ハマウツボ 浜靫
Flora of Mikawa
ハマウツボ科 Orobanchaceae ハマウツボ属
中国名 | 列当 lie dang |
英 名 | bluish broomrape |
学 名 | Orobanche coerulescens Step. ex Willd. |
花 期 | 5~7月 |
高 さ | 15~20㎝ |
生活型 | 1年草、寄生植物 |
生育場所 | 海岸、河原の砂地 |
分 布 | 在来種 日本全土、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、ネパール、カザフスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、ヨーロッパ |
撮 影 | 渥美町 05.5.8 |
和名の由来は矢を入れる筒型の細長い籠である武具の靫(うつぼ)に花穂が似ていることから。愛知県内ではほとんど見られなく、絶滅危惧ⅠB類に指定されている。
カワラヨモギなどの根に寄生し、葉緑素を持たない。写真のハマウツボの周囲に見られるのがカワラヨモギの若葉である。茎は褐色で、直立する。全体に白毛が密生し、花にも白毛がある。葉は互生し、退化して長さ1~1.5㎝の狭卵形~披針形の鱗片状になり、枯れた葉のように見える。茎頂の穂状花序に多数、花がつく。苞は長さ約1.5㎝の披針形~三角状卵形、先が尖る。萼は長さ約1㎝、膜質、左右に2深裂し、裂片はさらに2裂して先が尖る。花冠は長さ約2㎝、紫色の唇形、太い筒部があり、上唇は凹頭、下唇は3裂する。雄しべ4個、うち2個が短い。雌しべ1個、柱頭は中間でくびれ2個の球形になる。蒴果は長さ約1㎝の狭楕円形、熟すと2裂する。2n=38
丘陵地に生え、オトコヨモギなどに寄生する毛がないものをオカウツボ form. nipponica (Makino) Kitam. という。品種に分けないという説もある。愛知県内では絶滅したといわれている。
1年草、2年草、または多年草、普通、綿毛、絨毛、または腺毛があり、まれに無毛。葉は螺旋状または覆瓦状に配置され、卵形、卵状披針形、または披針形。花は多数、花序は穂状花序または総状花序につき、まれに花が単生する。苞は1個、普通、葉状。小苞は2個または欠く。花柄は短または無。萼は円蓋形または鐘形、先は4裂またはほぼ4または5深裂、たまに5または6歯になり、ときに基部まで2分割して全裂または2歯になる。花冠は2唇形、曲がる。上唇は全縁、凹形、または2裂する。下唇は3裂し、上唇より短~長。雄しべは4本、2強雄しべ、突き出さない。花糸は基部に毛または腺毛がある。子房は1室、側膜胎座4個、胚珠は多数。花柱は長く、普通、宿存する。柱頭は膨れ、盾状または2~4裂する。蒴果は卵状球形または楕円形、2バルブに裂開する。種子は多数、微細、楕円形またはほぼ球形。種皮は網状。
世界に約180種あり、主に北温帯地域に分布し、少数が中南米、東アフリカ、北アフリカに分布する。
小笠原固有の寄生植物、オガサワラビロウやシロテツなど低木林の樹木に寄生する。別名はオガサワラオニク、タケウツボ
花期にだけ花茎(地上茎)が現れ、全体が鮮かな黄色(黄金色)、場所によっては大きな群落をつくる。高さ約30cmあるが、その下半分は腐植土下にあり、地表から上の地上茎は高さ10~15㎝、直径1.5㎝。茎は多数の鱗片葉に覆われる。地下部は褐色に変った小形の鱗葉を持ち、茎の上半部の鱗片葉(苞)腋に花が1個ずつつき、腐植土から出た所から直ちに花が出て、花序は穂状花序。花は長さ2~4cmの筒状2唇形、葯が少し白味を帯びる以外、すべて黄色(黄金色)。花冠の下に2個の萼片があり、花冠をはさむ。地上茎および花には全体に上向きの長さ0.6㎜の腺毛がある。雄しべは4本。蒴果は楕円形、長さ1~1.5(2)㎝、幅約8mm、褐色、裂開して、多数の微細な種子を出す。花期は2~3月および9~10月。
2 Orobanche coerulescens Stephan ex Willd. ハマウツボ 浜靫
synonym Orobanche coerulescens Stephan ex Willd. f. nipponica (Makino) Kitam.
