アカネ 茜

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Flora of Mikawa

アカネ科 Rubiaceae アカネ属

中国名 东南茜草 dong nan qian cao
学 名 Rubia argyi (H.Lev. et Vaniot) H.Hara ex Lauener et D.K.Ferguson
 synonym Rubia akane Nakai
アカネの花序
アカネの花
アカネの花拡大
アカネの葉柄
アカネの果実
アカネ
アカネの葉
アカネの茎
花 期 7~10月
高 さ つる性
生活型 多年草
生育場所 山野に普通
分 布 在来種  本州、四国、九州、朝鮮、中国、台湾
撮 影 豊田市  07.9.15
茜染めの染料はこの根を使う。
 つる性の多年草(まれに台湾の山中では直立 Rubia akane var. erecta )。茎はおそらく、2m以上になり、4稜形~狭い4翼があり、古くなると特に4翼が見られ、無毛~微長軟毛があり、逆向きの刺状突起があり、古くなると、ときに無毛になる。葉はもっぱら、4個輪生し、等長又はときに不等長、葉柄は長さ0.5~5㎝。葉身は乾くと、しばしば黒色になり、±厚い紙質、類円状心形、広卵状心形、又は長円状類円形、長さ(1~)2~4.5(~5)㎝×幅(1~)1.5~3.5(~4)㎝、長さ/幅比は1~1.8、無毛又はまばら~密に微直軟毛又は微細剛毛があり、細かくザラつき、基部は心形~小心形、縁は疎~密に後ろ向きの小逆刺があり、先は急に尖る(cuspidate)~短突起があり(apiculate)、主脈は掌状5又は7本、脈は普通、±凹み、3次脈が見える。花序は密錐花序(thyrsoid)、円錐花序、頂生及び腋生、集散花序に花が多数つき、花序軸は小逆刺があるか、無毛~微直軟毛(pilosulous)がある。苞は披針形または披針状楕円形、長さ1~4㎜。花序柄はかなり丈夫、長さ1~2.5㎜。子房は長さ約0.8㎜、平滑。花冠は黄緑色~白色、車形~鐘形、無毛になり、基部は長さ0.5~0.7㎜が融着する。花冠裂片は披針形、長さ1.3~1.4㎜、平開~±反り返る。分果は液果、黒色、類球形、直径5~7(~9)㎜。花期は7~10月。果期は8~11月。

アカネ属

  family Rubiaceae - genus Rubia

 低木、亜低木又は多年草。まれでなく、よじ登り又はつる性になり、大刺は無い(unarme)。茎はしばしば刺があり(prickly)、縦にうねや翼がある。束晶(raphides)は無い。葉は対生、葉柄間に托葉があり、托葉は三角形又は卵形、宿存性~早落性(Rubia siamensis)又は減少((R. tibetica)し、茎の中間部分に、葉状の托葉が4、6個~多数、輪生する。ダニ室は無く、主脈は1本又は3~5本(又はそれ以上)、掌状になり、2次脈は側出。花序は密錐花序(thyrsoid)、頂生や腋生の集散花序をもち、普通、円錐花序でしばしば、成長すると新しい軸を広げる。各集散花序は少数~多数の花をつけ、花序柄があり、苞がある。花は花柄が有又は無、かなり小さく、普通、両性で単型、まれに雌雄異株(R. cordifolia)。子房は下位(花托筒)、楕円形、類球形、2室。胚珠は各室に1個、直立し、中軸胎座。咢の拡大部は削減又は廃れる。花冠は白色~クリーム色、帯緑色、又は赤色~帯紫色、しばしば乾くと黒色に変わり、ほとんどが車形、まれに鐘形~漏斗形、内側は無毛又はまれにパピラがある。花冠裂片は主に5個(まれに以下又は以上)、蕾では敷石状、しばしば、先が長い尖鋭形。雄しべは普通、5本、花冠の基部(又は筒部)につき、突き出る。花糸は発達又は縮小する。葯は背着。柱頭は2裂、突き出ない又は突き出る。果実は2個に分かれて発達、又は(削減して)1個になり、類球形、漿果、液果状の分果で、肉質の中果皮と内果皮をもち、暗赤色、紫色、黒色、たまに橙色(R. cordifolia)、無毛又はやや毛がある。種子(pyrenes)は2個、楕円形、類球形又は平凸形、種皮は膜質。胚乳は角質。胚は類内曲。子葉は葉状。幼根は長く、基部につく。
 世界に約80種があり、熱帯・温帯アジア~日本、インドネシア、ヒマラヤ~南西アジア、アフリカ東部~南部、地中海沿岸~ヨーロッパ西部、マカロネシア、アゾレス諸島に分布する。

