突形。雄しべは3個。花柱は長い。柱頭は2個。小堅果は褐色、長楕円形~倒卵状長楕円形、長さは基部につく鱗片の長さの約1/2、扁平な平凸形、密に細点があり、先は短い微突形。花期と果期は4~8月。2n=18.
 3  Kyllinga brevifolia Rottboll,
  日本、朝鮮、中国、台湾、ロシア、インド、ネパール、ブータン、パキスタン、スリランカ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マーレーシア、パプアニューギニア、アフガニスタン、バングラデシュ、アフリカ、大西洋諸島、オーストラリア、南北・中央アメリカ、インド洋諸島、マdファガスカル、太平洋諸島 に分布。英名はshortleaf spikesedge, green kyllinga, perennial greenhead sedge, kyllinga weed。中国名は短叶水蜈蚣(duan ye shui wu gong)。
 多年草、根茎は細く、長く這う。褐色、膜質の鱗片で覆われ、節間は1~2.5㎝、各節に1稈がつく。稈は連続して並び、ときにまた、束生し、高さ2~30㎝、扁平な3角(かど)があり、平滑、基部は膨れず、4又は5個の鞘がある。葉は稈より短~わずかに長。鞘は褐色、口部は斜めの切形、先は尖鋭形。基部の2個の鞘は葉身が無く、先の2~3個は葉身がある。葉身は長さ5~15㎝、幅2~4㎜、ぐにゃぐにゃし。平ら、中脈と先の縁に小刺がある。苞葉は3個tき、葉状、直立~斜め~水平。穂状花序は1(~3)個つき、球形~卵状球形、長さ5~11㎜、幅4~10㎜、多数の小穂を密生する。小穂は狭長楕円状卵形~狭卵形、長さ約3㎜、幅約1㎜、扁平、小花は1~2個。鱗片は白色でさび褐色の斑点があり、まれにわら色、卵形、長さ2.8~3㎜、竜骨は小刺が有又は無、竜骨の両側に2~3脈があり、先は鋭いか又は微突形で反曲、又は微突形ではない。雄しべは1~3個。葯は線形、長さ約0.7㎜。花柱は長い。柱頭は2個、花柱の長さの1/2より短い。小堅果は倒卵状長楕円形、長さ1~1.5㎜、両凸形、密に細点がある。花期と果期は5~10月。
3-1 Kyllinga brevifolia Rottb. subsp. brevifolia  アイダクグ(タイワンヒメクグ)
    synonym Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. var. brevifolius
    synonym Cyperus brevifolius (Rottboll) Endlicher ex Hasskarl.
 日本、朝鮮、中国、台湾、インド、ネパール、ブータン、パキスタン、スリランカ、ラオス、ミャンマー、タイ、ベトナム、フィリピン、インドネシア、マーレーシア、パプアニューギニア、アフガニスタン、バングラデシュ、アフリカ、大西洋諸島、オーストラリア、南北・中央アメリカ、インド洋諸島、マdファガスカル、太平洋諸島 に分布。
 稈は高さ5~30㎝。最も長い苞葉は直立~斜め。穂状花序は長さ5~11㎜、幅4.5~10㎜、多数の小穂をもつ。小穂は1小花。鱗片は竜骨に小刺があり、先は反曲した微突形。花期と果期は5~10月。2n = 18。中国名は短叶水蜈蚣(duan ye shui wu gong)。
3-2 Kyllinga brevifolia Rottb. var. leiolepis (Franch. et Sav.) H.Hara  ヒメクグ 
   synonym Kyllinga brevifolia Rottb. subsp. leiolepis (Franch. et Sav.) T.Koyama
   synonym Kyllinga gracillima Miq.
