ブロッコリー  
[別名] ミドリハナヤサイ(緑花野菜 , 緑花椰菜)、メハナヤサイ(芽花野菜 , 芽花椰菜) , イタリアンブロッコリー
[中国名] 西兰花 xi lan hua , 青花菜 qing hua cai
[英名] Broccoli , sprouting broccoli
[学名] Brassica oleracea L. var. italica Plenck
アブラナ科 Brassicaceae (Crucifera)  アブラナ属
三河の植物観察
ブロッコリー花序
ブロッコリー花
ブロッコリー花2
ブロッコリー萼
ブロッコリー
ブロッコリー葉
 ブロッコリーは広義の甘藍カンランBrassica oleraceaの1変種である。蕾と花茎を食用とする。イタリアで品種改良されたもの。
 2年草。高さ60~90㎝。茎は直立し、太く、分枝する。根生葉及び下部の茎葉は7~12枚ほどつき、大きいものは長さ35~50㎝、長楕円形~楕円形、羽状分裂し、数個の裂片があり、側裂片は長さ2~3.5㎝、銀緑色、先は円形、展開し、巻かず、全縁~細鋸歯縁。葉柄は長さ10~15㎝ほど。茎の中上部の葉は小さく、無柄、長楕円形~披針形、基部は茎を抱く。花序は頂生及び腋生、緑色、肉質の花芽を密集する。蕾と花茎が食用となる。花は淡黄色、後に白色に変色する。長角果は円柱形、長さ3~4㎝、1中脈がある。種子は広楕円形長さ約0.2㎝、褐色。花期は12~4月。果期1~5月。
 ブロッコリーニ Broccolini(Brassica oleracea var. italica × alboglabra)
 はなっこりーBrassica rapa × B. oleracea:中国野菜のサイシンとブロッコリーの交配種
[花期] 12~4月
[草丈] 60~90㎝
[生活型] 2年草
[生育場所] 栽培種
[分布] 外来種 地中海沿岸原産
[撮影] 蒲郡市  19.4.23

 広義の甘藍カンランBrassica oleracea

 広義の甘藍カンランはアブラナ科Brassicaceaeの属の1つであるアブラナ属Brassicaの1種であるが、単一の種に属するとは思えないような栽培種が多数ある。この中の1変種(栽培種)がキャベツBrassica oleracea L. var. capitata L.である。キャベツはCapitata Group (Cabbage) に分類される。他にケール(Acephala Group)、カイラン(Alboglabra Group)、ブロッコリー(Italica Group)、カリフラワー(Botrytis Group)、メキャベツ(Gemmifera Group)、コールラビ(Gongylodes Group )などの変種がある。


 キャベツ栽培の歴史

 ヨーロッパの地中海、大西洋の沿岸が原産地。 頭状のキャベツ の栽培の歴史は古く、紀元前1000年頃、すでにギリシャやローマで栽培されていたと考えられている。ギリシャではkambe、ローマではbrassica 又は olusとと呼ばれていた。葉の開いたケールはギリシャではraphanos、ローマではcaulisであった。14世紀のイギリスに出現した頭状のキャベツは cabaches 、cabochesと呼ばれた。フランスでは16世紀中頃、capucos coles (head-coles) として発表された。アメリカには16世紀中期に初めて持ち込まれ、18世紀までには普通に栽培されるようになった。オーストラリアでの栽培は18世紀後半からである。
 日本への渡来は江戸末期の万延1年(1860年)に遣米使節が種子を持ち帰ったのが最初の記録である。日本で栽培が広がったのは明治時代からである。


広義の甘藍カンランBrassica oleraceaの変種

Capitata Group (Cabbage)
 1  Brassica oleracea L. var. capitata L  キャベツ 
 地中海沿岸地域原産。英名は cabbage , white cabbage , head cabbage 。结球甘蓝 jie qiu gan lan、卷心菜 juan xin cai。
 2年草又は多年生草本。。高さ60~150㎝。白粉を被る。茎は肉質、不分枝、緑色~灰緑色。葉は多数、根生し、質が厚く、結球する。葉の球は扁球形、直径10~30㎝、乳白色~淡緑色、2年目の茎は分枝し、茎葉をつける。根生葉及び下部の茎葉は長楕円状披針形~円形、長さと幅は30㎝以下、先は円形、基部は狭くなり、葉柄があり、縁は波状、不明瞭な鋸歯縁。上部の茎葉は卵形~長楕円状卵形、長さ8~13.5㎝、幅3.5~7㎝、基部は茎を抱く。最上部の葉は長楕円形長さ約4.5㎜、幅約1㎜、茎を抱く。総状花序は頂生及び腋生。花は淡黄色、直径2~2.5㎝。花柄は長さ7~15㎜。萼片は直立し、線状長楕円形、長さ5~7㎜。花弁は広楕円状倒卵形~ほぼ円形、長さ13~15㎜、脈が明瞭、先は微凹形、基部は急に狭くなり爪状、爪は長さ5~7㎜。長角果は円柱形、長さ6~9㎜、幅4~5㎜、やや圧扁し、中脈が突出し、嘴は円錐形、長さ6~10㎜。花期は3~5月。

