ヒキヨモギ 引蓬

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Flora of Mikawa

ハマウツボ科 Orobanchaceae ヒキヨモギ属

中国名 阴行草 yin xing cao
学 名 Siphonostegia chinensis Benth. ex Hook. et Arn.
ヒキヨモギの花
ヒキヨモギの下唇
ヒキヨモギの上唇
ヒキヨモギの雄しべ
ヒキヨモギの雄しべ葯
ヒキヨモギ果実2
ヒキヨモ葉裏の毛
ヒキヨモギの茎の毛
ヒキヨモギの茎
ヒキヨモギの茎の基部
ヒキヨモギ
ヒキヨモギ花と苞
ヒキヨモギ萼
ヒキヨモギ萼筒の毛
ヒキヨモギ果実
ヒキヨモギ種子
ヒキヨモギ葉表
ヒキヨモギ葉裏
花 期 7~9月
高 さ 30~70㎝
生活型 1年草
生育場所 乾いた山の斜面、草地、田畑、海岸の草地、
分 布 在来種  北海道、本州、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、台湾、ロシア
撮 影 田原市   17.7.19 , 17.8.23
       17.9.21(果実)
科はAPGではゴマノハグサ科からハマウツボ科に移動された。
ヒキヨモギは愛知県では準絶滅危惧種に指定されているが、全国ではランク外
 1年草、高さ30~70㎝、乾くと黒色になり、黄褐色の毛が密生する。枝は稜があり、密に軟毛がある。葉は無柄又は短柄。葉身は広卵形、長さ0.8~5.5㎝、幅0.4~6㎝、軟毛が密にあり、2回羽状全裂、羽片は3対、最下の対は2回羽状深裂。小羽片は1~3個、線形~線状披針形、幅1~2㎜、全縁。総状花序は花が少数つく。苞は羽状深裂又は羽状全裂。萼は円筒形、先が5裂する。萼筒は長さ1~1.5㎝、深い10本の溝条線があり、密に毛があり、内側にも白毛がある。萼裂片は緑色、ほぼ等長、線状披針形~長楕円形、長さ2.2~2.5㎜、外面には密に長軟毛があり、内面は軟毛があり、縁は全縁又は1~2歯がある。花は鮮黄色、長さ2.5~3㎝(萼を含め)。花冠筒部は長さ12~1.4㎝、外側及び内側の子房の少し上まで毛が多い。下唇は黄色、3裂し、裂片は卵形。上唇は黄色で内側の縁が赤紫色、外側に長毛があり、先が細く、内側に花柱を包み込むようになってやや曲がり、広げると先端はほぼ切形。雄しべは4個、2個が長い2強雄しべ、花冠筒部の中間につき、花糸の下部に花筒の内側と同じような毛がある。雌しべは1個、柱頭が上唇から突き出る。子房は細長い卵形、長さ約4㎜、幅約5㎜。蒴果は卵状長楕円形、長さ約1..5㎝、幅約2.5㎜、先は類斜形で微突頭形。種子は黒色、長さ約0.8㎜。花期は7~9月。
 オオヒキヨモギは全国では絶滅危惧Ⅱ類に指定されているが、愛知県ではランク外。半寄生。茎、葉、萼など全体に開出した腺毛が密に生える。花冠の黄色があまり鮮やかでない。

ヒキヨモギ属

 family Orobanchaceae- genus Siphonostegia

 1年草。茎は直立、基部は木質、先は多数、分枝する。葉は対生、無柄又は短柄がある。葉身は羽状深裂又は切れ込む。総状花序は頂生する。苞は葉状、深裂又は全縁。花は対生し、まばらにつく。花柄は短い。苞は2個、線形。咢筒は鐘形、長さが幅の4~8倍、膜質、10脈がある。咢片は5個、ほぼ等長、類披針形。花冠筒部は細く、真っすぐ、咢の長さと同長又はわずかに長い。花冠の拡大部は2唇形。下唇は上唇の長さと同長、裂片は卵状三角形、ほぼ等長、先は鋭形、2個の花弁状のひだをもつ。上唇はかぶと形、頭を下げる。雄しべは2強雄しべ、わずかに突き出る。子房は2室。花柱はわずかに突き出る。蒴果は黒色~黒褐色、宿存する咢に包まれる。種子は多数、長円状卵形、種皮は網状、翼は厚く、肉質、透明。
 世界に約4種あり、アジアに分布する。