日本全土、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、ネパール、カザフスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、ヨーロッパ原産。中国名は列当 lie dang。英名はbluish broomrape。
1年草、寄生植物、高さ15~20㎝。カワラヨモギなどの根に寄生し、葉緑素を持たない。茎は褐色で、直立する。全体に白毛が密生し、花にも白毛がある。葉は互生し、退化して長さ1~1.5㎝の狭卵形~披針形の鱗片状になり、枯れた葉のように見える。茎頂の穂状花序に多数、花がつく。苞は長さ約1.5㎝の披針形~三角状卵形、先が尖る。萼は長さ約1㎝、膜質、左右に2深裂し、裂片はさらに2裂して先が尖る。花冠は長さ約2㎝、紫色の唇形、太い筒部があり、上唇は凹頭、下唇は3裂する。雄しべ4個、うち2個が短い。雌しべ1個、柱頭は中間でくびれ2個の球形になる。蒴果は長さ約1㎝の狭楕円形、熟すと2裂する。2n=38。花期は5~7月。
白花品種。
3 Orobanche ficicola Nakai
韓国固有種。1928年に採集された単一の標本が東京大学植物標本館に保管され不明とされていた。2000年に再発見され、2003年に発表された。
済州島と全羅南道の3~4ヶ所にのみ分布し、個体数も非常に少ない。茎は褐色、花は紫色。
4 Orobanche foetida Poir. オロバンケ・フォエティダ
地中海西部沿岸地域原産。英名はfoetid , common vetch。日当たりの良い草原に生える寄生植物。
1年草または多年草。茎は高さ20~70(100)cm×幅約1cm、普通丈夫で、単一、帯赤色、黄色の腺毛が多数ある。葉は長さ15~40㎜×幅3~5㎜、褐赤色、腺毛がある。花序は長さ10~40cm、普通、密に多数、花がつく。花時には不快な異臭を放つ。苞は長さ(10)15~30(40)㎜、披針形、褐赤色、腺毛がある。萼は長さ約15㎜、側咢片は同じ長さに分裂し、薄赤色で、腺毛がある。花冠は長さ20~25㎜、直立~開出し、ほぼ鐘形、やや曲がり、外側は褐赤色、内側はより暗く明るい栗色–、下部は普通、ピンク色、まばらに腺毛があり、先が黄色。上唇はほぼ2裂、下唇は裂片が円形、やや小歯がある。雄しべの花糸は花冠の基部から3~5㎜上につき、上部にいくつかの腺毛があり、下部は特に基部には腺毛が無い。葯は無毛。柱頭は裂片がはっきり散開し、明るい黄色。n=38。花期は4~6月。
5 Orobanche minor Sm. ヤセウツボ 痩靫
地中海沿岸原産。中国名は小列当 xiao lie dang。英名はcommon broomrape , clover broomrape , lesser broomrape , small broomrape , hellroot。ヤセウツボは植物の根に寄生し、マメ科のシャジクソウ属に寄生することが多く、ムラサキツメクサなどの群生地で見られることが多い。セリ科、キク科、フウロソウ科、ナス科など様々な植物にも寄生する。世界に広く帰化し、牧草の収量を減少させる害草とされている。日本では外来生物法で要注意外来生物に指定されている。草地、道端、畑地、牧草地、樹園地などに生える。 1年草。高さ(5)15~50(100)㎝。様々な植物の根に寄生し、葉緑素を持たない。発芽後に宿主の根につき、根茎状の節を伸ばす。普通、冠根に覆われる。短根はおおよそ長さ1~2㎝。発芽の数週間後に根茎状の節から茎を直立して出す。ヤセウツボは茎が分枝せず、赤褐色~黄褐色、しばしば紫色を帯び、普通、高さ30~50㎝、ときに100㎝を超え(特にエチオピアのもの )、腺毛がある(又はほぼ無毛)。花茎が出るのが遅かったものは高さ5~15㎝の小形のものも多い。葉は互生し、褐色の鱗片状、卵形~披針形、長さ6~20㎜、先は鋭形。花序は長い穂状花序、長さ10~30㎝(特に大きい個体はさらに長い)、成長した大きいものでは茎の長さの約半分を占める。花は多数つき、無柄(基部の花の1~2個の花に長さ5~13㎜の柄のあるものもある。)、螺旋状に配置し、各花の基部に苞が1個つく。苞は先が尖った狭い卵形、長さ10~15㎜、幅3~5㎜、腺毛がある。萼は変異が多いといわれている。観察したものは萼が基部まで2裂し、萼片が花の左右に1個ずつ、2個あり、苞の横から左右に突き出て、長さ約10㎜、幅約2~3㎜、先が2深裂~2中裂~2浅裂ときに分裂せず、2個の裂片は長さが異なり、内側が短く、外側が長く、先は錐状に細長く尖り、長腺毛がある。花冠は長さ10~18㎜、まれに20㎜、太い脈があり、しわがある。花冠筒部はほぼ円筒形、わずかに先が下方に曲がり、上唇は先が凹み、下唇は幅約10㎜、3裂し、裂片は長さ2~3㎜、中央の裂片が最も大きく、縁は波状に切れ込む。外面は腺毛があり、内面は無毛。花冠の色は主に淡帯白色~淡黄色、脈に沿って紫色になり、花冠の先が紫色を帯びる。雄しべは4個、花冠の筒部の基部から2~4㎜上につき、長さ8~10㎜程度。花糸は白色、基部にしばしば腺毛がある。葯は黒色。花粉は白色。花柱は長さ約6㎜、腺毛がまばらにある。子房は長さ約6㎜、長楕円形。柱頭は2裂、幅約1.5㎜、赤褐色、まれに黄色。蒴果は長さ7~10㎜、熟すと2裂し、数100個の種子を放出する。種子は長さ約0.3㎜と微小、成熟するにつれ、黄褐~褐色~黒色に変色する。種子は動物に食べられても生存し、散布されてから土壌中に10年以上も生存するといわれている。2n=38。