アカネ属の主な種と園芸品種

1 Rubia alata Wall. ナガバアカネ 長葉茜
  synonym Rubia lanceolata Hayata 
 中国、ネパール原産。中国名は金剑草 jin jian cao。山地の斜面、雑木林の林縁に生える。
 つる性、草本、多年草。茎は長さ4m以下、四稜形、4本のうねがあるか、または普通、古くなると少なくとも4本の翼があり、翼は幅1.5㎜以下、無毛または節に 微細剛毛~微軟毛(hirtellous-puberulent)があり 、後ろ向きの小逆刺(aculeolate:釣り針のようなかかりを持った小刺)がある。葉と葉状の托葉は4輪生し、しばしば不等形(托葉は小さい)。葉柄は長さ0.2~10㎝、主軸の上につく葉柄は側軸の上の葉柄よりも長く、托葉はしばしば短く、または無いこともある。葉身は乾燥すると薄いく革質、線状披針形または狭披針形、長さ3.5~9㎝×幅0.4~2㎝、長さ/幅比が3以上、無毛で平滑か、またはときにまばらに細かくザラつき、基部は円形~小心形(cordulate)、縁は薄く 外巻きし、普通、逆刺があり、先は鋭形、主脈は掌状で、3本(または5本)、側脈がときに弱く明瞭に見える。花序は密錐花序(thyrsoid) 、円錐花序、頂生および腋生、多数の花をつける集散花序がある。花序軸は平滑~小逆刺があり、うね~薄い翼がある。苞は楕円形~披針状楕円形、長さ0.8~3㎜。小花柄は長さ1~4㎜。子房は長さ約0.7㎜、平滑。花冠は白色、淡黄色又は帯緑色、鐘形、基部は0.5~1㎜融着し、無毛。花冠裂片は三角形~披針形、長さ1.2~1.5mm、先は尾状尖鋭形。分果の液果は黒色、直径5~7㎜。花期は5~8月。果期は8~11月。

2 Rubia argyi (H.Lev. et Vaniot) H.Hara ex Lauener et D.K.Ferguson アカネ 茜

  synonym Rubia akane Nakai
  synonym Rubia cordifolia L. var. mungista Miq.
  synonym Rubia argyi var. pubescens (Nakai) M.Kim ビロードアカネ
  synonym Rubia pubescens (Nakai) Nakai ビロードアカネ

  synonym Rubia akane var. erecta Masam. Rubia akane var. erecta Masam. タチアカネ

  synonym Rubia nankotaizana Masam. タチアカネ

 日本(本州、四国、九州)、朝鮮、中国、台湾原産。中国名は东南茜草 dong nan qian cao。茜染めの染料はこの根を使う。
 つる性の多年草(まれに台湾の山中では直立 Rubia akane var. erecta )。茎はおそらく、2m以上になり、4稜形~狭い4翼があり、古くなると特に4翼が見られ、無毛~微長軟毛があり、逆向きの刺状突起があり、古くなると、ときに無毛になる。葉はもっぱら、4個輪生し、等長又はときに不等長、葉柄は長さ0.5~5㎝。葉身は乾くと、しばしば黒色になり、±厚い紙質、類円状心形、広卵状心形、又は長円状類円形、長さ(1~)2~4.5(~5)㎝×幅(1~)1.5~3.5(~4)㎝、長さ/幅比は1~1.8、無毛又はまばら~密に微直軟毛又は微細剛毛があり、細かくザラつき、基部は心形~小心形、縁は疎~密に後ろ向きの小逆刺があり、先は急に尖る(cuspidate)~短突起があり(apiculate)、主脈は掌状5又は7本、脈は普通、±凹み、3次脈が見える。花序は密錐花序(thyrsoid)、円錐花序、頂生及び腋生、集散花序に花が多数つき、花序軸は小逆刺があるか、無毛~微直軟毛(pilosulous)がある。苞は披針形または披針状楕円形、長さ1~4㎜。花序柄はかなり丈夫、長さ1~2.5㎜。子房は長さ約0.8㎜、平滑。花冠は黄緑色~白色、車形~鐘形、無毛になり、基部は長さ0.5~0.7㎜が融着する。花冠裂片は披針形、長さ1.3~1.4㎜、平開~±反り返る。分果は液果、黒色、類球形、直径5~7(~9)㎜。花期は7~10月。果期は8~11月(Flora of China)。