   synonym Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. var. leiolepis (Franch. et Sav.) T.Koyama
 日本、朝鮮、中国、ロシア、ネパールに分布。中国名は无刺鳞水蜈蚣 (wu ci lin shui wu gong)。
 最も長い苞葉は斜め~水平。小穂はわずかに広く、膨らむ。鱗片は竜骨に小刺が無く、先は尖が無く又はときに完全な尖がある。花期と果期は5~10月。
3-2-1 Kyllinga brevifolia Rottb. subsp. leiolepis (Franch. et Sav.) T.Koyama f. macrolepis (H.Hara ex T.Koyama) T.Koyama, nom. nud.  オニヒメクグ(オオバナヒメクグ)
     synonym Cyperus brevifolius (Rottb.) Hassk. var. leiolepis (Franch. et Sav.) T.Koyama f. macrolepis H.Hara ex T.Koyama
 ヒメクグの鱗片が5㎜以上と大きいもの。
3-3 Kyllinga brevifolia var. stellulata (J. V. Suringar) Ohwi
 中国、インド、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニアに分布中国名は小星穗水蜈蚣 (xiao xing sui shui wu gong )
 稈は高さ2~6㎝。穂状花序は球形幅4~6㎜、数個~20個又はそれ以上の小穂をもつ。小穂は疎につく、放射状に広がり、普通1又は2個の花をつける。鱗片は竜骨に小刺が無い。花期と果期は6~7月。
 4  Kyllinga kamtschatica Meinsh.  タチヒメクグ
   synonym Kyllinga brevifolia auct. non Rottb.  タチヒメクグ(マメクグ) 
   synonym Cyperus kamtschaticus (Meinsh.) Yonek.
 日本(関東以北)、ロシアに分布する。
 短命な1年草、根茎は細く、ごく短く、節間もごく短い。高さ5~10(20)㎝以下。直立性(orthotropic)又は(ときに部分的に)シュートを広げる。茎(稈)は多数株立になり、ごく短いものもあり、高さ (3) 5~15 (20)㎝、平滑、基部に赤褐色の鞘をもつ。葉は茎より明らかに短く、まれに長く、幅1~1.5(2)㎜、平ら、ときに多少、沿って折りたたまれる。普通の花序は頭状、長さ4~7㎜、多数の小穂を密につける。苞葉は葉状、普通3個、最長の1個は直立し、花茎より長く、下部の2~3個の苞葉は長さ (1) 2~5 (8)㎝、星形、緑色。 小穂は長さ2.5~3.5㎜、小花は1個(ときに2つ目の雄花がある)。鱗片は果実の長さの2~3倍、淡色又は帯褐色、折り畳まれ、膨らまない、緑色の竜骨上に透明膜質、幅の狭い2等辺3角形状の小刺がある。雄しべは2個。葯は長さ約1㎜。果実は長さ1.1~1.2㎜、幅0.7~0.8㎜。花期は6~7月、果期は8~10月。
 5  Kyllinga sesquiflora Torr. subsp. cylindrica (Nees) T.Koyama  タイトウクグ
   synonym Kyllinga odorata Vahl var. cylindrica (Nees) Kuk. ex Merr.
   synonym Kyllinga cylindrica Nees
   synonym Cyperus sesquiflorus (Torr.) Mattf. et Kuk. subsp. cylindricus (Nees) T.Koyama
 日本(沖縄)、中国、台湾、インド、ブータン、ネパール、スリランカ、タイ、ベトナム、インドネシア、フィリピン、パプアニューギニア、アフリカ、マダガスカルに分布。中国名は圆筒穗水蜈蚣 (yuan tong sui shui wu gong) 。
 多年草。根茎は短い。稈は束生し、高さ8~32㎝、わずかに細く、3角(かど)があり、平滑、基部に少数の葉がつく。葉は稈より短く、鞘は短い。葉身は幅2.5~4㎜、平ら、縁は細鋸歯。苞葉は3(又は4)個つき、ほぼ水平、ときに反曲する。穂状花序は(1~)3個集まってつき、多数の小穂が密につく。中央の穂状花序は長楕円状円柱形~卵形、長さ6~14㎜、幅4~6㎜。側穂状花序は長楕円形長さ約6㎜。小穂は卵状楕円形~卵形、長さ約2.2㎜、わずかに膨れ、1~2小花をもつ。鱗片は緑黄色~黄白色、広卵形、長さ約2㎜、凹面形、脈は数本、竜骨には小刺が無く、先は微突形。雄しべは2個。葯は広線形。花柱は中間の長さ。柱頭は2個。小堅果は初め黄色、熟すと暗褐色になり、楕円形~倒卵状楕円形、扁平な両凸形、細点のときがある。花期と果期は5~7月。
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