ヒキヨモギ属の主な種

1 Siphonostegia chinensis Benth. ex Hook. et Arn.  ヒキヨモギ 引蓬
 日本(北海道、本州、四国、九州)、沖縄、朝鮮、中国、台湾、ロシア原産。中国名は阴行草 yin xing cao。乾いた山の斜面、草地、田畑、海岸の草地に生える。
 1年草、高さ30~70㎝、乾くと黒色になり、黄褐色の毛が密生する。枝は稜があり、密に軟毛がある。葉は無柄又は短柄。葉身は広卵形、長さ0.8~5.5㎝、幅0.4~6㎝、軟毛が密にあり、2回羽状全裂、羽片は3対、最下の対は2回羽状深裂。小羽片は1~3個、線形~線状披針形、幅1~2㎜、全縁。総状花序は花が少数つく。苞は羽状深裂又は羽状全裂。萼は円筒形、先が5裂する。萼筒は長さ1~1.5㎝、深い10本の溝条線があり、密に毛があり、内側にも白毛がある。萼裂片は緑色、ほぼ等長、線状披針形~長楕円形、長さ2.2~2.5㎜、外面には密に長軟毛があり、内面は軟毛があり、縁は全縁又は1~2歯がある。花は鮮黄色、長さ2.5~3㎝(萼を含め)。花冠筒部は長さ12~1.4㎝、外側及び内側の子房の少し上まで毛が多い。下唇は黄色、3裂し、裂片は卵形。上唇は黄色で内側の縁が赤紫色、外側に長毛があり、先が細く、内側に花柱を包み込むようになってやや曲がり、広げると先端はほぼ切形。雄しべは4個、2個が長い2強雄しべ、花冠筒部の中間につき、花糸の下部に花筒の内側と同じような毛がある。雌しべは1個、柱頭が上唇から突き出る。子房は細長い卵形、長さ約4㎜、幅約5㎜。蒴果は卵状長楕円形、長さ約1..5㎝、幅約2.5㎜、先は類斜形で微突頭形。種子は黒色、長さ約0.8㎜。花期は7~9月。

2 Siphonostegia laeta S.Moore  オオヒキヨモギ 大引蓬
  synonym Siphonostegia japonica (Matsum.) Matsum. ex Furum 
 日本(本州の関東~中国地方、四国の瀬戸内海側)、中国原産。中国名は腺毛阴行草 xian mao yin xing cao 。山地の林縁に生える。
1年草。高さ30~70㎝。半寄生で、茎は直立し、全体に開出した腺毛が密に生え、乾くと黒色を帯びる。枝は3~5対。葉は密に腺毛があり、短い葉柄があり、葉柄に翼がある。葉身は狭三角状卵形、長さ1.5~2.5㎝、幅 0.8~1.5㎝、掌状に近い羽状、3個に分裂する。中央羽片は他より大きく、菱状卵形、側羽片は斜めの三角状卵形。苞は葉状、萼より短く、菱状卵形~卵j状被針形、密に腺毛があり、縁は羽状に分裂~全縁、先は尖る。小花柄は長さ2~3㎜。小苞は長さ3~5㎜。花は枝先の分裂しない長さ2~3㎝の葉の葉腋に単生する。萼は腺毛が密生し、筒状鐘形、筒部は長さ1~1.5㎝、10本の条線が溝状になり、先は5裂する。萼片は披針形、長さ6~10(12)㎜、全縁。花冠は黄色、2唇形、外面に腺毛が多く、筒部は下部が萼筒に包まれ、長さ約2㎝。上唇弁はかぶと状、ときに紫色を帯び、内面に長い多細胞の縮れた毛がある。下唇弁は上唇とほぼ同長、上面に長い多細胞の縮れた毛があり、裂片は三角状卵形。雄しべ4個、上唇弁内にあり、花糸には毛が密生する。雌しべ1個、子房は狭卵形、長さ2~3㎜、子房上位。蒴果は長さ1.2~1.3㎝、幅約3.5㎜、残存性の萼片に包まれ、内部で2つに裂開する。種子は長さ1~1.5㎜、黄褐色。花期は8~9月。

参考

1) Flora of China
 Siphonostegia  
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=130479
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Siphonostegia  
http://usefulplantsofboyaca.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:38014-1
3)GRIN
 Siphonostegia  
http://tn-grin.nat.tn/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=11216