3 Rubia chinensis Regel et Maack オオキヌタソウ 大砧草 広義
  synonym Rubia chinensis Regel et Maack var. pedicellata (Nakai) H.Hara
  synonym Rubia chinensis Regel et Maack f. glabrescens (Nakai) Kitag.
  synonym Rubia chinensis Regel et Maack var. glabrescens (Nakai) Kitag.
  synonym Galium chilense (Molina) Endl. ex Clos
 日本、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は中国茜草 zhong guo qian cao。山地の林内、林縁、牧草地に生える。
 多年草、根茎がある。茎は直立、高さ60㎝以下、単生又は普通。群生し、分枝しないか又は少数分枝し、四稜形、無毛~少なくとも節の近くに微直軟毛があり、肋は丸みを帯び、平滑~まばらに細かくザラつく。葉は4枚、輪生する。葉柄は長さ(0.3~)0.5~2㎝。葉身は乾燥すると薄い紙質、卵形、長楕円形、または広楕円形、長さ/幅比は1.8~2.3、上面はほぼ無毛で細かくザラつき、基部は無毛~有毛、葉の基部は鈍形~円形~または小心形、縁は細かくザラつく~縁毛があり、葉先は鋭形~尖鋭形、主脈は5本または7本、掌状。花序は密錐花序、上部の節ひ頂生および腋生、円錐花序、多数の花がつき、長さ5~30㎝、無毛~微直軟毛がある。花序軸は細かくザラつく~平滑。苞は披針形、長さ1.5~8㎜。小花柄は長さ2~7㎜。子房は長さ約0.8㎜、平滑~細かくザラつく。花冠は緑白色、車形、直径3~4㎜、無毛、基部は0.2~0.6㎜が融着し、裂片は5個、披針形、長さ1.7~2㎜、先は鋭形~尾状。分果の液果は黒色、直径約4㎜、平滑。花期は5~7月。果期は9~10月。
3-1 Rubia chinensis Regel et Maack f. chinensis マンセンオオキヌタソウ
  synonym Rubia mitis Miquel.
 日本(本州中部)、朝鮮、中国、ロシア原産。中国名は中国茜草 zhong guo qian cao。
 葉はほぼ無毛かまたは上面の主脈に細かい粗毛があり、下面は微直軟毛があり、縁毛がある。

3-2 Rubia chinensis Regel et Maack f. mitis (Miq.) Kitag. オオキヌタソウ 大砧草

  synonym Rubia chinensis var. glabrescens (Nakai) Kitagawa
  synonym Rubia mitis f. glabrescens Nakai
  synonym Rubia chinensis Regel et Maack f. mitis (Miq.) Kitag.
 日本(北海道、本州、四国、九州)、朝鮮、中国原産。中国名は无毛大砧草 wu mao da zhen cao。
 葉は上面の中脈に沿って針がある(aculeolate)ほかは無毛、下面は無毛、縁は細かくザラつく