 多数の栽培品種があり、系統別に分けられる。
●冬キャベツ(普通のキャベツ) White cabbage: Dutch cabbageともいわれる。夏に種をまき、晩秋~初春に収穫される。厳寒期~初春に収穫されるものは、寒玉と呼ばれる。扁球形、締まりが固く、内部の葉は白色に近い。キャベツの中で最も生産量の多い品種であり、愛知県が主産地。
●高原キャベツ(夏秋キャベツ)冬キャベツの品種を、高原などの冷涼地で春~初夏に種をまき、夏~秋に収穫する。扁球形、締まりが固く、内部の葉は柔らかく、水分に富む。
●春キャベツ Spring greens:別名は新キャベツ、春玉。秋~冬に種をまき、早春~初夏にかけ収穫。大きさは冬キャベツの半分以下、球形、巻きがゆるい。葉質は柔らかくみずみずしい。
●グリーンキャベツ Green cabbage:寒玉や春玉に対して丸玉(ボール玉)とも呼ばれる。品種はグリーンボール 'Green Ball'、グリーンキッドなど。小ぶりの球形、締まりが固く、内部まで緑色を帯びる。葉に光沢があり、質は肉厚のわりに柔らかく、組織はしっかりしている。
●ムラサキキャベツ Red cabbage(Brassica oleracea var. capitata f. rubra): 赤キャベツ red cabbage ともいわれる。小さめの球形、締まりが固い。葉は紫色、やや苦みがある。
●サボイキャベツ Savoy cabbage (Brassica oleracea var. capitata f. sabauda) ちりめんキャベツ、グラッド(縮緬甘藍)とも呼ばれ、縮れた葉を持つ。不結球、半結球、結球の型がある。肉厚で緑色が濃い。結球型は玉の大きさ、形状が普通のキャベツと変わりない。日本でも結球型がわずかに栽培されている。
●コーンキャベツCone cabbage , Conehead cabbage , Conical Cabbage (Brassica oleracea var. capitata f. acuta): Spring Cabbageともよばれる。タケノコ形の円錐形に結球する。夏~冬に収穫される。 巻きが弱く、葉質は肉厚で柔らかく、甘味があり、春キャベツに近い。

 2  Brassica oleracea L. var. oleracea ヤセイカンラン Wild cabbage
 地中海沿岸が原産でキャベツの原種。中国名は野甘蓝。
 2年生又は多年生草本。高さ60~150㎝、下部の葉は大きく、羽状深裂し、葉脈は有色、有柄、頂裂片は大きく、先は円形、基部は歪んだ心形、縁は波状で細かい円鋸歯があり、頂裂片は3~5対、倒卵形。上部の葉は長卵形、全縁、基部は茎を抱き、肉質、無毛、白粉を帯びる。総状花序は長さ30㎝以下又はそれ以上になる。花は淡黄色、直径10~15㎜。萼片は楕円形、直立し、長さ8~11㎜。花弁は倒卵形、長さ15~20㎜、先は円形、爪がある。長角果は円筒形、長さ5~10㎜。果柄は長さ約2㎜。種子は球形、直径約2㎜、淡褐色。2n=2x=18

Acephala Group
 3  Brassica oleracea L. var. acephala DC ケール Kale (緑葉甘藍 リョクヨウカンラン )
   synonym  Brassica oleracea var. sabellica
   synonym  Brassica oleracea L. convar.acephala(DC)Alef.var.sabellica L
   synonym  Brassica oleracea L. var. viridis L 
 ケール KaleはBorecole Kales又はAcephala Groupともいわれ、地中海沿岸が原産でキャベツの原種のヤセイカンラン B. oleracea の栽培変種として分類されている。栽培の歴史が長く、元になったケールはよくわかっていない。温暖な気候であれば一年中栽培可能で収穫量も多い。キャベツとは違い、結球しない。中国名は羽衣甘蓝。英名はKale、Borecole、green cabbageなど。栄養に富み、ビタミンK,A,Cの含有量は緑黄色野菜の中でも多く、青汁の材料として利用される。葉牡丹は日本で作り出されたこれの観賞用の品種。

Alboglabra Group (Kai-lan, Chinese broccoli)
 4  Brassica oleracea var. alboglabra カイラン Kai-lan 中国ブロッコリー
   basynonym  Brassica alboglabra L. H. Bailey
 中国原産(西欧由来説もある)、中国名は芥藍.(gai lan) 。英名はChinese kale , Chinese broccoli 。中国、東南アジアなど世界各地で栽培され、タイでも栽培が盛んである (パッカナー)。葉は結球せず、若い茎のついた葉芽を野菜として食用とする。高さ約1mの1又は2年草。茎は直立、円柱形、分枝する。葉は単葉、互生し、卵形~広楕円形。花は白色~黄色。総状花序は頂生、花を多数つける。長角果は円柱形。種子は黒色。
 ※Brassica oleracea var. albiflora Kuntze 白花甘蓝 bai hua gan lan とは異なる(GRIN)とする見解と同一(Flora of China)とする見解がある。

