ツルボラン科キキョウラン属の栽培種。クロンキスト分類ではアロエ科 Aloeaceaeに分類されていた。APGⅣ(2016年)でススキノキ科(Xanthorrhoeaceae)からツルボラン科(Asphodelaceae) に改められた。
　キキョウラン属は主に熱帯アジア、アフリカ（マダガスカル）、オーストラリア、太平洋諸島に生息し、日本にはキキョウラン 1種がある。
　ディネラ・クラリティー・ブルーはDianella caerulea 'Cassa Blue'と Dianella prunina 'Utopia'とのハイブリッド。丸く叢生し、高さ60～75㎝、幅45～60㎝程度になり、葉はマオランに似て直立し、先が尖る。春に花序を出し、青色の花を緩く多数つける。

キキョウラン属

　 family Asphodelaceae － genus Dianella

　多年草、ときに亜低木、常緑。根茎は一般的に分枝し、丈夫。茎は単純または分枝する。葉はほぼ根生し、2列対生(distichous)、基部はしばしば跨状で(equitant)、草状で、堅く、下面に隆起した中脈がある。花茎は通常比較的高く、高さ2mまで、少数の線状披針形の茎葉と頂生の1個の円錐花序がある。円錐花序はゆるく分枝し、通常は大きく、数個～多数の総状花序またはより小さな円錐花序を持つ。苞はかなり小さい。花は通常うなずき、かなり小さい。小花柄は先部に関節がある。花被片は6個、離生、3～7脈がある。雄しべは6本、花被片の基部につく。花糸は太くなる。葯は底着、頂部の孔から裂開する。子房は3室。胚珠は1室あたり4～8個。花柱は細い。柱頭は小さい。果実は液果。種子は黒色で、しばしば扁平になる。
　世界に約20種あり、主に熱帯アジア、アフリカ（マダガスカル）、オーストラリア、太平洋諸島に生息し、日本には1種がある。

アロエ属の主な種と園芸品種

1 Dianella ensifolia (L.) DC.　キキョウラン　桔梗蘭
　日本(本州の紀伊半島、四国、九州、沖縄、小笠原諸島)、中国(福建省、広東省、広西チワン族自治区、貴州省、海南省、江西省、四川省、雲南省)、台湾、バングラデシュ、ブータン、カンボジア、インド、インドネシア、ラオス、マレーシア、ミャンマー、ネパール、フィリピン、スリランカ、タイ、ベトナム、アフリカ (マダガスカル)、オーストラリア、太平洋諸島原産。中国名は山菅 shan jian。英名はumbrella dracaena, common dianella, siak-siak, flax lily。中国名は木剑芦荟 mu jian lu hui。標高1700m付近までの森林、芝生の斜面に生える。
　根茎は匍匐性で、太さ5～8㎜。葉は剣形で、両端が徐々に狭くなり、長さ30～80㎝×幅1～2.5㎝、革質、下面の中脈と縁が通常ザラつき、先は鈍形。花茎は高さ1～2m。苞状の茎葉は数枚つき、長さ3～8㎝。円錐花序は緩やかに分枝し、長さ10～40㎝、通常は上部に花がつく。小花柄は長さ0.7～2㎝、通常は弓形。 花被片は広がり、白色、緑白色、黄白色、または青紫色、線状披針形～狭長円形、長さ6～7㎜×幅3～3.5㎜。雄しべは花被片より短い。花糸は中間近くで膝状に曲がり、上部で広がる。花柱は長さ約6㎜。果実は濃青色、ほぼ球形、直径約6㎜、種子は5または6個。花期と果期は3～8月。2n=32。
品種)　'Variegata' (v)

2 Dianella caerulea Sims
　ニューギニア、オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州)原産。英名はblue flax-lily , lax lily。
　多年草、房状に単生、またはマット状になる。根はひげ根。葉は長さ75㎝まで。鞘は二つ折り(conduplicate)、1/3～±は完全に閉じる。葉身は幅3～25㎜。花序は葉を超える。集散花序は広がる～収縮し、花が3～25個つく。花被片は帯白色～暗青色、または青緑色。外花被片は長さ7～11.5㎜、5～7脈ある。内花被片は長さ6.3～10.5㎜。3～5脈がある。雄しべは花糸が膨れ、長さ1～3㎜、黄色。 葯は黄褐色。液果は長さ7～12㎜。花期は春～夏。
品種)　'Little Rev' , 'Proquest D3'PBR , Becca™ , Breeze ('Dcnco'PBR) , Cassa Blue ('Dbb03'PBR) , 'Dbb03'PBR , 'Dcmp01'PBR , 'Dcnco'PBR , Little Jess™ , 'Sydney Ecotype' , 'Variegata'