5-1 Orobanche minor Sm. var. flava Regel キバナヤセウツボ
紫色を帯びず、全体が黄色で、萼の形が異なるとされ、変種とされたが、現在は変種とはせず、色の変化とする見解が普通である。
6 Orobanche pycnostachya Hance キバナハマウツボ
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は黄花列当 huang hua lie dang。
6-1 Orobanche pycnostachya Hance var. amurensis G.Beck チョウセンヤマウツボ
synonym Orobanche amurensis (G.Beck) Kom.
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は黑水列当 hei shui lie dang。
Orobanche
Orobanche
Orobanche
渡辺清彦 : 小笠原島特産のシマウツボ,特にその寄生状態について
Orobanche foetida Poiret Flora Iberica
カワラヨモギなどの根に寄生し、葉緑素を持たない。写真のハマウツボの周囲に見られるのがカワラヨモギの若葉である。茎は褐色で、直立する。全体に白毛が密生し、花にも白毛がある。葉は互生し、退化して長さ1~1.5㎝の狭卵形~披針形の鱗片状になり、枯れた葉のように見える。茎頂の穂状花序に多数、花がつく。苞は長さ約1.5㎝の披針形~三角状卵形、先が尖る。萼は長さ約1㎝、膜質、左右に2深裂し、裂片はさらに2裂して先が尖る。花冠は長さ約2㎝、紫色の唇形、太い筒部があり、上唇は凹頭、下唇は3裂する。雄しべ4個、うち2個が短い。雌しべ1個、柱頭は中間でくびれ2個の球形になる。蒴果は長さ約1㎝の狭楕円形、熟すと2裂する。2n=38
丘陵地に生え、オトコヨモギなどに寄生する毛がないものをオカウツボ form. nipponica (Makino) Kitam. という。品種に分けないという説もある。愛知県内では絶滅したといわれている。
ハマウツボ属
family Orobanchaceae - genus Orobanche1年草、2年草、または多年草、普通、綿毛、絨毛、または腺毛があり、まれに無毛。葉は螺旋状または覆瓦状に配置され、卵形、卵状披針形、または披針形。花は多数、花序は穂状花序または総状花序につき、まれに花が単生する。苞は1個、普通、葉状。小苞は2個または欠く。花柄は短または無。萼は円蓋形または鐘形、先は4裂またはほぼ4または5深裂、たまに5または6歯になり、ときに基部まで2分割して全裂または2歯になる。花冠は2唇形、曲がる。上唇は全縁、凹形、または2裂する。下唇は3裂し、上唇より短~長。雄しべは4本、2強雄しべ、突き出さない。花糸は基部に毛または腺毛がある。子房は1室、側膜胎座4個、胚珠は多数。花柱は長く、普通、宿存する。柱頭は膨れ、盾状または2~4裂する。蒴果は卵状球形または楕円形、2バルブに裂開する。種子は多数、微細、楕円形またはほぼ球形。種皮は網状。
世界に約180種あり、主に北温帯地域に分布し、少数が中南米、東アフリカ、北アフリカに分布する。
ハマウツボ属の主な種と園芸品種
1 Orobanche boninsimae (Maxim.) Tuyama シマウツボ 島靫小笠原固有の寄生植物、オガサワラビロウやシロテツなど低木林の樹木に寄生する。別名はオガサワラオニク、タケウツボ
花期にだけ花茎(地上茎)が現れ、全体が鮮かな黄色(黄金色)、場所によっては大きな群落をつくる。高さ約30cmあるが、その下半分は腐植土下にあり、地表から上の地上茎は高さ10~15㎝、直径1.5㎝。茎は多数の鱗片葉に覆われる。地下部は褐色に変った小形の鱗葉を持ち、茎の上半部の鱗片葉(苞)腋に花が1個ずつつき、腐植土から出た所から直ちに花が出て、花序は穂状花序。花は長さ2~4cmの筒状2唇形、葯が少し白味を帯びる以外、すべて黄色(黄金色)。花冠の下に2個の萼片があり、花冠をはさむ。地上茎および花には全体に上向きの長さ0.6㎜の腺毛がある。雄しべは4本。蒴果は楕円形、長さ1~1.5(2)㎝、幅約8mm、褐色、裂開して、多数の微細な種子を出す。花期は2~3月および9~10月。
2 Orobanche coerulescens Stephan ex Willd. ハマウツボ 浜靫
synonym Orobanche coerulescens Stephan ex Willd. f. nipponica (Makino) Kitam.
