ハスノハカズラ 蓮の葉葛

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Flora of Mikawa

ツヅラフジ科 Menispermaceae ハスノハカズラ属

別 名 イヌツヅラフジ
中国名 千斤藤 qian jin teng
英 名 snakevine, tapevine
学 名 Stephania japonica (Thunb.) Miers.
Stephania japonica (Thunb.) Miers. var. japonica
ハスノハカズラの雌花序
ハスノハカズラの雄花序
ハスノハカズラの果期
ハスノハカズラの果実
ハスノハカズラの果実
ハスノハカズラの葉
ハスノハカズラ
ハスノハカズラ雄花
ハスノハカズラ種子
花 期 7~8月
果 期 10月
高 さ 蔓性
生活型 常緑蔓性
生育場所 海岸に近い草原、林縁
分 布 在来種 本州(東海道、近畿、中国)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、インド、マレーシア、スリランカ、タイ、フィリピン、オーストラリア、太平洋諸島
撮 影 伊良湖岬  03.7.21
渥美半島では普通に見られるが、他の地域では少なく、三河湾の海岸線に近いところに点在する。
 葉柄が葉の中央に近いところに楯状につき、ハスの葉に似ていることからハスノハカズラと名づけられている。
 全体に無毛。葉は互生し、長さ5~12㎝の三角状広卵形。葉柄は長さ3~12㎝。雌雄異株。淡黄緑色の小さい花が複散形花序に固まってつく。小花柄はほとんどない。雄花は長さ1~1.5㎜の萼片6~8個が2つの螺旋状につき、花弁は長さ0.5~1㎜、3~4個つく。雄しべは合着し、葯は円盤状になり、葯室は6個。雌花は雄花よりやや小さく、萼片3~4個、花弁3~4個。子房は卵形。果実は長さ6~8㎜のやや縦長の球形の核果、秋に橙色~次第に赤色になり熟す。核は長さ5~6㎜、下部を除いて、縁に約10個の隆起があり、中央部は凹む。

ハスノハカズラ属

  family Menispermaceae - genus Stephania

 草本または木本のつる植物。根茎はしばしば塊茎となり、ときに地上にある。枝は条線があり、わずかに絡み合う。葉柄はしばしば非常に長く、両端が膨れる。葉身は三角形、三角状円形、または三角状類卵形、盾状、紙質、まれに膜質または類革質、掌状脈。花序は腋生、または葉の小さなまたは無い腋生の茎につき、まれに古い茎に生じ、普通、散形花序状の集散花序、ときに、円盤形の花托の上の頭状花序に密につき、しばしば、複合の散形花序につき、まれに密錐花序状の軸につく。雄花は萼片が対称的に(1または)2輪生し、各輪に3または4個萼片がつき、離生、またはたまに基部で合着する。花弁は3または4個が1輪生し、まれに2輪生または欠く。雄しべは2~6本、普通、4本、盾状の集葯雄しべ(synandrium)に合着する。葯は横方向に裂開する。雌花は花被が対称的、萼片と花弁はそれぞれが3または4個が1輪生し、または非対称に萼片1(または2)個と花弁2(または3)個がつく。仮雄しべは無い。心皮は1個、ほぼ卵形。核果は赤色または橙赤色、ほぼ球形、両側がわずかに扁平で、基部近くに花柱痕がある。内果皮は普通、骨質で、倒卵形~倒卵状円形で、外側に1列または2列の横方向のうねまたは円柱状の装飾があり、 果頭(condyle)は両側にわずかに凹状、孔はの有または無。種子は馬蹄形、胚は馬蹄形、胚乳は肉質、子葉は幼根の長さと同長またはそれより短い。アルカロイドを含み、薬用に使われる。
 世界に約60種があり、熱帯および亜熱帯のアジアとアフリカに分布し、オセアニアに数種分布する。

ハスノハカズラ属の主な種と園芸品種

1 Stephania cephalantha Hayata  タマザキツヅラフジ 玉咲蔓藤
 中国、台湾原産。中国名は金钱调乌龟 jin qian diao wu gui。生薬名は白薬子(ビャクヤクシ)。

2 Stephania japonica (Thunb.) Miers ハスノハカズラ 蓮の葉葛
  synonym Stephania japonica (Thunb.) Miers var. hispidula Yamam.
  synonym Stephania japonica (Thunb.) Miers var. australis Hatus.
  synonym Stephania longa Lour.
  synonym Stephania japonica (Thunb.) Miers var. macrophylla Yamam.
 本州(東海道、近畿、中国)、四国、九州、沖縄、朝鮮、中国、インド、マレーシア、スリランカ、タイ、フィリピン、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は千斤藤 qian jin teng。英名はsnakevine, tapevine。別名はイヌツヅラフジ、薬用に使われ、粉防已(フンボウイ)といい、利尿,鎮痛作用がある。海岸に近い草原、林縁に生える。
 常緑蔓性木。葉柄が葉の中央に近いところに楯状につき、ハスの葉に似ていることからハスノハカズラと名づけられている。
 全体に無毛。葉は互生し、長さ5~12㎝の三角状広卵形。葉柄は長さ3~12㎝。雌雄異株。淡黄緑色の小さい花が複散形花序に固まってつく。小花柄はほとんどない。雄花は長さ1~1.5㎜の萼片6~8個が2つの螺旋状につき、花弁は長さ0.5~1㎜、3~4個つく。雄しべは合着し、葯は円盤状になり、葯室は6個。雌花は雄花よりやや小さく、萼片3~4個、花弁3~4個。子房は卵形。果実は長さ6~8㎜のやや縦長の球形の核果、秋に橙色~次第に赤色になり熟す。核は長さ5~6㎜、下部を除いて、縁に約10個の隆起があり、中央部は凹む。花期は7~8月。果期は8月。

3 Stephania merrillii Diels コウトウツヅラフジ
  synonym Stephania sasakii Hayata ex Yamam.
 台湾原産。中国名は台湾千近藤 tai wan qian jin teng。

4 Stephania tetrandra S.Moore シマハスノハカズラ 縞蓮葉葛
 中国、台湾原産。中国名は粉防己 fen fang ji。別名はカンボウイ。生薬名は粉防己(フンボウキ)。
 シマハスノハカズラに含まれる成分のテトランドリンが、エボラ出血熱の感染を防ぐことが発見されたと報道された(2015)。

参考

1) Flora of China
 Stephania
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=131433
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Stephania
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:27017-1
3) World Flora Online
 Stephania
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000036569;jsessionid=BE9D399BDF470DB5C51D27F4F808A3F3