3 Dianella intermedia Endl.
　ニューサウスウェールズ州(ロードハウ島、ノーフォーク島)原産。英名はturutu, flax Lily。海岸の開けた森林や草や岩が多い場所に生える。
　多年草、根茎があり、房状に茂り、高さ約40㎝。根生葉と茎葉がある。上部の茎葉は2列対生、跨状で、長さ30～70㎝×幅1～2㎝、先に向かってわずかにザラつく。花序は狭円錐花序、長さ20～40㎝。花は鈍いクリーム白色～青色、または淡紫青色。小花柄は後向きにつき、長さ2～7mm。花被片は長さ5～7㎜×幅1.5～2㎜。雄しべの花糸は黄色。果実は液果、球状卵形、直径約1㎝、熟すとロイヤルブルー(royal blue)または紫青色になる。
品種)　 'Variegata' (v)

4 Dianella nigra Colenso　
　ニュージーランド原産。英名はturutu, New Zealand blueberry, inkberry。
　常緑多年草、緩い草状、密集～開いた拡散した塊を形成する。根茎は水平に長さ150㎜(以上)に伸び、強くてよく発達する。葉は長さ250～800㎜x幅12～18㎜、均一な緑色～暗緑色、幅2～4㎜の明瞭な暗い縁帯が縁あり、表離は異色(discolorous)、直立～強く湾曲し、明瞭に垂れ下がり、多少、平らで、葉身は平滑、多少光沢がある。葉の下面の縁と中肋は平滑～ザラつき、歯はしばしば目立ち、先は鋭形、葉鞘は跨状、しっかりと茎を抱き、表面は薄緑色～暗緑色で、縁は赤みがかり、先は鋭形～ほぼ鋭形性。花序は直立～広がり、長さ1m以下、葉の上に突き出る。花冠は細く、アーチ形で、基部は非対称、直径は最大長さ100mmx直径75 mm。円錐花序は長さ300～500㎜、枝は広がり、短く、規則的な間隔でつく。茎葉は枝の基部につき、基部では葉状だが、上部ではサイズが小さくなり、苞状になる。集散花序は花が3～7個つく。小花柄は長さ10～17㎜、わずかに反り返り、円柱形。小苞は長さ1.0～1.2㎜x幅約0.2㎜、狭三角形、小花柄の基部につき、早落性。花はうなずき、直径9～11㎜、早朝に開き、午後遅くに崩壊し、開花時には花被片が強く反り返る。萼片は長さ4.4～4.5 x幅1.6～1.7 mm、長円形、下面はオリーブグリーン色、赤褐色を帯び、上面は淡色、先は鈍形。花弁は長さ3.5～4.0㎜x幅2.3～3.4㎜、倒卵形、白色、中脈はオリーブグリーン色、先は鈍形～反り返る。花糸は6本、長さ1.3～1.4㎜、白色。葯は長さ1.3～1.4㎜x幅約0.4 mm、黄褐色、柱状部(struma)は長さ1.2～1.4㎜x幅約0.6㎜、倒卵形、黄色、微細なパピラガアル。子房は長さ1.4～1.6㎜x幅1.1～1.3㎜、緑色、多少、球形。花柱は長さ1.7～2.1㎜、白色。液果は長さ8～20㎜x幅7～10㎜、卵形～長楕円形、灰白色で鈍～強の紫青色の光沢があり、果皮は海綿状。 種子は長さ1.8～2.1㎜x幅2.3～3.0㎜、卵形、黒色、光沢がある。2n=16。
品種)　'Margaret Pringle' (v) , 'Variegata'

5 Dianella prunina R.J.F.Hend.
　オーストラリア(ニューサウスウェールズ州)原産。
　多年草、高さ2mまで、房状になり、単生し、房は直径10㎝未満。根は肉質のひげ根。葉は長さ90㎝まで。鞘は二つ折り(conduplicate)、±完全に閉じている。葉身は幅8～38㎜。花序は葉を超える。集散花序は広がり、花が2～8個つく。花被片は中程度の青色～暗紫色。外花被片は長さ7～10.5㎜、5脈がある。内花被片は長さ7～9.5㎜、5(まれに7)脈がある。 雄しべは花糸が膨れ、長さ0.9～1.8㎜、黄色。葯は褐黄色～濃青色。液果は長さ5～8㎜。花期は春。
品種)　'Dp303'PBR , 'Utopia' , Utopia ('Dp303'PBR)

