ハナハマセンブリ 花浜千振

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Flora of Mikawa

リンドウ科 Gentianaceae シマセンブリ属

英 名 slender centaury , lesser centaury
学 名 Centaurium tenuiflorum (Hoffmanns. et Link) Fritsch
Centaurium pulchellum auct. non (Sw.) Druce
ハナハマセンブリ花
ハナハマセンブリ花横
ハナハマセンブリ茎
ハナハマセンブリ茎の断面
ハナハマセンブリ根生葉
ハナハマセンブリ果実
ハナハマセンブリ
ハナハマセンブリ花序
ハナハマセンブリ葉
ハナハマセンブリ葉裏
ハナハマセンブリ種子
花 期 6~7月
高 さ (15~)20~50(~75)㎝
生活型 1又は2年草
生育場所 草地、空地、道端
分 布 帰化種  地中海沿岸原産
撮 影 蒲郡市形原町  11.6.21
1又は2年草。高さ(15~)20~50(~75)㎝。根は分岐が少なく白色。茎は4稜形、稜に翼があり、中実。主茎は最下の枝の下に5~9個の節間がある。全体に無毛。花期には根生葉は残っていることもあるが、普通、枯れ始める。根生葉は長さ15~25mm、倒卵形~長円形。茎葉は対生し、普通、長さ10~30mm、鋭頭、無柄。下部の葉は楕円状長円形~卵形、上部の葉は披針形。花序は密、普通、頭が平ら。花はピンク色、、中心部は白く、直径8~10㎜、長さ10~12㎜。花はほとんど無柄[又は長さ2mm以下](2つの苞に接して包まれる)。花冠は5裂し、裂片の長さは2~4.5㎜。萼は長さ5~6㎜の筒状、先が深く5裂し、裂片は細く尖る。萼は花筒に接して付き、萼裂片の基部は花期にはわかりにくい。萼の長さ(裂片の先までの長さ))は花筒(長さ8~10㎜)の6割~8割程度の長さ。雄しべは5個、雌しべ1個、花冠よりやや突き出る。葯は花粉を出すときに螺旋状に捻じれる(属の特徴)。蒴果は長さ8~9㎜程度。種子は直径0.25~0.35mm、網目があり、淡褐色~赤褐色。。2n=40。花期は6~7月。
 類似のベニバナセンブリ Centaurium erythraea は茎葉よりかなり大きな根生葉が花期に普通、残る。葉先が鈍頭のことが多い。花冠裂片は長さ4.5~8㎜あり、萼も6~8㎜と長い。

シマセンブリ属

  family Gentianaceae - genus Centaurium

 1年草又は2年草、無毛。茎は直立、分枝又は下部が1本。葉は茎葉が対生、根生葉は有又は無。花序は集散花序。花は普通、5数性。咢片は咢筒より長く(Centaurium tenuiflorumでは咢片の間の薄い膜質部分を入れない)、花冠筒部に±密着する。花冠は高杯形、普通、ピンク色。花冠裂片は筒部より短く、全縁又は先に細かい歯があり、鱗片はなく、蜜腺のくぼみもない(蜜腺はどこにも無い)。雄しべは初め、片側に曲がる。分裂した葯は螺旋状に捻じれる。子房は無柄。花柱は糸状(花糸よりかなり幅広)、分岐は長さ0.5~1mm、脱落性。柱頭は2個、楕円形~卵形。
 世界に約15種あり、温帯、乾いた中温性の熱帯、ユーラシア、北アフリカ、メキシコに分布する。  2004年にCentaurium(約50種)はCentaurium(約20主) , Zeltnera , Gyrandra , Schenkia4属に分割された。

シマセンブリ属の主な種と園芸品種

1 Centaurium erythraea Raf.  ベニバナセンブリ 紅花千振
 ヨーロッパ、西アジア、北アフリカ原産。英名はcommon centaury , European centaury
 2年草、高さ(3)20~50(60) cm。主茎は最下の枝の下に(3~)5~9節がある。根生葉は普通、ロゼットになり、宿存し、長さ(10)15~70mm×幅8~20mm、倒卵形~広楕円形(へら形)、先は鈍形~円形。茎葉は小さくて狭く、長さ8~50mm、楕円形~披針形、先は鋭形。花序は2出集散花序(全体で散房花序状)、密、頭が平ら。花は無柄、2個の苞が基部につく。咢片は長さ約4(4~7)㎜。花冠は長さ12~15mm、普通、淡ローズピンク色(薄赤色~暗ピンク色)。筒部は長さ7~8mm。花冠裂片は長さ4.5~8mm。葯は長さ1.6~2mm。子房は長さ6~8mm。蒴果は長さ6~8(~9)mm、咢に包まれる。種子は約・長さ0.4mm×幅0.3mm、網目があり、赤褐色。2n=42。花期は7~9月。

2 Centaurium japonicum (Maximowicz) Druce シマセンブリ ⇒Schenkia japonica (Maxim.) G.Mans
  synonym Erythraea japonica Maximowicz,
 日本、台湾原産。中国名は日本百金花 ri ben bai jin hua。別名はホウライセンブリ。