日本全土、朝鮮、中国、モンゴル、ロシア、ネパール、カザフスタン、キルギスタン、トルクメニスタン、ヨーロッパ原産。中国名は列当 lie dang。英名はbluish broomrape。
1年草、寄生植物、高さ15~20㎝。カワラヨモギなどの根に寄生し、葉緑素を持たない。茎は褐色で、直立する。全体に白毛が密生し、花にも白毛がある。葉は互生し、退化して長さ1~1.5㎝の狭卵形~披針形の鱗片状になり、枯れた葉のように見える。茎頂の穂状花序に多数、花がつく。苞は長さ約1.5㎝の披針形~三角状卵形、先が尖る。萼は長さ約1㎝、膜質、左右に2深裂し、裂片はさらに2裂して先が尖る。花冠は長さ約2㎝、紫色の唇形、太い筒部があり、上唇は凹頭、下唇は3裂する。雄しべ4個、うち2個が短い。雌しべ1個、柱頭は中間でくびれ2個の球形になる。蒴果は長さ約1㎝の狭楕円形、熟すと2裂する。2n=38。花期は5~7月。
2-1 Orobanche coerulescens Stephan ex Willd. f. albiflora (Kuntze) H.Hara シロバナハマウツボ
synonym Orobanche coerulescens Stephan ex Willd. var. albiflora Kuntze白花品種。
3 Orobanche ficicola Nakai
韓国固有種。1928年に採集された単一の標本が東京大学植物標本館に保管され不明とされていた。2000年に再発見され、2003年に発表された。
済州島と全羅南道の3~4ヶ所にのみ分布し、個体数も非常に少ない。茎は褐色、花は紫色。
4 Orobanche foetida Poir. オロバンケ・フォエティダ
地中海西部沿岸地域原産。英名はfoetid , common vetch。日当たりの良い草原に生える寄生植物。
1年草または多年草。茎は高さ20~70(100)cm×幅約1cm、普通丈夫で、単一、帯赤色、黄色の腺毛が多数ある。葉は長さ15~40㎜×幅3~5㎜、褐赤色、腺毛がある。花序は長さ10~40cm、普通、密に多数、花がつく。花時には不快な異臭を放つ。苞は長さ(10)15~30(40)㎜、披針形、褐赤色、腺毛がある。萼は長さ約15㎜、側咢片は同じ長さに分裂し、薄赤色で、腺毛がある。花冠は長さ20~25㎜、直立~開出し、ほぼ鐘形、やや曲がり、外側は褐赤色、内側はより暗く明るい栗色–、下部は普通、ピンク色、まばらに腺毛があり、先が黄色。上唇はほぼ2裂、下唇は裂片が円形、やや小歯がある。雄しべの花糸は花冠の基部から3~5㎜上につき、上部にいくつかの腺毛があり、下部は特に基部には腺毛が無い。葯は無毛。柱頭は裂片がはっきり散開し、明るい黄色。n=38。花期は4~6月。
5 Orobanche minor Sm. ヤセウツボ 痩靫
地中海沿岸原産。中国名は小列当 xiao lie dang。英名はcommon broomrape , clover broomrape , lesser broomrape , small broomrape , hellroot。ヤセウツボは植物の根に寄生し、マメ科のシャジクソウ属に寄生することが多く、ムラサキツメクサなどの群生地で見られることが多い。セリ科、キク科、フウロソウ科、ナス科など様々な植物にも寄生する。世界に広く帰化し、牧草の収量を減少させる害草とされている。日本では外来生物法で要注意外来生物に指定されている。草地、道端、畑地、牧草地、樹園地などに生える。 1年草。高さ(5)15~50(100)㎝。様々な植物の根に寄生し、葉緑素を持たない。発芽後に宿主の根につき、根茎状の節を伸ばす。普通、冠根に覆われる。短根はおおよそ長さ1~2㎝。発芽の数週間後に根茎状の節から茎を直立して出す。ヤセウツボは茎が分枝せず、赤褐色~黄褐色、しばしば紫色を帯び、普通、高さ30~50㎝、ときに100㎝を超え(特にエチオピアのもの )、腺毛がある(又はほぼ無毛)。花茎が出るのが遅かったものは高さ5~15㎝の小形のものも多い。