4 Rubia cordifolia L. アカミノアカネ 赤実の茜 広義
 日本、朝鮮、中国、ロシア、アジア南部~東南部、スリランカ、ジャワ島、ヒマラヤ~アフガニスタン、熱帯アフリカ原産。中国名は茜草 qian cao。英名はIndian madder。疎林、林縁、草原に生える。
 つる性、草本、這い登るまたは這い回り、赤色の根茎と根がある。茎は長さ3.5mまで、基部から数本~多数出て、しばしば枝分かれが多く、四稜形、無毛~微軟毛があり、肋は丸みを帯び~薄い翼があり、疎~密に後ろ向きの小逆刺がある。葉は4枚またはそれ以上、輪生する(最大8枚またはまれに12枚)。葉柄は長さ (1~)1.5~3(~6)㎝。葉身は乾くと紙質~厚い紙質、普通、±帯緑色、披針形、長円状披針形、卵形、または長円状卵形、長さ(1~)1.5~4(~7)㎝×幅(0.3~)0.5~1.5(~2.5)㎝、長さ/幅比ほぼ2.5~4、無毛~微直軟毛~微細剛毛があり、疎~密に細かくザラつき、基部は円形~切形~やや小心形または心形、縁は小鋸歯状~小逆刺があり、葉先は鈍形で短突起があり~鋭形または尖鋭形。主脈は3または5本、掌状。花序は密錐花序、円錐花序、頂生および腋生、数個から多数の花の集散花序がある。軸は無毛~微軟毛または小直軟毛があり、±小逆刺がある。苞は線状披針形~舌形、長さ1~3㎜。小花柄は長さ1~4mm。子房は長さ0.5 ~0.8㎜、平滑~細かくザラつく。花は雌雄同株(まれに雌雄混株?)。花冠は淡黄色又は緑黄色、車形、無毛、基部が長さ0.2~0.4mm融着する。花冠裂片は披針形、広がる~後屈し、長さ1.2~1.5㎜、尾状。分果の液果はオレンジ色になり、その後明らかに黒色になり、直径4~6㎜。花期は8~9月。果期は10~11月。
4-1 Rubia cordifolia subsp. conotricha (Gand.) Verdc.
  synonym Rubia conotricha Gand.
  synonym Rubia longipetiolata Bullock
 アフリカ原産。
 絡み付くまたは這い登る。茎は長さ6mにもなり、明瞭な4うねがあり、微細な反り返った棘で覆われる。葉は4輪生、まれに3または5輪生、葉身は披針形~広卵形、長さ2~7㎝、基部は多少、心形になり、通常は5本の明瞭な葉脈がある。縁と下面の脈には微細な反り返った棘がある。葉柄は長さ15~100㎜、微細な反り返りの棘がある。花は腋生の花序につき、直径3~6㎜、帯緑色。 果実は紫黒色、直径2.5~4㎜(Flora of Zambia)。
4-2 Rubia cordifolia L. var. cordifolia アカミノアカネ
  synonym Rubia cordifolia var. pratensis Maxim.

  synonym Rubia cordifolia subsp. pratensis (Maxim.) Kitag.

 日本、韓国、中国、 台湾、モンゴル、ロシア、アフガニスタン、パキスタン、東ヒマラヤ(インド北東部、ブータン、チベット~中国の雲南省、ミャンマー北部)、西ヒマラヤ(インド北西部、パキスタン北部)、インド、アッサム(インド北東部)、スリランカ、ネパール、ベトナム、バングラデシュ、ミャンマー、マレーシア、インドネシア、南アフリカ(自由州)、ギリシャ原産。日本の中国地方や九州も分布域に含まれるが、外来ともされている。
 葉が4~8輪生するクルマバアカネと葉が4輪生のアカミノアカネと分けている(Yist)。
4-3 Rubia cordifolia L. var. lancifolia Regel クルマバアカネ 
  synonym Rubia cordifolia L. var. pratensis sensu Maxim.
  synonym Rubia sylvatica auct. non (Maxim.) Nakai 
  synonym Rubia cordifolia auct. non L. 

  synonym Rubia cordifolia L. subsp. pratensis Kitam., excl. basion.