6 Dianella revoluta R.Br.
　オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、クイーンズランド州、南オーストラリア州、タスマニア州、ビクトリア州、西オーストラリア州)原産。英名blueberry lily, blue flax-lily, はblack-anther flax-lily
　多年草、高さ1mまで、密集して単生するか、マット状になる。根はひげ根。葉は長さ85㎝まで。鞘は二つ折り(conduplicate)、±完全に閉じている。葉身は幅は4～12㎜。花序は葉を超える。小集散花序(cymules)は広がり、花が2～9個つく。花被は中程度～濃青色または紫色。外花被片は長さ5.5～10㎜、5～7脈がある。内花被片は長さ5.2～9.5㎜、5脈がある。雄しべは花糸が膨れ、長さ0.6～2.3㎜、黄色。葯は淡褐色～ほぼ黒色。液果は長さ4～10㎜。花期は主に春～夏。

6-1 Dianella revoluta var. revoluta
　密または緩く房状になり、根茎があり、時には直径数mの密なパッチを作る。葉はほとんどが直立し、基部は密に鞘に覆われ、長さ15～65㎝×幅0.5～1.2㎝、通常は色が異なり(discolorous)、上面は暗緑色、下面は粉白色。花序は葉の高さに等しいか、通常は葉を上回り、約80㎝(ときに高さ約1.4m)。花は幅10～20㎜、青色～紫色。 花被片は広がる～反り返り、長さ5～10㎜。 雄しべは花被片より短く、花糸は捻じれ、長さ2～3㎜、花糸は膨らみ (strumae) 長さ1.5～2.5㎜、黄色。葯は暗褐色または黒色、長さ2.5～4㎜。果実は卵形～倒卵形、長さ5～8㎜、輝く紫色。種子は扁平な楕円形、長さ約4mm、黒色、平滑で光沢がある。花期は春～初夏。
品種)　'Allyn Citation'PBR , Baby Bliss ('Dtn03'PBR) , 'Baby Blue' , 'Blue Stream' , Coolvista , 'Dinky Di' , 'Dr5000'PBR , 'Drg04' , 'Dtn03'PBR
7 Dianella tasmanica Hook.f.
　オーストラリア(ニューサウスウェールズ州、タスマニア州、ビクトリア州)原産。英名はTasman flax-lily　
　多年草、高さ0.9mまで、単生で房状になり、直径0.3mまで。根はひげ根。葉はほとんど直立し、葉身は平らまたは縁がわずかに反曲し、長さ20～95㎝×幅1.5～3.5㎝、。鞘は二つ折り(conduplicate)、±完全に閉じ、葉身は幅14～32㎜。花序が葉より短いかまたは葉を超える。 小集散花序は±収縮し、花が2～5個つく。円錐花序は狭い卵形、花は多数つき、幅12～19㎜。小花柄は長さ8～25㎜。花被片はラベンダー色～紫色。外花被片は長さ8～10㎜、5～7脈がある。内花被片は長さ7～9.5㎜、5脈がある。雄しべは花糸は膨れ(strumae)、長さ2.3～3㎜、黄金色。葯は淡黄色。液果は卵形～球形、長さ10～25㎜、柔らかく、紫色で光沢がある。種子は長さ3～4㎜。花期は夏。
品種)　Blaze ('Npw2') , Destiny ('Tas100') (v) , 'Dt23' , 'Emerald Arch' , 'Little Devil' , 'Npw2' , 'Silver Streak' , 'Splice' , Tasred ('Tr20'PBR) , 'Tr20'PBR , 'Variegata' (v) , Wyeena ('Tas300') , 'Yellow Stripe'

8 その他ハイブリッド
品種)　'Baby Bliss' , 'Clarity Blue' , King Alfred™ , Little Rev , 'Peninsula Perfection' , 'Proquest D5'PBR , 'Silver Streak' (v) , 'Streetscape' , 'Tas100' , 'Weeping Kate'

参考

1) Flora of China
　Dianella 2) Plants of the World Online | Kew Science
　Dianella 3) Flora of North America
　Dianella 4) NEW SOUTH WALES FLORA ONLINE
　Dianella caerulea Sims 5) New Zealand Plant Conservation Network
　Dianella nigra 5) Flora of Victoria
　Dianella revoluta var. revoluta