葉は互生し、褐色の鱗片状、卵形~披針形、長さ6~20㎜、先は鋭形。花序は長い穂状花序、長さ10~30㎝(特に大きい個体はさらに長い)、成長した大きいものでは茎の長さの約半分を占める。花は多数つき、無柄(基部の花の1~2個の花に長さ5~13㎜の柄のあるものもある。)、螺旋状に配置し、各花の基部に苞が1個つく。苞は先が尖った狭い卵形、長さ10~15㎜、幅3~5㎜、腺毛がある。萼は変異が多いといわれている。観察したものは萼が基部まで2裂し、萼片が花の左右に1個ずつ、2個あり、苞の横から左右に突き出て、長さ約10㎜、幅約2~3㎜、先が2深裂~2中裂~2浅裂ときに分裂せず、2個の裂片は長さが異なり、内側が短く、外側が長く、先は錐状に細長く尖り、長腺毛がある。花冠は長さ10~18㎜、まれに20㎜、太い脈があり、しわがある。花冠筒部はほぼ円筒形、わずかに先が下方に曲がり、上唇は先が凹み、下唇は幅約10㎜、3裂し、裂片は長さ2~3㎜、中央の裂片が最も大きく、縁は波状に切れ込む。外面は腺毛があり、内面は無毛。花冠の色は主に淡帯白色~淡黄色、脈に沿って紫色になり、花冠の先が紫色を帯びる。雄しべは4個、花冠の筒部の基部から2~4㎜上につき、長さ8~10㎜程度。花糸は白色、基部にしばしば腺毛がある。葯は黒色。花粉は白色。花柱は長さ約6㎜、腺毛がまばらにある。子房は長さ約6㎜、長楕円形。柱頭は2裂、幅約1.5㎜、赤褐色、まれに黄色。蒴果は長さ7~10㎜、熟すと2裂し、数100個の種子を放出する。種子は長さ約0.3㎜と微小、成熟するにつれ、黄褐~褐色~黒色に変色する。種子は動物に食べられても生存し、散布されてから土壌中に10年以上も生存するといわれている。2n=38。
5-1 Orobanche minor Sm. var. flava Regel キバナヤセウツボ
紫色を帯びず、全体が黄色で、萼の形が異なるとされ、変種とされたが、現在は変種とはせず、色の変化とする見解が普通である。
6 Orobanche pycnostachya Hance キバナハマウツボ
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は黄花列当 huang hua lie dang。
6-1 Orobanche pycnostachya Hance var. amurensis G.Beck チョウセンヤマウツボ
synonym Orobanche amurensis (G.Beck) Kom.
朝鮮、中国、モンゴル、ロシア原産。中国名は黑水列当 hei shui lie dang。
参考
1) Flora of ChinaOrobanche
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=123211
2) Plants of the World Online| KewscienceOrobanche
http://www.plantsoftheworldonline.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:328937-2
3) World Flora OnlineOrobanche
http://www.worldfloraonline.org/taxon/wfo-4000027206;jsessionid=2E50A263B546784B15E88696515A9FE1
4) 植物研究雑誌 42(8): 225–229(1967)渡辺清彦 : 小笠原島特産のシマウツボ,特にその寄生状態について
http://www.jjbotany.com/pdf/JJB_042_225_229.pdf
5) Flora VascularOrobanche foetida Poiret Flora Iberica
https://www.floravascular.com/index.php?spp=Orobanche%20foetida
)