  synonym Rubia cordifolia L. f. pratensis Kitag., excl. basion.
 本州(近畿以西)、九州北部に分布。海岸近くの低山地の林縁等に生える。
 Yistでは変種としているが、KewscienceではRubia cordifolia f. lancifolia Regelを基準変種に含めている。
 つる性。葉は4~8枚輪生。葉柄は長さ1~3㎝。葉身はやや厚くて小さく、円形~披針形、基部は円形~鋭形、先は卵状長楕円形または卵形、先は急に尖る鋭形。葉柄や葉身の裏面脈上、葉縁などに後ろ向きの小逆刺がある。腋生の集散花序に多数の花を疎につける。花は黄緑色、直径約3㎜。花期は9~10月。

5 Rubia hexaphylla (Makino) Makino オオアカネ 大茜
  synonym Rubia cordifolia L. subsp. hexaphylla (Makino) Kitam.
  synonym Rubia cordifolia L. var. hexaphylla Makino
 日本(本州の中部~関東、九州北部)、朝鮮原産。海岸近くの湿った草地に生える。
 多年草、茎はつる状、やや太く、直立し、高さ40~80㎝。茎には4(~6)本の稜があり、稜に下向きの刺がある。葉は4~6枚(本葉は2枚、他は托葉)、輪生し、長い葉柄がある。柄には刺がある。葉身は三角状長卵形、長さ4~10㎝×幅2~5㎝、基部は心形、全縁、先は細長く尖り、下面の脈上に逆向きの刺がある。葉腋から出る集散花序に花をまばらにつける。花は直径3~4㎜、花冠は淡緑黄色、先は5(6)裂する。花期は7~8月。

6 Rubia jesoensis (Miq.) Miyabe et T.Miyake アカネムグラ 茜葎
  synonym Rubia grandis (F.Schmidt) Kom.
  synonym Rubia tatarica var. grandis F.Schmidt
 日本(北海道、本州石川県以北の北陸~東北地方)、千島列島、樺太、ウスリー原産。海岸近くの湿った草原に生える。
 多年草、高さ20~60(~80)㎝、茎はやや太く、4稜があり、鋭い小逆刺がある。葉は4枚輪生し、無柄~短柄。葉身は線状披針形~披針形、 長さ3~8㎝×幅0.4~1.5㎝、先は尖り、下面の中脈上に小逆刺がある。葉腋から出る集散花序に花をまばらにつける。花は直径3~4㎜。花冠は緑白色、5裂する。雄しべ5本。花柱は2個。果実は黒色に熟す。花期は(6~)7~8(~10)月。

7 Rubia manjith Roxb. インドアカネ 印度茜
 中国、インド、ブータン、ネパール原産。中国名は梵茜草 fan qian cao 。広葉樹林、マツ林、雑木林に生える。
 つる性、草本、乾くと赤みを帯びる。茎は長さ3m以下、四稜形、無毛、後ろ向きの小逆刺があるか平滑、赤い髄がある。葉は4枚輪生し、等形または不等形。葉柄は長さ0.8~4㎝、まばらに小逆刺がある。葉身は乾燥すると紙質、ほとんどが上面が帯緑色、下面は紫赤色、長円状披針形、卵状披針形、または卵形、長さ(2.5~)4~6(~8.5)㎝×幅(0.8~)1.8~2.5(~4)㎝、長さ/幅比は2~3、両面とも無毛で細かくザラつき、葉基部は円形~心形、縁は平ら~薄く外巻きし、小逆刺があり、葉先は長い尖鋭形または尾状、主脈は(3または)5(または7)本、掌状。花序は密錐花序、円錐花序、頂生および腋生、多数の花がつき、長さ2.5~10㎝の集散花序がある。花序軸は無毛で平滑またはまばらに小逆刺がある。小苞は楕円状長円形または披針形、長さ0.5~2㎜。小花柄は長さ1.5~3.5㎜。子房は長さ約0.5㎜、平滑。花冠は赤色~紫赤色または橙色、車形、無毛、基部が0.5~0.6㎜、融着する。花冠裂片は5個、披針形~三角形、長さ1.2~1.5㎝、尖鋭形。分果の液果は暗赤色、直径3.5~5㎜。花期は7~8月。果期は10月。