3 Centaurium pulchellum (Sw.) Druce ケンタウリウム・プルケルム
  synonym  Centaurium pulchellum (Sw.) Druce [The Plant List]
  synonym  Centaurium pulchellum var. meyeri (Bunge) Omer
  synonym Centaurium pulchellum (Sw.) Hayek ex Hand.-Mazz., Stadlm., Janch. et Faltis [Kewscience , Jepson eFlora]
ヨーロッパ、南西アジア、北アフリカ原産。中国名は美丽百金花 mei li bai jin hua。英名はbranching centaury , lesser centaury , slender centaury。
 高さ4~10(~25)㎝、無毛。茎は1本~多数分枝、不明瞭な4稜がある。葉は無柄。下部の葉は楕円形~卵状楕円形、長さ 0.6~1.7cm×幅3~6mm、基部は円形、先は鈍形、脈は1~3本、下面で明瞭。上部の葉は楕円状披針形、長さ0.6~2㎝×幅2~7mm、基部は円く、抱茎に近く、先は尖鋭形、鋭形、又は微突形、脈は1~3本。集散花序は緩く二又又は総状花序。花柄は長さ3~5[11:]mm、細く、4角(かど)がある。咢片は錐形又は線状披針形、長さ2.5~3mm、先は尖鋭形、中脈は明瞭又は強く鶏冠(crested)がつく。花冠は白色、ピンク色、又は紫色、長さ1.3~1.5㎝。花冠裂片は長円形、長さ2.7~3.2㎜、縁は全縁、先は鈍形。花糸は長さ1.5~2 mm。葯は楕円形、長さ0.5~0.7mm。花柱は長さ2~2.5㎜。蒴果は楕円形、長さ7.5~9㎜。種子は帯黒色、球形、直径0.2~0.3㎜。花期と果期は5~7月。2n=36。
3-1 Centaurium pulchellum var. pulchellum
 中国、インド、中央アジア、西アジア、ヨーロッパ、北アフリカに分布。
 咢片は線状披針形、中脈はめだつ。花冠は紫色。
3-2 Centaurium pulchellum var. altaicum (Griseb.) Kitag. & H.Hara コゴメセンブリ 小米千振
  synonym Centaurium pulchellum (Sw.) Hayek ex Hand.-Mazz., Stadlm., Janch. et Faltis subsp. meyeri (Bunge) Tzvelev [Ylist , GBIF]
  synonym  Centaurium pulchellum var. meyeri (Bunge) Omer
 中国、台湾、インド、ロシア、中央アジアに分布。中国名は百金花 bai jin hua。英名は field centaury, pink centaury
 咢片は錐形、中脈には強く鶏冠(crested)がつく。花冠は白色又はピンク色。
 学名はCentaurium pulchellum subsp. meyeriは使われなくなり、Flora of China と同じようにvar. altaicumとされるようになった。(World Flora Online)。過去にはsubsp. meyeriは次のように花柄の長いものとされていた(S.Garg 1982) 。
 葉が多く、枝が平行直立状(fastigiate)。花柄は短く長さ2~4mm....................................C.pulchellum
 単純、緩い。花柄は長く、9~25㎜ .....................................C. meyeri

4 Centaurium tenuiflorum (Hoffmanns. et Link) Fritsch ex Janchen  ハナハマセンブリ 花浜千振
  synonym Centaurium pulchellum auct. non (Sw.) Druce
  synonym Centaurium floribundum auct. non (Benth.) B.L.Rob.e
 西ヨーロッパ~地中海沿岸原産。英名はslender centaury , lesser centaury。
 1又は2年草。高さ(15~)20~50(~75)㎝。根は分岐が少なく白色。茎は4稜形、稜に翼があり、中実。主茎は最下の枝の下に5~9個の節間がある。全体に無毛。花期には根生葉は残っていることもあるが、普通、枯れ始める。根生葉は長さ15~25mm、倒卵形~長円形。茎葉は対生し、普通、長さ10~30mm、鋭頭、無柄。下部の葉は楕円状長円形~卵形、上部の葉は披針形。花序は密、普通、頭が平ら。花はピンク色、、中心部は白く、直径8~10㎜、長さ10~12㎜。花はほとんど無柄[又は長さ2mm以下](2つの苞に接して包まれる)。花冠は5裂し、裂片の長さは2~4.5㎜。萼は長さ5~6㎜の筒状、先が深く5裂し、裂片は細く尖る。萼は花筒に接して付き、萼裂片の基部は花期にはわかりにくい。萼の長さ(裂片の先までの長さ))は花筒(長さ8~10㎜)の6割~8割程度の長さ。雄しべは5個、雌しべ1個、花冠よりやや突き出る。葯は花粉を出すときに螺旋状に捻じれる(属の特徴)。蒴果は長さ8~9㎜程度。種子は直径0.25~0.35mm、網目があり、淡褐色~赤褐色。。2n=40。花期は6~7月。

参考

1) Flora of China
 Centaurium
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=106016
2) Plants of the World Online | Kew Science
 Centaurium
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:30015106-2
2) Jepson eFlora
 Centaurium pulchellum
https://ucjeps.berkeley.edu/eflora/eflora_display.php?tid=18584