Italica Group (Broccoli Group)
 5  Brassica oleracea var. italica ブロッコリー
 英名はBroccoli , sprouting broccoli。中国名は西兰花 xi lan hua又は青花菜。蕾と花茎を食用とする。イタリアで品種改良されたもの。
 2年草。高さ60~90㎝。茎は直立し、太く、分枝する。根生葉及び下部の茎葉は7~12枚ほどつき、大きいものは長さ35~50㎝、長楕円形~楕円形、羽状分裂し、数個の裂片があり、側裂片は長さ2~3.5㎝、銀緑色、先は円形、展開し、巻かず、全縁~細鋸歯縁。葉柄は長さ10~15㎝ほど。茎の中上部の葉は小さく、無柄、長楕円形~披針形、基部は茎を抱く。花序は頂生及び腋生、緑色、肉質の花芽を密集する。蕾と花茎が食用となる。花は淡黄色、後に白色に変色する。長角果は円柱形、長さ3~4㎝、1中脈がある。種子は広楕円形長さ約0.2㎝、褐色。花期は12~4月。果期1~5月。
 ブロッコリーニ Broccolini(Brassica oleracea var. italica × alboglabra)
 はなっこりーBrassica rapa × B. oleracea:中国野菜のサイシンとブロッコリーの交配種

Botrytis Group (Cauliflower and Romanesco)
 6  Brassica oleracea L. var. botrytis L. カリフラワー
 英名はcauliflower。中国名は花椰菜又は白花菜。
 2年草。高さ60~90㎝。白粉を被る。茎は直立し、太く、分枝する。葉は品種により異なり、根生葉及び下部の茎葉は18~40個つく。大きいもので長さ35~50㎝、幅10~18㎝、長楕円形~楕円形、羽状分裂し、数個の裂片があり、灰緑色、先は円形、展開し、巻かず、全縁~細鋸歯縁。葉柄は長さ10~15㎝。茎の中上部の葉は小さく、無柄、長楕円形~披針形、基部は茎を抱く。総状花序は頂生及び腋生、乳白色、肉質の花芽を密集する。蕾と花茎が食用となる。花は淡黄色、後に白色に変色する。長角果は円柱形、長さ3~4㎝、1中脈がある。種子は広楕円形長さ約2㎜、褐色。花期は4月。果期5月。

 ロマネスコ(うずまき)Romanesco broccoli、Roman cauliflower(Brassica oleracea 'Romanesco')
   16世紀にイタリアで栽培し始めたもの。花がフラクタル形の渦巻きとカリフラワー形の2種あり。
 紫カリフラワー:パープルフラワー、バイオレットクイン
 オレンジカリフラワー:オレンジ美星、オレンジブーケ(オレンジドーム)

Gemmifera Group (Brussels sprout Group)
 7  Brassica oleracea L. var. gemmifera (DC.) Zenk. メキャベツ
 別名、コモチカンラン(子持甘藍)、ヒメカンラン(姫甘藍)ともいう。ベルギーのブリュッセルが原産地であり、英名はBrussels sprout。中国名は抱子甘蓝。葉の腋芽が、直径2~4.5㎝の類球形~倒卵形のミニチュアのキャベツ状に結球し、1株に、多数(約50~60個)つく。葉が固く巻き、ややほろ苦みがある。栄養価が高い。花は黄色。2n=18。

Gongylodes Group (Kohlrabi Group)
 8  Brassica oleracea L. var. gongylodes L  コールラビ
 別名、かぶキャベツ、球茎甘藍といい、かぶのような球形の茎を食用とする。
 英名は Kohlrabi。中国名は苤蓝。地中海沿岸原産。
 2年草。直立し、高さ30~60㎝。全体に無毛。茎は短く、地面から2~4㎝離れ、球形~扁球形、直径5~10㎝に肥大し、表面は淡緑色叉は赤紫色、内部は白色。葉は長さ20~40㎝、葉柄はその内の1/2~1/3長。葉身は卵形~卵状楕円形、平滑、白粉を被り、縁は明瞭な歯状~切れ込みがあり、普通、基部近くに1~2裂片がある。花茎の葉は茎葉に似る。花は総状花序につき、黄白色。萼片4個。雄しべ4個。雌しべ1個。子房上位。角果は長円柱形。種子は小さい球形、直径1~2㎜。花期は春。


  参考

1) Flora of China
 Brassica oleracea
  http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=200009266
 Brassica oleracea var. capitata
  http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=200009269
2) GRIN
 Brassica
 https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=1687
3) Plants of the World Online | Kew Science
 Brassica oleracea L.
 http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:279435-1
4) SEINet Portal Network
 Brassica oleracea L.
 http://swbiodiversity.org/seinet/taxa/index.php?taxon=17053

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