8 Rubia sylvatica (Maxim.) Nakai モリアカネ 森茜
  synonym Rubia cordifolia L. var. sylvatica Maxim.
 中国、ロシア原産。中国名は林生茜草 lin sheng qian cao 。湿った林内または林縁に生える。
 つる性、多年草。茎は長さ3.5m以下、四稜形、無毛、肋に小逆刺がある。葉は4~10(~12)枚輪生。 葉柄は長さ2~11㎝、小逆刺がある。葉身は乾くと薄い膜質または紙質、褐黒色または黒緑色、卵形~ほぼ円形、長さ3~11㎝×幅2~9㎝、長さ/幅比は1.2~1.5、両面とも無毛、葉身の上は細かくザラつき、主脈の上には小逆刺があり、葉基部は小心形~心形、縁は小逆刺があり、葉先は尖鋭形~尾状で急に尖る(caudate-cuspidate)。 主脈は5本または7本、掌状。 花序は密錐花序、頂生および腋生、数個から多数の花がつく集散花序がある。花序軸は細く、無毛、細かくざらつく。 苞は無いかまたは線形~披針状線形、長さ1~5㎜。 小花柄は長さ1~7㎜。子房は長さ約0.8㎜、平滑。花冠は帯緑色、車形~わずかに皿形(patelliform)になり、無毛、基部が0.4~0.6㎜、融着し、裂片は三角形、長さ1~1.5㎜、尖鋭形。分果の液果は黒色、直径5~10㎜、小花柄は長さ15㎜まで伸びる。花期は7~8月。果期は9~10月。

9 Rubia tinctorum L. セイヨウアカネ 西洋茜
 中国、インド、アフガニスタン、カザフスタン、パキスタン、トルクメニスタン、南西アジア(イラン、トルコ)、ウクライナ、クロアチア、北アフリカ(アリジェリア、リビア、チュニジア)原産。中国名は染色茜草 ran se qian cao。ヨーロッパなど世界中で栽培されている。英名はdyer's madder , Indian madder , madder。かなり乾燥した開けた場所に生える。
 多年草、這い回り~よじ登るつる性、広範囲に広がり、丈夫、木質で、赤色の根茎がある。茎は長さ1~2.5mになり、しばしば束生し、四稜形で±鋭い角(かど)を持ち、やや後ろ向きの小逆刺があり、または無毛。葉は4~6個輪生し、葉柄は短い~ほぼ無柄。葉身は乾燥すると紙質~ほぼ革質、披針形、披針状長円形、または楕円状長円形、長さ3~10㎝×幅0.5~3.5㎝、無毛または大部分が中肋下部と縁に沿って後向きの方に小逆刺があり、葉基部は鋭形、葉先は鋭形、側脈は3~4対、羽状脈。花序は密錐花序(thyrsoid)、葉があり、多数の花をつける集散花序が上部の花序軸の節に頂生および腋生する。花序軸は±後ろ向きの小逆刺がある。花序柄は長さ50㎜以下、苞は狭楕円形、長さ2~5㎜。小花柄は長さ(0.75~)1.5~8(~12)㎜。子房は長さ約0.8㎜、無毛。花冠は黄色~緑黄色、車状漏斗形、無毛。花冠筒部は長さ約1mm。拡大部は直径3~4.5mm。花冠裂片は披針形、長さ約1㎜、短い尖鋭形。葯は大きく、長さ0.5~0.6(~0.8)㎜、真っすぐ。分果の液果は黒色、長さ3.5~4㎜×幅4~4.5mm。花期は6~8月。果期は7~9月。

参考

1) Flora of China
 Rubia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=2&taxon_id=128835
2) Flora of Pakistan
 Rubia
http://www.efloras.org/florataxon.aspx?flora_id=5&taxon_id=128835
3) GRIN
 Rubia
https://npgsweb.ars-grin.gov/gringlobal/taxonomygenus.aspx?id=10572
4)Plants of the World Online | Kew Science
 Rubia
http://powo.science.kew.org/taxon/urn:lsid:ipni.org:names:35277-1
5)BOTANICAL MAGAZINE Vol. xvII, 85-92 1903
 T. Makino, Observations on the Flora of Japan.
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jplantres1887/17/195/17_195_85/_pdf